JPH0139177B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は一般に回路遮断器に関し、特に短絡
状態で作動して遮断器を流れる電流を事故電流以
下の回路の供給できる値にまで限流する限流回路
遮断器に関するものである。

過電流に基づく損傷に対して保護する目的で、
産業、居住および商業用の施設で、遮断器が広く
用いられる。電気的なエネルギーの使用の増加に
伴つて、この電気的なエネルギーを供給する電源
の容量も大きくなつてきた。そこで、もし短絡事
故が発生すれば、配電回路に、極めて大きな電流
が流れ得る。かような状態では、従来の遮断器は
その下流につながれた装置に与えられるきびしい
損傷を防ぐことができない。

非常に大きな事故電流を供給し得る電力ソース
につながれた回路に必要な程度の保護を行うもの
として、限流遮断器が開発された。ある型の遮断
器では、短絡状態の続く間に、接点の極めて速い
分離を行わせるように動作することにより、かよ
うな限流作用が行われる。この作用により、接点
間のアークにアーク電圧ができ、この電圧が急速
に系統の電圧に近づく。そこで、接点間を流れる
電流が限流されることになる。従来のこの型の限
流遮断器は、それが用いられる場合によつては有
効なものではあるが、さらに度な限流作用を行
う遮断器が望ましいであろう。さらに従来の限流
遮断器は、製造のコストがく、大きさが嵩
く、従つてその使用の可能性が限られた。そこ
で、さらに経済的なコストで、さらに小さなサイ
ズの、性能のい限流遮断器を得ることが望まし
い。

従つて、本発明の目的は、構造を複雑にせずに
また大型にせずに優れた限流作用を呈する限流回
路遮断器を提供することである。

この目的のために、本発明によれば、接点閉位
置および接点開位置に可動の接点腕支持体、およ
び掛止されたとき上記接点腕支持体を上記接点閉
位置に動かす上記操作機構の動作を可能にし、釈
放されたとき上記接点腕支持体を上記接点開位置
にさせる上記操作機構の自動的動作をさせる掛止
部材を有する操作機構と、電流路が通つて延び
て、この電流路に所定値の過電流が流れたとき上
記掛止部材を釈放させる電流応答引外し装置を含
み、一方が上記接点腕支持体に接続されて上記接
点閉位置及び上記接点開位置間で上記接点腕支持
体と共に移動する一対の長い接点アームを有する
少なくとも一つの極ユニツトとを備え、上記極ユ
ニツトは、その周囲に磁束路およびスロツトを形
成する磁気駆動装置を有し、上記長い接点アーム
は、互いに離間して平行に延びてそこを通つて流
れる電流が互いに反対方向であるように上記電流
路に接続され、上記接点アームは上記磁気駆動装
置の上記スロツト内に延びており、もつて電流が
そこを流れたとき上記接点アームが上記電流によ
り生ずる電磁接点開離力を受けるようにされてな
り、上記一方の接点アームは、上記電流が上記所
定値より高い閾値を越えたとき、上記接点腕支持
体と無関係に、閾値を越えた電流による電磁力に
より、上記接点開位置に急速に動いてこの電流を
限流するように上記接点腕支持体に枢着され、上
記引外し装置は、上記限流された電流に応答して
上記掛止部材を釈放し、上記接点腕支持体を上記
接点開位置に動かして、上記接点アームが接点再
閉成方向に実質的に動く前に、独立して動かされ
た上記接点アームをそこに維持するように構成さ
れてなる限流回路遮断器が得られる。

このような限流回路遮断器の構成によれば、反
対方向に電流が流れる平行な接点アームによる構
成された電磁力学的反発装置と、スロツトモータ
ー型の接点アーム駆動装置とを組み合わせて、重
大な事故時あるいは短絡時に、極めて大きな接点
開離速度を得てアーク電圧を急激に増大させ、非
常に有効な限流を行うことができるのである。更
に、この優れた効果は、回路遮断器に不当に複雑
にあるいは大型にせずに達成できるものであり、
既存の回路遮断器内にスロツトモーター型の駆動
装置を組み込んで回路遮断器の接点に作用させる
ものであつて、補強的な接点部材を有する補助的
な限流装置を用いるものではない。更に、本発明
の限流回路遮断器は特別のマツチ機構を必要とせ
ず、回路遮断器の操作機構および引外し装置を用
いて、独立して可動の接点アームの接点閉位置の
再発弧距離内への跳り返りを防ぐことができるの
である。

