JPH0210049Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、ブルドーザ等のキヤブの窓に対して
設けたノズルに洗浄水を加圧供給するキヤブのウ
インドウオツシヤシステム装置に関するものであ
る。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

従来のキヤブのウインドウオツシヤシステム装
置は、キヤブの下部外側に洗浄水を収容するタン
クを設け、このタンクの上部に１個のベーン式揚
水ポンプを設け、このベーン式揚水ポンプの吸込
管をストレーナを介しタンク内の洗浄水中に挿入
し、またこのベーン式揚水ポンプの吐出管をＴ字
管によつて複数本に分岐させ、各分岐管にチエツ
クバルブを介してキヤブの上部に設けた複数のベ
ーン式噴射ポンプの吸込口を直接的に接続し、こ
のベーン式噴射ポンプの吐出口をワイパを備えた
窓に対して設けたノズルに連通したものである。

このようにキヤブ上部の噴射ポンプは、キヤブ
下部のタンクに対してかなり上方に設置され、か
つ揚水ポンプによつて噴射ポンプまでいつたん揚
水がなされた後は、噴射ポンプは揚水ポンプのバ
イパス管路を経て下部タンク内の水を直接吸上げ
るので、吸込揚程が充分に得られるベーン式のも
のに限定されるが、このベーン式ポンプは、高価
であり、またポンプケーシングにゴム製のフレキ
シブルベーンが接触して摺動するため、タンク
空、吸込管路の閉塞等により水の吸込、吐出を伴
わない空運転では上記ベーンが溶けるおそれがあ
り、またごみ等の異物の吸込時にベーンが損傷す
るおそれがあり、したがつてこの異物の吸込を防
止するために揚水ポンプの吸込側にストレーナを
必ず設けなければならないし、またこのベーン式
ポンプの圧力−流量特性は、流量増加に伴う圧力
低下が著しいので、１個のベーン式噴射ポンプに
複数のノズルを接続する方式には不向きであり、
窓幅が広い場合、１個の窓に対して複ポンプ複ノ
ズルの必要性が予想され、ポンプ数の増加が避け
られない。また１個のベーン式揚水ポンプの吐出
管を複数のベーン式噴射ポンプの吸込口に直接的
に接続するために、管を分岐させるためのＴ字管
が必要であり、またその各分岐管に水の戻りを防
止するチエツクバルブを設ける必要がある。

〔考案の目的〕

本考案は、このようなベーン式ポンプの使用を
止め、代りに、安価で、空運転や異物の侵入に対
して耐久性があり、かつ流量増加に伴う圧力低下
が少ない利点を有する遠心式ポンプを、この遠心
式ポンプの特性のひとつである吸込揚程がほとん
ど得られないという問題を解決して使用できるよ
うにすることを目的とする。

〔考案の概要〕

本考案のキヤブのウインドウオツシヤシステム
装置は、キヤブの下部外側に洗浄水を収容するメ
インタンクを設け、このメインタンクの下部に遠
心式揚水ポンプの吸込口を接続し、この遠心式揚
水ポンプの吐出口をキヤブの上部に設けたサブタ
ンクに連通し、このサブタンクの下部に遠心式噴
射ポンプの吸込口を接続し、この遠心式噴射ポン
プの吐出口をワイパを備えた窓に対して設けたノ
ズルに連通し、上記サブタンクとノズルとの間の
管路に上記遠心式噴射ポンプの非作動時の洗浄水
の自然流出を阻止する洗浄水流出阻止用部材を設
けたことを特徴とする構成のものであり、そうし
て、メインタンク内の水面より下側の遠心式揚水
ポンプによつて洗浄水をサブタンクに揚水し、こ
のサブタンク内の水面より下側の遠心式噴射ポン
プによつて洗浄水をノズルに加圧供給する。

