JPH0213005B2 - - Google Patents
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- JPH0213005B2 JPH0213005B2 JP11426885A JP11426885A JPH0213005B2 JP H0213005 B2 JPH0213005 B2 JP H0213005B2 JP 11426885 A JP11426885 A JP 11426885A JP 11426885 A JP11426885 A JP 11426885A JP H0213005 B2 JPH0213005 B2 JP H0213005B2
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
この発明は、石油または天然ガス用ラインパイ
プ、油井管、化学プラント用、一般配管などに使
用する電縫溶接部の靭性が特に優れた電縫鋼管の
製造方法に関するものである。 (従来の技術) 近年、電縫鋼管は、素材鋼帯の製造技術および
成形、電縫溶接技術の向上によつてその品質と信
頼性が格段に向上し、従来はシームレス鋼管や
UOE鋼管が使用されていた分野にも使用される
ようになつた。最近では、カナダ、アラスカや北
極圏の寒冷地域でのエネルギー開発が活発化し、
ガス、油田開発用の油井管やラインパイプとし
て、高強度で低温靭性の優れた電縫鋼管が要求さ
れている。 しかるに、電縫鋼管の母材については適正な化
学成分の選定と、素材鋼帯の制御圧延等により、
比較的容易に高靭性が達成できるが、電縫溶接部
については、凝固・急冷組織のため、以下に述べ
るような従来の製造方法では、例えば−46℃以下
の低温靭性を保証することは非常に困難であつ
た。 従来、溶接部の高靭性を達成する方法として、
電縫溶接部に対し誘導加熱方式によりシームノル
マ(又はポストアニール)と呼ばれる熱処理を施
す最も一般に行われている方法の他に、更に高靭
性を得るためのいくつかの方法が提案されてい
る。例えば 特開昭59−43827に記述されている如く、電
縫溶接部をAc3変態点以上に加熱し、15〜30
℃/secの冷却速度で冷却し、再び溶接部を500
〜800℃に加熱して焼戻す方法。 特開昭58−181423に記述されている如く、ポ
ストアニール後の冷却前に、温間または熱間で
ポストアニールを圧延する方法。 特開昭59−94522に記述されている如く、電
縫溶接後サイジング(強絞り)を行い、溶接部
熱処理後に1スタンド以上の形状矯正ロールに
よりなるべく温間ないし熱間で形状矯正を行う
方法。 等がある。 ところで電縫溶接部の靭性は化学成分が同一で
溶接欠陥が存在しない場合には、結晶粒度と硬さ
に支配されることが判明している。従来の成形−
溶接−シームノルマという通常の製造工程では、
熱処理を受けた溶接部がピーキングを起こす。こ
のピーキングを矯正し、真円度を向上させ、所定
の外径寸法とするためのサイジング工程(通常は
冷間)で電縫溶接部が局部的な塑性加工を受け、
加工硬化を起こし、著しく靭性を劣化させるとい
う電縫鋼管特有の問題がある。 前記の最も一般的に行われているシームノルマ
法では、オーステナイト化後の冷却が大気中放冷
のため冷却速度が3〜8℃/secと遅く、微細結晶
粒が得られず、また、冷間でのサイジングにより
溶接部が加工硬化し良好な靭性が得られず、更に
溶接部のみがノルマライズされているため、X60
〜X70のような高グレード材では母材強度と溶接
部強度に差異が生じるという難点があつた。 また、前記に示した方法すなわち溶接部をオ
ーステナイト化後、強制加速冷却し、引続いて焼
戻す方法では、結晶粒の微細化と硬さの低下がは
かられ、この段階では優れた低温靭性が得られる
が、その後のピーキング矯正、真円化のためのサ
イジングにより溶接部に加工硬化が起り、大幅な
