JPH0214445B2 - - Google Patents

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JPH0214445B2
JPH0214445B2 JP57108167A JP10816782A JPH0214445B2 JP H0214445 B2 JPH0214445 B2 JP H0214445B2 JP 57108167 A JP57108167 A JP 57108167A JP 10816782 A JP10816782 A JP 10816782A JP H0214445 B2 JPH0214445 B2 JP H0214445B2
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JP
Japan
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yarn
composite
group
crimp
spinning
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JP57108167A
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JPS591721A (ja
Inventor
Eiji Ichihashi
Michiaki Yokozawa
Keizo Tsujimoto
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Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nippon Ester Co Ltd filed Critical Nippon Ester Co Ltd
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Publication of JPS591721A publication Critical patent/JPS591721A/ja
Publication of JPH0214445B2 publication Critical patent/JPH0214445B2/ja
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、ポリエステル系複合マルチフイラメ
ントの製造方法に関するものであり、その目的と
するところは、シルクライク風合にウールライク
風合が加味された高級な風合を有する布帛の製造
に好適な原糸素材を効率よく製造する方法を提供
することにある。 従来から、合成繊維に天然繊維のもつ優れた風
合を付与しようとする試みが多数行われている。
例えば、シルクライク風合の発現を狙つたものと
しては繊維の断面形状の異形化や熱収縮率の異な
る複数のマルチフイラメントから成る混織糸など
の技術が挙げられる。一方、ウールライク風合を
狙つたものとしては仮燃加工糸や潜在捲縮性複合
糸などの例がある。さらに最近では複合糸と単独
重合体からなる繊維との混繊あるいは複合形態の
異なる複合糸同士の混繊など複合糸を利用した新
しい繊維素材の開発が活発に行われている。 一方、消費者のニーズはますます多様化してお
り、たんにこれら天然繊維単独の風合を真似ただ
けではもはや満足しなくなつており、天然シルク
のもつ優れた光沢、タツチおよびドレープ性とい
つた特性と天然ウールのもつふつくらとしたあた
たかみのある風合とが混在した新しい繊維素材が
強く望まれている。 そこで、本発明者らは前記したような複合風合
を有する高級布帛の製造に好適な原糸素材につい
て種々検討した結果、このような風合は基本的に
は潜在捲縮性を有する複数の複合フイラメントか
らなる混織糸をボイル処理し、いずれか一方の複
合フイラメントがそれ自身適度な捲縮を発現しな
がら他方の複合フイラメントにからみつくように