図面で、同じ符号が相当する部材、要素に付け
られている。第１図に、絶縁ハウジング５とこの
ハウジングの中に収められた速遮断機構７とか
ら成る３極遮断器３が示されている。ハウジング
５は、全体として平板状の背面を持つ絶縁ベース
９とこのベース９に取付けられる絶縁フロントカ
バー１１とで構成されている。ハウジング５は、
この分野でよく知られているように、ハウジング
内部を三つの横に並ぶ極ユニツト室に分ける絶越
仕切を備えている。

遮断機構７は、中央の極ユニツトに設けられる
単一の操作機構１３と単一のラツチ機構１５から
成つている。遮断機構７には、三つの極ユニツト
のそれぞれに設けられる、別々の熱動トリツプ装
置１６と速電磁トリツプ装置１７も含まれる。

遮断器のそれぞれの極ユニツトで、上側と下側
の回動可能な接点アーム２０と２２に、分離可能
な接点１９，２１が取付けられている。それぞれ
の極ユニツトに消弧ユニツト２３が設けられてい
る。導電性材料で作られた上側接点アーム２０を
介して、上側接点１９が可撓導体即ちシヤント２
４に電気的につながれ、このシヤント２４が、導
電性ストリツプ２５と熱動および高速電磁トリツ
プ装置１６，１７を介して、端子コネクタ１６，
１７を介して、端子コネクタ２６に接続されてい
る。同じく導電性材料で作られた下側接点アーム
２２と可撓導体即ちシヤント２７と導電性ストリ
ツプ２８を介して、下側接点２１が同じような端
子コネクタ２９に接続されている。遮断器３が第
１図に示される閉路位置にあるとき、端子コネク
タ２６から導電性ストリツプ２５、シヤント２
４、上側接点アーム２０、上側接点１９、下側接
点２１、下側接点アーム２２、シヤント２７と導
電性ストリツプ２８を通つて端子コネクタ２９に
至る電気回路が成立つ。

ステープル３４によりクロスバー３５に固定さ
れた回転キヤリツジ３２に、軸点３０で回動可能
に上側接点アーム２０が結合され、接点閉位置
（第１図）と接点開位置（第３図）との間で枢動
可能な接点腕支持体が構成されている。従つて２
０は、キヤリツジ３２の枢軸に対して平行に離間
した関係にある軸３０の回りでキヤリツジ３２か
ら独立して枢動できる。キヤリツジ３２に設けら
れたブラケツト３７と上側接点アーム２０の左端
との間に取付けられた引張りバネ３６が、キヤリ
ツジ３２上のストツパに対して接点アーム２０の
左端を偏倚して上側接点アーム２０を第１図に示
される位置に維持する。そこで、遮断器を流れる
電流が通常状態にあるとき、上側接点アーム２０
とキヤリツジ３２がクロスバー３５と一体になつ
て回転する。

この３極遮断器の中央の極ユニツトに単一の操
作機構１３が設けられ、この機構が、遮断器の中
央の極ユニツトでベース９に固定された１対の互
いに隔てられた金属の堅い支持側板４１に支持さ
れている。この側板４１に、逆Ｕ字型の操作レバ
ー４３が回転可能に取付けられ、この操作レバー
４３の両脚の端が側板４１のＵ字型の長孔５６の
中に置かれている。

Ｕ字型の操作レバー４３が滑り板４６の孔を通
つて延びる部材４４を持つている。この滑り板４
６は、支持板４７により、カバー１１に滑り可能
に取付けられ、モールドされたハンドル４９に嵌
め込まれた部材４８を持つている。

上側リンク５３と下側リンク５５とから成るト
グルを介して、釈放可能な掛止部材即ちクレード
ル５７に、中央の極ユニツトの上側接点アーム２
０が連結され、このクレードル５７が、ピン５９
により、側板４１に回転可能に取付けられてい
る。トグルの二つのリンク５３と５５が、ひざピ
ボツトピン６１により互いに回転可能に連結され
ている。トグルリンク５５はピン６５により、中
央極ユニツトのキヤリツジ３２に回転可能に取付
けられ、トグルリンク５３は、ピン６３により釈
放可能なクレードル部材５７に回転可能に連結さ
れている。操作レバー４３の凹んだ部分とひざピ
ボツトピン６１との間に、オーバセンタ操作バネ
６７が引張りを与えてかけけられている。ベース
９の軸点１８に、下側接点アーム２２が回転可能
に取付けられている。

