JPH0136569Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、円弧版状コンクリートセグメントの
中でもその長手方向一端側と他端側とで側面間の
幅が異なるいわゆる異形コンクリートセグメント
を成形するための型枠装置に関する。

この種の型枠装置は、一般に、第１図〜第３図
に示すように、形成すべき円弧版状コンクリート
セグメントＣのわん曲した内表面を成形するため
の底板１を有する型枠本体２と、前記セグメント
Ｃの側面を成形するための異形板３をそれぞれ有
する一対の側板４と、セグメントＣの端面を成形
するための一対の端板５とを具備し、かつ、前記
一対の側板４は、型枠本体２の側面に突設された
支持台６、この支持台６上を転動自在に側板４の
下端に設けられたガイドローラ７、および側板４
から型枠本体２内に導かれ支持ナツト８で水平に
支持された案内杆９等からなる側板支持機構によ
つて、互いに接近および離間する方向へ水平移動
自在に構成されている。また、前記セグメントＣ
の側面を成形するための一対の異形板３は、形成
すべきセグメントＣの両側面間の幅に対応させて
両異形板３間の間隔Ｄが一方の端板５側に向かう
にしたがい順次狭くなる形態で側板４に対して直
接、もしくは図示しないスペーサ等を介してボル
トにより取り付けられている。そしてこの異形板
３の取り付け角度を変えることにより、形成すべ
きセグメントの側面間の幅の変化率が異なるセグ
メントをも成形できるよう構成されている。

ところで、このような構成の型枠装置において
は、セグメントＣの成形時に側板４を第２図に示
すように閉じ、脱型時には第３図に示すように開
くという操作が繰り返し行なわれる。そして、こ
の操作が行なわれることによつて、前記両異形板
３は底板１上へ向け水平移動したり、底板１上か
ら水平移動しながら離れたりする動作を行なうこ
とになる。その際、すなわち両異形板３の水平移
動の際、その移動を円滑にする目的で、両異形板
３の下端縁３ａと底板１の表面との間に僅かな
（0.5mm程度の）クリアランスを設けている。

ところが、このクリアランスがあるために、従
来の型枠装置ではコンクリートの打設時における
セメント分や水分等がコンクリートと共に型枠外
へ、あるいは異形板と側板との間に漏れ出てしま
い、このため、いわゆる脱色現象によるシミが製
品面に発生するという不具合が生じて製品価値の
低下や表面強度の劣化等を招いていた。

本考案は、以上のような点を考慮してなされた
もので、製品面に発生するシミをなくすことがで
きる上に、側板の開閉作業が容易になり、しかも
従来の型枠装置と同様に、側面間の幅の変化率が
異なるセグメントをも成形し得る異形コンクリー
トセグメントの型枠装置を提供しようとするもの
である。

以下、本考案を図面に示す一実施例に基づいて
説明する。

本考案による型枠装置は、第４図ないし第６図
に示すように、形成すべきセグメントのそのわん
曲した内表面を成形するための底板１１を有する
型枠本体１２と、前記セグメントの両側面をそれ
ぞれ成形する一対の側板１３と、前記セグメント
の端面を成形するための一対の端板１４とを具備
し、かつ、前記一対の側板１３は、後述する側板
支持機構によつて互いに接近および離間する方向
へ水平移動可能に構成され、さらに前記型枠本体
１２の前記側板１３に対向する側面部には、側板
１３を、形成すべきセグメントの側面に合致する
よう位置決めするための異形板１５が図示しない
ボルト・ナツト等の適宜の締結手段により着脱自
在に取り付けられる。

本考案では、このように異形板１５を型枠本体
１２の側面部に着脱自在に取り付ける点に最大の
特徴がある。したがつて、本考案による異形板１
５は、当然その形状および機能において従来のも
のと基本的に異なる。すなわち、この異形板１５
は、第４図ないし第６図にその具体化例が示され
ているように、型枠本体１２に取り付けられた状
態において、その底板１１の内表面と面一に形成
された上端面１５ａと、両端板１４の内表面とそ
れぞれ面一に形成された斜面１５ｂ，１５ｂとを
有し、第４図のように側面から見ると全体として
凹字状に形成されている。また、この異形板１５
の厚さについては、形成すべきセグメントの側面
に側板１３の内表面が合致するよう、その側板１
３，１３間の間隔Ｗを一方の端板１４側に向かう
にしたがい順次狭くさせるくさび形に形成されて
いる。さらに、側板１３の内表面であつて、異形
板１５の上端面１５ａよりも僅かに下方になる位
置には、上端面１５ａと平行に延びる溝が設けら
れ、この溝にパツキン１６が嵌め込まれている。