〔考案の実施例〕

以下、本考案を図面に示す実施例を参照して詳
細に説明する。

第１図に示すように、ブルドーザ１のキヤブ２
の下部外側に洗浄水を収容するメインタンク３を
設ける。

第２図に示すように、このメインタンク３の下
部に１個の遠心式揚水ポンプ４を取付け、この遠
心式揚水ポンプ４によつて、メインタンク３内の
洗浄水をシールされた通孔５を通してキヤブ内に
引込んだ可撓性チユーブ等の管路６を経て、キヤ
ブ２の上部内側に設けたサブタンク７まで揚水す
るようにし、このサブタンク７に４個の遠心式噴
射ポンプ８を設け、この各遠心式噴射ポンプ８に
よつて、サブタンク７内の洗浄水をそれぞれ可撓
性チユーブ等の管路９を経て、ワイパ１０を備え
た前後左右の窓１１に対して設けた４個のノズル
１２にそれぞれ加圧供給するようにする。またキ
ヤブ２の下部内側にスイツチパネル１３を設け、
このスイツチパネル１３に４個のスイツチ１４を
設ける。この各スイツチ１４は、回動操作によつ
て対応するワイパ１０を駆動するモータのオフ、
低速作動、高速作動の切換を行うとともに、押圧
操作によつて対応する遠心式噴射ポンプ８を駆動
するモータ（後で説明する）を作動するものであ
る。なおこのようにキヤブ２の下部外側の揚水ポ
ンプ４は１個であり、キヤブ内からキヤブ外に引
出される配線および配管は１本ずつで済むから、
キヤブ脱着に伴う配線、配管の断続も最少限で済
みその断続が容易であるとともに、キヤブ２に穿
設した配線、配管の通孔５も最少限で済みその通
孔５の防水、防音処理が容易である。

第３図および第４図は、上記メインタンク３の
下部を示し、このタンク３の下部の側面から一体
に突設した一対の保持部１７によつて、上記遠心
式揚水ポンプ４を駆動するためにこの揚水ポンプ
４の上部に一体的に設けてなる揚水ポンプ用モー
タ１８を嵌合保持する。このモータ１８は、フエ
ライト磁石式直流モータを使用し、揚水ポンプ４
との間に水密用シール部材を介設してなり、上部
に設けた一対の端子１９から駆動電力を取入れ
る。また上記遠心式揚水ポンプ４は、第５図に示
すように、メインタンク３の下部穴２０にゴムシ
ール部材２１を介して吸込口２２を嵌合すること
により直接接続し、これにより吸込口２２が常に
メインタンク内の水面より下方に位置するように
し、またこの遠心式揚水ポンプ４は、第６図に示
すように、ポンプハウジング２３の内部にインペ
ラ２４を外周等の間隙２５を介して遊嵌し、この
インペラ２４をその小孔２６に挿入した上記モー
タ１８の回転軸によつて回転することにより、上
記ポンプハウジング２３の上側中央部の穴２７か
ら吸込んだ洗浄水をインペラ２４の回転による遠
心力で吐出口２８に吐出し、この吐出口２８に接
続した前記管路６を経て前記サブタンク７まで揚
水する。

このサブタンク７は、第７図に示すように、平
面的に見て細長く形成することにより、前記各遠
心式噴射ポンプ８を駆動するためにこのポンプ８
の上部に一体的に設けたフエライト磁石式直流モ
ータからなる噴射ポンプ用モータ３１をこのサブ
タンク７と一体の保持部３２間に並べて嵌着する
ことができ、かつ第８図に示すように、側面的に
見てサブタンク７の下部穴３３にゴムシール部材
３４を介して各噴射ポンプ８の吸込口３５を直接
接続することにより、車輌が傾斜してもサブタン
ク７内の水面が各噴射ポンプ８の吸込口３５より
も必ず上方に確保できるようにし、この条件を満
足すればタンク容量は小さいものでもよい。なお
第７図において３６は遠心式噴射ポンプ８の吐出
口であり、これに前記管路９を経てノズル１２を
接続する。

第９図は第２図に対応する流体回路を示し、揚
水ポンプ４とサブタンク７との間の管路６に、洗
浄水の過剰供給を防止するための流量調整弁４１
を設けるとともに、サブタンク７の上部から大気
中に抜気管４２を引出し、この抜気管４２の途中
部に排気量を調整する排気弁４３を設ける。この
排気弁４３は、ノズル１２より大きな負荷をかけ
て、抜気管４２からの水の噴出を防止する。

