JPH0136565Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、セラミツクス粉末を水に溶かして泥
漿状としたもの（以下セラミツクススラリーとい
う）を、石膏型内に注入し、この注入したセラミ
ツクススラリーの水分を石膏型の多孔を通して吸
出排除しつつ固形状のセラミツクス成形体を作る
ためのセラミツクス成形機に関する。

（従来技術及びその問題点） 従来この種の成形機において、石膏型はごく簡
単なものでは上下１対の割り型からなる矩形体等
の単一の型であつて、使用にあたりこの型を保持
するのに簡単なクランプ手段を用いて上下方向か
ら締め付けるようにしており、また通常使用され
る石膏型は、それぞれが上下１対の独立した型を
上下複数段に積み重ねて円柱状あるいは角柱状と
したもので、この型を保持するにあたつては最下
段の型を基台上に載置した状態でその最上段側か
らねじプレス等で押圧することによつて型全体を
保持するようにしている。ところがこのような型
保持手段では、各石膏型内部の成形室に注入され
るスラリーの注入圧力が２〜３Kgｆ／cm²と低圧の
場合には問題ないのであるが、数10Kgｆ／cm²から
100Kgｆ／cm²を超えるような高圧になつてくると、
その成形室内部の高圧力によつて各石膏型が支持
のなされていない左右前後方向（角柱状の場合）
あるいは外向き半径方向（円柱状の場合）に膨出
変形し、それによつて寸法精度が悪くなり更には
石膏型そのものが破壊してしまうことがあつた。

（問題点を解決するための技術的手段） 本考案は、上記の事情にかんがみ、石膏型内に
注入されるスラリーの圧力が相当高圧になつても
十分に耐えられる構造を提供するものであつて、
そのための技術的手段は、石膏型１が円錐台状に
形成されており、かつこの石膏型１を支持するた
めの型支持装置２が、この石膏型１の外周面に対
応するテーパ状内周面５ａを備えかつ当該型枠の
厚み方向に貫設された多数の透孔５ｂを有してい
て該型に外嵌される筒状の型枠５と、この筒状型
枠５の下面側及び上面側に配置される支持板７，
９と、石膏型１に筒状型枠５を外嵌しその上下両
面側に前記支持板７，９を配した状態でこれらの
支持板を介して石膏型１に軸方向の圧縮力を付与
するための押圧手段１０とから構成されているこ
とを特徴とする。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面にもとづいて説明す
る。

第１図は本考案に係る成形機の全体を概略的に
示したもので、この成形機は、石膏型１と、該石
膏型１の上下面部及び周側面部を圧接して当該石
膏型１を外側から全面的に支持するための型支持
装置２と、セラミツクススラリーＳを石膏型１内
に注入するに先立つて、不良品の原因となる当該
スラリーＳ中の気泡を予め取り除くための真空撹
拌式脱泡装置３と、脱泡されて石膏型１内に注入
されたセラミツクススラリーＳに高圧力を加える
ための高加圧装置４とを含んで構成されている。

石膏型１は全体が円錐台形をなしていて、上下
複数個に分割された石膏型１ａ，１ｂ…からな
り、これら分割石膏型１ａ，１ｂ…はそれぞれ内
部に所要の成形室（キヤビテイ）１a₁，１a₂…を
形成しており、また各分割石膏型は図示は省略す
るがそれぞれがいわゆる割り型となつていて上下
（又は左右）に２分割されている。また、この石
膏型１は無数の微孔を有する多孔質のもので、成
形室内部と外部との間で水分の透過が可能となつ
てる。

前記型支持装置２は、石膏型１のテーパ状外周
面に対応するように形成されたテーパ状の内周面
５ａを有して石膏型１に外嵌合される多孔質の筒
状型枠５と、石膏型１及びこれに嵌合される型枠
５の下端面をパツキン６を介して受ける下支持板
７と、石膏型１及び型枠５の上面にパツキン８を
介して載置される上支持板９と、下支持板７上に
支持されると共に筒状型枠５内に保持されている
石膏型１を上支持板９を介して押圧せしめるねじ
プレス１０（第２図参照）と、からなり、そして
第３図で明らかなように筒状型枠５には該型枠を
厚み方向に貫通する多数の小透孔５ｂ…が設けら
れ、またこの筒状型枠５の外周には外筒部材１１
が覆設されている。更に筒状型枠５の外周面には
型加熱手段としてのヒートパイプ２３がコイル状
に巻装されており、このパイプ２３には外部から
加熱蒸気を供給して石膏型１を所要温度に加熱で
きるようになつている。この型支持装置２の使用
にあたつては、第２図に示すようにねじプレス１
０の基台１２上に下支持板７を載設固定し、この
下支持板７上にパツキン６を介して石膏型１及び
これに外嵌した筒状型枠５を載置し、更にこの型
枠５に上支持板９を配し、しかして上部フレーム
１３の中央部にあるナツト部材１４に螺装された
ねじ部材１５をハンドル１６にて回すことによ
り、上支持板９を介して石膏型１に適当な下向き
の荷重をかけてこれを僅かではあるが圧縮せし
め、この圧縮によりこの石膏型１をテーパの作用
で外向き半径方向に均一に膨出せしめて外周面を
型枠５の内周面５ａに対し圧接状態にすると同時
に、石膏型１の上下両面も上支持板９及び下支持
板７によりパツキン８，６を介して圧接した状態
となして、この石膏型１を外側から全面的に支持
するようにしている。尚、この場合に石膏型１は
下支持板７上において筒状型枠５が外嵌されたと
き非荷重状態でこの型枠５上面より若干量突出す
るようにする。第４図は筒状型枠５のテーパ状内
周面５ａ側において各小透孔５ｂが互いに連通す
るような溝条５ｃを縦横に条設した例を示したも
ので、これによれば石膏型１の内部からの水分や
蒸気が効果的に小透孔５ｂ…に導入されて外部に
吸出される。