また、前記側板支持機構は、型枠本体１２の側
面に突設された支持台１７、この支持台１７上を
転動自在に側板１３の下端に設けられたガイドロ
ーラ１８、および側板１３を貫通しさらに異形板
１５を貫通して型枠本体１２内に導かれた案内杆
１９、この案内杆１９を水平に支持する支持ナツ
ト２０等により構成される。ここで、案内杆１９
が貫通する異形板１５の穴２１は、案内杆１９と
の嵌め合い公差以上の余裕をもつ大きさに形成さ
れる。

上記のように構成された型枠装置において、コ
ンクリートセグメントの成形時に側板１３を閉じ
た状態においては、側板１３の下部内表面が異形
板１５に圧接し、同時にパツキン１６も圧接する
結果、従来の型枠装置のように底板の表面と異形
板の下端縁との間に打設コンクリート中の水分が
漏れ出るような隙間は全く形成されず、確実な水
密構造となり、したがつて、製品面に脱色現象に
よるシミが発生する原因を根本的になくすことが
できる。また、異形板１５は型枠本体１２に対し
て着脱自在であるから、異形板１５を厚さの異な
る他の異形板と取り換えるだけで、側面間の幅の
変化率が異なるセグメントをも成形することがで
きる。また、従来の型枠装置においては、異形板
３の下端縁３ａが底板１上を水平移動するため、
側板支持機構のへたりなどによりわずかな誤差が
生じてもその下端縁３ａが底板１の表面に当接し
て側板の開閉作業に支障をきたす不具合が生じて
いたが、本考案によればこのような不具合は全く
ななる。

なお、本考案による異形板１５は、例えば１枚
板でも、あるいは薄い鋼板で中空に形成したもの
でも良く、要するに側板１３の位置決めおよび水
密性を確保でき、かつ着脱自在であれば良い。ま
た、実施例では両側板が側板支持機構によつて水
平移動する構造のものに適用した例を示したが、
これに限定されることなく、例えば第６図におい
てガイドローラ１８に代えてその部分を支持台１
７にピンヒンジ結合して側板１３を外側へ傾倒で
きるようないわゆるヒンジ開閉式となつたものに
も適用できることはもちろんである。

以上説明したように、本考案によれば、製品面
に発生するシミをなくして製品価値および表面強
度の向上を図ることができる上に、側板の開閉作
業が容易になり、しかも従来の型枠装置と同様
に、側面間の幅の変化率が異なる他のセグメント
をも成形し得るなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来例を示すもので、第１図
は概略側面図、第２図は概略平面図、第３図は第
２図の−線に沿う概略断面図、第４図〜第６
図は本考案の一実施例を示すもので、第４図は概
略側面図、第５図は概略平面図、第６図は断面図
である。 １１……底板、１２……型枠本体、１３……側
板、１４……端板、１５……異形板、１６……パ
ツキン、１７……支持台、１８……ガイドロー
ラ、１９……案内杆、２０……支持ナツト、２１
……穴、Ｃ……異形コンクリートセグメント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円弧版状でかつ両側面間の幅が一方の端面から
   他方の端面に向かうにしたがい異なる異形コンク
   リートセグメントを成形するための型枠装置であ
   つて、形成すべきセグメントのそのわん曲した内
   表面を形成する底板を有する型枠本体と、前記セ
   グメントの両側面をそれぞれ成形する一対の側板
   と、前記セグメントの端面を成形する一対の端板
   とを具備し、かつ、前記一対の側板は側板支持機
   構によつて互いに接近および離間する方向へ移動
   可能に構成され、さらに前記型枠本体の前記側板
   に対向する側面部には、前記側板を前記セグメン
   トの側面に合致するよう位置決めするための異形
   板が着脱自在に取り付けられていることを特徴と
   する異形コンクリートセグメントの型枠装置。