JPH0146735B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は機械的作動装置を有するドラムブレー
キに関し、ブレーキドラム装着後ブレーキ外部か
らのワンタツチ操作により、コントロールケーブ
ル等の機械的連結装置の連結に適したブレーキド
ラムとブレーキシユーの間隙に確実に補正調整す
るものである。

ブレーキドラムの装着作業を容易に行なうため
に、従来は一対のブレーキシユーの直径を予め前
以てドラム径より可成り小さく設定していた。こ
のままの状態でコントロールケーブルを配索する
とハンドレバーストロークが大きくなるため、配
索以前に通常調整装置を手動にて作動し、換言す
るとブレーキドラムがロツクする状態まで調整ナ
ツトを回動した後、該調整ナツトを数コマ戻すと
云う調整作業を実施し、以てブレーキドラムとブ
レーキシユーの間隙を適正な量に補正していた。
従つてこの調整作業に多大の工数を要していた事
は勿論の事、多量生産であるドラムブレーキの組
立作業においては、作業者にとつても連続作業を
強いられる事になり苦痛であるのが実状である。
又、ブレーキレバーの後退位置を規制する手段と
して、例えば第４図に示すものが既知である。即
ち、ブレーキレバー７の先端部７Ｃに衝当する衝
当体１５′をバツクプレート３に弾性的に押込み
嵌着し、以て該レバー７の後退位置をその作動方
向に前進し得るものである。しかし乍ら、第４図
に示すブレーキレバー７の後退位置規制手段にお
いては、次の様な不具合を生じていた。

ブレーキ本体とドラムが車体に装架された後
に衝当体１５′の押込み作業をすることになる
ので、狭い場所で、しかもシユーリターンスプ
リング等に打ち勝つ押込力を必要とし、多量連
続生産工程には不向きである。

スペース上、衝当体１５′はバツクプレート
３の斜面部３ａに嵌着されるものが多い。この
場合には第４図から明らかな如く、衝当体１
５′の押込み方向が矢印Ａ方向となつてブレー
キレバー７の作動方向に対して傾く結果、ブレ
ーキシユー２を傾斜させてしまい正規のドラム
とブレーキシユーの間隙が得られなかつたり、
又、ブレーキレバー７とシユー２との板面の接
触面積が増大すると押込み操作が極めて困難に
なると共に、衝当体１５′を正常な位置に嵌着
させる付勢力が無いため、所謂半掛け状態にな
る虞れがあつた。

衝当体１５′は通常板ばね、ゴム又はプラス
チツク等の弾性材より成形しなければならず、
ブレーキ外部に露出して風雨にさらされると劣
化し易く長期に亘る信頼度が低い。又、弾力を
失して脱落すると該部分からブレーキ内に泥水
が侵入してしまう。

衝当体１５′を嵌着するバツクプレート３の
開口穴３ｂは一般的にプレス加工のままであ
る。従つて特にゴム、プラスチツク製のものに
おいては、その嵌着時に開口穴３ｂのエツジ部
分で削られて役目を果さなくなる場合がある。

本発明は簡単な構造で以て上述不具合を解消し
たものであつて、以下その一実施例を図面により
詳細に説明する。

第１図において１，２はバツクプレート３上に
可動的に装架された一対の対向するブレーキシユ
ーであつて、その外周に夫々ライニング１ａ，２
ａを貼着している。シユー１，２の夫々の上下両
隣接端はバツクプレート３に固定されたシリンダ
ー４及びアンカー５に当接されている。車室内の
ハンドレバー（図示せず）によりコントロールケ
ーブル６等を介して遠隔操作されるブレーキレバ
ー７は一方のシユー２の上方端近傍に回動可能に
ピン８で以て軸支される。ブレーキレバー７の中
間部分にはシユー１，２とブレーキドラム（図示
せず）との間隙を調整する機能を備えたストラツ
ト９の一端を係合させ、ストラツト９の他端は他
方のシユー１に係合される。前記ストラツト９は
ねじ棒１０、調整ナツト１１及び管部材１２より
構成され、バツクプレート３の外部からねじ回し
等の工具で以て前記調整ナツト１１の外周に刻設
した凹凸状の調整歯を回動すると、ねじ棒１０の
ねじ部が管部材１２より出入し、以てストラツト
９の長さを伸縮させ得るものである。１３ａ，１
３ｂはシユーリターンスプリングであつて、ブレ
ーキ不作動時シユー１，２を内方に引き込み、ス
トラツト９にシユー１及びブレーキレバー７を当
接させる。その結果、シユー１，２の外径はシユ
ー１及びブレーキレバー７と係合するストラツト
９の長さにより、しかもブレーキレバー７の自由
端部７ａの突出部７ｂがシユー２に当接して後退
位置が規制されることにより決められる。このブ
レーキレバー７の後退位置は突出部７ｂに限定さ
れるものでは無く、例えばブレーキレバー７を後
述する衝当体１５に直接衝当させても良いもので
ある。１４ａ，１４ｂはシユー１，２をバツクプ
レート３に軽く押えつけて保持するホールド機構
である。

