JPH0214553Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自転車用ペダル、詳しくは、ペダル軸
に支持するペダル本体の前部及び後部に踏面を設
け、この踏面に運転者の足を載せて踏込むことに
より、クランクを回転させるようにしている。

従来、サイクリング車、競技用自転車のペダル
には、ペダル本体の踏面側に、該踏面より上方に
突出する山形状の滑り止め突起を複数個設けて、
この滑り止め突起により、前記ペダル本体の踏面
に載せる足の滑りを防ぐようにしている。

所で、従来のペダルにおいて滑り止め突起を設
ける場合、軽合金や合成樹脂などの材料で、前記
ペダル本体を成形する時、前記滑り止め突起を一
体に形成したり、或いは、滑り止め突起をペダル
本体に打込んで形成しているが、前者による場
合、滑り止め機能が悪く、また、この滑り止め突
起が前記ペダル本体を構成する材料によつては摩
耗し易くなり、滑り止め機能が短期間で低下する
問題があり、又、滑り止め突起をペダル本体と一
体に形成すると、元々構造の複雑なペダル本体の
構造がより一層複雑となり、成形型が複雑となつ
てコスト高となる問題があつたし、また、後者に
よるときは、滑り止め機能は、充分得られるので
あるが、複数の滑り止め突起を各別に打込む作業
が必要となり、ペダル全体のコストが高くなる問
題があつた。

本考案の目的は、複数の滑り止め突起をもつた
滑り止め体をペダル本体とは別に、しかも金属板
を用いて形成することにより、長期に亘る使用で
も滑り止め機能を充分に発揮させることができる
と共に、ペダル本体の構造を簡単にし、それでい
て、滑り止め突起の組付性を容易にでき、しかも
弾性変位による復元力を利用して充分な滑り止め
機能が得られながら、コスト高になることのない
ペダルを提供しようとするものである。

しかして本考案の構成は、前部及び後部に踏面
をもつた枠状のペダル本体を形成して、該ペダル
本体をペダル軸に回転自由に枢支すると共に、金
属板から成り、複数の滑り止め突起をもつた滑り
止め体を前記ペダル本体と別に形成して、該滑り
止め体を前記ペダル本体に、前記滑り止め突起が
前記ペダル軸と踏面との間に位置し、かつ、踏込
方向に弾性変位可能に取付けて、前記滑り止め突
起による滑り止め機能を高めると共に、前記ペダ
ル本体への組付性も容易に行なえるようにしたの
である。

以下本考案ペダルの一実施例を図面に基づいて
説明する。

図において、１は自転車用クランクにおけるク
ランクアームの遊端に取付けるペダル軸であつ
て、前記クランクアームに取付ける取付軸部１１
と、この取付軸部１１の一端から軸方向外方に延
びる支持軸部１２とにより構成されている。

しかして前部及び後部に踏面２１，２１をもつ
た枠状のペダル本体２を形成して、該ペダル本体
２を前記ペダル軸１の支持軸部１２に回転自由に
枢支すると共に、金属板から成り、複数の滑り止
め突起３１をもつた滑り止め体３を前記ペダル本
体２と別に形成して、該滑り止め体３を前記ペダ
ル本体２に、前記滑り止め突起３１が前記ペダル
軸１の支持軸部１２と前記踏面２１，２２の少な
くとも一方との間に位置し、かつ、踏込方向に弾
性変位可能に取付けたのである。

図面に示したものは、前記ペダル本体２を、前
方部片２ａと後方部片２ｂ及びこれら前方、後方
部片２ａ，２ｂの両端部を連結する二つの側方部
片２ｃ，２ｄとにより枠状に形成して、前記前方
部片２ａ及び後方部片２ｂの上下両面に前方踏面
２１，２１と後方踏面２２，２２とをそれぞれ設
けると共に、前記側方部片２ｃ，２ｄの長さ方向
中央部間に中央部片２ｅを設けて、該中央部片２
ｅを貫通する貫通孔２３を設け、この貫通孔２３
の両端側と、前記支持軸部１２の両端側との間に
介装する１対の軸受４，５を介して前記ペダル本
体２をペダル軸１に支持する一方、前記前方部片
２ａ及び後方部片２ｂの前方踏面２１，２１と前
記支持軸部１２との間に前記滑り止め体３，３を
それぞれ配設して、これら滑り止め体３，３の滑
り止め突起３１，３１を前記前方踏面２１，２１
より上下方向外方に突出させたのである。

以上の構成において、前記ペダル本体２は、前
記貫通孔２３の中心位置から上下に二分割して射
出成形により各別に形成し、各分割ペダル本体の
分割端面２ｆ，２ｆを合わせて、その四隅部を連
結ピン６などの連結手段により連結するのであ
る。尚、このペダル本体２は、合成樹脂で形成す
るのであるが、その他アルミニウムなどの軽合金
で形成してもよい。

又、前記滑り止め体３，３は、第２図に示す如
く前後方向に延びる一枚の金属板を用い、その長
さ方向中央部を半円形に屈曲して、該屈曲凹部３
２の両側部を前記ペダル本体１の分割端面間に挾
着固定すると共に、前方側端部を上下方向上方
に、また後方側端部を上下方向下方にそれぞれ屈
曲して、その先端縁に前記滑り止め突起３１，３
１をそれぞれ設け、これら滑り止め突起３１，３
１を前記前方踏面２１，２１より外方に突出させ
ている。尚、前記滑り止め体３は、前記分割した
ペダル本体２の結合時、分割ペダル本体の中央部
片間に介在して、前記分割ペダル本体の連結によ
り挾着固定するのである。