下側接点アーム２２は、板バネ３１により軸点
１８を中心とする左廻りの力を与えられ、その動
きが固定のストツパと共働するピン４０で限定さ
れる。閉路位置における上側アーム２０に働く右
廻りの力が、下側アーム２２に働く左廻りの力よ
り大きいから、アームの間に、第１の接触点から
充分な閉路位置に至るまでにいくらかの行過ぎ
（オーバートラベル）が与えられる。このことに
より、接点の摩耗が補償される。

第１図でON位置からOFF位置まで左向きにハ
ンドル４９を手で動かすことにより、接点１９と
２１が手動で開かれる。この動きにより、滑り板
４６が操作レバー４３を左廻りに回転させる。こ
の操作レバーの回転が、オーバセンタ操作バネ６
７の作用点をトグル５３，５５が左へ折れるのに
充分に左へ移し、クロスバー３５が三つの極ユニ
ツトの上側接点アーム２０と共に左廻りに回転
し、三つの極ユニツトの接点を開かせることにな
る。その結果、操作機構１３は第１図で鎖線で示
される位置をとる。

ハンドル４９をOFF位置からON位置まで、逆
向きに移動させることにより、手動で接点が閉じ
られる。このハンドルの移動で、オバーセンタ・
バネ６７の作用点が右へ移動させられて、トグル
リンク５３，５５が第１図に示される位置へ移
る。この動きによりクロスバー３５が右廻りに回
転させられ、三つの極ユニツトの上側接点アーム
２０が閉位置に動かされる。

釈放可能なクレードル５７がラツチ機構１５に
より第１図に示される位置でラツチされる。ラツ
チ機構１５は、主ラツチ部材７１と軸点７０で支
持される絶縁トリツプバー７３とで構成される。
主ラツチ部材７１は、全体としてＵ字型のラツチ
レバー７５と、このレバー７５の両端の脚に設け
られた１対の長孔７８の中にあつて限られた範囲
で移動可能なローラ７７とから成つている。ねじ
りバネ８１により、ローラ７７が長孔７８の一方
の端へバイアス偏倚されている。主ラツチ部材７
１は、ピン８３により、側板４１に回転可能に支
持される。クレードル５７の自由端が、ラツチレ
バー７５のＵ字の底に設けられた長孔の中で移動
する。

トリツプバー７３は、側板４１に回転可能に支
持されるモールドされた絶縁部材であつて、これ
に、主ラツチ部材７１のラツチ・レバー７５のＵ
字の底に係合して、主ラツチ部材７１を第１図の
位置でラツチする副ラツチ部材８９が設けられて
いる。釈放可能なクレードル５７には、フツク部
５８が設けられ、これがローラ７７と係合して、
クレードル５７を第１図の位置でラツチする主ラ
ツチ面として働く。

主ラツチ部材７１に、その上端に一端が固定さ
れたバイアス・バネ７２がある。このバネ７２の
他方の端は、トリツプ・バー７３に押付けられて
いる。バイアス・バネ７２は圧縮状態にあつて主
ラツチ部材７１にその軸８３を中心とする右廻り
に回転の力を与える。そこで、トリツプ・バー７
３が左廻りに回転して副ラツチ部材８９を持上
げ、ラツチ・レバー７５の上端から引放すと、バ
イアス・バネ７２が主ラツチ部材７１を右廻りに
回転させ、クレードル５７をローラ７７から釈放
させる。バイアス・バネ７２の作用は、後で述べ
るように、リセツト操作中には無効にされる。

それぞれの極ユニツトに別々の電磁応答引き外
し装置即ち速電磁トリツプ装置１７が設けられ
る。これらの電磁トリツプ装置１７はそれぞれ、
全体としてＵ字型の、その脚が導電部材２５の廻
りに延びるポールピース９５から成つている。ハ
ウジング５に回転可能に取付けられたアーマチユ
ア９７に積層された磁性を持つクラツパ１０１と
アクチユエータ１０３とがある。