本発明による一実施例を第２図のブレーキレバ
ー７の初期状態図により説明する。

衝当体１５の一方の軸部１５ａがバツクプレー
ト３に形成した斜面部３ａの開口穴３ｂに移動可
能に挿通され、前記軸部１５ａに巻装されたコイ
ルばね１６はバツクプレート３の内側と該軸部１
５ａの適所に嵌装したスナツプリング１７間に圧
縮介装されて、衝当体１５が常時ブレーキレバー
７の前進方向に付勢されている。しかして、初期
状態においては衝当体１５の他方に形成した頭部
１５ｂがバツクプレート３の外側から間隔を有す
る如く着脱自在なストツパー１８により保持され
る。望ましくは、ストツパー１８にバツクプレー
ト３端縁より突出せる把手部１８ａを設けるとそ
の着脱が極めて容易になる。

上述構成において、ストラツト９の長さをブレ
ーキドラムが容易に組立てられる範囲内の所定長
さに予め前以て設定しておく。しかしてドラム装
着後ストツパー１８を離脱すれば第３図に示す如
く、衝当体１５はコイルばね１６の付勢力により
シユーリターンスプリング１３ａ等の戻し力に抗
して頭部１５ｂがバツクプレート３に衝当するま
で移動する。以て、その後のブレーキシユー７の
後退位置はブレーキレバー７と軸部１５ａの端面
が衝当して規制されることになる。従つて初期状
態においてブレーキレバー７の先端部７ｃと衝当
体１５の先端が当接している場合には第２図に示
すバツクプレート３の外側から衝当体１５の頭部
１５ｂまでの寸法δ相当分ブレーキシユー１，２
の外径が拡張され、コントロールケーブル６の配
索に適したブレーキドラムとブレーキシユー１，
２の間隙に補正調整し得るものである。コイルば
ね１６による衝当体１５への付勢力の方向は第４
図に示す徒来例と同じ方向であるが、衝当体１５
には常時付勢力が付与されているので、仮にブレ
ーキレバー７の前進方向への抵抗が大きい場合に
おいても、ケーブル６配索時にはブレーキシユー
１，２をブレーキドラムに圧着し、その後所定の
量だけ戻すと云うハンドルレバー側でのケーブル
６調整作業が行なわれるため、衝当体１５がブレ
ーキレバー７の戻し抵抗から開放されて正常に、
しかも容易に移動し得るものであり、誤組立の虞
れが全く無い。

尚、ブレーキレバー７の自由端部７ａにはコン
トロールケーブル６の一端を掛止せしめ、且衝当
体１５に衝当する折曲部がバツクプレート３に向
つて形成されているが、その先端部７ｃを前記バ
ツクプレート３に形成した斜面部３ａとほぼ平行
に成る様に折曲すればエツジ当りが防止出来るの
で更に好ましい。

上述から明らかな如く本発明によれば、作業容
易なワンタツチ離脱操作により、コントロールケ
ーブル６配索のためのブレーキドラムとブレーキ
シユー１，２の間隙を確実に適正な量に補正出来
るので、その調整作業が極めて容易であり、調整
ナツト１２を回動していた調整作業及び作業者が
不要になりトータルコストが大幅に低減される等
多大の効果を有するものである。又、本発明は上
述実施例に限定されるものでは決して無く、幾多
の変更が可能であることは当技術分野に習熟した
者には明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来公知のドラムブレーキの平面図、
第２図、第３図は第１図の−断面図であつ
て、第２図はブレーキレバーの初期状態図、第３
図はストツパー離脱後の状態図、第４図は従来公
知例である。 １，２……ブレーキシユー、３……バツクプレ
ート、３ａ……斜面部、３ｂ……開口穴、６……
コントロールケーブル、７……ブレーキレバー、
７ｃ……先端部、９……ストラツト、１０……ね
じ棒、１１……調整ナツト、１２……管部材、１
５，１５′……衝当体、１５ａ……軸部、１５ｂ
……頭部、１６……コイルばね、１７……スナツ
プリング、１８……ストツパー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一方のブレーキシユーを作動するブレーキレ
   バーと、その反力を他方のブレーキシユーに伝達
   するストラツトより構成される機械的作動装置を
   有し、前記ブレーキレバーが後退位置に支持され
   てブレーキドラムとブレーキシユーの間隙を規制
   しているドラムブレーキにおいて、バツクプレー
   トに取付けた衝当体をばね手段により付勢し、前
   記衝当体に嵌着したストツパーを離脱することに
   より衝当体が突出して、ブレーキレバーの後退位
   置をその作動方向に移動させ、以てブレーキドラ
   ムとブレーキシユーの間隙を小さくせしめること
   を特徴とするドラムブレーキのブレーキシユー拡
   張装置。