シボ立てることにより得られることを見い出し、
これまでにいくつかの提案を行つてきた。そして
このような特性を有する複合混繊糸の製造方法と
しては、 (1) 同一条件で紡糸した潜在捲縮特性の等しい複
数の複合糸を延伸工程において、熱履歴を異な
らしめることにより主として沸水収縮率に差を
もたせたのち混繊する方法 (2) 潜在捲縮特性の異なる複数の複合糸を混繊す
る方法 などが挙げられる。前記方法(1)は混繊糸を構成す
る各複合糸の潜在捲縮特性は同じであるので、ボ
イル処理時のシボ立ちは主として沸水収縮率の差
を利用することによつて行われる。この場合、い
ずれか一方の複合糸を布帛の表面に良好にシボ立
たせるためには約6%以上、好ましくは10%以上
の沸水収縮率差を延伸工程で付与する必要がある
が、そのためには熱処理温度に極端な差をつけね
ばならず、その分工程が煩雑である。また、潜在
捲縮特性が等しいといつても複数の複合糸に前記
した方法で沸水収縮率に差をもたせようとする
と、ボイル処理時に実際に発現する捲縮率は低沸
水収縮率を示す成分の方が高沸水収縮率を示す成
分よりも大きくなる傾向がおこる。 一般にポリエステルはボイル処理によつてある
程度収縮をおこすが、収縮特性の異なる複数の糸
条で構成された織物をボイル処理すると糸長差が
生じ、その差を補償するようなかたちで低収縮性
成分が布帛の表面にループ状に突出していわゆる
シボ立ちが起こる。このシボ立ちの存在はシルク
ライクな風合の織物を得る上できわめて重要な条
件の一つでもあるが、本発明者らはすでにこのよ
うなシボ立ち現象は収縮率の差による実質的な糸
長差のみならず、ボイル処理時の捲縮率の差によ
るみかけの糸長差によつても生じること、それゆ
え潜在捲縮性複合糸から成る織物において良好な
シボ立ちを発現させるためには、収縮特性と捲縮
特性の両方の特性を考慮すべきであることを見い
出した。しかるに前記方法(1)で得られる複合混繊
糸では収縮率差による糸長差が捲縮率差によつて
相殺される傾向を示すので、好ましいシボ立ちを
発現させるためには製造条件が著しく制限される
といつた欠点があつた。 一方、前記方法(2)は各複合糸の重合度を異なら
しめる等の手段によつてあらかじめ潜在捲縮特性
そのものが異なるので、同一条件で延伸して沸水
収縮率に差がなくても捲縮率の差によるみかけの
糸長差を利用してシボ立ちが可能であるという利
点を持つている。しかしながら、前記した複合混
繊糸を得ようとするには、従来の方法では3種類
以上の重合度の異なるポリマーを必要とし、紡糸
工程が著しく複雑化するのでコスト高になるとい
う欠点がやはりあつた。 そこで本発明者らは、前記方法(2)のような捲縮
特性の異なる複数の複合糸から成る混繊糸と実質
的に同等の効果を有する複合糸をわずか2種類の
ポリマーを用いて簡便かつ安価に製造しうる方法
についてさらに鋭意検討した結果、本発明方法を
完成するに至つたものである。 極限粘度の差△〔η〕が0.2〜0.5である重合度
の異なる2種のポリエステル系重合体が、横断面
方向において偏心的に配置された構造を有する潜
在捲縮性複合マルチフイラメントを2500m/分以
上の速度で溶融紡糸するに際し、紡出された糸条
をA,Bの2つの糸条群に分割するとともに糸条
群A,Bの単糸デニールを1〜5デニール、かつ
糸条群Aの単糸デニールに対する糸条群Bの単糸
デニールの比を1倍以上3倍以下とし、糸条群A
は冷却固化した直後の位置で集束し、かつ糸条群
Bは糸条群Aの集束位置よりも3m以上下流の位
置で集束せしめて下記式で表される糸条群A,B
間の糸長比Kが1.1以上となるようにして、紡糸
以降の工程で前記A,Bの2つの糸条群を混繊す
ることを特徴とするポリエステル系複合糸の製造
方法を要旨とするものである。 K=100−CA/100−CB・100−SA/100−SB 〔CA、CB:糸条群A,Bの捲縮率、SA、SB:糸
条群A,Bの沸水収縮率〕 本発明に適用されるポリエステル系重合体とし