極ユニツトのそれぞれに、別々の熱動トリツプ
装置１６も設けられる。熱動トリツプ装置１６
は、導電性ストリツプ２５に溶接されたバイメタ
ル要素１０５から成つている。バイメタル要素１
０５の上端に調節ネジ１０７が設けられている。

遮断器が第１図のラツチされた状態にあると
き、操作バネ６７が、トグルリンク５３とピボツ
トピン６３を介して、クレードル５７にピン５９
を中心とする右廻りのバイアスを与えるように働
く。主ラツチ部材７１のローラ７７の下にあるフ
ツク部５８のラツチ面との係合によつてクレード
ル５７の右廻りの動きが〓束され、主ラツチ部材
７１がピン８３を中心として右廻りに引張られ
る。このピン８３を中心とする主ラツチ部材７１
の右廻りの動きが、主ラツチ部材７１とトリツ
プ・バー７３の副ラツチ部８９との係合により〓
束される。トリツプ・バー７３の副ラツチ部８９
に対する主ラツチ部材７１の力は、トリツプ・バ
ー７３の軸受７０の軸線を通じて、トリツプ・バ
ー７３をその軸の廻りに回転させることなく、主
ラツチ部材７１の右廻りの動きがトリツプ・バー
７３により〓束されるように働く。そこで、トリ
ツプ・バー７３は、ニユートラルすなわちラツチ
位置にあつて、主ラツチ部材７１とクリードル５
７を第１図に示されるそれぞれのラツチされた位
置でラツチする。

遮断器は第１図の接点の閉じられたリセツト位
置で示されている。極ユニツトのどれかに、定め
られた値を超えるい過負荷電流が現われると、
クラツパ１０１がそれに組合わされたボールピー
ス９５に向けて吸引され、そこでアーマチユア９
７が右廻りに回転して、ポールピース９５とクラ
ツパ１０１の間のエヤギヤツプを閉じ、アーマチ
ユア・アクチユエータ１０３が、トリツプ・バー
７３の部分７９に作用してこれを押す。このこと
により、トリツプ・バー７３の左廻りの回転が生
じて、トリツプ・バー７３のクラツチ部材８９が
ラツチ・レバー７５との係合から離脱する。ここ
で、ローラ７７に働くクレードル５７の上向の力
が主ラツチ部材７１を右廻りに回転させ、クレー
ドル５７のフツク部５８が釈放される。ひざピン
６１に働く操作バネ６７の力が上側トグルリンク
５３を介して伝えられて、クレードル５７が軸点
５９の廻りに、右廻りに回転させられる。引続い
てクレードル５７が回転することにより、上側ト
グル・ピン６３が、操作バネ６７の作用線の右へ
移されて、トグル５３，５５が折れ、キヤリツジ
３２とこれに取付けられたクロスバー３５が左廻
りに回転させられ、すべての上側接点アーム２０
が左廻りに回転し、三つの極ユニツトの接点が同
時に開かれる。この動きの間に、ハンドル４９
が、よく知られているように、OFF位置とON位
置との間のTRIP位置へ移動して、遮断器のトリ
ツプ状態の表示をする。

遮断器が第３図に示されるように自動トリツプ
動作を行つたのち、この遮断器を手動で操作でき
るようにするには、遮断機構をリセツトしラツチ
する必要がある。このリセツト操作を行うには、
ハンドル４９を中間のTRIP位置から左へ、OFF
位置いつぱいまで移動させる。この移動の間に、
滑り板４６が操作レバー４３の部分に働いて、操
作レバー４３を、側板４１の長孔５６にある軸点
を中心として左廻りに回転させる。操作レバー４
３の下へ延びる部分４５がこれに対応するクレー
ドル５７の面５４と係合して、クレードル５７を
第３図に示される位置から左廻りに軸点５９を中
心として回転させる。

