JPH0214182Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は油入電器のタンクに係り、特にタンク
の振動に対する機械的強度を向上したものに関す
る。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

アンローダー、リフレーマ等の荷役運搬機械に
搭載される油入電器例えば変圧器はその運搬機械
の運転中に、また輸送中や地震時に振動加速度が
変圧器取付ベースよりタンク本体に加わる。タン
ク本体に伝達される振動加速度が、タンク取付部
を含めた系としての固有振動数に近い振動周波数
帯域を有する場合は共振現象が生じタンク下部の
入力加速度に対しタンク上部の加速度応答倍率は
数倍ないし十数倍となる。この振動による加振モ
ーメントの大きさに比例した応力がベース部に発
生し、また繰返し回数が大なる場合には比較的小
さな振動応力で疲労破壊に至りタンクの破壊を生
じる。

一般に変圧器中身を収納するタンクは第１図及
び第２図に示すように長辺をなす側板１、短辺を
なす側板２、底板３、補強梁４、カバーを取付け
るためのトツプバンド５、ベース６より構成さ
れ、このタンクはベース６に設けられた固定用孔
７を介して第５図のようにボルト８により床又は
基礎等に固定される。このような構成のタンクに
おいて加振力が加わつたときベース６と底板３と
の結合部近傍の側板１のＸ方向（ベース６の長手
方向と直交する方向）の加振に対する応力分布は
第３図に示す分布のようになり、Ｙ方向（ベース
６の長手方向）の加振に対しては第４図に示す分
布のようになり、最大応力は夫々σ_X，σ_Yとなる。

この最大応力σ_X，σ_Yはタンクに生じた加振モー
メントの大きさに比例し、長辺をなす側板１に直
交するように配設され底板３に溶接して固着され
たベース６の幅方向方法および長辺をなす側板１
の板厚に略反比例して発生する。従つてタンクへ
の入力加速度が小さくても、その振動数とタンク
取付部を含めた系の固有振動数とが共振する場合
や繰返し回数が大となるとき、あるいはタンクへ
の入力加速度が大きく加振モーメントが大きいと
きは側板１，２の発生最大応力が許容応力以上と
なるためタンクが破損する。これを防止するため
にはベース６の幅方向寸法を大きくしたり側板や
底板の板厚を厚くする方法があるが、材料費がか
さみまたタンク重量が大巾に増加する等の欠点が
ある。

〔考案の目的〕

本考案は上記の欠点を除去するためになされた
もので、その目的とするところは振動により生じ
るタンク底部の応力を大幅に低減して側板、底板
の板厚を薄くすることを可能とし、これによりタ
ンク重量の軽減をはかつた油入電器のタンクを提
供することにある。

〔考案の概要〕

かかる目的を達成するため本考案は長辺側板と
短辺側板とからなる側板の下端に底板を取付け、
この底板の下面に前記長辺側板と直交する方向に
ベースを固着したものにおいて、前記底板及びベ
ースの、前記長辺側板の外方に位置する部分に、
共通してタンク固定用孔を設けることにより、長
辺側板と底板の結合部の面積を大きくして長辺側
板下部に発生する最大応力を低減するようにした
ものである。

〔考案の実施例〕

以下本考案を第６図ないし第１１図ａ，ｂに示
す実施例を参照して説明する。第１図ないし第５
図と同一部分は同符号を付した。第６図、第７図
及び第６図の“Ａ”−“Ａ”断面を表わす第１０図
において、長辺をなす一対の側板１と、短辺をな
す一対の側板２により角筒状の側板を構成し、こ
の側板の外側に全周にわたり横補強梁４を溶接し
て取付ける。側板の上端にはカバーを取付けるた
めのトツプバンド５を取付け、また下端には底板
９を取付ける。この底板９はベース６に設けられ
る固定用孔７と同じ位置に固定用孔７ａが設けら
れる。すなわち、底板９は従来の場合よりも大き
くしてこの底板９下面に固着されたベース６の両
端部と重ならせ、ベース６の両端部に設けられた
固定用孔７と同じ位置にある底板９の縁部に固定
用孔７ａを設け、第１１図ａ，ｂに示すようにこ
れら固定用孔７，７ａを利用してボルト８により
タンクを床あるいは基礎等に固定するようにす
る。なおベース６は長辺の側板１に直交する方向
に配置されている。

