JPH017719Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は連続溶融めつき設備におけるめつき厚
の調整ノズルすなわちめつきノズルに付着した溶
融金属のスプラツシユを除去するために使用され
る連続溶融めつき設備におけるめつきノズルの手
入れ装置に関する。

従来から、連続溶融めつき設備においては、溶
融めつき浴に浸漬されて引出されたストリツプに
対向してめつきノズルが設けられる。このめつき
ノズルから噴出する圧縮気体によつて、ストリツ
プに付着している過剰な溶融金属が吹払われてそ
のめつき付着量すなわちめつき厚が調整される。
この吹払い時において、溶融金属の一部がスプラ
ツシユとして飛散し、めつきノズルの外表面また
は気体噴出のためのスリツト面に付着する。めつ
きノズルの外表面に付着したスプラツシユによつ
て、めつきノズルからの噴出気体および噴出気体
に誘引された気体の流れが部分的に変えられて均
一なめつき厚の製品を得ることができない。また
スリツトに付着したスプラツシユによつて、気体
の噴出が妨げられ、その近傍のストリツプのめつ
き付着量が多くなり品質の低下を来たし、製品価
値を低下させる。

従来の操業中における手入方法は、作業者が長
い棒の先に取付けた板状のものでめつきノズルに
付着した溶融金属のスプラツシユを掻取つて除去
していた。しかしスプラツシユによる品質の悪化
に対する作業に即応性を欠くと共にこの作業は狭
くまた混み入つた装置の為に作業性が悪く高温雰
囲気中で行なわねばならないだけでなく、高温度
のスプラツシユが飛散して作業者に当たつて火傷
したり失明したりするなどの大きな災害の原因と
なつていた。さらにめつきノズルのスリツトの間
隙が通常その長手方向に沿つて異なつており、ま
たスリツトに付着したスプラツシユの付着個所を
確実に目視によつて確認できないために付着した
スプラツシユを完全に除去するのが困難であつ
た。特に溶融めつき沿面を覆つて不活性気体雰囲
気を形成する密閉装置が設けられた連続溶融めつ
き設備においては、作業者が密閉装置内に入るこ
とができないのでスプラツシユの除去は不可能で
ある。

本考案の目的は、めつきノズルに付着した溶融
金属のスプラツシユを機械的手段によつて完全に
除去することを可能とした連続溶融めつき設備に
おけるめつきノズルの手入れ装置を提供すること
である。

本考案は、連続溶融めつき設備のめつき厚調整
用気体噴出用の水平なスリツトにおける相互に対
向する上下両面に弾発的に圧接される掻取部を有
する除去部材と、 前記除去部材をスリツトの前記水平方向に沿つ
て往復走行駆動する走行駆動手段とを含むことを
特徴とする連続溶融めつき設備におけるめつきノ
ズルの手入れ装置である。

以下、図面に基づいて本考案の実施例について
説明する。第１図は本考案の一実施例の簡略化し
た縦断面図である。溶融めつき浴面１からのスト
リツプ２に向けて、対向して設けられためつきノ
ズル３，４から圧縮気体を噴出してめつき厚を調
整する。ストリツプ２の幅方向（第１図の紙面に
垂直方向）に延びるめつきノズル３，４の上部に
は、めつきノズル手入れ装置５，６がそれぞれ備
えられる。

第２図は第１図のめつきノズル手入れ装置５の
正面図であり、第３図は第２図の切断面線−
から見た断面図である。めつきノズル４は、上リ
ツプ２０と下リツプ２１とを含み、これらのリツ
プ２０，２１によつてその先端部に水平方向に延
びて形成されたスリツト２２から気体をストリツ
プ２に向かつて噴出する。このスリツト２２の上
下方向の間隙は、ストリツプ２がその幅方向に亘
つて均一なめつき厚を得るために通常ストリツプ
２の幅方向（スリツトの長手方向）の中央部にお
いて狭く、両端部において広く形成されている。
スリツト２２の長手方向の長さｌ１は、ストリツ
プ２の幅よりも大きく選ばれる。上リツプ２０、
下リツプ２１は、第３図に示されるように傾斜し
た外表面２３，２４をそれぞれ有し、スリツト２
２がストリツプ２に向かつて突出して形成され
る。上リツプ２０、下リツプ２１の長手方向の両
端部は、第２図に示されるようにサイドフランジ
８によつて支持される。このサイドフランジ８に
は、スリツト２２に連続する間隙４０が形成され
ている。