この連動の間に、クレードル５７のフツク部５
８が主ラツチ部材７１のラツチ・レバー１５のＵ
字の底に形成された長孔の中を下つて、このフツ
ク部がローラ７７と接触し、このローラの長孔の
中を右へ移動させ、ローラをこすつて通りすぎ
る。クレードル５７のフツク部５８がローラ７７
を通りすぎると、ローラ７７がバネ８１により第
１図の位置に素早く戻る。主ラツチ部材７１が第
１図の位置に達すると、この部材の一部がトリツ
プ・バー７３の副ラツチ部材８９を超え、そこで
バネ７２がこの副ラツチ部材８９に主ラツチ部材
７１とラツチ係合する力を与え、主ラツチ部材７
１を第１図の位置でラツチする。そののち、オペ
レータがハンドル４９を放すと、バネ６７が再び
トグルリンク５５に働いて、クレードル５７を右
廻りに回転させ、フツク部５８を押上げて第１図
の位置でローラ７７をラツチさせる。そののち、
ハンドル４９は手でON位置とOFF位置との間を
移動させて、接点を開閉できることになる。

遮断器が第１図に示される閉じられてラツチさ
れた位置にあるとき、低電流の過負荷状態が現わ
れると、これにより発生する熱でバイメタル要素
１０５の上端が第１図で右へ曲る。調節ネジ１０
７がアーマチユア９７のアクチユエータ１０３に
当たる。これにより、トリツプバー７３の左廻り
の回転が行われ、トリツプ動作が始まり、前に磁
気トリツプについて述べたように、三つの極ユニ
ツトの総べてで接点の自動分離が行われる。

第１図乃至第３図から明らかな通り、回路遮断
器の各極単位は、例えば米国特許第4220934号に
記載されている如き型の磁化可能接点アーム駆動
装置即ち磁気駆動装置１１０をも備えている。簡
単に説明すれば、磁気駆動装置１１０は、磁気鋼
板等の磁性体の略々Ｕ字積層板の積層体を備え、
この積層体は発弧時の熱により消弧ガスを発生す
る例えば三酸化アルミニウム等の材料を含んたガ
ラスポリエステル等の絶縁材料のハウジング１１
２内に設けられている。ハウジング１１２はスロ
ツト１１８（第２図）を有し、このスロツト１１
８はＵ字形積層体により形成されるスロツトの外
形と同様の形で、スロツトの回りに磁気回路を形
成している。２つの接点アーム２０，２２はスロ
ツト１１８内に延びてその中で可動である。

あとで述べるように、限流動作の行われる間
に、上側接点アーム２０の動きを限定するため
に、バンパ１２０が設けられる。このバンパ１２
０は、ポリウレタンまたはブチルゴムのようなシ
ヨツク吸収性の材料で作られる。この型の材料
は、非常に大きな機械的ヒステレシスを持ち、最
大量のエネルギーを吸収して、跳返りを最小にす
る。下側接点アーム２２のために、同じようなバ
ンパ１２１がペース９に設けられている。

短絡事故が発生すると、極めていレベルの過
負荷電流が遮断器３を流れる。導電性ストリツプ
２８と下側接点アーム２２を流れる電流により、
スロツトを持つ磁気駆動装置１１０に大量の磁束
が発生する。この磁束と下側接点アーム２２を流
れる電流との間に大きな電気力学的な力が発生
し、この力が下側接点アーム２２に働いて、この
アーム２２を第４図の鎖線で示される閉路位置か
らスロツト１１８の底へ向けて移動させようとす
る。さらに、接点アーム２０と２２に互いに逆向
きに流れる電流が、これらのアームの間に大きな
電気力学的な反撥力を発生する。この力は、短絡
事故状態が発生すると、極めて早く立上つて、上
側接点アーム２０を、ピン３０を中心とし、引つ
張りバネ３６の張力に抵抗して、第４図の鎖線の
位置から実線で示される限流位置まで、左廻りに
回転させる。そこで、上側接点アーム２０は強い
力でバンパ１２０に押付けられるが、このバンパ
１２０が上側接点アーム２０の跳返りを最小にす
るようにされている。この跳返りは、もし接点１
９と２１が再び近くまで戻れば、消弧装置２３に
より既に消滅させられているアークの再点弧が有
り得て、望ましくない。そこで、アーム２０と２
２とが再閉合可能になる前に、ラツチ機構１５を
働かせて、操作機構１３を釈放するように、速
電磁トリツプ装置１７が構成される。操作機構１
３が第４図の閉路位置から、第３図のトリツプ位
置まで移動すると、第１図に示されるキヤリツジ
３２についての第１の位置まで、引張バネ３６に
より上側接点アーム２０の戻る前に、キヤリツジ
３２が左廻りに回路して上側接点アーム２０の軸
点３０を第３図に示す位置にまで引上げ、２つの
接点アーム２０，２２の枢軸１８および３０間の
距離を増大させる。

