JPH0158774B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原動軸と従動軸とを係合離脱するクラ
ツチ機構に関するものである。

元来クラツチは大別すると歯と歯との係合によ
る抜差クラツチ及び摩擦係合による摩擦クラツチ
の２種に分類されるが、抜差クラツチは伝動は確
実であるが係合に際し衝撃を伴い、また離脱に際
しては従動体に慣性の影響を及ぼすことが大きい
故高速度の係合には適さず、また、伝動中に係合
から歯を離すには抵抗が大きいから掛外し装置に
は特別の考慮を要する難点がある。一方摩擦クラ
ツチは伝動は確実とはいえないが係合離脱に衝撃
も少なく、また慣性の影響を弱めることができ、
滑動係合子の滑動行程は極めて微少にて足り掛外
し機構を簡単にできる特徴を有する反面、摩擦ク
ラツチの場合は係合すべき摩擦面を押しつけつゝ
持続せねばならぬ不便があり、従つて二叉寄せ杆
により滑動鞘を加圧する場合にはピン及び案内溝
の摩滅が少くないことはよく知られている。

そこで本発明はこれらの欠点を解消し摩擦クラ
ツチにおいて、抜差クラツチと同様な伝動の確実
さと、いずれの方向の回転にも伝動でき、しかも
離脱の操作に際しては、その緩解操作を助勢すべ
く係合体自身が離脱方向に自己復帰作動して、ク
ラツチ操作が抵抗少なく容易に掛外しができ、従
つて掛外し機構も簡単なクラツチを提供しようと
するものである。

以下本発明の一実施例を図面について説明す
る。

原動軸１には内周側に円錐摩擦面３を有する円
盤４を固定し、従動軸２には外周に前記円錐摩擦
面３と平行する数個の凸条部５，５…と各凸条部
５，５間に中心から凸条部５までの半径より短か
く、かつその半径より大きい弧面で連なるカム面
６，６…とを等分に形成した多角円錐状（図面で
は五角形）のカム盤７をキー８を介して左右に摺
動しうるように軸装し、該カム盤の外周側にはカ
ム面６に対応して円錐コロ９をポケツト１０に嵌
入した環状保持器１１を嵌装すると共に、該保持
器の両側のフランジ１２，１２′をカム盤７の左
右側に夫々取付ボルト１３，１４で同心的に固着
した円板１５及び溝１６を有する摺動体１７の外
周縁上に支承させ、更にカム盤７の凸条部の一端
部から側部内方にかけて夫々バネ棒１８の一端を
コ字形に屈曲して埋設し、それらの他端を環状保
持器１１のフランジ１２に貫装して、バネ棒１９
の両端部の回動変位によるバネの力により環状保
持器１１と共に円錐コロ９が前記円錐摩擦面３と
カム面６とで形成される漸変空隙１９の大なるカ
ム面の中央位に復動するよう環状保持器１１を制
御し、また、カム盤７の内部数個所にスプリング
２０を内装すると共に、その各一端を摺動体１７
内方において従動軸２の螺子部２１に進退調節自
在に螺装したバネ調整環２２によりスプリング圧
力調整自在に支承させ、カム盤７と一体結合した
摺動体１７の溝１６にペダル操作もしくは操作レ
バーと連動する掛外し装置のレバー付フオーク２
３を係合させて多角円錐状カム盤７を従動軸２上
に左右に摺動するようにしたものである。

尚、環状保持器１１はバネ棒１８の代りにカム
盤７に一端を固定し、他端を環状保持器１１に連
結した数個のスプリング或は渦巻バネ等を以つて
引張り、所定位置に復帰するように保持させても
よい。

第１図及び第２図はクラツチの係合状態時が図
示されているもので、原動軸１が回転するとその
円錐摩擦面３により円錐コロ９がカム面６に沿う
て漸変空隙１９の小なる凸条部５側に昇り、この
為カム盤７に対し環状保持器１１が僅かに回転さ
れてバネ棒１８はカム盤７への固定部を支点とし
て第３図に示す如く円周の軸方向から傾斜状態を
呈し弾力が付与されると共に、円錐摩擦面３とカ
ム面６との漸変空隙１９の狭小部に円錐コロ９が
強固に挾まり係合されてカム盤７が円盤４と同方
向に回転し、原動軸１より従動軸２に伝動される
ものである。