靭性劣化をもたらすという問題点があつた。 前記に示した方法は、温間あるいは熱間サイ
ジングでの靭性改善には適正な条件が存在する
が、ポストアニール後の冷却中にこの適正条件を
安定して確保することは困難であり、−46℃以下
の低温靭性を安定して得るには問題がある。次に
に示した方法は、最終の冷間サイジングによる
溶接部の加工硬化による靭性劣化を防止すること
に主眼を置いており、この点では効果は認められ
るが、最も靭性向上に効果がある細粒化の条件が
明確でなく、いずれの方法も満足できるものでな
かつた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、上記のような問題点を解決して、
API 5LX X60〜X70のような高強度鋼管におい
ても、電縫溶接部の低温における靭性が著しく優
れた電縫鋼管を提供することを目的とするもので
ある。 (問題点を解決するための手段) この発明の上記目的を達する手段は、電縫溶接
部の靭性に最も影響を与える結晶粒の大きさと硬
さをコントロールするため、電縫溶接部をオース
テナイト化後加速冷却によりミクロ組織を細粒化
し、さらに該溶接部を焼戻しするとともに温間加
工することによつて硬さの上昇を防止することを
骨子とするものである。すなわち電縫鋼管の製造
ラインにおいて、電縫溶接部をAc3変態点〜Ac3
変態点+150℃の温度範囲に加熱し、ついでAr3
変態点以上から500℃以下までの間を20〜90℃/
秒の平均速度で冷却した後、該溶接部を500℃〜
Ac1変態点に加熱して焼戻しするとともに該溶接
部が450℃〜Ac1変態点の温度にある間に温間加
工を行うことを特徴とする電縫溶接部靭性の優れ
た電縫鋼管の製造方法である。 本発明製造方法を具体的な製造ラインにて説明
すると、第1図に示すように、造管ラインにて円
形状に成形されてきた成形帯鋼1を、給電子2に
て加熱しつつスクイズロール3にて突き合せて溶
接した後、誘導加熱装置5によつてこの溶接部を
所望温度に加熱し、次いで水冷装置6の水シヤワ
ー7により所定冷速で冷却する。その後誘導加熱
装置8で溶接部を加熱しかつ水冷装置11の水シ
ヤワー10で冷却して焼戻し処理を施すが、その
際所定温度域にて温間加工用ロール9によつて温
間加工を行う。焼戻し及び温間加工後にサイザー
12を通してサイジングを行う。 つぎにこの発明の方法において、溶接部の加熱
温度、冷却速度、加速冷却温度域、焼戻し温度、
温間加工温度を上記のように限定した理由を説明
する。 Ac3変態点以上の加熱 電気抵抗溶接されたまゝの電縫溶接部は、靭
性が劣つた凝固・急冷組織となつているので、
これを消去するためにAc3変態点以上に加熱し
て一旦オーステナイト組織にする必要がある。
この加熱は通常、誘導加熱装置により溶接部の
みを加熱するが、外面からの急速加熱となるた
め、内外面に温度差を生じるので最冷点の内面
温度がAc3変態点以上となるように外面温度を
定める必要がある。この場合温度が高くなるに
つれて結晶粒が粗大化するが、Ac3変態点+
150℃を越えると、急激に粗大化し靭性劣化を
もたらすので、Ac3変態点直上からAc3変態点
+150℃までの温度範囲に加熱する。 冷却速度 オーステナイト化温度からの冷却速度が20
℃/secより遅いと、結晶粒を十分に微細化でき
ず所望の靭性が得られない。一方冷却速度が90
℃/secより早いと、ベ−ナイトまたはマルテン
サイトが生成し、硬さも増して、次工程での誘
導加熱による短時間焼戻しでは、十分な軟化・
焼戻し効果が得られず、良好な靭性が得られな
いことから冷却速度は20〜90℃/secに限定し
た。 急冷温度域 Ac3変態点以上のオーステナイト組織からの
急冷は、オーステナイト粒の成長を抑え、析出
するフエライトを微細粒にするためのものであ
る。急冷開始温度がAc3変態点より低くなると
