JPH0138722B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、託送荷物の引き渡しのためのロツカ
ー形状の大型管ボツクスに関する。

近時、主婦の就労・核家族化などにより、郵便
小包や宅急便などの配達時に留守勝ちの家庭が増
えている。夜間などの「時間指定の配達」により
対応することが進められると共に戸別配達だけで
はなく「デポでの引き取り」をも併用する方向へ
向かつている。どんな時刻に配達されるか判らな
いまま四六時中待ち受けているよりも、どこか近
所にある「デポ（荷物管場）」から気侭な時に引
き取つてくる方がずつと気楽だということであろ
う。

このデポには、人手によるもの（例えば、煙草
店に委託）と無人ボツクスによる省力化のものと
があるが、人件費の高騰やサービス時間帯の拡張
要望（24時間へ）などの情勢から、無人ボツクス
がこれからの本流とみられる。この無人ボツクス
を用いた小荷物託送業務の「物流ハンドリング作
業」の能率向上を図つたのが、本発明のロツカー
ボツクスである。

配達に代えて、鍵付きボツクス（多連ロツカ
ー）に託送荷物を一個宛納めて置き、お客様に取
りに来ていただく方法は、作業的に楽なようであ
るが“ロツカーのボツクス一つ宛に品物を詰めて
行く”手間が意外に非効率的であり、とくに扉の
開閉や施錠がボツクス毎（荷物一つ毎）に必要な
のが癌である。配達全体のスピードアツプと省略
化のためには、この作業をなんとか連続的な単純
作業に置き換えられないかと考えた結果到達した
のが、「横入れ前出しロツカー」である。（なお、
この無人ボツクスの一形態として、水平に回動す
る無限軌道上に多数の収納箱を載架し、箱番号の
指示により軌道が回動して所要の箱が取り出せる
「ロータリー棚方式」も考えられるが、多少高価
であり収納作業が必ずしも簡便でないことも欠点
である。） このロツカーは、託送荷物のボツクス内への収
納作業の省略化・合理化のために、在来の多連ボ
ツクスの概念を破つて、“ボツクス間の仕切りを
取り払つた”革新的なものである。また、ロツカ
ーといえば、先に“どの番号のロツカーは誰のロ
ツカー”と決めてから荷物を入れるのが、常識で
あつたのに対し、これは先に荷物を入れてしまつ
てから“あとから誰の荷物が入つているかを見
て、表札を掛ける”という「逆転発想」の物流方
式を取り入れている。

この逆転発想で、物流のハンドリングは大幅に
合理化された。荷物を一つ宛定められたボツクス
へ入れてゆくため“あつちへ動かし、こつちへ移
す”作業に較べて、後から表札付け（収納ボツク
スごとにその荷主を見付け出す）をする作業の方
がずつと自動化（コンピユータ制御）しやすいか
らである。この「後決め方式」の採用によつて、
到着した荷物を到着順にそのままロツカー内へ導
き入れることが可能になつた。

こうと決まれば、ロツカーも大幅に変えなけれ
ばならない。到着列順に、そのまま“ゾロゾロ”
とロツカー内へ引き込むため、どうしても「前入
れ」でなくて「横入れ」になる。横入れにするた
めには、ボツクス隔壁を取り払う、横側に入
口を付ける、ことが必要になる。

ところで、横入口づくりはともかく、隔壁を取
り払うのは容易なことではない。本来必要だから
存在しているものを、取り払うとしても救済手段
なしではやれない。ロツカー（錠前つき小戸棚）
は、他人から荒らされることのない堅固な容器で
なければならない。そこで、託送荷物を裸のまま
でロツカーに入れるのではなく、すべて籠状また
はボツクス状の「通い箱」に入れて取扱うことに
した。