しかして、ペダル本体２の前方踏面２１及び後
方踏面２２に運転者の足を載せて踏込むとき、前
記滑り止め体３の滑り止め突起３１により前記踏
込む足の滑りを防ぐことができるのである。この
とき、前記滑り止め体３は弾性変位可能に形成し
ているので、前記踏込力により前記滑り止め体３
が撓み、この滑り止め体３の復元力により前記滑
り止め突起３１が前記踏込む足の底面に喰い込む
ので、より一層滑り難くできるのである。

尚、図示したペダルには、前記ペダル本体２の
中央部片２ｅから前後方向前方と後方とに延び、
かつその先端に補助踏面７１，７１をもつた補助
踏体７，７を一体に設けて、前記補助踏面７１，
７１を、前記後方踏面２２，２２より上下方向外
方にそれぞれ突出させている。前記補助踏体７
は、踏込時の負荷が小さい場合、その踏込力を、
前記補助踏面７１と前方踏面２１とを介してペダ
ル本体２に伝え、前記負荷が大きくなるに伴なつ
て、前記補助踏体７を撓ませて後方踏面２２を踏
込むごとく成している。斯くすることにより、踏
込時の負荷が大きくなる程、踏込む足との接触面
積を多くできるので、より一層大きな踏込力を伝
達できるのである。

又、以上説明した実施例では、ペダル本体２の
上下両面に踏面を設けたが、その他片側にのみ前
記踏面を設けてもよいのである。尚、前記滑り止
め体３は、前方踏面２１側、又は後方踏面２２側
にのみ設けてもよいし、又、両方の踏面側に設け
てもよい。又、ペダル本体２の上下両面に踏面２
１，２２を設ける場合、前記滑り止め体３は、前
方踏面２１側と後方踏面２２側とに設けてもよ
い。

又、前記滑り止め体３をペダル本体２に取付け
る手段として、第２図に示す如く分割するペダル
本体２の分割端面間に挾着固定する他、第４図に
示す如く二つの滑り止め体３，３を各別に形成し
て、前記中央部片２ｅを上下から抱込み、該抱込
部３３を複数の結合ピン８で結合してもよいし、
又、第５図に示す如く前記分割するペダル本体２
の成形時、一体に埋込んで固定してもよいのであ
つて、その取付手段は特に限定されないし、又、
前記中央部片２ｅに取付ける他、前記前方部片２
ａ、後方部片２ｂ、側方部片２ｃ，２ｄの何れか
一つ又は二つ以上に取付けてもよい。又、第４図
の場合、前記結合ピン８用の貫通孔３４部分を切
起して、この切起し片３５を補助滑り止め突起と
してもよいし、また、前記結合ピン８の頭部を補
助滑り止め突起としてもよい。

又、前記ペダル軸１、ペダル本体２、滑り止め
体３の構造も特に限定されるものでない。

以上の如く本考案は、前部及び後部に踏面をも
つた枠状のペダル本体を形成して、該ペダル本体
をペダル軸に回転自由に枢支すると共に、金属板
から成り、複数の滑り止め突起をもつた滑り止め
体を前記ペダル本体と別に形成して、該滑り止め
体を前記ペダル本体に、前記滑り止め突起が前記
ペダル軸と踏面との間に位置し、かつ、踏込方向
に弾性変位可能に取付けたから、枠形としたペダ
ル本体に運転者の足を載せて踏み込むとき、この
踏込力は、ペダル軸と踏面との間に設けた前記滑
り止め体にも伝達されて、この滑り止め体の滑り
止め突起により踏み込む足の滑りを防ぐことがで
きるのであり、しかしこのとき、前記滑り止め体
は弾性変位可能に形成しているので、踏込力によ
り前記滑り止め体が撓み、この滑り止め体に作用
する復元力（反力）によつて前記滑り止め突起を
踏み込む足の底面に喰い込ませることができるの
で、より一層高い滑り止めの効果が発揮できるの
である。

従つて、前記滑り止め突起による滑り止め機能
を弾性変位による前記滑り止め体の復元力を利用
することにより確実に発揮できながら、しかも金
属板を用いて形成するので、その耐摩耗性を高
め、長期間に亘る使用でも充分な滑り止め機能を
維持させることができるのである。しかも前記ペ
ダル本体に滑り止め突起を設ける必要がないた
め、成形により形成する場合、その成形型を簡単
にでき、それだけコストダウンが可能であり、そ
の上、前記滑り止め体は金属板により複数の滑り
止め突起を一体に形成したから、前記滑り止め体
の前記ペダル本体への組込みも楽に、かつ容易に
行なうことができ、それだけ生産性を向上でき、
滑り止め効果を高めることができる割にペダル全
体を安く形成できるのである。

その上、ペダル本体と別に設ける滑り止め体
を、ペダル軸とペダル本体の踏面との間に設け
て、前記滑り止め体がペダル本体の外周り外方に
突出しないようにしたから、前記滑り止め突起に
足などを引掛ける危険性がなくて、安全であるば
かりか、前記滑り止め突起の他物との衝突を防止
でき、この滑り止め突起の破損もなくすることが
できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ペダルの一実施例を示す斜視
図、第２図は縦断側面図、第３図は縦断背面図、
第４図及び第５図は別の実施例を示す縦断側面図
である。 １……ペダル軸、２……ペダル本体、２１，２
２……踏面、３……滑り止め体、３１……滑り止
め突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前部及び後部に踏面をもつた枠状のペダル本体
   を形成して、該ペダル本体をペダル軸に回転自由
   に枢支すると共に、金属板から成り、複数の滑り
   止め突起をもつた滑り止め体を前記ペダル本体と
   別に形成して、該滑り止め体を前記ペダル本体
   に、前記滑り止め突起が前記ペダル軸と踏面との
   間に位置し、かつ、踏込方向に弾性変位可能に取
   付けたことを特徴とする自転車用ペダル。