JPH0139954Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は無段変速機に用いられるチエーン式ス
チールベルトに関するものである。

（従来技術） Ｖ型プーリー式無段変速機において、大動力の
伝達を可能とし、伝達効率の向上を図るには、上
記Ｖ型プーリーに巻き掛けられるチエーン式スチ
ールベルトとの摩擦力を強化することが必要であ
る。該摩擦力の強化には摩擦係数の増強、又は該
スチールベルトを両側面から圧縮するところのス
ラスト荷重の強化のいずれかが必要な訳である
が、上記スラスト荷重を大きくすれば、必然的に
チエーンサイズも大きくなり、スラスト荷重を大
きくするための予備装置も大きくしなければなら
ず、できれば摩擦係数の増強が手軽である。

特にこの種のチエーン式スチールベルトは油中
下で使用されることが多く、Ｖ型プーリー間に作
用する摩擦係数の影響は極めて重要である。

勿論、Ｖ型プーリー式無段変速機に巻き掛けら
れるチエーン式スチールベルトとの間に滑りを無
くすために、該Ｖ型プーリー傾斜面を粗面化した
り、凹凸状の溝を形成しものも存在しているが決
して十分とは言えない。

（本考案が解決しようとする問題点） このようにＶ型プーリーに巻き掛けられるスチ
ールベルト間に作用し合う摩擦係数は一般的に低
く、そのためＶ型プーリーによるスラスト荷重を
大きくとり、発生する摩擦力の向上を図つている
が、必然的に上記スラスト荷重に対抗するためチ
エーンサイズは大きくなり、重量も重くなつてし
まう。本考案はこれら問題点の解決を目的として
開発されたもので、摩擦係数を大きくすること
で、より小さなスラスト荷重にして大きな摩擦力
の発生、しいては大きな動力の伝達を可能とした
スチールベルトの提供を目的としたものである。

（問題点を解決するための手段） Ｖ型プーリー傾斜面と、チエーンリンクに装着
され、該傾斜面と摩擦接触するＶブロツク間の摩
擦係数を高めるためには、接触ヘルツ圧力を高
め、該傾斜面とＶブロツク両端面間に介在する潤
滑膜厚をできる限り薄くすることが必要である。

そこで上記ヘルツ圧力を高める手段としては、
実質的接触面積を小さくしなければならない訳で
あるが、接触端部が早期に摩耗し、ヘルツ圧力を
長期間高く維持できなかつたり、逆にプーリーを
局部的に摩耗させ、変速時の傾斜面上でのＶブロ
ツクの移動を妨げたりするようではいけない。

本考案はヘルツ圧力を高めても、Ｖブロツク端
面の早期摩耗、及びＶ型プーリー傾斜面の局部的
異常摩耗を防止したチエーン式のスチールベルト
である。以下本考案に係るスチールベルトの１実
施例を図面に基づいて詳細に説明する。

（実施例） 第１図及び第２図は本考案のスチールベルトの
１形態を表したもので、外リンク１、内リンク
２、ピン３、及びブシユ４で一連のチエーンを構
成しており、上記外リンク１、内リンク２はＶ型
プーリーに巻き付いた際の内側に突出部５を凸状
に突出させ、該突出部５に形成した孔に、上記Ｖ
型プーリーと摩擦接触するＶブロツク６，６を取
着している。ところで、該Ｖブロツク６両端面
７，７はＶ型プーリー傾斜面の傾斜角と一致し、
所定の角θをもつて傾斜しているが、上記端面７
には凸部８を対角線上に形成している。勿論、必
ずしも対角線上に限定するものではないが、この
場合、Ｖ型プーリー傾斜面との接触縦長さはＬと
なり、高いヘルツ圧力を得ることができ、しかも
プーリーへの入射及び離脱時にはＶブロツク６は
横長さｔだけ移動し、縦方向にはｌだけ移動する
ことになり、すなわちＶブロツク６の全縦、横長
さｌ，ｔを使用することになり、Ｖ型プーリーの
局部摩耗の発生を防止する。第４図は本考案の他
の実施例であつて、凸部８を互いに平行に二本形
成した場合であり、第１図の場合より実質接触面
積は大きくなる。さらに第５図はＶブロツク６自
体を平行四辺形断面として、内外リンク１，２の
突出部５に形成した平行四辺形孔に取着した場合
であり、該Ｖブロツク６の厚さは上記凸部８の幅
に相当とする大きさとしている。

以上述べたように本考案に係るスチールベルト
はＶ型プーリー傾斜面と摩擦接触するＶブロツク
６両端面７，７に所定の傾斜角Ｑをもつて、小さ
な幅の凸部８を形成するか、若しくはＶブロツク
６自体を、厚さを小さくして斜めに傾斜して取着
したもので、以下に述べる効果を得ることができ
る。

（効果） １ 本考案に係るスチールベルトのＶブロツク６
両端面７，７にはＶ型プーリー傾斜面と実質的
に摩擦接触する凸部８を形成し、該傾斜面間に
作用するヘルツ圧力は高くなり、介在する潤滑
膜は薄くなり、大きな摩擦係数を呈するに至
る。したがつてＶ型プーリーから作用するスラ
スト荷重は小さくても所定の摩擦力の発生によ
り動力伝達を行うことができるので、チエーン
サイズも比較的小さく、軽量化することが可能
となる。

２ Ｖ型プーリー傾斜面とＶブロツク６端面７間
の実質接触面積が低下しても、該凸部８をチエ
ーンピツチ線に対し、垂直方向でなく所定角傾
斜して形成しているため、Ｖ型プーリーへの入
射時及び離脱時には縦横の長さに相当する距離
をＶブロツク６は移動でき、Ｖ型プーリー傾斜
面の局部摩耗を防止でき、変速装置としての機
能を長期間に亘り維持できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案に係るスチールベルト
の１形態であり、第１図は正面図を、第２図は第
１図におけるＡ−Ａ断面図を表し、第３図ａはＶ
ブロツク端面拡大図で、第３図ｂは第３図ａにお
けるＢ−Ｂ断面を、さらに第４図、第５図は他の
実施例で１リンクのみ示している。 １……外リンク、２……内リンク、３……ピ
ン、４……ブシユ、５……突出部、６……Ｖブロ
ツク、７……端面、８……凸部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ Ｖ型プーリーに巻き掛け使用されるチエーン
   であつて、該チエーンを構成するリンクを上記
   Ｖ型プーリーに巻き付けた際の半径方向内側に
   突出部を凸状に突出させ、該突出部に形成した
   孔を利用して、Ｖ型プーリー傾斜面と摩擦接触
   するＶブロツクを取着して成る無段変速機用の
   チエーン式スチールベルトにおいて、上記Ｖブ
   ロツク端面に上記Ｖ型プーリー傾斜面と接触す
   る凸部をチエーンピツチ線直角方向に対し傾斜
   して設けたことを特徴とするスチールベルト。 ２ 上記凸部を端面に対角線上に形成した実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のスチールベル
   ト。 ３ 上記凸部に相当する大きさのＶブロツクをチ
   エーンピツチ線直角方向に対し傾斜して取着し
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載のスチー
   ルベルト。