ては、ポリエチレンテレフタレートが一般に用い
られるが、捲縮特性が極端に損われない程度にお
いて第3成分が混合あるいは共重合されていても
構わない。 以下に本発明の構成およびその効果について詳
細に説明する。 本発明において用いられる2種のポリエステル
系重合体の極限粘度〔η〕は、フエノールとテト
ラクロロエタンの等重合混合溶媒を用いて20℃で
測定した値で定義されるが、その差△〔η〕は
0.2〜0.5であることが必要である。すなわち、前
記極限粘度差△〔η〕が0.2未満の場合には、得
られた引取り糸の潜在捲縮性能が不十分なために
ボイル処理によつて捲縮を発現させても嵩高性が
不足し、目的とする風合が得られず好ましくない
のである。本発明者らによるこれまでの検討結果
では、ふつくらとしたあたたかみのある嵩高性を
付与するためには捲縮率(定義は後述する)は少
なくとも30%必要であるが、このような捲縮性能
を付与するためには用いるポリマーの極限粘度差
は少なくとも0.2あることが必要なのである。一
方、本発明において前記極限粘度差は0.5以下に
とどめるべきである。なぜなら、一般に複合糸の
捲縮性能は用いられる2種の重合体の極限粘度差
△〔η〕が大きいほど強くなることが知られてい
るが、反面△〔η〕が0.5よりも大きくなると紡
糸時においてニーリングと呼ばれる糸曲り現象の
度合が激しくなり安定な紡糸が困難となるからで
ある。また、たとえ紡糸が可能であつたとしても
得られた複合糸は捲縮率が著しく大きくなる結
果、嵩高性が強調されすぎてシルクライク風合が
かえつて損われるといつたデメリツトが新たに生
じるのである。なお、本発明において用いられる
2種のポリエステル系重合体の極限粘度の絶対値
は溶融紡糸が可能であれば特に限定はされない
が、通常0.40以上のものが好ましい。 次に、本発明において分割された2つの糸条群
(説明の便宜上2つの糸条群をA,Bとし、冷却
固化直後の位置で集束する糸条群をA、他方の糸
条群をBとする)に捲縮特性の差を生じせしめる
具体的な方法は、各糸条群の集束位置を極端に異
ならしめると共に2500m/分以上の高速で引取る
ことによつて達成される。すなわち、本発明者ら
は、冷却固化直後の位置で集束された糸条群Aは
低捲縮性成分となり、一方、糸条群Aの集束位置
より3m以上下流の位置で集束され糸条群Bは高
捲縮性成分となるという驚くべき事実を見い出し
たのである。 本発明において、糸条群Aの集束位置は該糸条
群の冷却固化点直後の位置に設定すべきである。
ここでいう糸条の冷却固化点とは紡糸工学等で一
般に定義されているように溶融ポリマーがそのガ
ラス転移温度(ポリエチレンテレフタレートの場
合約80℃)になる位置ではなく、ガイド等で糸条
を集束しても単糸が互いに密着しない程度の温度
にまで冷却された位置を意味し、紡糸温度、吐出
量、紡糸速度および冷却条件等によつて変化す
る。本発明において、前記冷却固化点は以下に述
べる要領で容易に求めることができる。すなわ
ち、紡出糸条を引取らずに放流して得た単糸を実
際に紡糸中の糸条にそつと接触せしめた時に両者
が密着して糸切れが生じる最下方の位置(但し紡
糸口金面を原点として)を探せばよい。後述する
ように糸条群Aの集束位置は紡糸口金面に近いほ
ど好ましいが、前記冷却固化点以前で集束する
と、前述したように密着が発生するので冷却固化
点より下方で集束すべきであることはいうまでも
ないが、できるだけ固化点に近い方が好ましい。
本発明において冷却固化した直後の位置とは、具
体的には前記方法で求めた冷却固化点より5〜10
cm下方の位置を意味する。 本発明において糸条群AおよびBの捲縮特性の
差は高速紡糸において発生する紡糸応力の差を反
映して生じるものであるが、その差をできるだけ
大きくするには高速紡糸時において紡糸応力の支
配的因子である走行紡糸に対する空気抵抗力に差
を与える必要がある。高速紡糸においては、走行
糸条を集束することにより媒体空気に接する糸条