前記脱泡装置３は、タンク本体１７ａ及びこれ
に上部に開閉自在に取付けられた蓋体１７ｂから
なるスラリータンク１７と、このタンク１７に供
給されたセラミツクススラリーＳを撹拌するため
の撹拌手段１８と、スラリータンク１７内部の空
気を吸出するための真空ポンプ１９とを含んで構
成される。撹拌手段１８はスラリータンク１７内
に挿入支持された回転軸２０と、この回転軸２０
に放射状にして且つ上下複数段に亘つて突設され
た撹拌羽根２１…と、この回転軸２０を駆動する
ための、外部に設置されたモータ２２とからな
る。また、真空ポンプ１９は、モータ２４により
駆動されるもので、管路２５，２６，２７を介し
てスラリータンク２０の蓋体１７ｂ側に連結され
ている。尚、２８は３Kgｆ／cm²程度の低圧力の空
気をスラリータンク２０内に加圧供給して脱泡済
みのセラミツクススラリーＳをタンク底部の送出
口２９から送出させるための空気圧力源であつ
て、その空気圧力供給管路３０が手動切換弁３１
を介して管路２７の中間所要部に接続されてい
る。

前記高加圧装置４は、250Kgｆ／cm²以上の内圧
に十分耐え得る高圧容器３２内に、膨縮可能な袋
体３３を配備すると共に、この袋体３３内にスラ
リー導入用のチユーブ３４を底部まで挿入配置
し、しかしてスラリー用の主管路３５から分岐さ
れた分岐管路３６よりチユーブ３４を通じて袋体
３３内に常時セラミツクススラリーＳを導入して
おいてこの袋体３３と高圧容器３２との間の密閉
空間部３７内に10〜250Kgｆ／cm²の高圧の圧油を
供給してこの袋体３３内のスラリーＳの圧力が圧
油と平衡するまで袋体３３を圧縮させそれにより
主管路３５内のセラミツクススラリーを高加圧す
るようにしてなるものである。圧油はモータ３８
により駆動されるポンプ３９により所要の高圧力
に加圧されて油圧管路４０を通じて高圧容器３２
内の空間部３７に供給される。また、スラリー用
主管路３５の先端部側はフイルター４１を経て、
石膏型１内部の縦貫通路４２に接続されており、
したがつて主管路３５より供給されるセラミツク
ススラリーはこの縦貫通路４２から各分割型１
ａ，１ｂ…のそれぞれの成形室１a₁，１a₂…に分
配注入されるようになつている。

尚、前記フイルター４１は第５図に示すよう
に、それぞれ内部に流体室４１a₁，４１b₁が形成
された１対の金属製ボデー４１ａ，４１ｂを有
し、一方のボデー４１ａには流体室４１a₁に通じ
る流入路４１a₂が、また他方のボデー４１ｂには
流体室４１b₁から延出する流出路４１b₂がそれぞ
れ設けられ、そしてこれらのボデー４１ａ，４１
ｂは、その間に多孔状の金属製支持板４１ｃとこ
れの流入路側側面に取外し可能に装着された網状
の濾過体４１ｄとを挟み込んだ状態で、ボルト・
ナツト４１ｅによつて一体的に連結されている。
このフイルター４１の使用において、セラミツク
ススラリーは、流入路４１a₂から流体室４１a₁に
入つて濾過体４１ｄを通過することによりゴミ等
の不純物を除去される。この濾過体４１ｄが目詰
りを生じた場合にはボデー４１ａ，４１ｂを分解
してその濾過体４１ｄを取外し、洗浄するか新し
いものと取換えればよい。濾過体４１ｄはステン
レスやしんちゆう等の目の細かい金網からなるも
のである。

