JPH0151461B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は建造物の天井、壁、床等を構成する構
築材料表面を化粧材で被覆するに際し、該構築材
料で構成される素地を調整するための新規な組成
物に係り、詳しくは前記素地の補修、補強を行う
と共に、引続き施工される塗材や内装材と素地と
の遮断機能を高め、同時に該塗材や内装材との密
着性等の諸品質を高上し、拠つて該塗材や内装材
の耐久性を著しく高めようとするものである。 従来より、建造物の塗装工事、吹付工事、内装
工事等の工事においては、床、壁、天井を構成す
る主なる材料であるコンクリート、モルタル、
ALC、PC、石綿ストレート、硅酸カルシウム板
等の構築材料を素地とし、あるいは再美装に際し
ては美装材を剥離せずこれに塗料や吹付材、壁紙
のごとき美装材を施工し、もつて、床、壁、天井
の美装並びに保護をはかつているが、係る構築材
料の素地や再美装時の素地（以下本発明素地とい
う）は一般に凹凸、目違い、ピンホール、レイタ
ンス等の欠陥を有する並びにぜい化していること
が多々ありこのためセメントペースやセメントモ
ルタル、あるいはこれらに乳化重合型合成樹脂エ
マルジヨンを混入またはアルカリ度の高い硅酸ソ
ーダを混入したものもしくは多種のパテなどを用
いて平滑化や穴埋め等の補修あるいは補強はかつ
ており、一方本発明素地に塗材や内装材のような
美装材を被覆するに際しては一般にシーラー、プ
ライマーなどと称される合成樹脂エマルジヨンや
合成樹脂溶液などの下塗材を予め塗付して本発明
素地の吸込み均一化や塗材との密着性向上などを
行い、引続いて美装材を施工しているのが現状
で、従つていわゆる補修又は補強というプロセス
と下塗材塗付というプロセスをとるのが当然とさ
れ、且つこれらのプロセスの一方を省略すること
はできなかつた。 本発明は、係る上述の２つのプロセスを一体に
行い得且つ遮断機能と種々の品質を向上し得る素
地調整用組成物を提供するものである。即ち、本
発明は、実質的に水硬性セメント、合成高分子の
水性分散液、及び式R₂O・nSiO₂（但し、ｎは2.5
〜10）で表わされる水溶性アルカリ硅酸塩を有効
成分として成るもので、該組成物は本発明素地の
補修、補強が可能なばかりでなく、引続き施工さ
れる美装材への本発明素地の悪影響（例えば、素
地のあくの浸出など）を防止し、且つ何ら下塗材
塗付を必要とすることなく直接施工でき、以て塗
材や内装材のごとき美装材の本来の諸品質を永年
にわたり保持し得るものである。以下、本発明の
構成について詳述する。 本発明に用いる水硬性セメントとは、ポルトラ
ンドセメント、アルミナセメント、混合セメント
などのものをいう。次に、合成高分子の水性分散
液とは、合成樹脂エマルジヨン及び合成ゴムラテ
ツクスを総称するもので、このような合成高分子
としては、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、
アクリロニトリル、イソプレン、ネオプレン、ク
ロロプレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸
エステル、プロピオン酸ビニル、スチレン、ブタ
ジエン、フエノール、ポリエステル、ビニルピロ
リドン、ビニルエーテル、塩素化ポリオレフイ
ン、ウレタン、アルキツド、アミノなどの単重合
体もしくは２種以上の共重合体の乳化重合型水性
分散液や溶液乳化型水性分散液をいうもので、こ
の内特に本発明素地の補強及び該素地と美装材と
の断機能をより向上する目的で溶液乳化型の合成
高分子水性分散液又はこれに乳化重合型の合成高
分子水性分散液を混合したものを用いるのが好ま
しく、概ねその混合比率は溶液乳化型100重量部
に対して乳化重合型２〜500重量部（但し固形分
換算で）とすると係る目的に適しくなる。更に本
発明に使用される水溶性アルカリ硅酸塩とは一般
式R₂O・nSiO₂（但し、ｎは2.5〜10）で表わされ、
Ｒはアンモニウム、アルカリ金属、グアニジンを
示すもので、硅酸のモル率はかなり高いものであ
る。これらの内、美装材自体の長期耐退色性を格
別に向上する及び再美装時の旧素地への密着性向
上などのために、硅酸アンモニウム、硅酸リチウ
ム及び硅酸カリウムと好ましいものとして列挙で
きる。 本発明組成物は以上の各構成成分から成るもの
であるが、これらは任意且つ自由に配合するより
も、夫々特定比率で混合することが好ましく、そ
の比率は、水硬性セメント100重量部に対し、合
成高分子の水性分散液が固形分換算で２〜100重
量部、水溶性アルカリ硅酸塩が１〜25重量部とす
るものである。即ち、合成高分子の水性分散液が
２重量部未満の時は、本発明素地の美装材への遮
断効果がさ程著しくなく又100重量部を越えると