本考案に従うめつきノズル手入れ装置５は、め
つきノズル４の上リツプ２０の上部に走行自在に
固定される。このめつきノズル手入れ装置５は、
基本的には除去手段７と走行駆動手段９とから成
る。

走行駆動手段９は、軸直角断面が略Ｌ字状の走
行用レール１６と、両端部が軸受１８，１９によ
つて支承された走行用ねじ部材１７と、この走行
用ねじ部材１７に螺合し走行用レール１６に沿つ
て往復走行する走行部材１５と、走行用ねじ部材
１７を回転駆動するエアーモータ４１とを含む。
水平方向にスリツト２２よりも長く延びる走行用
レール１６は、上リツプ２０の上部にボルト３８
によつて固定される。走行用レール１６と平行な
軸線を有する走行用ねじ部材１７に螺合する走行
部材１５は、正逆回転が容易かつ迅速でクツショ
ン性を有しかつシヨツクに耐え、高速回転が可能
な（例えばエアーモータ）駆動源４１によつて走
行用ねじ部材１７も回転する。したがつて走行部
材１５は走行用レール１６に沿つて往復走行す
る。走行部材１５が往復走行する幅は、スリツト
２２の長手方向の長さｌ１よりも大きく選ばれ
る。この走行部材１５には、後述の除去手段７の
支持部材１２がボルト２５によつて固着される。
これによつて走行部材１５がスリツト２２の長手
方向に往復走行するに従つて除去手段７も同じよ
うに往復走行する。駆動源４１の回転力は、ユニ
バーサルジヨイント１４，４２を介して走行用ね
じ部材１７に伝達される。

第４図は除去手段７の分解斜視図である。除去
手段７は、除去部材１０，１１と、支持部材１２
と、固定部材１３とを含む。支持部材１２は、走
行部材１５にボルトで固着するための平板状の固
着部２６と、固着部２６の下部から下方に延びる
アーム部２７と、アーム部２７に連設された傾斜
部２８と、この傾斜部２８の上方に連設された上
面３０と取付面３１とを有する係止部２９とを含
む。係止部２９には、垂直な側面にボルト穴３２
が第３図の紙面に垂直方向に貫通して形成され
る。

除去部材１０は一対の除去片１０ａ，１０ｂと
が一体に当接固着されて形成される。一方の除去
片１０ａは、支持部材１２の係止部２９の取付面
３１に当接する当接部３３ａと、傾斜部２８の先
端部分２８ａに当接する当接部３９ａと、この当
接部３９ａの下端部から水平方向に延びて形成さ
れた掻取部３４ａとから成る。この掻取部３４ａ
は、その長手方向の両端部が斜め上方に延びて曲
成される。他方の除去片１０ｂは、除去部材１０
ａの当接部３３ｂ，３９ｂにそれぞれ当接する当
接部３３ｂ，３９ｂと、当接部３９ｂの下端部か
ら水平方向に延びる掻取部３４ｂとから成る。こ
の掻取部３４ｂは、斜め下方に曲成された長手方
向の両端部を除いて除去片１０ａの掻取部３４ａ
に当接する。このように掻取部３４ａ，３４ｂが
曲成されることによつて、上下方向に弾発力を得
ることが可能となる。