粗いフエライトの析出が多くなり、急冷の目的
である微細粒組織が得られず、従つて高靭性が
得られない。一方、急冷停止温度については、
通常のラインパイプの化学成分ではフエライト
変態完了温度は500℃よりも高温側にあるので、
Ar3〜500℃の温度域を急冷すればよい。なお
急冷停止温度は次工程の焼戻しのための再加熱
を考慮すると、省エネルギーおよび均一加熱の
点から500℃以下の高温側が望ましい。 焼戻し温度 急冷状態のまゝではベ−ナイト又はマルテン
サイトが析出していることがあり、硬さが高く
靭性が悪いので焼戻しする必要がある。製造ラ
イン上の誘導加熱による局部加熱の場合、加熱
速度を速くする必要があり、また、保定時間が
十分とれないため500℃以下の加熱では十分な
焼戻し、軟化効果が得られない。一方Ac1変態
点を越えるとオーステナイトが析出し始めるこ
とから、焼戻しの際の加熱温度を500℃〜Ac1
変態点とした。 温間加工温度 前記の急冷とその後の焼戻し状態では溶接部
にピーキングが発生しており、このまま冷間で
サイザーを通し、外径寸法精度と真円度の向上
をはかると、溶接部に歪みが集中し、冷間加工
硬化により靭性が劣化してしまう。このため最
終冷間サイジング前に温間加工を行つてピーキ
ングを矯正する必要がある。この温間加工温度
は450℃以上であると加工硬化が殆どなく、靭
性劣化を防止できるので450℃以上、焼戻し温
度の上限であるAc1変態点以下とした。本発明
における温間加工は、溶接部を集中的に加工す
るピーキング矯正のほか、管全体を加工するサ
イジングも含む。なお、温間加工によつてピー
キング矯正と同時にサイジングにより、外周絞
りと真円化を行つても溶接部の靭性に対しては
同じ効果であるが、サイジング(絞り)量が多
い場合溶接部が増肉するので、サイジング量は
ピーキング矯正ができる程度が望ましい。 この発明の方法において、温間加工後通常の如
く室温附近の温度でサイザーを通して所定外径寸
法の確保と真円度の向上を図ることが推奨される
が、温間加工後前記の最終サイジングまでの冷却
は空冷でも急冷でもさしつかえない。急冷の場合
は組織変化と硬さ上昇防止のため500℃以下で急
冷するのが望ましい。 (作 用) 本発明の上記の如く構成したことによる特有の
作用は次の通りである。電縫溶接後、該溶接部を
オーステナイト化する際に、加熱温度の上限を抑
えて、オーステナイト粒の粗大化が防ぎ、この状
態より急冷次いで焼戻しを行うことにより、溶接
部組織を微細な結晶粒で且つグレードに見合つた
硬さとすることができ、極めて優れた靭性値を得
ることができる。この状態で通常の如く冷間サイ
ジングを行うと、ピーキング矯正と絞りにより、
溶接部に塑性歪みが集中し、加工硬化により、折
角熱処理により得られた優れた靭性が大幅に劣化
してしまう。このため本発明の如く、焼戻し加熱
を利用した温間加工によつて矯正しておくことに
より、最終の冷間サイジング時の溶接部の加工硬
化を防ぐことができ、熱処理状態の優れた靭性を
そのまま保持することができる。このように製造
ライン上で、加速冷却、焼戻しと温間加工を組合
せることにより生産効率よく、低温靭性の優れた
溶接部を有する電縫鋼管を得ることができる。 (実施例) 表1に示すような化学成分の鋼帯を通常の方法
で製造した。これらの鋼帯を電縫管造管ラインで
連続的に成形し、次いで第1図に示すような装置
によりグレードがAPI 5LX X65の外径406.4mm、
肉厚9.5mmの電縫鋼管を製造した。このときの製
造条件を表2に示した。この様な種々の製造条件
で得られた電縫管の溶接部からシヤルピー衝撃試
験片を切り出して衝撃試験を行い、破面遷移温度
(vTrs)を求めた。シヤルピー衝撃試験片は管周
方向とし、ノツチは溶接衝合部に設けた。また溶
接部のフエライト結晶粒度とビツカース硬さを測
定した。それらの結果を第2図に示した。 これらの結果から示される様に、本発明の電縫