の表面積が著しく減少するため、空気抵抗力は集
束しない場合に比べて小さくなるが、その効果は
糸条の集束位置が紡糸口金面に近いほど顕著にな
る。それゆえ糸条群Aと糸条群Bとの捲縮特性の
差を大きくするためには、糸条群Aはできるだけ
紡糸口金面に近い位置で、糸条群Bはできるだけ
紡糸口金面から離れた位置で集束するのが好まし
いのである。そのためには、糸条群Aは冷却固化
点直後の位置で集束し、一方糸条群Bは糸条群A
の集束位置よりも3m以上下流の位置で集束すべ
きなのである。前記条件が満足されない場合、両
糸条群の捲縮特性の差は十分大きくならず、その
結果ボイル処理したとき好ましいシボ立ちが生じ
ないのである。 本発明において、紡糸速度は2500m/分以上、
好ましくは3500m/分以上、さらに好ましくは
4500m/分以上の高速紡糸が必要である。紡糸速
度が2500m/分未満の場合には、紡糸応力に対す
る空気抵抗の寄与が小さいために走行糸条の集束
条件の差異だけでは捲縮特性に十分な差を付与す
ることはできない。以上のことから紡糸速度は速
いほど集束条件の差異による紡糸応力差が大きく
なり、結果として各糸条群の捲縮特性の差が増大
するので好ましいが、捲取機の機械的能力あるい
はガイド類との接触による毛羽の発生といつた制
約もあり、現時点では約6000〜8000m/分程度が
限界である。 本発明において紡出された複合紡糸を2500m/
分以上の速度で紡糸する場合、糸条の集束位置に
よつて各糸条群の捲縮特性に差が生じる理由につ
いては十分解明されてはいないが、すでに述べた
ように集束位置の差異によつて走行糸条に作用す
る空気抵抗力が極端に異なり、その結果生じる紡
糸応力の差異が溶融状態から比較的高温の雰囲気
中での糸形成過程に影響し、引取り糸の微細構造
が変化する結果であると推定される。いずれにし
ても本発明方法を採用することにより特定の重合
度差をもつ2種のポリエステル系重合体しか用い
ていないのにもかかわらず、捲縮特性の異なる2
種の複合糸を混繊した場合と実質的に同じ特性を
有する複合糸を簡便に製造することができるので
ある。 本発明においていま一つ驚くべきことは、一般
に潜在捲縮性複合糸はその収縮率が大きくなるに
つれて捲縮性能はやや低下する傾向がある(例え
ば製糸時の熱処理温度を下げることにより沸水収
縮率を10%程度大きくすると、捲縮率は逆に数%
小さくなるのが普通である)が、本発明方法を用
いて得られる複合糸では、糸条群Aは糸条群Bよ
りも捲縮率が低いにもかかわらず、沸水収縮率は
実質的に同じかあるいは小さいというきわめて有
用な性質をもつているのである。 本発明者らは以前、捲縮および収縮特性の異な
る2種の複合糸から構成される混繊糸からなる布
帛をボイル処理した場合、いずれか一方の複合糸
が布帛の表面にループ状にシボ立つためにはボイ
ル処理後の各複合糸の糸長比K(定義は後述する)
が1.1以上必要であることを見い出したが、本発
明方法において得られる複合マルチフイラメント
は前記したように低捲縮性にもかかわらず、沸水
収縮率も比較的小さい糸条群Aと高捲縮性にもか
かわらず、沸水収縮率も比較的大きい糸条群Bと
が混繊されているので、ボイル処理時の両糸条群
の糸長比Kはより大きくなる方向に作用する結
果、シボ立ちが効果的に起こるのである。 本発明において集束された2つの糸条群Aおよ
びBの混繊は紡糸段階で行つて1つのパツケージ
として捲き上げてもよいし、紡糸段階では別々の
パツケージで捲き上げ、延伸時に混繊することも
可能である。また前記延伸は、紡糸にひき続き連
続して延伸(スピンドロー法)することもできる
し、一旦未延伸パツケージとして捲き上げたもの
をさらに延伸機を用いて延伸することもできる。
また、場合によつては混繊して1つのパツケージ
に捲き上げたものを延伸せずにそのまま後加工に
供することも可能である。前記いずれの場合も、
混繊効果を上げるためにインターレース等を用い
