JPH0212305Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は手動でエンジンを始動せしめるリコイ
ルスタータのリコイルプーリに関する。

動力耕耘機等に搭載する小型エンジンには通常
リコイルロープを引張してエンジン始動を行うリ
コイルスタータを付設している。この装置の概要
はリコイルロープを巻回したリコイルプーリ（回
転駆動部材）と、このリコイルプーリと同軸上配
置しエンジン側、例えばクランクシヤフトに連結
した回転被動部材とを備え、始動時にはリコイル
ロープを引張し上記リコイルプーリを回転させ、
更にこのプーリ側面に枢着した係止爪が上記被動
部材に係止してこれを一体に回転させるととも
に、他方始動後は当該係止爪と被動部材の係止が
解除され被動部材のみ回転させてエンジンの始動
を行うものである。

ところで、このようなリコイルスタータに用い
るリコイルプーリは外周にリコイルロープを巻回
する巻装溝を有し、この巻装溝の底部にはリコイ
ルロープ端部の取付孔を例えばリコイルプーリの
ラジアル方向に設けている。そして、リコイルロ
ープの取付け及び巻装はこの取付孔の溝側からリ
コイルロープの内端を挿入して取付孔の内側でロ
ープに結び目をつくり、ロープ引張の際の抜けを
阻止するようにし、ここから順次溝内にリコイル
ロープを巻回して、リコイルロープの外端にはグ
リツプを止着する。

したがつて、この種リコイルスタータではリコ
イルロープを引張してエンジン始動を行う際に、
リコイルロープに対し(i)エンジン始動のためのエ
ンジン負荷に抗して回転させる力、つまりクラン
クシヤフトを回転させる力、(ii)エンジン始動後リ
タ−ンスプリングにより戻される慣性力が印加さ
れる。この結果、リコイルロープの、特にリコイ
ルプーリの前記取付孔の開口端に圧接する部分に
は大きな応力が作用し、長期の使用によつて、リ
コイルロープ内端が当該開口端のエツジにて切断
損じる不具合がある。

本考案は斯かる不具合の解消と目的とするもの
で、リコイルロープの耐久性を飛躍的に高めるこ
とができるとともに、これを極めて簡易な構成で
実施できるようにしたリコイルスタータのリコイ
ルプーリを提供するものである。

本考案は以上の目的を達成するため、外周にリ
コイルロープの巻装溝を有し、該溝の底部にリコ
イルロープ端部の取付孔を設けてなるリコイルス
タータの特にリコイルプーリに適用し、その主要
構成とするところは上記取付孔の開口端に断面円
弧状の例えばリコイルロープの巻回方向に対し略
垂直方向へ細長な凸部を設け、エツジによりリコ
イルロ−ブが切断されないようにしたことを特徴
とする。

以下には本考案を更に具体化した好適な実施例
を挙げ図面を参照して詳述する。

第１図は本考案に係るリコイルプーリを備える
リコイルスタータの一部破断正面図、第２図は同
側面断面図（第１図中Ａ−Ａ線）を示す。

先ず、本考案を明確にするため第１図及び第２
図を参照してリコイルスタータの全体的概略構成
について説明する。

符号１で示されたリコイルスタータは最外郭に
スタータケ−ス２を備え、この内部中央には支持
部３を固設する。支持部３には円盤状のリコイル
プーリ４を回動自在に支持せしめ、リコイルプー
リ４の一側面にはリタ−ンスプリング５を配設し
て、リコイルプーリ４が回転した後元の位置に戻
るようにする。リコイルプーリ４の外周には断面
コ字状に形成したリコイルロープ６の巻装溝４ｄ
を設け、又リコイルプーリ４の他側面には支持シ
ヤフト７にてラチエツト８を回動自在に支持す
る。また、支持部３先端にはフリクシヨンプレー
ト９をボルト１０にて回動自在に枢着し、フリク
シヨンスプリング１１にて一定の摩擦を付与して
いる。なお、このフリクシヨンプレート９には前
記ラチエツト８を係止する係止部を設けている。
一方、リコイルロープ６はその内端をリコイルプ
ーリ４の巻装溝４ａ底部に取付けるとともに、当
該巻装溝４ａ内に巻回し、更にスタータケース２
の側部に設けた引出孔２ａから外部に引き出しロ
ープ６の外端にはグリツプ１２を止着する。

以つて、エンジンを始動するにはグリツプ１２
を手で握り、リコイルロープ６を引き出す方向へ
強く引張すればリコイルプーリ４も追動回転し、
更にフリクシヨンプレート９の遅延作用にてラチ
エツト８が外方向へ突出し、このラチエツト８は
図示しない回転被動部材と係止してこれに回転を
伝達する。回転被動部材は冒頭に述べた如くエン
ジンのクランクシヤフトに連結しており、結局当
該クランクシヤフトに回転が伝達される。そし
て、エンジンが始動した後は回転被動部材が回転
し、この回転とフリクシヨンプレート９の戻り作
用及びリコイルプーリ４の戻り作用でラチエツト
８はフリクシヨンプレート９の外周より内側へ戻
りラチエツト８と回転被動部材の係止を解除をす
べく機能する。

