JPH0159887B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車輌タイヤのリトレツドの方法ならび
にその装置に係る。

車輌タイヤのリトレツドに当つては、新しいト
レツドをカーカスに取付け接着剤層を介してカー
カスと共に加硫処理を施す 最近の原料価格の高騰にともない、特に重量車
に限らず乗用車におけるタイヤのトレツドの付け
直しはますます関心のよせられる事柄になつてい
る。しかし、在来のタイヤトレツド面の取替え方
法はきわめて時間のかかるものであり従つて費用
がかさむものである。

車輌タイヤのリトレツドは主に２つの方法で行
うことができる。その内の１つの方法の場合、古
いトレツドを削り除いてから新しい予備加硫処理
ずみのトレツドをカーカスに備えつける。この方
法ではタイガム層をカーカスとトレツドとの間に
配置する。このように新しいトレツドをつけたタ
イヤは高圧かつ約60℃から150℃の温度のオート
クレーブ内で加硫処理する。加硫処理によりカー
カスにトレツドを取付けるのにこの方法の場合約
２時間から５時間かかる。加熱媒体は蒸気などの
高温流体が用いられる。この概略説明による方法
には例えば米国特許明細書第4157930号に記載の
いわゆるバンダツグ（Bandag）式、バキユーム
バルク（Vacuumvulc）式ならびにバルキヤツプ
（Vulcap）式などいろいろな変更例がある。もう
１つの方法によれば、未加硫処理の新しいトレツ
ドをカーカスの周りに位置ぎめさせ、その後トレ
ツドならびにトレツドとカーカスとの間の接続部
を加硫処理する。

上記米国特許明細書に加硫時間を短縮する方法
が記載されている。この方法によると、マイクロ
波エネルギーを使用してタイガム層を加熱し、こ
の層を予備加硫ずみのトレツドとカーカスの両方
に対して加硫処理する。この方法に用いるタイガ
ムは加硫温度において予備加硫を施したトレツド
より大きな散逸率を有しており、このためタイガ
ム層に対する加熱を集中させる。

マイクロ波エネルギーはタイヤ周面外に配置さ
れた装置によりタイヤの回転時に供給される。

上記米国特許明細書による方法により加硫時間
はかなり短縮する。しかしこの方法には若干の欠
点がある。その１つとしては、予備加硫を施した
トレツドがさらに必要以上に加熱をうける点があ
げられる。さらに、加硫工程中カーカス全体が加
熱される。これら欠点の原因はタイガム層がトレ
ツドならびにカーカスより大きな散逸率をもつて
いるので加硫温度またはその付近でエネルギーが
タイガム層に集中することにある。タイガム層の
温度を急速に上昇させるためカーカスには高温水
を満たし、これによりカーカスならびにトレツド
内における余りにも過激な熱発展を阻止する。即
ち、カーカスならびにトレツドを加熱することに
より熟成をうけその結果それらの寿命は短かくな
る。

従つて上記米国特許明細書に記載の方法の場
合、タイガムはカーカスならびにトレツドの材料
を持に考慮して選ばねばならぬ。さらに既述の如
くマイクロ波エネルギーの使用前にカーカスなら
びにこれと共にタイガムを加熱する必要がある。
従つて、この方法によればカーカスならびにトレ
ツドの両方が好ましからざる加熱をうける。

本発明は上述の如き方法よりはるかに簡単にし
てまた迅速な方法を提供するものである。さら
に、本発明によればより均一な品質レベルが達成
され、カーカスならびにトレツドの不要な加熱が
避けられる。

このように本発明は車輌タイヤのリトレツドの
方法に係り、この方法ではカーカスに予備加硫を
施せるトレツドと、カーカスとトレツド間に加硫
されてないタイガムとを備え、トレツド上方にマ
イクロ波射出装置を配し、マイクロ波をタイヤに
送りタイヤ内に加熱エネルギーを発生せしめるも
のである。本発明の持徴とする所は、電導体より
なるマイクロ波用反射器をタイガム層に隣接もし
くは層内従つてカーカスと予備加硫を施したトレ
ツドとの間に取付ける点にある。

本発明はさらに車輌タイヤのリトレツドのため
の装置に係り、この装置によればカーカスに予備
加硫を施したトレツドと、カーカスとトレツドの
間の加硫をしてないタイガム層が備えられ、タイ
ヤ上方に配されたマイクロ波射出装置によりマイ
クロ波がタイヤに射出されタイヤ内に熱エネルギ
ーが発生する。本装置の特徴とする所は、電導体
よりなりかつタイガム層に取付けるようになつた
マイクロ波用反射器を有している点にある。