て交絡を付与することが可能である。 本発明において糸条群A,Bの捲縮率および沸
水収縮率は以下のように定義される。すなわち、
各糸条群を合糸せずに別々のパツケージとして引
取り、全く同一条件で延伸して得たサンプル(採
用した紡糸速度が非常に速くて延伸が不要な場合
には前記パツケージ自体をサンプルとする)を検
尺機を用いてカセ取りし、100mg/デニールの荷
重下で初長l0を測る。次いで0.15mg/デニールの
荷重下で100℃、30分間沸水中でボイル処理を行
い、捲縮および沸水収縮を生じさせたのち風乾
し、2mg/デニールの荷重下で測長(l1)し、次
いで再び100mg/デニール荷重下で測長(l2)す
る。捲縮率および沸水収縮率はそれぞれ次式お
よびで求められる。 捲縮率:C=l2−l1/l2×100(%) 沸水収縮率:S=l0−l2/l0×100(%) 本発明において前記した糸長比とは、ボイル処
理を行つた時の各糸条群のl1の値の比の大きい方
の値を意味する。すでに述べたように、この値は
1.1以上あること、つまりボイル処理後において
いずれか一方の糸条群の糸長が他方の糸条群の糸
長よりも10%以上長いことが有用なシボ立ちを発
現せしめる上で必要なのである。すなわち、本発
明方法で得られた複合マルチフイラメントを構成
する糸条群AとBとはボイル処理後の糸長比が
1.1以上であるので、好ましいシボ立ちが発現す
るのである。 本発明において2種のポリエステル系重合体の
複合形態は、潜在捲縮性能を付与する必要上各成
分が横断面方向に偏心的に配置された構造をとる
必要があることはいうまでもないが、いわゆるサ
イドバイサイド型複合形態の場合が捲縮発現性能
がすぐれているので有利である。また、用いる2
種のポリエステル系重合体の複合比率は1:2〜
2:1程度の範囲が好ましい。複合比率が前記範
囲を外れ、いずれかの成分比率が極端に多くなつ
たりすると、捲縮発現性能が低下するばかりか、
紡糸時に糸切えが発生しやすくなり好ましくな
い。 本発明において複合マルチフイラメントの断面
形状は特に限定されないが、シルクライクな光
沢、タツチを得るためには円形断面よりも異形断
面にする方が好ましい。 本発明方法は広い範囲の単糸デニールおよびフ
イラメント数を有する複合マルチフイラメントに
適用可能であるが、単糸デニールは1〜5である
ことが必要である。単糸デニールが5より大きい
と、集束位置の差による紡糸応力の差が大きくな
らず、本発明にいう特定の捲縮特性と収縮特性を
同時に有し、ボイル処理時のシボ立ちが良好な複
合糸を得ることができない。単糸デニールが1よ
り小さいと、低紡糸応力の糸条群Aと高紡糸応力
の糸条群B間の紡糸応力の差が大きくなりすぎる
ため、集束位置を異ならしめても糸条群A,Bの
各捲取り条件を両者とも適切にすることができ
ず、両糸条群を混繊して捲取るとき、フイラメン
トが弛んでループやタルミが生じたり、あるいは
高捲取り張力によるパツケージの捲締まりが生じ
たりして、捲形態の良好なパツケージを得ること
が困難となる。 本発明において糸条群Aの単糸デニールに対す
る糸条群Bの単糸デニールの比は1倍以上3倍以
下とする必要がある。糸条群Bと糸条群Aとの単
糸デニール比が3倍を超えると、両糸条群間の紡
糸応力の差が大きくなりすぎて、両糸条群を混繊
して捲取るとき、ループやタルミを生じてパツケ
ージ形態を悪化させたり、あるいはローラ捲付を
生じたりして、操業上のトラブルにつながるので
好ましくない。前記単糸デニール比が1倍より小
さいと、糸条群Bの紡糸応力が高くなりすぎ、パ
ツケージの捲締まりが生じてその形態を悪化させ
るので好ましくない。またフイラメント数は、各
糸条群とも10フイラメント以上ある方が風合面か
らみて好ましい。 本発明において各糸条群を集束するためのガイ
ドとしては、従来公知の糸道ガイドをそのまま使
用できるが、紡糸速度が速いので集束に先立つて
オイリングを施す方が摩擦抵抗を下げて毛羽の発
生を抑制できるので好ましい。前記オイリングの