除去部材１１は、平板部３６と、平板部３６の
長手方向と垂直方向の両端から先端が互いに離反
するように延びて形成された掻取部３７ａ，３７
ｂとから成る。除去部材１１は、支持部材１２の
傾斜部２８の下方側に固着される。この除去部材
１１は、平板部３６の長手方向に垂直方向に弾発
力を有する。

除去部材１０を支持部材に当接して固定するた
めの固定部材１３は、係止部２９にはめ合うよう
に形成されており、係止部２９のボルト穴３２に
一致するようにボルト穴３５が形成される。また
除去部材１１はボルト４３により傾斜部２８の裏
面に取付けられる。

このように構成された除去手段７は、その支持
部材１２の固着部２６を前述の走行部材１５に固
着することによつて、走行部材１５とともに往復
走行する。このとき第３図に示されるように除去
部材１０の掻取部３４ａ，３４ｂがスリツト２２
に内に挿入され、スリツト２２の相互に対向する
上下両面に弾発的に圧接されるとともに、除去部
材１１の掻取部３７ａ，３７ｂも上リツプ２０の
外表面に弾発的に圧接され、走行部材１５ととも
に往復走行する。これによつてスリツト２２内お
よび上リツプ２０の外表面２３に付着した溶融金
属のスプラツシユが除去される。

前述のように走行用ねじ部材１７を多条に形成
し、この走行用ねじ部材１７を駆動するために高
速回転が可能な（例えばエアーモータ）駆動源４
１を使用することによつて、走行部材１５の往復
走行スピードを向上させることが可能となる。こ
れによつて操業中において走行部材１５したがつ
て除去部材１０の往復走行によつて、スリツト２
２がふさがれるために生じる製品の欠陥部分長を
可及的に少なくする。

このめつきノズル手入れ装置５は、その使用を
しないときには、第２図に示されるようにサイド
フランジ８の間隙４０内に除去部材１０の掻取部
３４ａ，３４ｂが入るようにスリツト２２の長手
方向に沿う一方端に移動させる。これによつて必
要スリツト長さｌ１を短くでき、装置をコンパク
トにできる。

前述の実施例では、除去部材１１は上リツプ２
０の外表面２３だけに設けられたけれども、本考
案の他の実施例として除去部材１１は上リツプ２
０および下リツプ２１の外表面２３，２４にとも
に設けられてもよく、また下リツプ２１の外表面
２４だけに設けられることも出来得る点について
は述べるまでもない。

以上のように本考案によれば、めつきノズルの
スリツトの相互に対向する上下両面に弾発的に圧
接される掻取部を有する除去部材をスリツトの長
手方向に往復走行することから、スリツト２２の
上下方向の幅がその長手方向において異なつてい
ても付着したスプラツシユを除去することが可能
であるとともに、スリツト内の目視では確認でき
ない個所に付着したスプラツシユも確実に除去す
ることが可能である。また従来技術のように作業
者が狭く複雑な装置を相手に高温雰囲気中におい
て危険かつ不確実な除去作業を行なう必要がな
く、さらに従来技術では不可能であつた密閉装置
を備えた連続溶融めつき設備においても有効にス
プラツシユの除去をすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の簡略化した縦断面
図、第２図は第１図のめつきノズルの手入れ装置
５の正面図、第３図は第２図の切断面線−か
ら見た断面図、第４図は除去手段７の分解斜視図
である。 ２……ストリツプ、５，６……めつきノズルの
手入れ装置、９……走行駆動手段、１０，１１…
…除去部材、２０……上リツプ、２１……下リツ
プ、２２……スリツト、３４ａ，３４ｂ，３７
ａ，３７ｂ……掻取部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 連続溶融めつき設備のめつき厚調整用気体噴出
   用の水平なスリツトにおける相互に対向する上下
   両面に弾発的に圧接される掻取部を有する除去部
   材と、 前記除去部材をスリツトの前記水平方向に沿つ
   て往復走行駆動する走行駆動手段とを含むことを
   特徴とする連続溶融めつき設備におけるめつきノ
   ズルの手入れ装置。