JPH0136194Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は乾式複写機の加熱定着ロールに接触さ
せながら回転させて、該ロール表面にトナーの剥
離性を高めるためのシリコーン油を供給するシリ
コーン油塗布ロールに関する。

従来、複写機の定着用シリコーン油塗布ロール
として、シリコーン油を封入した円筒体に貫通孔
を設け、該円筒体に紙、フエルト、織物等を外装
したものが提案されている。これらのシリコーン
油塗布ロールは、加熱定着ロールに接触させるこ
とにより該塗布ロール全体が加熱され、その結果
として、該塗布ロール内のシリコーン油と空気と
が熱膨張すること及びシリコーン油の粘性が低下
することによつて、該塗布ロールの貫通孔からシ
リコーン油が流出する。そして、この流出したシ
リコーン油は、外装された紙、フエルト、織物等
の内部に浸透、拡散して、加熱定着ロール表面に
供給される。ところが、これら従来のシリコーン
油塗布ロールでは、貫通孔より流出するシリコー
ン油が貫通孔のシリコーン油出口部付近に極端に
多く偏在するため、加熱定着ロールの働き幅方向
にシリコーン油を均一に塗布する事ができなかつ
た。その結果、これらの塗布ロールを用いた複写
機を使用すると、加熱定着ロール表面に付着した
トナーの剥離が、十分行なえず、又連続使用時に
複写紙が加熱定着ロールに巻きつくという欠点を
有していた。

本考案は上記欠点を解消すべく提案されたもの
で、複写機を使用するとき加熱定着ロール表面に
均一かつ連続的にシリコーン油を供給して、加熱
定着ロール表面に付着したトナーの剥離を十分に
行ない、又連続使用時に複写紙が加熱定着ロール
に巻き付かなくする事を目的とする。

本考案は、シリコーン油を封入した円筒体と、
該円筒体の肉厚部に設けた貫通孔と、該貫通孔の
シリコーン油出口部から延びるシリコーン油拡散
用凹部（以下、「凹部」という）と、該凹部にシ
リコーン油を拡散させるように該出口部に設けた
邪摩板部材と、該円筒体に外装したシリコーン油
拡散層とからなる複写機の定着用シリコーン油塗
布ロールに関するものである。

以下実施例に基づき、第１図及び第２図に示す
図面に沿つて本考案を説明する。第１図は、本考
案に係る複写機の定着用シリコーン油塗布ロール
の横断面図、第２図は該ロールの１部を切欠いた
平面図である。

シリコーン油１を封入した金属等からなる円筒
体２の肉厚部には、シリコーン油１を流出するた
めの貫通孔３が設けられている。本考案における
シリコーン油１は、シリコーン油塗布ロールが加
熱定着ロールと接触することによつて加熱された
とき、貫通孔３から流出しうるものであればどの
ような粘度であつてもよいが、シリコーン油１の
粘度としては、好ましくは１万〜20万cpsがよい。
上記、貫通孔３の直径や数は、加熱定着ロールへ
のシリコーン油塗布量やシリコーン油の粘度等か
ら定められるが、上記のようなシリコーン油１の
好適範囲の粘度１万〜20万cpsにおいては、0.5〜
1.0mmの直径を有する貫通孔３が好ましい。

円筒体２の表面には、貫通孔３のシリコーン油
出口部から延びるように凹部４が形成されてい
る。従つて、シリコーン油出口部から流出する大
部分のシリコーン油は、一旦、該凹部４に流れた
後、シリコーン油拡散層６に浸透し、拡散する。
この様なシリコーン油の挙動は、シリコーン油出
口部上に邪摩板部材５を設けると共に、シリコー
ン油拡散層６へのシリコーン油の浸透性を調節す
ることにより実現できると考えられる。なお、シ
リコーン油拡散層６へのシリコーン油１の浸透性
は、シリコーン油拡散層６の密度と、シリコーン
油１の粘度を変化させることで調節できる。一般
に、シリコーン油１の粘度が高くなればなるほど
又は拡散層６の密度が高くなればなるほど、シリ
コーン油１は拡散層６へ浸透しにくくなり、優先
的に、凹部４へ流れやすくなる。