鋼管製造方法によつて溶接部の結晶粒が微細化す
るにもかかわらず、硬さは上昇は見られず溶接部
低温靭性の優れた電縫鋼管を得ることができた。 (発明の効果) 上述の様に本発明によれば、製造ライン上で連
続的に溶接部のみの局部熱処理と焼戻し時の熱を
利用する温間ピーキング矯正を施すことによつ
て、母材材質に悪影響を与えることなく、また生
産能率を阻害することなく、低コストで安定して
溶接部低温靭性の優れた電縫鋼管を製造すること
ができ、電縫鋼管の適用分野を更に拡大できるな
ど工業上有用な効果がもたらされる。
プ、油井管、化学プラント用、一般配管などに使
用する電縫溶接部の靭性が特に優れた電縫鋼管の
製造方法に関するものである。 (従来の技術) 近年、電縫鋼管は、素材鋼帯の製造技術および
成形、電縫溶接技術の向上によつてその品質と信
頼性が格段に向上し、従来はシームレス鋼管や
UOE鋼管が使用されていた分野にも使用される
ようになつた。最近では、カナダ、アラスカや北
極圏の寒冷地域でのエネルギー開発が活発化し、
ガス、油田開発用の油井管やラインパイプとし
て、高強度で低温靭性の優れた電縫鋼管が要求さ
れている。 しかるに、電縫鋼管の母材については適正な化
学成分の選定と、素材鋼帯の制御圧延等により、
比較的容易に高靭性が達成できるが、電縫溶接部
については、凝固・急冷組織のため、以下に述べ
るような従来の製造方法では、例えば−46℃以下
の低温靭性を保証することは非常に困難であつ
た。 従来、溶接部の高靭性を達成する方法として、
電縫溶接部に対し誘導加熱方式によりシームノル
マ(又はポストアニール)と呼ばれる熱処理を施
す最も一般に行われている方法の他に、更に高靭
性を得るためのいくつかの方法が提案されてい
る。例えば 特開昭59−43827に記述されている如く、電
縫溶接部をAc3変態点以上に加熱し、15〜30
℃/secの冷却速度で冷却し、再び溶接部を500
〜800℃に加熱して焼戻す方法。 特開昭58−181423に記述されている如く、ポ
ストアニール後の冷却前に、温間または熱間で
ポストアニールを圧延する方法。 特開昭59−94522に記述されている如く、電
縫溶接後サイジング(強絞り)を行い、溶接部
熱処理後に1スタンド以上の形状矯正ロールに
よりなるべく温間ないし熱間で形状矯正を行う
方法。 等がある。 ところで電縫溶接部の靭性は化学成分が同一で
溶接欠陥が存在しない場合には、結晶粒度と硬さ
に支配されることが判明している。従来の成形−
溶接−シームノルマという通常の製造工程では、
熱処理を受けた溶接部がピーキングを起こす。こ
のピーキングを矯正し、真円度を向上させ、所定
の外径寸法とするためのサイジング工程(通常は
冷間)で電縫溶接部が局部的な塑性加工を受け、
加工硬化を起こし、著しく靭性を劣化させるとい
う電縫鋼管特有の問題がある。 前記の最も一般的に行われているシームノルマ
法では、オーステナイト化後の冷却が大気中放冷
のため冷却速度が3〜8℃/secと遅く、微細結晶
粒が得られず、また、冷間でのサイジングにより
溶接部が加工硬化し良好な靭性が得られず、更に
溶接部のみがノルマライズされているため、X60
〜X70のような高グレード材では母材強度と溶接
部強度に差異が生じるという難点があつた。 また、前記に示した方法すなわち溶接部をオ
ーステナイト化後、強制加速冷却し、引続いて焼
戻す方法では、結晶粒の微細化と硬さの低下がは
かられ、この段階では優れた低温靭性が得られる
が、その後のピーキング矯正、真円化のためのサ
イジングにより溶接部に加工硬化が起り、大幅な
靭性劣化をもたらすという問題点があつた。 前記に示した方法は、温間あるいは熱間サイ
ジングでの靭性改善には適正な条件が存在する
が、ポストアニール後の冷却中にこの適正条件を
安定して確保することは困難であり、−46℃以下