方法としてはオイリングローラーを用いる方法、
あるいはオイリングと同時に集束もできるスリツ
ト状のオイリングデバイスを用いる方法などがあ
る。 本発明方法において糸条群A,Bは1つの紡糸
口金装置から吐出された多数の糸条を分割して別
個に集束することによつて容易に得ることができ
る。もちろん別々の紡糸口金装置から吐出された
糸条を集束位置をかえることによつて同様な性質
をもつ複合糸を得ることも可能であるが、前者の
方がより効率的で好ましい。 次に本発明を図面を参照しながらさらに具体的
に説明する。第1図は本発明方法で得られた複合
マルチフイラメントをフリーな状態でボイル処理
した場合の捲縮の発現状態を模式的に示したもの
である。すなわち、低捲縮性を示す糸条群Aは他
方の糸条群Bよりもボイル処理後の糸長が長いの
で、その自身で捲縮を発現しながら同時に糸条群
Bにからみつくようにループ状にシボ立つた形態
をとる。 第2図は本発明において用いられる紡糸引取り
装置の一例を示す概略図である。すなわち、紡糸
口金装置1から吐出された複合糸条は冷却装置2
で冷却され、次いで2つのスリツト状のオイリン
グデバイス3,3′を用いて糸条群Aとして集束
される。一方、残りの糸条群Bは捲取室にあるオ
イリング装置4の直後にあるスネルガイド5では
じめて集束され、同時に糸条群Aと合糸される。 ゴデツトローラー6,7を経て捲取機8を用い
て1つのパツケージ9として捲き上げられる。な
お、第2図においてLは糸条群Aの集束位置と糸
条群Bの集束位置との間の距離を示す。第3図は
第2図で示した紡糸引取り装置で得られたパツケ
ージを必要に応じて延伸する場合の延伸装置の概
略図で、2つの糸条群AおよびBは紡糸段階です
でに混繊されている場合の一例である。すなわ
ち、パツケージ9から解舒された複合糸は供給ロ
ーラー10、ニツプローラー11を経て2つのロ
ーラー12および13間で延伸されると同時に熱
板14で熱処理され、パーン15に捲き上げられ
る。 このように、本発明方法で得られた複合糸は紡
糸段階ですでに好ましい潜在捲縮特性差を有する
2つの糸条群A,Bが得られ、しかも前記特性差
はすでに述べたような延伸操作を行つても消滅し
ないのでこれらを混繊することにより、目的とす
る複合混繊糸が容易に得られるのである。 実施例 1 種々の極限粘度差を有する2種のポリエチレン
テレフタレートを複合成分として、第2図に示す
紡糸引取り装置およびいくつかの試験例では第3
図に示す延伸装置を併用してデニール構成が100
デニール/36フイラメント一定になるよう第1表
記載の条件下でいくつかの複合マルチフイラメン
トを試作した。いずれの場合も複合形態はサイド
バイサイド型を採用し、複合比率は1:1であ
る。紡糸口金はスリツト長が0.5mm、スリツト幅
が0.25mmのトリローバル型異形断面紡糸孔が18ホ
ールずつ2群に群分けされたものを使用した。 本実施例では試験No.1、2、4、5、7、8は
延伸は行わずに捲き上げたパツケージをそのまま
後加工に供し、試験No.3、6は延伸速度500m/
分、延伸温度90℃、熱処理温度150℃の条件下で
第1表に記載の延伸倍率で延伸した。 第1表において〔η〕Hおよび〔η〕Lはそれ
ぞれ複合糸の高重合度成分および低重合度成分の
極限粘度を意味する。またLAおよびLBはそれぞ
れ糸条群AおよびBの集束位置を紡糸口金面から
の距離として示したものである。一方、捲縮率
CAおよびCB、沸水収縮率SAおよびSBはそれぞれ
各糸条群A,Bを混繊せずに別個にサンンプリン
グしたものについて測定した値である。また、糸
長比Kは本発明の場合、すでに述べた理由により
CA<CBかつSA≦SBであるので次式で求められ
る。 K=100−CA/100−CB・100−SA/100−SB 得られた結果を第1表に示す。
【表】
【表】 次の通りである。
○:良好 △:やや不良 ×:不良
試験No.1〜3は本発明例で捲縮率の絶対値およ