添付図面参照の下に本発明の詳細を下記に説明
する。

第１図で、タイヤ１０の断面が概略図示されて
おりこのタイヤにはトレツド１と、タイガム２、
カーカス３、内部チユーブ４およびバルブ５が含
まれる。タイヤはリム６上に装着されている。

トレツドを取替えるべきタイヤにおいて、カー
カス３だけが残るように古いトレツドを削り除
く。次に、カーカス３の外側にタイガム層２を取
付け、タイガム層２上に完全に加硫を施したトレ
ツド１を取付ける。このように加硫に対する準備
の終つたタイヤ１０上にいわゆる外被７即ちタイ
ヤ１０の外面部を包むケーシングをねじこむ。こ
の外被にはタイガム層の加硫中トレツド１ならび
にタイガム層２をカーカス３に対し定位置に保つ
目的がある。外被７にはトレツド１との間の空気
を排気させるためのバルブ８が配置されている。

周知の加硫方法の場合、外被７で包まれたタイ
ヤ１０はオートクレーブに挿入され、オートクレ
ーブならびにタイヤの内部チユーブ４の両方を高
圧状態に保ちタイヤ全体を蒸気などで加熱する。
加硫温度に達し十分な時間にわたり維持されると
タイヤは冷却される。

上述の特許に記載の方法の場合、電圧状態に保
つたオートクレーブ内にタイヤ１０をおく。タイ
ガム層２を内部から加熱するよう熱水をタイヤの
内部チユーブに満たしそこに圧力をかける。その
後、タイヤ１０の回転中マイクロ波射出装置によ
りトレツド１を通じて送られるマイクロ波エネル
ギーによりタイガム層ならびにトレツド１が加熱
される。この最後に述べた方法には若干の欠点即
ち既述の如くカーカス３ならびにトレツド１が不
必要にはなはだしく加熱され、また熱水を含んだ
カーカスの加熱は時間がかかるものでありまたコ
ストを増大させるものであるという欠点がともな
つている。上記特許に記載の如く加硫工程にマイ
クロ波エネルギーを使用する時、スチールのラジ
ヤルタイヤの場合スチールコードが射出マイクロ
波のための反射器である。しかしながら、トレツ
ドの表面からスチールコードまでの距離はトレツ
ドの幅にわたりかなり変動し、スチールコードは
タイガム層と同じ幅をもつていない。従つて、タ
イガム層内に熱は不均一に分布し、同時にタイガ
ム層の外面部分を十分に加熱することの困難性が
発生する。これは完全に申し分のない製品の製造
に対する実質的な困難である。

本発明によれば、タイヤ１０は既述の如くねじ
こみ外被７を含むも電導体よりなる超短波用反射
器をタイガム層２に即ちカーカス３と予備加硫を
施したトレツド１の間に接続取付ける点を重要な
差異として製作されている。

本発明の第１好適実施例において、ウエブ状の
タイガム２が電導体よりなりカーカス３とトレツ
ドとの間に取付けられて使用されている。電導材
は好適には互いに平行間隔をおいておかれたワイ
ヤ９を包含している。好適実施例の場合、ワイヤ
９はタイヤ１０の円周方向即ちウエブ状タイガム
の長手方向に延びている。

第４図は第３図の断面と同じウエブ状タイガム
の横断面を示す。第４図に示すワイヤ９は加硫処
理してないタイガム層２に鋳込まれウエブ２の全
幅にわたり均等に分布している。

タイガム層２は普通約1.5mmないし２mmの厚み
をもつている。その場合約0.10mmないし0.20mm直
径のワイヤが好適であると判明している。ワイヤ
の適材は鋼と銅であるが同様に他の電導体も使用
ができる。これらワイヤの相互間のへだたりは射
出マイクロ波の周波数いかんによる。この距離は
射出マイクロ波の波長をλとして約λ／12でなけ
ればならぬ。この目的に適したマイクロ波周波数
は毎秒2450ミリサイクルである。この周波数使用
の場合、ワイヤを５mmないし15mm好適には10mmの
間隔に配置するのが適当であると判明している。

勿論かかるワイヤを加硫処理をしてないタイガ
ム層に鋳込む必要はなく、その他の方法でワイヤ
を取付けることができる。

本発明の第２の好適実施例によると、ワイヤや
ネツトの形をした電導材がタイガム層２の装着前
にカーカス３の頂部上に取付けられるかまたはタ
イガム層の装着後にその頂部上に取付けられる。
後者の場合、電導材は第１工程でトレツド１の下
面に取付けることができる。