然してペダル操作もしくは操作レバーと連動し
てレバー付フオーク２３をａ点を交点として第１
図の矢印方向に揺動させると、該フオークと係合
する溝１６を介して摺動体１７はバネ調整環２２
上を右方に滑動すると共に、これと一体結合され
た多角円錐状カム盤７及び円板１５も従動軸２の
キー８に沿うて右方に摺動され、円錐コロ９が円
錐摩擦面３と離間する瞬間、即ち円錐摩擦面３に
よる円錐コロ９への荷重が軽減されると同時に、
環状保持器１１が前記弾力を付与されたバネ棒１
８の原位置へ戻ろうとする反撥復元力によりカム
盤７に対して僅かに回転され、円錐コロ９の夫々
が円錐摩擦面３とカム面６とで形成される漸変空
隙１９の大なるカム面中央位置（第２図の仮線の
位置）の自動復帰して円錐コロ９を介しての圧接
動作の緩解作用を助勢し、円錐コロ９の円錐摩擦
面３、カム面６双方への圧接が即時に解放される
為、原動軸１の円盤４と従動軸２のカム盤７との
摩擦伝動が切れ、クラツチが解かれるものであ
る。尚、バネ調整環２２を従動軸２の螺子部２１
に沿うてカム盤７の方向に押し進めるとスプリン
グ２０の弾力が増強され、又後退させると減少し
てカム盤７を原動軸の円盤側に押し付ける力が調
整され、カム面６上に介在する円錐コロ９と円錐
摩擦面３との圧接力を加減することができるもの
である。

この発明によれば、上記のように原動軸側円盤
の円錐摩擦面と従動軸に左右に摺動しうるように
楔着軸装された多角円錐状カム盤の外周面の間に
はカム盤の凸条部間のカム面の中央位置が最大と
なる漸変空隙が形成され、環状保持器のポケツト
に嵌めた円錐コロがクラツチの係合操作によるカ
ム盤の摺動によつて円錐摩擦面に接すると同時に
その回転方向に向つてカム面上を漸変空隙の小な
る方向に環状保持器と共に移動して円錐摩擦面と
カム面の双方に円錐コロが益々強固に係合挾持さ
れるので、スリツプの慮れなく伝動の確実さと、
左右いずれの方向の回転にも容易に係合伝動する
ことができる。また、このクラツチ係合時のカム
盤に対する円錐コロ及び環状保持器の回動によ
り、一端カム盤に固定し他端を環状保持器に貫装
したバネ棒に弾力が付与され、環状保持器を介し
て円錐コロを漸変空隙の最大位置に戻そうとする
力が保有されている為、クラツチの離脱操作に際
しカム盤が僅かに従動軸上に摺動され、円錐摩擦
面による円錐コロへの荷重が軽減されるとバネ棒
の弾力により環状保持器を介して円錐コロが漸変
空隙の大なる位置に自動復帰してクラツチの緩解
作用を助勢するので、クラツチを離脱するのに大
きな抵抗を要したり、特別の掛外し装置を要する
ことなく簡単に離脱することができ、従つて本発
明のクラツチは構成簡単で高速度の係合、離脱に
も適し、ウインチ、各種産業機械の伝動車軸のク
ラツチとして有効で、また油中でも使用可能であ
り、更にブレーキとしても使用できる等用途が広
いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施するクラツチ機構を示す
断面図で係合状態を示す、第２図は同中央縦断側
面図、第３図は一部を切欠した平面図。 １……原動軸、２……従動軸、３……円錐摩擦
面、４……円盤、５……凸条部、６……カム面、
７……多角円錐状カム盤、８……キー、９……円
錐コロ、１０……ポケツト、１１……環状保持
器、１２……フランジ、１６……溝、１８……バ
ネ棒、１９……漸変空隙、２０……スプリング、
２２……バネ調整環、２３……レバー付フオー
ク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 原動軸には内側に円錐摩擦面を有する円盤を
   固定し、従動軸には外周に前記円錐摩擦面と平行
   する数個の凸条部と凸条部間に半径の大きい弧面
   で連なるカム面とを等分に設けて左右に摺動しう
   るように楔着された多角円錐状カム盤を軸装し、
   該カム盤の外側にはカム面の数に応じ円錐コロを
   各ポケツトに保持した環状保持器を嵌装すると共
   に、一端をカムに固定し、他端を環状保持器に連
   結した適宜のバネを設け、このバネの力により円
   錐コロが前記円錐摩擦面とカム面で形成する漸変
   空隙の大なるカム面中央位置に復動するよう環状
   保持器を制御し、更にカム盤の数個所に内装した
   スプリングを従動軸に螺装したバネ調整環により
   原動軸側に圧縮調整自在とすると共に、カム盤を
   その側方に設けた溝に掛外し装置を係合させて左
   右に摺動するようにしたクラツチ。