通い箱は深めのものとし、その側板にロツカー
の天井近くまでの高さを持たせた。箱の側板が隔
壁の機能を肩代わりしたのである。もちろん、壁
の機能を果たす通い箱そのものが、ロツカー本体
の中で自由に移動できないよう、固定する配慮が
必要である。通い箱（およびそれに詰めた荷物）
がロツカー内の所定位置に納まつたのを見届けて
から、ロツカー床に通い箱を固定する（ただし前
面には取出せる）。この固定操作は、箱一つ宛順
次にやらなくても多連ロツカーの一段同時にある
いは全段を一斉に、機械的あるいは電磁的に処理
させる。全段一斉を機械的に行うため、拘止爪を
すべての収納スペースを連ねる枠体に設けること
も一案である。

本発明ロツカーは、敍上のようにこのロツカー
とそれに適合する通い箱群と組み合わせによつて
成り立つものである。

多連ロツカーの構造は、通常鋼板製あるいは木
製であり、水平一段に数〜10数個の同一サイズの
収納スペースを有し、それが上下に２〜５段積み
重なつた「多列多段」型のものが多い。収納スペ
ースの前面には、それぞれ錠つきの扉が付いてい
る。（本実施例において、扉ごとに錠は付いてい
るが鍵の差し込み口はない。電磁錠で集中的・遠
隔的に施解する。） このロツカーは、前面を見ると従来のものと同
様で碁盤目状に扉が並んでいるが、中身をめくつ
てみると大幅に異なつていて、隔壁がなく床板が
あるだけである。ただし、隔壁がないと言つても
通い箱が横に移動できる範囲において、隔壁の上
方の一部分が横フイン付きで残してあることもあ
る。（第３図）これは、扉を開けて通い箱を前か
ら取り出す際に、通い箱の上方に把手を持ち上げ
るスペースを必要とするが、そのため天井を一様
に高くしてしまうと横から荷抜きの恐れがあるの
で取つた手段であり、（いずれにしろロツカー中
の隔壁を無くしたので）通い箱を高くしても通い
箱とロツカー駆体との間に〓間が生じる恐れがあ
るから、囲いや覆いが有つた方が良い。

また、多連ロツカーの左右いずれか（あるいは
両方）の側面に、横からの入口が設けられる。入
口には、開き戸が付けられているが、多段ロツカ
ーの床面は、通い箱をすべらせて奥まで送り込む
ため、平滑ですべり易い床面になつている。「た
だ平たいだけのもの」でもよいが、波打たせた
り、レール状にシリコン樹脂板をはめこんだり、
場合によつてはこれに加えて床にコンベアローラ
ーを設置するか、通い箱列をまとめてキヤスター
付きにすることも効果的である。

ロツカーの床面には、通い箱を固定する爪が仕
込んである。（床面に限ることなく、天井や背面
でも差支えない）出口扉の側から見て（扉を開け
てみると）、収納スペースのほぼ中央あたりに、
数cm程度の縦長の打ち抜き孔２０があり、ここか
ら係留爪６の頭が覗いている。この打ち抜き孔と
爪は各収納スペース毎に設けられており、爪は通
常２cm程度の高さを持ち共通の爪基板７に並列的
に植え込まれていて、床面下に位置する爪基板は
手動で上下切り換え可能なように架装されている
（第５図）。なお、この爪の上下切り換え（施・
解）操作を一斉にするときは、個別手段でなく爪
基板または個別爪を電磁的あるいは物理的に一体
化し、一斉に動かすよう電磁クラツチを備える
（第６図）など連動機構を設けても良い。