上記諸実施例の共通点は、マイクロ波用反射器
として用いる材料はタイガム層２の幅に等しい幅
をカバーするように構成されていることである。
このため、タイガム層の全体にわたりマイクロ波
の見地からほぼ均等の状態が確保される。

本発明は本文初めに述べた如く上記方法を行う
ための装置にも同様に係る。

この装置にはマイクロ波用反射器が包含され、
その反射器は電導材よりなりタイガム層にまたは
タイガム層内に取付けるようになつている。この
装置の構造上の設計ならびにその各種の実施例は
本発明の上記方法についての既述の説明より明白
である。

電導材よりなるワイヤ９をタイガム２に取付け
ることにより電界強度ならびにそれと共にマイク
ロ波エネルギーがワイヤの位置に集中する。電界
強度E_tの接線方向の成分はワイヤ９がタイヤ１０
の円周方向に延びているので短絡している。この
結果、放射方向におかれた成分E_rはワイヤ９にお
いて最大となる（第５図参照）。

従つて、マイクロ波エネルギーのエネルギー密
度はトレツド１の表面１１から内方にタイガム層
２にかけて増加する。此は、トレツド１内の熱の
展開がその表面からタイガム層２に対するトレツ
ドの移り変りの所にかけて増加することを意味す
る。これによりトレツド１はタイガム層２におい
てもつとも熱せられる。展開された熱はタイガム
層２に伝導移送され、この層は加硫温度に加熱さ
れる。勿論、熱エネルギーも又タイガム層２内の
マイクロ波エネルギーによりタイガム層の化学成
分に相当した程度に直接展開される。

加硫ゴムは通常加硫温度において非加硫ゴムよ
り大きい散逸率をもつている。しかし上述の特許
においてはタイガム合成物は加硫トレツドより大
きい散逸率をもつものと述べられている。

従つて、タイガム層内に電導性ワイヤなどの如
き反射器を取付けることによりタイガム層がほぼ
タイガムのマイクロ波特性と係り無く加硫温度に
加熱される。同時に、トレツド１は部分的にだけ
そしてタイガム層２近くでもつとも加熱される。

本発明により加硫を実施する際、タイヤは周知
型式のオートクレーブ１４内に配置される。リム
６は被駆動回転軸にある保持部材１２により取付
けられる。位置ぎめしたタイヤ１０の外周に１つ
又は多くのマイクロ波装置１３を接続するように
オートクレーブ１４内に設ける。オートクレーブ
１４は僅かにその一部を第５図に示している。

オートクレーブ１４の内部は空気で例えば圧力
７バールまで加圧されており、タイヤ１０の内部
チユーブは空気で例えば９バールに加圧されてい
る。タイヤ１０のみならずオートクレーブ１４内
における空気は室温である。従つて、タイヤの内
部も外部もあらかじめ加熱されていない。オート
クレーブ１４ならびにタイヤ１０の加圧に次いで
タイヤは上記軸により回転をうけマイクロ波エネ
ルギーが装置によりタイヤに供給される。

既述の如く、熱はタイヤの周りに均等に分布す
る。例えば、トラツクタイヤのタイガム層を約
140゜ないし150℃の加硫温度に加熱するに要する
時間は約７分である。この温度でタイガム層２の
加硫は10分ないし12分間にわたり実施される。そ
の後、タイヤはオートクレーブ１４から取り出さ
れ外被７が除かれる。ここでタイヤが出来上が
る。

本方法によりカーカス全体は全工程中ほぼ冷間
状態に保たれる。熱展開はその大部分がタイガム
層２に関連して発生するので、トレツドの外部も
又実質的に冷間状態に保たれる。これらの諸利点
にも拘らず加硫時間は17分ないし20分と短かく、
これは従来方法に比してトレツド取替え費用を低
減するのに持に重要なことである。

リトレツド法のほぼすべてにおいて完全に加硫
処理を施したトレツド１はほぼ一定の厚みと僅か
にふくらんだ下面１５を有している。マイクロ波
用の反射器をタイガム層に取付けた本発明の方法
により、トレツド１を通じ反射器に貫通するマイ
クロ波の深さはトレツド１又はタイガム層２の全
幅にわたりほぼ一定であり、この事は展開される
熱がタイガム層２の全幅にわたり均等に分布され
ることを意味する。

マイクロ波エネルギーを加硫に使用する際には
既述の特許に記載の如く、上記の如きタイガム層
はその全幅にわたり不均等に熱せられる。

本発明によりカーカスならびにトレツドの外方
部分を実質上加熱することなしに迅速な加硫が可
能となる点は自明である。更に、加硫はきわめて
均等にして高い品質のものである。