始めの接点を開く大きい加速度により、いア
ーク電圧が発生して、極めて有効な限流作用が行
われる。速電磁トリツプ装置と速操作機構と
の組合せにより、接点が分離されたままで保持さ
れ、消弧されたアークの再点弧の妨げられること
が補償される。

第５図に、い定格の遮断器に適する別の実施
例が示されている。ベース９にリベツト１２４で
アーム・ラツチ１２２が取付けられている。上側
接点アーム２０の端にラツチ面１２６が設けられ
ている。短絡事故が現れて、アーム２０が軸点３
０を中心として左廻りに回転させられると、ラツ
チ１２２がラツチ面１２６に係合して、このアー
ム２０をロツクする。この位置決めにより事故電
流波形での電流ゼロ点に近づいて、電気力学的な
反撥力が下るときの、アームの軸点３０を中心と
する右廻りの戻り回転が防がれる。そこで、アー
ム２０は、キヤリツジ３２に対するこの位置に、
トリツプ機構１７がラツチと操作機構１３を釈放
し、キヤリツジ３２と軸点３０を移動させ、ラツ
チ面１２６をラツチ１２４から釈放させるまで、
留まる。

さらに別の変形例が第６図に示され、この例も
い定格の遮断器に適するものである。この例で
は、カム面１３４を有し、軸点１２９でキヤリツ
ジ３２のブラケツト３７に回転可能に取付けられ
たカム部材１２８と、カム部材１２８のピン１３
２と上側接点アーム２０の左端との間に連結され
た剛性のリンク１３０とを備える引外し作動装置
が設けられている。

第６図に示される閉路位置にある遮断器３に短
絡事故状態が現れると、上側接点アーム２０が軸
点３０を中心として、キヤリツジ３２に対して左
廻りに、急速に回転する。そこで、リンク１３０
が右へ移動して、カム１２８をピン１２９を中心
として左廻りに回転させる。カム１２８のカム面
１３４が高速電磁トリツプ装置１７のクラツパ１
０１をたたき、前に高速電磁トリツプ動作につい
て述べたように、ラツチ機構１５の釈放を行わせ
る。そこで、ラツチ機構は、カム１２８とリンク
１３０とを持たない限流遮断器の場合より少い遅
れで、上側接点アーム２０の左廻りの回転に続い
て、操作機構１３を動作させる。

い事故電流の処理に適するように意図される
限流遮断器でカム１２８とリンク１３０が設けら
れる。かような遮断器で短絡状態が現れると、接
点アーム２０と２２が極めて速かに分離される。
ある定格の遮断器については、クラツパ１０１に
働く磁気的力はクラツパの慣性に打勝つてトリツ
プ動作を充分に早く始めるのには充分ではない。
第６図に示す如きカムとリンクの構成を用いる
と、接点アーム２０および２２の開離と同時に引
外し動作を積極的に開始する回路遮断器が得られ
る。従つて、接点での再点弧を防ぐに充分短い時
間で操作機構１３が釈放される。

第６図と第７図で見えるように、ラツチ・レバ
ー７５に、これに溶接されるＬ−字型にリセツ
ト・ブラケツト１３５を設けてもよい。トリツプ
動作のあどで、ハンドル１９を、ON位置とOFF
位置との中間にあるTRIP位置からOFF位置まで
移動させることにより、操作機構１３がリセツト
される。このハンドルの移動により、操作レバー
４３が、フレームの側板４１のノツチ５６にある
軸点を中心として、左廻りに回転させられる。ト
グルリンクのひざピン６１がリセツト・ブラケツ
ト１３５と接触して、ラツチ・レバー７５の端が
副ラツチ８９の下にくるまで、主ラツチ部材７１
を、バネ７２の力に抵抗して、左廻りに回転させ
る。この動作に並行して、クレードル５７も（面
５４に対する部材４５の作用により）左廻りに回
転させられており、ローラ７７をフツク部５８が
こすつて通つて、フツク部５８がローラ７７より
下になるまで、バネ８１の作用に抵抗して、ロー
ラ７７をその長孔の中で右へ移動させる。それか
ら、ローラ７７は第６図の位置まで素早く戻つ
て、クレードル５７をラツチ位置に固定する。そ
こで、接点１９，２１が、ハンドルをOFF位置
からON位置まで滑らせて、閉路位置まで動かす
ことができるようになる。