の低温靭性を安定して得るには問題がある。次に
に示した方法は、最終の冷間サイジングによる
溶接部の加工硬化による靭性劣化を防止すること
に主眼を置いており、この点では効果は認められ
るが、最も靭性向上に効果がある細粒化の条件が
明確でなく、いずれの方法も満足できるものでな
かつた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、上記のような問題点を解決して、
API 5LX X60〜X70のような高強度鋼管におい
ても、電縫溶接部の低温における靭性が著しく優
れた電縫鋼管を提供することを目的とするもので
ある。 (問題点を解決するための手段) この発明の上記目的を達する手段は、電縫溶接
部の靭性に最も影響を与える結晶粒の大きさと硬
さをコントロールするため、電縫溶接部をオース
テナイト化後加速冷却によりミクロ組織を細粒化
し、さらに該溶接部を焼戻しするとともに温間加
工することによつて硬さの上昇を防止することを
骨子とするものである。すなわち電縫鋼管の製造
ラインにおいて、電縫溶接部をAc3変態点〜Ac3
変態点+150℃の温度範囲に加熱し、ついでAr3
変態点以上から500℃以下までの間を20〜90℃/
秒の平均速度で冷却した後、該溶接部を500℃〜
Ac1変態点に加熱して焼戻しするとともに該溶接
部が450℃〜Ac1変態点の温度にある間に温間加
工を行うことを特徴とする電縫溶接部靭性の優れ
た電縫鋼管の製造方法である。 本発明製造方法を具体的な製造ラインにて説明
すると、第1図に示すように、造管ラインにて円
形状に成形されてきた成形帯鋼1を、給電子2に
て加熱しつつスクイズロール3にて突き合せて溶
接した後、誘導加熱装置5によつてこの溶接部を
所望温度に加熱し、次いで水冷装置6の水シヤワ
ー7により所定冷速で冷却する。その後誘導加熱
装置8で溶接部を加熱しかつ水冷装置11の水シ
ヤワー10で冷却して焼戻し処理を施すが、その
際所定温度域にて温間加工用ロール9によつて温
間加工を行う。焼戻し及び温間加工後にサイザー
12を通してサイジングを行う。 つぎにこの発明の方法において、溶接部の加熱
温度、冷却速度、加速冷却温度域、焼戻し温度、
温間加工温度を上記のように限定した理由を説明
する。 Ac3変態点以上の加熱 電気抵抗溶接されたまゝの電縫溶接部は、靭
性が劣つた凝固・急冷組織となつているので、
これを消去するためにAc3変態点以上に加熱し
て一旦オーステナイト組織にする必要がある。
この加熱は通常、誘導加熱装置により溶接部の
みを加熱するが、外面からの急速加熱となるた
め、内外面に温度差を生じるので最冷点の内面
温度がAc3変態点以上となるように外面温度を
定める必要がある。この場合温度が高くなるに
つれて結晶粒が粗大化するが、Ac3変態点+
150℃を越えると、急激に粗大化し靭性劣化を
もたらすので、Ac3変態点直上からAc3変態点
+150℃までの温度範囲に加熱する。 冷却速度 オーステナイト化温度からの冷却速度が20
℃/secより遅いと、結晶粒を十分に微細化でき
ず所望の靭性が得られない。一方冷却速度が90
℃/secより早いと、ベ−ナイトまたはマルテン
サイトが生成し、硬さも増して、次工程での誘
導加熱による短時間焼戻しでは、十分な軟化・
焼戻し効果が得られず、良好な靭性が得られな
いことから冷却速度は20〜90℃/secに限定し
た。 急冷温度域 Ac3変態点以上のオーステナイト組織からの
急冷は、オーステナイト粒の成長を抑え、析出
するフエライトを微細粒にするためのものであ
る。急冷開始温度がAc3変態点より低くなると
粗いフエライトの析出が多くなり、急冷の目的
である微細粒組織が得られず、従つて高靭性が
得られない。一方、急冷停止温度については、
通常のラインパイプの化学成分ではフエライト
変態完了温度は500℃よりも高温側にあるので、