更に、本方法は任意タイプのタイヤ例えば繊維
コードのタイヤならびに鋼コードのタイヤおよび
さまざまな寸法ならびに構造設計のタイヤに適用
ができるものである。ガラス繊維又はケブラ
（Kevlar）のコード入りのタイヤでさえ本発明に
よりリトレツドができる。

勿論、本発明はさまざまに変更実施できる。例
えば、反射器は特定なネツトや相互交さくするワ
イヤ、幅せまい長片などに設計することができ
る。

反射器は又、所定のマイクロ波周波数で電導性
となる十分な量の粉末状の電導材を設けたタイガ
ムよりなることもできる。

又、反射器はトレツド取替えの直前に施すこと
ができもしくは上述の如く例えばトレツドの下面
に鋳込むことにより予備形成することができる。

本文では圧力と寸法を例示的に説明してある。
勿論、圧力と寸法ならびにマイクロ波装置などは
トレツド取替えすべきタイヤにより選択し設計せ
ねばならぬ。

従つて、本発明は既述の如き実施例に限られる
ものではなく付属の特許請求の範囲内で変更がで
きるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部分解図示せるタイヤの概略横断面
図、第２図は加硫時の一般的な状態におけるタイ
ヤの概略横断面図、第３図はタイヤの外面部分の
拡大断面図、第４図は本発明の一実施例によるウ
エブ状タイガムの断面図、第５図は保持装置内の
タイヤの一部とマイクロ波射出装置の一部を示
す。 １：トレツド、２：タイガム層、３：カーカ
ス、９：ワイヤ、１０：タイヤ、１３：マイクロ
波射出装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ カーカスに予備加硫を施したトレツドと、カ
   ーカスとトレツド間に加硫されてないタイガム層
   とを設け、トレツド上方にマイクロ波射出装置を
   置きタイヤにマイクロ波を放射しこれによりタイ
   ヤ内に熱エネルギーを作り出すような乗物タイヤ
   のリトレツド法にして、電導材９よりなるマイク
   ロ波用反射器がタイガム層２に接続してないしは
   該層内に即ちカーカス３と予備加硫を施したトレ
   ツド１との間に取付けられることを特徴とする乗
   物タイヤのリトレツド法。 ２ 特許請求の範囲第１項による方法にして、電
   導材９を含むウエブ形状のタイガム２がカーカス
   ３とトレツド１との間に取付けられることを特徴
   とする方法。 ３ 特許請求の範囲第１項又は第２項による方法
   にして、平行間隔をおいて配置された電気材のワ
   イヤを含むタイガム層２がカーカス３とトレツド
   １との間に取付けられることを特徴とする方法。 ４ 特許請求の範囲第２項による方法にして、ワ
   イヤ９がタイヤ１０の円周方向即ちウエブ形状の
   タイガム２の長手方向に延びることを特徴とする
   方法。 ５ 特許請求の範囲第１項による方法にして、好
   適にはワイヤ９又はネツト形状の電導材がタイガ
   ム層２の装着前にカーカス３の頂部にか又はタイ
   ガム層の装着後にタイガム層２の頂部に取付けら
   れることを特徴とする方法。 ６ 特許請求の範囲第１項から第５項のいずれか
   １つの項による方法にして、マイクロ波用反射器
   として設けられた材料９をしてタイガム層２の幅
   に相当する幅をカバーせしめることを特徴とする
   方法。 ７ カーカス３に予備加硫を施したトレツド１
   と、カーカス３とトレツド１との間に加硫されて
   ないタイガム層２とが設けられ、トレツド１上方
   のマイクロ波射出装置１３によりタイヤにマイク
   ロ波を放射しタイヤ内に熱エネルギーを作り出す
   べくした乗物タイヤのリトレツド装置にして、電
   導材９よりなりタイガム層２に又は層内に取付け
   られるべくしたマイクロ波用反射器を包含するこ
   とを特徴とする装置。 ８ 特許請求の範囲第７項による装置にして、内
   部に電導体９のおかれたウエブ形状のタイガム２
   を包含することを特徴とする装置。 ９ 特許請求の範囲第８項による装置にして、電
   導体が平行間隔をおいて延びるワイヤであること
   を特徴とする装置。 １０ 特許請求の範囲第９項による装置にして、
   ワイヤ９がウエブ形状のタイガム２の長手方向に
   延びることを特徴とする装置。 １１ 特許請求の範囲第７項による装置にして、
   電導材のネツト又はワイヤ９がタイガム層２の装
   着前にカーカス３の頂部にか又はタイガム層２の
   装着後に該層２の頂部に取付けるべくしたことを
   特徴とする装置。