次に、通い箱の構造は、上方を開放した直方体
形であり、荷物をまとめて移送するに足りるだけ
の強度と、荷物を一時的に保管預かりする保護壁
としての高さと強度を備えていなければならな
い。通常は、耐久性も考慮して塩ビなどプラスチ
ツク材料を用いて網状（籠状）に作ることが多い
が、鋼板・鋼網製や木板製でも差支えない。多く
の場合、提げ手もしくは把手９を備えている。ま
た通い箱には、係留用の受け機構として、箱下面
に縦方向に溝穴１５を設ける。溝は幅１cm深さ
1.5cmぐらいが適切であり、長さは箱の奥行き
（縦）長さ全体にわたる横断的なものとなる。こ
れは、爪が浮上して箱がロツカーに係留中の時で
も、縦方向への引き出しを可能にする、いわば爪
をガードレール的役割にするためである。この溝
の深さは安全のため深い方が良いが、この溝のた
めに箱の有効体積が減る恐れがある。このため、
箱底面でなく箱側面（両側）を押される方法も考
えられる。その場合、ロツカー側も、床面の打ち
抜き孔および爪の位置を変え、収納ボツクス毎に
２個宛としなければならぬことは言うまでもな
い。このガイドレールを底とか側面とかに限るこ
となく、全周に広げたものが箪笥の袖出し状とな
る。

また、ロツカー内に通い箱を列状で送り込む
際、スペーサーを挟むと便利であり、通い箱側面
にそれを付属させる（間隔子８第３図）場合もあ
るが、収納スペースを連ねる縦横枠組みを用いれ
ばその必要はない。

なお本発明において、“荷物受入れ後に（荷主
の）各札掛けをする”という「順序の逆転」を可
能にしたのは、物流センターから多連ロツカー
に至るまで、通い箱の配列・順序は崩さない、
物流センターでの箱の順序の情報は多連ロツカー
の表示板にまで確実に伝わる、の２点が間違いな
く実施されるからである。先ず、通い箱例の順序
を維持するために、常に“順序通りの形で”移動
させるよう図る。そのため、センターからトラツ
クを経てロツカー内への移動の工程をローラーコ
ンベアによつて順次流し込むか、列状に束ねて
「箱の一団」として装入する形で行う。これによ
つて、列は保たれ順序は乱れない。なお、枠棚を
使つて行・列ともにまとめて、立体的な「箱の一
団」として横入れしても順序の乱れはない。ま
た、箱列の順序の情報は、物流センターからオン
ライン伝送または運転手によるメモリーの搬送に
よつて行われる。物流センターでは、送り状を見
ながら通い箱に荷物を詰めて行くので、送り状リ
ストがコンピユータから打ち出されている場合に
は単なるデータの転送で済むが、未入力の場合に
はそこで打ち込まれる。

多連ロツカー側には、簡単なマイコンと表示板
とカード認識装置とロツカー扉の制御板とがコン
トロールボツクス２１の中に設けられている。マ
イコンは、「荷主名とその順序」の情報を受け取
つて、それにロツカーナンバーを付番し、荷主か
らのアクセスがあつたら応答作動する機能を有し
ている。カード認識装置は、荷物を受け取りに来
た荷主が差し込み口１０から入れたIDカードを
読み取りマイコンに伝える。マイコンは、このコ
ード番号（荷主名）に対応するロツカーナンバー
を探し出し、表示板とロツカー扉の制御板に情報
を送る。表示板１１は、発光ダイオード・液晶な
どによりロツカーナンバーの数字を表示して荷物
の受け取り場所を知らせる。同時に、扉を動作さ
せる信号を出し、制御板を介して該当する扉の電
磁錠１４を解錠する。その際、扉毎に設けたパイ
ロツトランプを自動点灯または点滅させると、よ
り親切である。

次に、本発明の荷物引き渡しボツクスの使用法
を説明する。

顧客から委託を受けた託送荷物は、物流センタ
ーに集められ、客先別に仕訳けられ、客先毎に通
い箱に詰められる。通い箱は間隔子を拡げた（突
出させた）状態で一列に並べられ、トラツクに積
み込まれる。トラツク上でもこの配列は崩れるこ
となく保持されて、デポまで送られる。デポで
は、ロツカーの横入口が開かれ、ロツカーとトラ
ツクとの間にローラーコンベア５が橋渡しされ
る。トラツクから通い箱３を列状に連ねて運び出
し、そのままロツカー内へ搬入する。ロツカー内
への移送が終わると、個別または連携された係留
爪を上げて通い群を固定し、最後に横入口を閉じ
る。