Ar3〜500℃の温度域を急冷すればよい。なお
急冷停止温度は次工程の焼戻しのための再加熱
を考慮すると、省エネルギーおよび均一加熱の
点から500℃以下の高温側が望ましい。 焼戻し温度 急冷状態のまゝではベ−ナイト又はマルテン
サイトが析出していることがあり、硬さが高く
靭性が悪いので焼戻しする必要がある。製造ラ
イン上の誘導加熱による局部加熱の場合、加熱
速度を速くする必要があり、また、保定時間が
十分とれないため500℃以下の加熱では十分な
焼戻し、軟化効果が得られない。一方Ac1変態
点を越えるとオーステナイトが析出し始めるこ
とから、焼戻しの際の加熱温度を500℃〜Ac1
変態点とした。 温間加工温度 前記の急冷とその後の焼戻し状態では溶接部
にピーキングが発生しており、このまま冷間で
サイザーを通し、外径寸法精度と真円度の向上
をはかると、溶接部に歪みが集中し、冷間加工
硬化により靭性が劣化してしまう。このため最
終冷間サイジング前に温間加工を行つてピーキ
ングを矯正する必要がある。この温間加工温度
は450℃以上であると加工硬化が殆どなく、靭
性劣化を防止できるので450℃以上、焼戻し温
度の上限であるAc1変態点以下とした。本発明
における温間加工は、溶接部を集中的に加工す
るピーキング矯正のほか、管全体を加工するサ
イジングも含む。なお、温間加工によつてピー
キング矯正と同時にサイジングにより、外周絞
りと真円化を行つても溶接部の靭性に対しては
同じ効果であるが、サイジング(絞り)量が多
い場合溶接部が増肉するので、サイジング量は
ピーキング矯正ができる程度が望ましい。 この発明の方法において、温間加工後通常の如
く室温附近の温度でサイザーを通して所定外径寸
法の確保と真円度の向上を図ることが推奨される
が、温間加工後前記の最終サイジングまでの冷却
は空冷でも急冷でもさしつかえない。急冷の場合
は組織変化と硬さ上昇防止のため500℃以下で急
冷するのが望ましい。 (作 用) 本発明の上記の如く構成したことによる特有の
作用は次の通りである。電縫溶接後、該溶接部を
オーステナイト化する際に、加熱温度の上限を抑
えて、オーステナイト粒の粗大化が防ぎ、この状
態より急冷次いで焼戻しを行うことにより、溶接
部組織を微細な結晶粒で且つグレードに見合つた
硬さとすることができ、極めて優れた靭性値を得
ることができる。この状態で通常の如く冷間サイ
ジングを行うと、ピーキング矯正と絞りにより、
溶接部に塑性歪みが集中し、加工硬化により、折
角熱処理により得られた優れた靭性が大幅に劣化
してしまう。このため本発明の如く、焼戻し加熱
を利用した温間加工によつて矯正しておくことに
より、最終の冷間サイジング時の溶接部の加工硬
化を防ぐことができ、熱処理状態の優れた靭性を
そのまま保持することができる。このように製造
ライン上で、加速冷却、焼戻しと温間加工を組合
せることにより生産効率よく、低温靭性の優れた
溶接部を有する電縫鋼管を得ることができる。 (実施例) 表1に示すような化学成分の鋼帯を通常の方法
で製造した。これらの鋼帯を電縫管造管ラインで
連続的に成形し、次いで第1図に示すような装置
によりグレードがAPI 5LX X65の外径406.4mm、
肉厚9.5mmの電縫鋼管を製造した。このときの製
造条件を表2に示した。この様な種々の製造条件
で得られた電縫管の溶接部からシヤルピー衝撃試
験片を切り出して衝撃試験を行い、破面遷移温度
(vTrs)を求めた。シヤルピー衝撃試験片は管周
方向とし、ノツチは溶接衝合部に設けた。また溶
接部のフエライト結晶粒度とビツカース硬さを測
定した。それらの結果を第2図に示した。 これらの結果から示される様に、本発明の電縫
鋼管製造方法によつて溶接部の結晶粒が微細化す
るにもかかわらず、硬さは上昇は見られず溶接部
低温靭性の優れた電縫鋼管を得ることができた。 (発明の効果) 上述の様に本発明によれば、製造ライン上で連