このように構成したタンクにおいて、振動によ
る加振モーメントによりこのボルト８の固定部に
反力が生じ、この反力は底板９より側板１に伝達
される。この場合、Ｘ方向（ベース６の長手方向
に直交する方向）の加振により生ずる底板９との
結合部近傍の側板１の応力分布は第８図に示すよ
うになる。またＹ方向（ベース６の長手方向）の
加振に対する側板１の応力分布は第９図に示すよ
うになり、夫々の最大応力σ_X′，σ_Y′の分布は従来
とほとんど同じであるがその大きさは従来の最大
応力σ_X，σ_Yよりも小さくなる。

すなわち、加振モーメントは側板応力σ_i、力伝
達面積（長辺側板１と床板１９の溶接面積）Ai、
反力作用点間距離liの相乗積の和すなわちΣσ_i・
Ai・liとなるが、ＸあるいはＹ方向加振に対して
本実施例では長辺をなす長辺側板１と底板９との
結合部面積すなわち力伝達面積Aiが大きくなる
ため、長辺側板１に発生する応力は分散されて最
大応力σ_X′，σ_Y′が従来のσ_X，σ_Yに比し数分の一以
下に大幅に低減することができる。またベース６
と底板９は溶接固着されてボルト８により固定さ
れており、従来のベースのみのボルト固定に比し
機械的強度が向上するためベース６自体の軽量化
が可能となる。この場合ベース６を短辺側板２側
に近づけ、固定用孔７，７ａも短辺側板２に近づ
けて設けることにより、短辺をなす側板２と底板
９との結合部面積が加わつて力伝達面積Aiを大
きくすることができ、これによりさらに最大発生
応力σ_X′，σ_Y′を低減することができる。従つて底
板９や長辺、短辺側板１，２は板厚の薄いものを
使用することができ、タンク重量の軽減をはかる
ことができる。

なお底板９をさらに薄くしたい場合は第１２図
ａ，ｂに示すように補強部材１２を底板９の縁部
の上面に固着し、この補強部材１２にも共通して
固定用孔７ｂを設けてボルト８で共締めすればよ
い。

〔考案の効果〕

以上のように本考案は底板及びベースの、長辺
側板より外方に位置する部分に、共通して固定用
孔を設け、この孔を利用してタンクを固定するこ
とにより振動加速度がタンクに加わつて大きな加
振モーメントが生じてもタンク底部との結合部近
傍の側板の応力を従来のものに比し大幅に低減で
きまた側板、底板の板厚の減少による材料費の大
幅な縮減およびタンク重量の軽減が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来のタンクの正面図及び
側面図、第３図及び第４図は夫々Ｘ方向及びＹ方
向加振による側板の応力分布図、第５図ａ及びｂ
はボルトによるタンク固定状態を示す正面図及び
側面図、第６図及び第７図は本考案によるタンク
の一実施例を示す正面図及び側面図、第８図及び
第９図は夫々Ｘ方向及びＹ方向加振による側板の
応力分布図、第１０図は第６図を“Ａ”−“Ａ”線
に切断し矢印の方向にみた断面図、第１１図ａ及
びｂはボルトによるタンク固定状態を示す正面図
及び側面図、第１２図ａ及びｂは本考案の他の実
施例を示す正面図及び側面図である。 １……長辺側板、２……短辺側板、３，９……
底板、４……横補強梁、５……トツプバンド、６
……ベース、７，７ａ，７ｂ……固定孔、８……
ボルト、１２……補強部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長辺側板と短辺側板とからなる側板の下端に底
   板を取付け、この底板の下面に前記長辺側板と直
   交する方向にベースを固着したものにおいて、前
   記底板及びベースの、前記長辺側板の外方に位置
   する部分に、共通してタンク固定用孔を設けたこ
   とを特徴とする油入電器のタンク。