JPH0134723B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、チヤツク本体のチヤツク筒に多数
の中空穴を穿設し、チヤツク筒に傾斜軸線をもつ
て配置された多数のニードルローラを介して回動
筒を嵌挿して回転切削工具に対する把持力を向上
させたチヤツクに関する。

（従来技術） ドリル、エンドミルなどの回転切削工具に対す
る給油には、外部から給油管を導き、給油管の注
油口を切削部に向けて設けて注油したり、回転切
削工具自体に給油穴を穿設し、該給油穴とチヤツ
クに設けた給油路を連通させたもの（実公昭55−
15946号）があつた。前者では、加工部分が変つ
たり、工具を交換すると、その都度注油口を手で
調整しなければならず、又加工物によつては板状
の突起物のある部品が工具と給油管の間に入り、
注油が妨げられることがあつた。後者では構造が
複雑であり高価である。

（発明の目的） この発明は、上述の従来技術の問題点を解決す
べくなされたものであつて、工具の把持力を向上
させるためにチヤツク本体のチヤツク筒に多数の
中空穴を穿設し、チヤツク筒にチヤツク本体の軸
線に対し傾斜する軸線をもつて配置された多数の
ニードルローラを介して回動筒を嵌挿した従来か
らあるチヤツクに僅かな加工を施こすだけで、少
しも把持力を損うことなく、簡単に注油できるよ
うにしたチヤツクを提供することを目的とする。

（発明の構成及び効果） この発明は、一端に工作機械のスピンドルに嵌
合するシヤンクを、他端にチヤツク筒を有するチ
ヤツク本体と、チヤツク筒の外周面に嵌挿され、
回動筒と、チヤツク筒と回動筒の間に介装され、
チヤツク本体の軸線に対して傾斜する軸線をもつ
て保持されるニードルローラとからなり、チヤツ
ク筒の先端からニードルローラとの接触部を越え
て中空穴を多数平行に穿設したニードルローラ式
チヤツクにおいて、本体に給油装置を嵌挿し、前
記中空穴の１ないし数本と給油リングの給油穴と
連通させると共に、前記チヤツク筒の端面にリン
グ部材を設け、該リング部材には給油装置に連通
する中空穴の開口部に対応して貫通穴を穿設した
球状体を回動自在に挿入し、チヤツク筒にリング
部材を固着する円筒部を突設したものである。

かかる構成を有するため中空穴と給油装置の給
油穴と連通させるだけで別に特別の装置を設けな
くても注油が可能となり、切刃のチツピングを防
止できるので、加工面粗度がきわめて良好とな
り、加工部分に変化が多くても、十分な給油がで
きる。しかもリング部材に回動自在に嵌挿された
球状体を回動させることにより、注油角度が自由
に変えられて注油必要個所に的確に注油ができ
る。さらに、構造が簡単であるので、組立が容易
であり、安価であり、工具の把持力を少しも損す
ることなく高精度の加工が可能になるなど、数多
くの効果を奏する。

次に本発明の実施例を図面について説明する。
第１図において、チヤツク本体１は図示しない工
作機の主軸に取りつけ可能なシヤンク２を一端に
有し、さらに、これに続いてつば部３と、円筒部
４と他端に工具を把持するチヤツク筒部５を有す
る。チヤツク部５の肉厚部６には中空の深穴７が
相互に平行に多数穿設されている。円筒部４には
中空の深穴７から連続した長い中空穴８が穿設さ
れ、該中空穴から円筒部に開口する横穴９が穿設
されていて油の通路を形成する。

給油装置１０はチヤツク本体１の中央の円筒部
４に嵌挿されていて、給油リング１１に給油ねじ
穴１２と両端に環状の段部１３を形成し、該段部
１３にオイルシール１４を嵌入して押え金１５を
給油リング１１の両端にボルト１６により固定す
る。このため、オイルシール１４も固定される。
また、給油ねじ穴１２は横穴９に対応して位置決
めされスナツプリング１７で軸方向の移動を止め
る。さらに、円筒部４の外周と給油装置の内周面
との間に環状の油溝１８ができる。また、先端の
チヤツク筒部５にはチヤツクの軸線に対して傾斜
した軸線にそつて配置された多数のニードルロー
ラ１９を介して回動筒２０が回動可能に挿嵌され
ている。