また各遠心式噴射ポンプ８の吐出側の管路９の
一部をサブタンク７内の水面よりも高く配管でき
る場合は、その高い配管部分に、上記遠心式噴射
ポンプ８の非作動時にこのポンプ８の内部のイン
ペラ間隙を経て洗浄水が自然流出するおそれを阻
止するための洗浄水流出阻止用部材として、外部
空気吸入のためのチエツクバルブ４４を接続し、
そして上記噴射ポンプ８の非作動時に上記サブタ
ンク７から管路９を経てノズル１２に洗浄水が自
然流出し続けるサイフオン現象を、大気中の空気
を上記チエツクバルブ４４を経て管路９中に吸入
させることにより、このチエツクバルブ４４の接
続部で断ち切るようにする。なお第１０図に示す
ように管路９の角部に対してチエツクバルブ４４
を接続するようにしてもよい。

第１１図は上記各モータ１８，３１を駆動する
ための電気回路であり、上記各噴射ポンプ用モー
タ３１を、この各噴射ポンプ用モータ３１をそれ
ぞれオン、オフする前記スイツチ１４とともに直
流電源４５に対して並列に接続し、また各噴射ポ
ンプ用モータ３１のスイツチ側の（＋）端子と上
記揚水ポンプ用モータ１８の（＋）端子とをそれ
ぞれダイオード４６を介して接続し、上記揚水ポ
ンプ用モータ１８の（−）端子を各噴射ポンプ用
モータ３１の（−）端子と共通する（−）電極に
接続する。このようにすると、いずれかのスイツ
チ１４をオンすることにより、噴射ポンプ用モー
タ３１のいずれかひとつが作動するとともに、揚
水ポンプ用モータ１８も同時に作動し、第９図に
おいて、噴射ポンプ８がサブタンク７の洗浄水を
吸込んでノズル１２から噴射する間、揚水ポンプ
４はメインタンク３から洗浄水を吸込んでサブタ
ンク７に揚水する。なお電源４５、各モータ１
８，３１および各ダイオード４６の（＋）（−）
を逆にしてもよい。

次に第１２図ないし第１４図は、それぞれ流体
回路の他の実施例を示し、いずれも遠心式噴射ポ
ンプ８の内部に通水可能のインペラ間隙があるた
めサブタンク７内に圧力がかからないように工夫
されている。たとえば、第１２図ではサブタンク
７からメインタンク３にオーバーフローリターン
管路５１を設け、また第１３図および第１４図で
は、第９図の回路と同様に揚水ポンプ４の吐出側
の管路６に流量調整弁４１を設けるとともに、チ
エツクバルブ５２および圧力調整弁５３を設け、、
揚水ポンプ４の吐出圧を調整することにより、流
量調整のみの場合よりも調整が容易にできるよう
にしてある。上記チエツクバルブ５２は、揚水ポ
ンプ４の非作動時に水がサブタンク７からメイン
タンク３に戻るおそれを防止する。また第１４図
に示すように各遠心式噴射ポンプ８の吐出側の管
路９の全路がサブタンク７内の水面より低い場合
は、このポンプ８の非作動時の洗浄水の自然流出
を阻止する洗浄水流出阻止用部材として上記管路
９中に定圧開口弁５４を挿入する。第９図、第１
２図〜第１４図に示す流体回路は、ウインドウオ
ツシヤシステム全体の配置、配管のサイズ、噴射
ポンプ同時操作の有無等によつて適切なものを選
択して採用できるし、また各部分の組合せも可能
である。

なお第１１図に示す電気回路を用いずに、揚水
ポンプ４を、サブタンク７に設けた圧力または水
面センサ（圧力スイツチ、フロートスイツチ）等
によつて始動、停止させるようにしてもよい。

さらに第９図、第１３図および第１４図に示す
流体回路を設けた流量調整弁４１は、揚水ポンプ
４の揚程、サブタンク７の耐圧性、配管の配置等
によつてその要否およびサイズを決定すべきもの
である。