前記、凹部４の形状はとくに限定されないが、
シリコーン油１が該凹部に沿つて流れた後、シリ
コーン油拡散層６の全体に均一に拡散できるよう
な形状であることが望ましい。例えば、凹部は、
円筒体の円周に沿つてらせん状に設けたもの、適
宜の間隔で線状、放射線状等に設けたもの、円周
に沿つて環状に設けたもの、円周と直交する方向
に線状に設けたもの或いは、これらを適宜組合せ
たもの等が用いられる。該凹部４は幅は0.5〜2.5
mm、深さは0.2〜1.2mmが好適である。なお、該凹
部４は、シリコーン油出口部から延びるように形
成されているのがよく、例えば、第２図に示すよ
うに該凹部４をシリコーン油出口部からたすき掛
け状に延びるように形成すれば、シリコーン油の
拡散性がよい。また、凹部を皿形状に設けた場合
には、その中心にシリコーン油出口部を設けるの
がよい。

邪摩板部材５は、シリコーン油出口部を外部か
ら覆うように取に付ければよい。シリコーン油出
口部は完全に覆われていてもよいし、部分的に覆
われていてもよい。ただし、前者の場合の方が、
シリコーン油１がシリコーン油拡散層６に直接浸
透せず、一担凹部４へ拡散してから浸透するの
で、シリコーン油１の分布がより均一になり好ま
しい。上記邪摩板部材５は、金属箔或いは合成樹
脂製のフイルム又はテープ等から成り、シリコー
ン油を通さないものがよいが、シリコーン油出口
部から出るシリコーン油１の大部分を凹部４へ拡
散させ、シリコーン油出口部上にシリコーン油を
偏在させないものであれば、シリコーン油が浸透
するようなものでも使用できる。邪摩板部材５の
面積は、とくに限定されないが、シリコーン油出
口部を完全に覆うために少なくとも３mm²はあつた
方がよい。邪摩板部材５は、接着剤などを用いて
円筒体に密着した状態で取り付けられる。この場
合、シリコーン油１は、邪摩板部材５と凹部４と
の隙間を通り、該凹部に沿つて流れた後、シリコ
ーン油拡散層６に拡散する。しかし、該凹部４が
皿形状の場合には、邪摩板部材５は少し浮かせた
状態で取り付けられる。これは、邪摩板部材５の
裏にリブをつければ容易に行うことができる。皿
形状の場合にこの様な取り付け方をするのは、邪
摩板部材５が密着した状態で取り付けられると、
邪摩板部材５と皿形状の凹部４との間に隙間がで
きず、シリコーン油１が外部へ流出できないから
である。

シリコーン油拡散層６は、紙、フエルト、不織
布、編織布、スポンジ等を円筒体２に巻回して形
成される。この際材料としては、見掛密度0.1〜
0.9ｇ／cm³の不織布を用いるのがより好ましい。
このような不織布は、シリコーン油拡散層６を形
成したとき、シリコーン油１をその拡散層６中に
均一に拡散できるだけでなく、更に、加熱定着ロ
ール表面をクリーニングする作用も発揮するから
である。

本考案に係る複写機の定着用シリコーン油塗布
ロールは、円筒体に設けられた貫通孔のシリコー
ン油出口部から延びるシリコーン油拡散用凹部
と、シリコーン油出口部に設けた邪摩板部材とを
具えているため、貫通孔から流出したシリコーン
油が、直接シリコーン油拡散層に浸透拡散するこ
となく、シリコーン油拡散用凹部に沿つて流れて
からシリコーン油拡散層に均一に浸透、拡散す
る。その結果、本考案のシリコーン油塗布ロール
を用いて複写機は、加熱定着ロール表面に付着し
たトナーの剥離を全面に亘つて均一且つ十分に行
なえると共に、複写紙が加熱定着ロールに巻きつ
かないという効果を奏するので、長時間の連続使
用が可能である。

なお、本考案のクリーニング塗布ロールは、加
熱定着ロールだけでなく、加熱定着ロールと対に
なつて複写紙を圧着するバツクアツプロールにも
使用でき、極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る複写機の定着用シリコー
ン油塗布ロールの横断面図、第２図は該ロールの
一部を切欠いた平面図である。 １はシリコーン油、２は円筒体、３は貫通孔、
４はシリコーン油拡散用凹部、５は邪摩板部材、
６はシリコーン油拡散層である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリコーン油を封入した円筒体と、該円筒体の
   肉厚部に設けた貫通孔と、該貫通孔のシリコーン
   油出口部から延びるシリコーン油拡散用凹部と、
   該凹部にシリコーン油を拡散させるように該出口
   部に設けた邪魔板部材と、該円筒体に外装したシ
   リコーン油拡散層とからなる複写機の定着用シリ
   コーン油塗布ロール。