以上は、一列状で移送する場合であるが、縦３
×横２または３×３などの枠でまとめる場合に
は、この単位で順序を保つて物流センターからデ
ポのロツカーまで送られる点は同じである。

到着した頃を見はからつて、顧客には受け取り
に現われる。IDカードを差し込み待つ程もなく、
自分の荷物の入つているボツクスナンバーが表示
板に出る。同時に該当ボツクスにランプがともり
扉が開く。客は、扉をいつぱいに開けて、中の通
い箱を取り出す。その際、通い箱の提げ手９を水
平から垂直に起こし、提げ手で箱を持ち上げてロ
ツカーの外へ出す。通い箱から荷物を取り出し、
持参の袋や籠に移す。

本発明の荷物引き渡しボツクスは、以上のよう
に使用することができ、託送荷物の引き渡しを合
理的・省力的に行うことができる。有人ボツクス
における手渡しにくらべて労力が少なくて済むの
はもちろん、無人ボツクスであつても個別に仕切
られた在来型の多連ロツカーに収納する作業に比
し、横からまとめて装入でき、開扉・施錠を個別
に行わないので、格段の省力化が図られる。

また、ロータリーラツクのような、お客の受け
取り毎に棚を回動させるものに比して、構造が簡
単で電力消費も殆ど必要としないばかりでなく、
動作時間も短く能率的である。さらに、構造が簡
単であるため、住宅地など諸々に設置するのに安
価で供給できるメリツトも大きい。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の荷物引き渡しボツクスおよび
在来の多連ロツカーの一例を示す。第１図は在来
の多連ロツカー、第２〜８図は本荷物引き渡しボ
ツクスを示し、第１図および第２図は一部破断
（表面剥離）ロツカーの斜視図である。第３〜４
図は、本ロツカーの中に通い箱の納まつた状態を
示す破断部分斜視図である。第５〜６図は、係留
爪を作動させる爪基板の構造を示し、第５図は手
動式構造のものの斜視図、第６図は電磁式のもの
の斜視図である。第７図は、２点保持の係留爪の
保持状況を示す断面図である。第８図は、本ボツ
クスへトラツクから通い箱を列状で移送している
状態を示す斜視図である。 図中記号は、１……多連ロツカー、２……ロツ
カーボツクス扉、３……通い箱、４……移送用ト
ラツク、５……移送用ローラーコンベア、６……
係留爪、７……爪基板、８……間隔子、９……提
げ手（把手）、１０……カード認識装置の差し込
み口、１１……ロツカーナンバー表示板、１２…
…爪基板切り換えレバー、１３……爪基板駆動電
磁クラツチ、１４……ロツカーボツクス扉の電磁
錠、１５……通い箱下面の溝穴、１６……ロツカ
ーの垂直隔壁の上方残部から突き出した横フイ
ン、１７……多連ロツカーの横入口扉、１８……
ロツカーボツクスパイロツトランプ、１９……ロ
ツカー段の床面、２０……ロツカー床の（爪用）
打ち抜き孔、２１……コントロールボツクスを示
す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 従来周知の前面に錠つき扉を備え水平に並ん
   だ複数個の同形収納スペースを有する多連ロツカ
   ーにして、収納スペース間の垂直隔壁を除去し、
   各収納スペースの床面を平滑にすると共にロツカ
   ーの側方であつて一連の横並び収納スペース群の
   最後部に当たる位置に搬入口を設け、かつ各収納
   スペース毎に収納スペースの内面に出没して通い
   箱の受け構造と嵌合し係留する爪を備えかつその
   爪の出没は一段あるいは全段の収納スペース列に
   おいて群を構成する複数個が同時に作動するよう
   にした多連ロツカーと、該多連ロツカーの収納ス
   ペースにほぼピツタリの縦・横・高さの寸法を持
   ち上方開放状になつた直方体の箱であつて上記爪
   と対応する受け構造を備えた通い箱との組合せよ
   りなりたる荷物引き渡しボツクスの構成。