本発明素地の補強効果が向上しにくい。また、水
溶性アルカリ硅酸塩が１重量部未満の時は長期耐
退色性の向上がさ程望めず、逆に25重量部を越え
て配合されると本発明組成物自体の使用可使時間
が極端に短かくなり長期耐退色性も低下する傾向
がでる。次に、本発明組成物の施工実施態様に際
し、上述有効成分に通常セメント系素地調整材と
して添加される添加剤や顔料、体質材、各種軽量
骨材などを添加して、作業性などの改良をするこ
とができる。更に、係る組成物の塗付施工に際し
付加しておくと、係る組成物を粉体と液体との２
乃至３成分の系にし使用時にこれらを混合し、概
ね混合後３時間以内に使用するを良しとするもの
である。この時使用する可使時間、即ち水硬性セ
メントとの水和硬化反応のある程度の調整は、各
種モルタルやコンクリート系の添加剤で調整し得
るものである。以下、実施例を示す。 実施例 １ 下記の配合で素地調整用組成物の粉体と混和液
を作成した。 粉 体 普通ポルトランドセメント 100重量部 ７号硅砂 90 〃 石 綿 10 〃 混和液 水 50重量部 メチルセルロース（２％水溶液） ２ 〃 溶液乳化型酢酸ビニルエマルジヨン（固形分
40wt％） 40重量部 硅酸カリウム（固形分40wt％、SiO₂／K₂Oモル
比2.8） ７ 〃 粉体と混和液をハンドマーゼルで均一に撹拌混
合した後に金鏝でJIS Ａ 1401に規定のモルタル
板に５mmの厚さに塗付し硬化乾燥させた。 こうして得た素地調整材層について、次の試験
を行つたところ第１表に示す結果を得た。 Ａ 透水性……JIS Ａ 6910の6.4に規定される
試験に準ずる。 Ｂ 耐衝撃性……JASS 23 Ｍ−103の5.7に規定
される衝撃試験による。 一方、上記素地調整材が塗付されたモルタル板
表面に、四国化研工業株式会社製高弾性復層模様
塗材「レナフレンド主材」を、下塗材を省いて所
定量直接塗付、更に仕上材を塗付して化粧層を得
た。この塗付供試体を１週間乾燥した後、次の試
験を行い第１表に示す結果を得た。 Ｃ 標準付着強さ……JIS Ａ 6910の6.3.2(1)に
規定される試験。 Ｄ 浸水後付着強さ……JIS Ａ 6910の6.3.2(1)
の規定に準じ、水中浸漬時間を30日間とする。 Ｅ アルカリ水浸水後付着強さ……上記Ｄの試験
の水に代えて飽和水酸化カルシウム水溶液を用
いる。 Ｆ 塗膜透水性……JIS Ａ 6910の6.4に規定さ
れる試験。 実施例 ２ 下記の配合で素地調整用組成物の粉体と混和液
を作成した。 粉 体 普通ポルトランドセメント 100重量部 ７号硅砂 90 〃 石 綿 10重量部 乾燥硅酸ソーダ（固形分90wt％、SiO₂／Na₂Oモ
ル比3.1） ５ 〃 混和液 水 55重量部 ヒドロキシエチルセルロース（２％水溶液）
２ 〃 溶液乳化型酢酸ビニルエマルジヨン（固形分
40wt％） 10重量部 乳化重合型スチレンエマルジヨン（固形分50wt
％） 25 〃 上記粉体と混和液を用いて、実施例と同じ方法
で調合し、Ａ〜Ｆの試験を行つた。その試験結果
を第１表に示す。 実施例 ３〜６ 実施例１において、合成高分子エマルジヨン及
び硅酸カリウムの配合量を夫々以下のように変更
した以外は実施例１の方法と同じ方法で素地調整
組成物を得、且つ実施例１と同じ試験を行つて第
１表に示されるような結果を得た。 ●溶液乳化型酢酸ビニルエマルジヨン：10重量部
……実施例３ ●溶液乳化型酢酸ビニルエマルジヨン：150重量
部……実施例４ ●硅酸カリウム：２重量部……実施例５ ●硅酸カリウム：20重量部……実施例６ 以上、実施態様の試験結果でも明らかなよう
に、本発明素地調整用組成物を用いると、通常の
ものに比し、素地の補強や塗材の密着性が向上
し、且つ下塗工程も省略できることがわかる。 【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ●水硬性セメント、 ●合成高分子の水性分散液、及び ●式R₂O・nSiO₂（但し、ｎは2.5〜10）で表わさ
   れる水溶性アルカリ硅酸塩 を有効成分として成る素地調整用組成物。 ２ ●特許請求の範囲第１項において、 ●水硬性セメントが100重量部、 ●合成高分子の水性分散液が固形分換算で２〜
   100重量部、及び ●水溶性アルカリ硅酸塩が１〜25重量部 である素地調整用組成物。 ３ 合成高分子の水性分散液は、溶液乳化型合成
   高分子分散液又は溶液乳化型合成高分子分散液と
   乳化重合型合成高分子分散液の混合物である特許
   請求の範囲第１〜２項のいずれかの素地調整用組
   成物。 ４ 水溶性硅酸塩が、硅酸アンモニウム、硅酸リ
   チウム及び硅酸カリウムから選ばれる少なくとも
   一種である特許請求の範囲第１〜２項のいずれか
   の素地調整用組成物。