次に、上記のような成形機の使用によるセラミ
ツクスの成形工程を説明する。

先ず、セラミツクス粉末と水（蒸溜水）とが適
当に調合されて混合されたセラミツクススラリー
Ｓを、スラリータンク１７内に所要量供給する。
このときスラリー送出口２９側の開閉弁４３を閉
じておく。そして撹拌手段１８によりタンク１７
内のスラリーＳを撹拌させながら、真空ポンプ１
９を作動させてタンク１７内の空気を吸出させ
る。この場合、タンク１７内のスラリーＳ中に含
まれている気泡は撹拌手段１８による撹拌作用と
真空ポンプ１９によるタンク１７内部の減圧作用
とによつて効果的に除去排出され、また撹拌作用
によつてスラリーＳが一層良好に混合される。こ
うして脱泡操作を行つた後、真空ポンプ１９の作
動を停止し、また開閉弁４４を閉じ、切換弁３１
を管路３０に接続すべく切換える。そして空気圧
力源２８より３Kgｆ／cm²程度の低圧の空気を管路
３０，２７を通じてタンク１７内に加圧供給しつ
つ、開閉弁４３を開いてタンク１７内のスラリー
Ｓを送出口２９から主管路路３５及び分岐管路３
６へ送出する。主管路３５に送出されたスラリー
Ｓは、フイルター４１を通つてゴミ等の不純物を
除去された後、石膏型１内部の縦貫通路４２に入
つてそこから分割型１ａ，１ｂ…の成形室１a₁，
１a₂…にそれぞれ分配注入される。このとき主管
路３５側の開閉弁４５は開かれ、開閉弁４６は閉
止される。

上記のようにしてセラミツクススラリーＳを石
膏型１内に注入し終えた後、タンク１７側の開閉
弁４３を閉じ、そして高加圧装置４のボンプ３９
を作動して高圧容器３２の油圧を例えば200Kg
ｆ／cm²の圧力まで高め、それにより袋体３２を収
縮させて袋体３２内のスラリーＳを油圧と同圧に
加圧することにより、分岐管路３６及び主管路３
５を通じて石膏型１内のスラリーＳに同じ200Kg
ｆ／cm²の高圧力を所要時間付与する。この場合に
石膏型１は型支持装置２によつて外側から全面的
に支持されているため高圧力で不都合に変形した
り、破壊することがない。しかして、このような
高圧力の付与により、石膏型１内のセラミツクス
スラリーＳは、その水分が石膏自体の微孔や分割
型相互の接合部の隙間更には各分割型の割り型相
互間の隙間から積極的且つ急速に排出されてゆく
と共に、スラリー中のセラミツクス粒子相互が強
固に結合されて圧密されてゆく結果、短時間で固
形化した高密度の成形体となる。この石膏型１か
ら排出されるスラリー中の水分は筒状型枠５の小
透孔５ｂ…を通つてその外側の外筒部材１１内に
受け入れられ、その底部に設けられたドレン口４
７から必要に応じて外部に排出される。この場合
において、外部筒材１１は管路４９及び開閉弁４
９を介して真空ポンプ１９に接続可能となつてい
て、この真空ポンプ１９の作動により適宜に外筒
部材１１内部の空気を吸出できるようにしてあ
る。また、筒状型枠５の外周面に配備されたヒー
トパイプ２３には加熱蒸気が通されて加熱され、
それにより石膏型１が適当な温度に加熱されて型
１内からの水分の外部発散が促進されるようにな
る。外筒部材１１の上面の両側には型枠吊り上げ
用の取つて５０が取付けてある。

このようにして石膏型１内のセラミツクスが適
度に固形化したら、型支持装置２を石膏型１から
外した後、この石膏型１を各分割型に分解し、更
に各分割型の割り型を相互に切離して成形体を取
り出す。

（考案の効果） 本考案によれば、石膏型をその上下両面及び周
側面に亘つて全面的にしかもほぼ均一な支持力で
支持させてやることができるため、型内部の成形
室に相当な高圧のスラリーが注入されてもこの石
膏型が変形したり局部的な歪を生じることがな
く、また破壊するおそれもない。また、型支持装
置の操作にあたつては、押圧手段により石膏型に
対し軸方向の圧縮力をかけてやるだけでよいか
ら、操作が非常に簡単に行え、更に型支持装置の
構造が簡単であるためコストも安くつき、メイン
テナンスの点でも有利となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るセラミツクス成形機の全
体を示す概略説明図、第２図は型支持装置を示す
全体正面図、第３図は型支持装置の要部拡大詳細
断面図、第４図は内周面に溝を設けた場合の筒状
型枠を示す断面図、第５図はフイルターの拡大断
面図である。 Ｓ……セラミツクススラリー、１……石膏型、
２……型支持装置、５……筒状型枠、７……下支
持板、９……上支持板、１０……ねじプレス（押
圧手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. セラミツクススラリーを石膏型に注入して所定
   のセラミツクス成形体を作るための成形機におい
   て、前記石膏型が円錐台状に形成されており、か
   つこの石膏型を支持するための型支持装置が、こ
   の石膏型の外周面に対応するテーパ状内周面を備
   えかつ当該型枠の厚み方向に貫設された多数の透
   孔を有していてこの石膏型に外嵌される筒状の型
   枠と、この筒状型枠の下面側及び上面側に配置さ
   れる支持板と、石膏型に前記型枠を外嵌しその上
   下両面側に前記支持板を配した状態でこれらの支
   持板を介して石膏型に軸方向の圧縮力を付与する
   ための押圧手段とから構成されていることを特徴
   とするセラミツクス成形機。