極めて大きな過電流により、接点１９と２１が
溶着した場合には、ラツチ機構１５が高速電磁ト
リツプ装置１７により釈放されよう。スロツト・
モータ、ハウジング１１２のストツパ３９にピン
４０の達するまで、接点アーム２０と２２が左廻
りに回転しよう。そこで遮断器のリセツトのため
に何かをしようとすれば、ハンドル４９がOFF
位置に向かつて左へ動かされる。これにより、操
作レバー４３をクレードル５７が左廻りに回転さ
せられる。フツク部分５８がローラ７７の位置か
ら下へ動かされる。しかし、上側接点アーム２０
（キヤリツジ３２を介してトグル機構に連結され
ている）が下側接点アームと溶着されているの
で、ひざピン６１をリセツト・ブラケツト１３５
と接触するまで移動させることは不可能である。
すなわち、バイアス・バネ７２により、主ラツチ
部材７１が、右廻り回転状態で保持され、ローラ
７７がフツク部５８の右に保持される。クレード
ル５７はラツチされた位置に固定されない。ハン
ドル４９への力が取去られると、操作バネ６７の
力でハンドルがON位置まで戻されて、接点１９
と２１が実際に占めている位置が示される。この
“ボジテイブ−オン”の点は、遮断器を開きまた
はリセツトしようとするオペレータに実は接点の
溶着していることを知らせるので、非常に重要な
特長である。