続的に溶接部のみの局部熱処理と焼戻し時の熱を
利用する温間ピーキング矯正を施すことによつ
て、母材材質に悪影響を与えることなく、また生
産能率を阻害することなく、低コストで安定して
溶接部低温靭性の優れた電縫鋼管を製造すること
ができ、電縫鋼管の適用分野を更に拡大できるな
ど工業上有用な効果がもたらされる。
【表】
第1図は本発明を行うための装置例、第2図は
製造条件別の電縫鋼管溶接部の靭性、硬さおよび
フエライト粒度番号を示した特性図である。 図において 1……成形帯鋼、2……給電子、
3……スクイズロール、4……電縫管、5,8…
…誘導加熱装置、6,11……水冷装置、7,1
0……水シヤワー、9……温間加工用ロール、1
2……サイザー。
製造条件別の電縫鋼管溶接部の靭性、硬さおよび
フエライト粒度番号を示した特性図である。 図において 1……成形帯鋼、2……給電子、
3……スクイズロール、4……電縫管、5,8…
…誘導加熱装置、6,11……水冷装置、7,1
0……水シヤワー、9……温間加工用ロール、1
2……サイザー。
Claims (1)
- 1 電縫鋼管の製造ラインにおいて、素材鋼帯を
連続的に成形、溶接、スクイズした後、電縫溶接
部をAc3変態点〜Ac3変態点+150℃の温度範囲に
加熱し、ついでAr3変態点以上から500℃以下ま
での間を20〜90℃/secの平均冷却速度で冷却した
後、該溶接部を500℃〜Ac1変態点に加熱して焼
戻しするとともに該溶接部が450℃〜Ac1変態点
の間の温度にある間に温間加工を行うことを特徴
とする溶接部靭性の優れた電縫鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11426885A JPS61272320A (ja) | 1985-05-29 | 1985-05-29 | 溶接部靭性の優れた電縫鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11426885A JPS61272320A (ja) | 1985-05-29 | 1985-05-29 | 溶接部靭性の優れた電縫鋼管の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61272320A JPS61272320A (ja) | 1986-12-02 |
JPH0213005B2 true JPH0213005B2 (ja) | 1990-04-03 |
Family
ID=14633552
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11426885A Granted JPS61272320A (ja) | 1985-05-29 | 1985-05-29 | 溶接部靭性の優れた電縫鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61272320A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102004047040B4 (de) | 2004-09-28 | 2016-10-20 | Robert Bosch Gmbh | Brennstoffeinspritzventil und Verfahren zur Montage eines Brennstoffeinspritzventils |
-
1985
- 1985-05-29 JP JP11426885A patent/JPS61272320A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61272320A (ja) | 1986-12-02 |
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