次に、第３図乃至第７図を参照して本考案の要
部について具体的に説明する。

第３図はリコイルプーリの平面図、第４図は同
側面断面図（第３図Ｂ−Ｂ線）、第５図は第３図
Ｃ−Ｃ線矢視断面図、第６図は第５図Ｄ−Ｄ線矢
視断面図、第７図は第６図Ｅ線矢視図である。

先ず、リコイルプーリ４は例えば合成樹脂等に
て全体と一体成形してなる。前記巻装溝４ａはリ
コイルロープ６の巻付外径よりやや大きい径にて
凹んだ断面半円状の底部４１と、更にこの底部４
１両端からの略平行壁部４３及び４４にて形成す
る。リコイルプーリ４はこの底部４１中央から中
心側へ一枚のリング状支持プレート部４５を有
し、更にこれより中心側に筒体部４６を有する。
そして、この筒体部４６は中心に前記支持部３に
嵌挿する軸承部４７、フリクシヨンプレート９の
収納部４８、支持シヤフト７の取付部４９、本考
案に従つて形成されるロープ６の結び目の収納部
５０等を具備して形成する。なお、筒体部４６の
外周面から支持プレート部４５及び略平行壁部４
３にて構成するリコイルプーリ４の一側面には一
定間隔毎にラジアル方向へ複数のリブ５１…を設
け、他側面にはリング堤部５２にてリターンスプ
リング５の収納部５３を設ける。

一方、前記収納部５０の筒体部４６とラジアル
方向に対向する底部４１間には第５図の如く断面
円形状の厚肉部５４を相連結すべく設ける。そし
て、この厚肉部５４には一方の開口が収納部５０
に臨み、他方の開口が巻装溝４ａに臨む取付孔５
５を貫通形成する。以つて、リコイルプーリ４の
底部４１にリコイルロープ６を取付けるには当該
取付孔５５の巻装溝４ａ側からロープ６の内端を
挿入し、内側、即ち収納部５０内にて結び目６ａ
をつくれば抜けは阻止される（第２図参照）。

ところで、本考案に於ては取付孔５５の特に収
納部５０に臨む開口端５５ａに断面円弧状の凸部
５６を形成する。この凸部５６は第７図の如くリ
コイルロープ６の巻回方向に対し略垂直方向へ細
長に設け、当該凸部５６は開口端５５ａの両側に
接する一対の凸部にて構成する。したがつて、凸
部５６の開口端５５ａに接する形状は第６図の如
く所定の曲率をもつ曲線の連続形状となる。凸部
５６の径はロープ６の太さ、素材等により任意に
選定され、実施例では取付孔５５の内径φ4に対
し凸部５６の径Ｒを１に選定している。

なお、取付孔５５の巻装溝４ａ側の開口端５５
ｂは面取りを施してあるが、ここにも上述した如
き凸部５６を設けてもよい。

よつて、斯かる凸部５６はロープ６が圧接する
もエツジ状の鋭さはないため長期使用によつても
当該開口端５５ａにより切断される不具合は解消
される。しかも、当該開口端５５ａは筒体部４６
の内側に位置する為面取等によりエツジをなくす
ことは容易でないが上記実施例の如き凸部５６を
設ければリコイルプーリ４の成形時における型抜
き方向と一致するため容易に一体成形することが
でき、製作性、低コスト性に優れる。

その他実施例に限定されず細部の形状、構成等
に於て要旨を逸脱しない任意変更実施は本考案範
囲に許容されるものである。

このように、本考案に係るリコイルスタータの
リコイルプーリはリコイルロープの取付孔の開口
端から外側へ断面円弧状の凸部を設けたため、リ
コイルロープを切断損ずる不具合は解消できリコ
イルロープの耐久性の飛躍的向上、更にはリコイ
ルスタータの長寿命化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るリコイルプーリを備える
リコイルスタータの一部破断正面図、第２図は同
側面断面図（第１図中Ａ−Ａ線）、第３図はリコ
イルプーリの平面図、第４図は同側面断面図（第
３図Ｂ−Ｂ線）、第５図は第３図Ｃ−Ｃ線矢視断
面図、第６図は第５図Ｄ−Ｄ線矢視断面図、第７
図は第６図Ｅ線矢視図である。 尚図面中、４はリコイルプーリ、４ａは巻装
溝、６はリコイルロープ、４１は底部、５５は取
付孔、５５ａ，５５ｂは開口端、５６は凸部であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周にリコイルロープの巻装溝を有し、該溝の
   底部にリコイルロープ端部の取付孔を設けてなる
   リコイルスタータのリコイルプ−リにおいて、前
   記取付孔の開口端に断面円弧状でリコイルロープ
   の巻回方向に対して略垂直方向へ細長の凸部を前
   記リコイルプ−リと一体に形成したことを特徴と
   するリコイルスタータのリコイルプーリ。