一方のアームが移特可能なピボツトピンを持つ
１対の回転可能な接点アームと、前に述べた速
磁気トリツプ装置と、スロツト付磁気駆動装置と
を備える遮断器は、非常に早い接点の分離と限流
作用とを持つ。さらに、バネ・ラツチ部材とカム
−リンク構成とリセツト・ブラケツトとシヨツク
吸収手段とを含む構成が、再点弧または再閉合の
行われることがなく、かつ接点の閉じていること
を積極的に表示する限流遮断器を形成するのに助
けとなる。要約すれば、この発明により従来のも
のより優れた性能を持つ限流遮断器の得られるこ
とがわかる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の実施例とする多極限流遮
断器の、接点の閉じられた位置にあるもの（鎖線
で開いた位置が示されている）の側断面図、第２
図は、第１図の遮断器の外側の極ユニツトの一つ
の上面図、第３図は、トリツプされた状態を示す
第１図と同様の図、第４図は、限流状態にある遮
断器を示す第１図および第３図と同様の図、第５
図は、この発明の別の実施例とする、限流動作の
行われる間、接点アームの分離を維持するバネ・
アーム・ラツチを備える遮断器の側断面図、第６
図は、この発明のさらに別の実施例とする、カム
−リンク機構を持つものの閉路状態にある遮断器
の側断面図、第７図は、第６図に示されたラツ
チ・リセツト・ブラケツトの詳細図である。 図において、３……３極遮断器、５……絶縁ハ
ウジング、７……遮断機構、９……絶縁ベース、
１１……絶縁フロントカバー、１３……操作機
構、１５……ラツチ機構、１６……熱動トリツプ
装置、１７……速電磁トリツプ装置、１９，２
１……分離可能な接点、２０，２２……接点アー
ム、３２……キヤリツジ、３５……クロスバー、
４３……操作レバー、４６……滑り板、４９……
ハンドル、５３，５５……トグルリンク、５７…
…クレードル、１０５……バイメタル要素。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 接点閉位置および接点開位置に可動の接点腕
   支持体、および掛止されたとき上記接点腕支持体
   を上記接点閉位置に動かす上記操作機構の動作を
   可能にし、釈放されたとき上記接点腕支持体を上
   記接点開位置にさせる上記操作機構の自動的動作
   をさせる掛止部ざいを有する操作機構と、 電流路が通つて延びて、この電流路に所定値の
   過電流が流れたとき上記掛止部材を釈放させる電
   流応答引外し装置を含み、一方が上記接点腕支持
   体に接続されて上記接点閉位置及び上記接点開位
   置間で上記接点腕支持体と共に移動する一対の長
   い接点アームを有する少なくとも一つの極ユニツ
   トとを備え、 上記側ユニツトは、その周囲に磁束路およびス
   ロツトを形成する磁気駆動装置を有し、 上記長い接点アームは、互いに離間して平行に
   延びてそこを通つて流れる電流が互いに反対方向
   であるように上記電流路に接続され、上記接点ア
   ームは上記磁気駆動装置の上記スロツト内に延び
   ており、もつて電流がそこを流れたとき上記接点
   アームが上記電流により生ずる電磁接点開離力を
   受けるようにされてなり、 上記一方の接点アームは、上記電流が上記所定
   値より高い閾値を越えたとき、上記接点腕支持体
   と無関係に、閾値を越えた電流による電磁力によ
   り、上記接点開位置に急速に動いてこの電流を限
   流するように上記接点腕支持体に枢着され、 上記電流応答引外し装置は、上記掛止部材を釈
   放するように上記限流された電流に充分速く応答
   し得て、上記接点腕支持体を上記接点開位置に動
   かして、上記接点アームが接点再閉成方向に実質
   的に動く前に、独立して動かされた上記接点アー
   ムをそこに維持する高速電磁トリツプ装置を備え
   てなる限流回路遮断器。 ２ 上記他の接点アームが、上記接点腕支持体の
   枢軸および上記独立して可動の接点アームの枢軸
   に平行に離間した軸の回りで制限された枢動がで
   きるように支持され、上記他の接点アームの枢軸
   および上記接点腕支持体の枢軸は、２つの接点ア
   ームの枢軸間の距離を増大させるように上記接点
   腕支持体を接点開位置に動かすような位置に設け
   られてなる特許請求の範囲第１項記載の限流回路
   遮断器。 ３ 上記磁気駆動装置の上記スロツトが、上記独
   立して可動の接点アームの接点開離運動の方向に
   開き、反対方向には閉じている特許請求の範囲第
   １項あるいは第２項記載の限流回路遮断器。 ４ 少なくとも上記独立して可動の接点アーム
   が、上記接点アームの接点開離運動を制限するよ
   うに設けられて接点アームの跳ね返りを最小限と
   するに充分大きな機械的ヒステリシスループを有
   する材料の緩衝器に組み合わされてなる特許請求
   の範囲第１項、第２項あるいは第３項記載の限流
   回路遮断器。 ５ 上記接点アームが上記接点開位置に独立して
   動いたとき、特立して動いた上記接点アームの運
   動をその接点閉成方向への独立した運動に対して
   拘束し、上記接点腕支持体が上記接点開位置へ動
   くとき無効となる接点アーム拘束装置を備えた特
   許請求の範囲第１項乃至第４項のいづれか記載の
   限流回路遮断器。 ６ 上記接点アーム拘束装置が、ばねラツチ部材
   と、上記独立して可動な上記接点アームの端部と
   を備え、上記端部は、上記接点腕支持体上の上記
   接点アームが上記接点開離方向に独立して動いた
   とき上記ばねラツチ部材にラツチ係合するように
   動き、上記接点腕支持体がその接点開位置に枢動
   したとき上記ラツチ係合から離脱する特許請求の
   範囲第５項記載の限流回路遮断器。 ７ 上記引外し装置と上記独立して可動な接点ア
   ームとの間に設けられ、上記接点アームが上記接
   点開離方向に上記接点腕支持体とは独立して動く
   ときに上記引外し装置を積極的に作動させる引外
   し作動装置を備えた特許請求の範囲第１項乃至第
   ６項のいづれか記載の限流回路遮断器。 ８ 上記引外し作動装置が、上記引外し装置を作
   動させるように可動に設けられたカム部材と、上
   記カム部材を上記独立して可動の接点アームに接
   続して、上記接点アームが上記接点開離方向へ独
   立して動くときに、上記カム部材の引外し装置作
   動動作をさせるリンクとを備えた特許請求の範囲
   第７項記載の限流回路遮断器。 ９ 上記引外し装置が、磁極片と上記所定の過電
   流が流れたとき上記磁極片に吸引される接触子と
   を有する電磁引外し装置を備え、上記接極子は積
   層構造体の磁気クラツパを有する特許請求の範囲
   第１項乃至第８項のいづれか記載の限流回路遮断
   器。