び糸長比も好適範囲にあり、これらの条件で得ら
れたサンプルを用い織物をボイル処理したとこ
ろ、いずれも好ましいシボ立ちが発現し、シルク
ライクな風合にウールライクなあたたかみのある
きわめて高級な風合を有する布帛が得られること
が判明した。一方、試験No.4〜8はいずれも比較
例を示す。前記比較例において試験No.4および5
は用いたポリマーの極限粘度差△〔η〕が不適当
な例である。すなわち、試験No.4は△〔η〕が小
さすぎるために捲縮性能が不十分なばかりか、糸
長比も小さすぎて好ましくなく、また試験No.5は
反対に△〔η〕が大きすぎるために紡糸調子が悪
くて好ましくないのである。次に試験No.6は紡糸
速度が遅すぎるために、また試験No.7、8は紡糸
の集束条件が不適当なためにいずれも十分な糸長
比を有する混繊糸が得られず好ましくなかつた。 参考例 実施例1の試験No.1と同一条件で紡出した複合
マルチフイラメントを分割せずに紡糸捲き取つ
た。得られたサンプルの捲縮率は60%、沸水収縮
率は5.5%であつた。この複合マルチフイラメン
トを用いた織物をボイル処理したところシボ立ち
は全然認められず、目的とする好ましい風合は得
られなかつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法で得られた複合マルチフイ
ラメントをフリーな状態でボイル処理した場合の
捲縮の発現状態を示した糸条の模式図、第2図は
本発明において用いられる紡糸引取り装置の一例
を示した概略図、第3図は本発明で得られた複合
糸を延伸する場合の延伸装置の一例を示した概略
図である。 A:糸条群A,B:糸条群B、1:紡糸口金装
置、2:冷却装置、3,3′:オイリングデバイ
ス、4:オイリング装置、5:スネルガイド、
6,7:ゴデツトローラー、9:捲取機、10:
供給ローラー、11:ニツプローラー、12,1
3:延伸ローラー、14:熱板。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 極限粘度の差△〔η〕が0.2〜0.5である重合
    度の異なる2種のポリエステル系重合体が、横断
    面方向において偏心的に配置された構造を有する
    潜在捲縮性複合マルチフイラメントを2500m/分
    以上の速度で溶融紡糸するに際し、紡出された糸
    条をA,Bの2つの糸条群に分割するとともに糸
    条群A,Bの単糸デニールを1〜5デニール、か
    つ糸条群Aの単糸デニールに対する糸条群Bの単
    糸デニールの比を1倍以上3倍以下とし、糸条群
    Aは冷却固化した直後の位置で集束し、かつ糸条
    群Bは糸条群Aの集束位置よりも3m以上下流の
    位置で集束せしめて下記式で表される糸条群A,
    B間の糸長比Kが1.1以上となるようにして、紡
    糸以降の工程で前記A,Bの2つの糸条群を混繊
    することを特徴とするポリエステル系複合糸の製
    造方法。 K=100−CA/100−CB・100−SA/100−SB 〔CA、CB:糸条群A,Bの捲縮率、SA、SB:糸
    条群A,Bの沸水収縮率〕
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4848718A (ja) * 1971-10-21 1973-07-10
JPS55158316A (en) * 1979-05-21 1980-12-09 Toray Ind Inc Method of melt spinning
JPS5729627A (en) * 1980-07-28 1982-02-17 Nippon Ester Co Ltd Production of polyester different shrinking blended fiber yarn

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