また揚水ポンプ４および噴射ポンプ８は、タン
ク３，７とそれぞれ一体の保持部１７，３２によ
つて嵌合保持するとともに、取付に要する部品
は、ゴムシール部材２１，３４だけであり、吸込
側の配管を全く必要としない。したがつてこれら
のポンプ４，８の交換が容易である。

〔考案の効果〕

本考案によれば、キヤブの下部に設けたメイン
タンクの下部に遠心式揚水ポンプの吸込口を接続
し、この遠心式揚水ポンプの吐出口をキヤブの上
部に設けたサブタンクに連通し、このサブタンク
の下部に遠心式噴射ポンプの吸込口を接続したか
ら、遠心式揚水ポンプの吸込口はメインタンク内
の水面より下側に位置し、また遠心式噴射ポンプ
の吸込口はサブタンク内の水面より下側に位置
し、したがつて遠心式ポンプの特性のひとつであ
る吸込揚程がほとんど得られないという問題を解
決でき、遠心式ポンプが有する安価で、空運転や
異物の侵入に対して耐久性があり、かつ流量増加
に伴う圧力低下が少ない利点を生かすことがで
き、たとえば１個の遠心式噴射ポンプで複数のノ
ズルに洗浄水を所定圧で加圧供給することも可能
である。また遠心式噴射ポンプの吸込口をサブタ
ンクに接続するようにしたから、この噴射ポンプ
の数が増しても、管を分岐するためのＴ字管が不
要であり、また噴射ポンプの吸込管に水の戻りを
防止するチエツクバルブを設ける必要がなく、長
時間の使用休止後の再使用時でも、噴射ポンプは
サブタンク内の洗浄水を直ちに吸込んでノズルに
供給でき、噴射までの所要時間が短かくて済む。
また上記サブタンクとノズルとの間の管路に上記
遠心式噴射ポンプの非作動時の洗浄水の自然流出
を阻止する洗浄水流出阻止用部材を設けたから、
遠心式噴射ポンプの内部の通水間隙を経てサブタ
ンク内の洗浄水がノズルから流出するおそれを防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はブルドーザの側面図、第２図ないし第
１１図は本考案のウインドウオツシヤシステム装
置の一実施例を示すもので、第２図は全体の斜視
図、第３図は遠心式揚水ポンプの斜視図、第４図
はその底面図、第５図はその吸込口の接続部の断
面図、第６図はその遠心式ポンプの断面図、第７
図はサブタンクの平断面図、第８図はその側断面
図、第９図は全体の流体回路図、第１０図は第９
図の一部分の変形例、第１１図はポンプ用モータ
の電気回路図、第１２図、第１３図および第１４
図はそれぞれ流体回路の変形例を示す流体回路図
である。 ２……キヤブ、３……メインタンク、４……遠
心式揚水ポンプ、７……サブタンク、８……遠心
式噴射ポンプ、９……管路、１０……ワイパ、１
１……窓、１２……ノズル、４４，５４……洗浄
水流出阻止用部材としてのチエツクバルブおよび
定圧開口弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) キヤブの下部外側に洗浄水を収容するメイン
   タンクを設け、このメインタンクの下部に遠心
   式揚水ポンプの吸込口を接続し、この遠心式揚
   水ポンプの吐出口をキヤブの上部に設けたサブ
   タンクに連通し、このサブタンクの下部に遠心
   式噴射ポンプの吸込口を接続し、この遠心式噴
   射ポンプの吐出口をワイパを備えた窓に対して
   設けたノズルに連通し、上記サブタンクとノズ
   ルとの間の管路に上記遠心式噴射ポンプの非作
   動時の洗浄水の自然流出を阻止する洗浄水流出
   阻止用部材を設けたことを特徴とするキヤブの
   ウインドウオツシヤシステム装置。 (2) 洗浄水流出阻止用部材は、遠心式噴射ポンプ
   の吐出側管路においてサブタンク内水面より高
   く配管した部分に接続した外部空気吸入のため
   のチエツクバルブであることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のキヤブのウイ
   ンドウオツシヤシステム装置。 (3) 洗浄水流出阻止用部材は、遠心式噴射ポンプ
   の吐出側の管路中に挿入した定圧開口弁である
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のキヤブのウインドウオツシヤシステム
   装置。