チヤツク筒６の先端にはリング部材２１が取付
けられており、該リング部材は第２図に拡大して
示すように中空穴７に嵌挿するための円筒部２２
が突設されると共に、横穴９に通ずる中空穴８に
対応して、貫通穴２５を明けた球状体２４を回動
自在に収納している。円筒部２２と球状体のリン
グ部材２１における配置状態の一例を第３図に示
す。チヤツク筒部５端面の油穴８に球状体２４
を、中空穴７に円筒部２２をそれぞれ向わせ中空
穴７に円筒部を嵌入して接合すると、円筒部の先
端に設けたリング状突起２６が中空穴７に予め設
けておいたリング状の溝２７に嵌合し、チヤツク
筒部５の端面にリング部材２１が固定される。球
状体２４は、リング部材２１に形成された球面穴
２３に回動自在に収納されているので注油穴２５
にレンチ等の適当な工具を用いて自由に注油角度
を調整することができる。

まず、シヤンク挿入穴２８に図示しない工具シ
ヤンクを挿入し回動筒２０を回転させ工具を締め
つけ固定するとき、工具切刃長さに応じて球状の
注油部２４の注油穴２５にレンチ等を差しこん
で、あらかじめ切削に関与する切刃部分に注油で
きる角度に調整する。次いで工作機械の主軸にシ
ヤンク２を挿入しチヤツク本体１を固定し、図示
しない給油管を給油ねじ穴１２のニツプルに接続
する。切削時の切削油は給油管からニツプルに入
りさらに環状の油溝１８を経て各横穴９から油穴
８に入り、球状体２４の注油穴２５から噴出し、
切削加工部の切刃に充分な注油を行う。本実施例
では三方から注油しているのでエンドミル加工の
場合、どれか一箇の注油がエンドミル切刃の切屑
を完全に排除している。このため切刃が切屑をも
つたまま、次の切削に入らないので、切刃のチツ
ピングおよび異常摩耗がなくなり、加工面粗度も
非常によくなつた。また、中空穴７への切屑の浸
入を完全に防止できる。

さらに、第５図に示すように、リング部材２１
を２枚の合成樹脂板２１ａ，２１ｂでつくること
ができる。この場合、各板を積層したときに球面
穴２３が形成されるようにし、該球面に球状体２
４を収納してから、各板２１ａ，２１ｂを接着剤
で固着する。

また、リング部材２１は、第６図、第７図及び
第８図に示すように必要により長手方向に数本の
スリ割り２９を形成したコレツト３０と一体に設
けてもよい。まずコレツトの貫通穴３１に切削工
具のシヤンクを挿入してから、チヤツク本体１の
チヤツク筒部５のシヤンク挿入穴２８に挿入して
固定する。この際球状体２４を給油路を形成する
長い中空穴８と一致させなければならない。この
ようにコレツトとリング部材を一体にすれば工具
シヤンク径に合つたコレツトを揃えることによつ
てかなりの寸法範囲の工具を使用できる。

さらに、リング部材２１とコレツト３０を一体
にする場合、第９図に示すように、コレツトと一
体の板体２１ａと平板２１ｂをボルト３２を固着
してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の実施例の要部を切断した
側面図、第２図はこの発明の要部の拡大部分断面
図、第３図はリング部材の正面図、第４図は第３
図−線による断面図、第５図は他の実施例の
要部の部分断面図、第６図は他の実施例の要部を
切断した部分側面図、第７図は他の実施例の要部
の部分切断側面図、第８図は第７図−線によ
る部分切断正面図、第９図は他の実施例の要部の
部分切断側面図である。 １……シヤンク、５……チヤツク筒、７，８…
…中空穴、１１……給油装置、１２……給油穴、
１９……ニードルローラ、２０……回動筒、２１
……リング部材、２２……円筒部、２４……球状
体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一端に工作機のスピンドルに嵌合するシヤン
   クを、他端に切削工具を装着するチヤツク筒を有
   するチヤツク本体と、チヤツク筒の外周面に嵌挿
   された回動筒と、チヤツク筒と回動筒の間に介装
   され、チヤツク本体の軸線に対して傾斜する軸線
   をもつて保持されるニードルローラとからなり、
   チヤツク筒の先端からニードルローラとの接触部
   を越えて中空穴を多数平行に穿設したニードルロ
   ーラ式チヤツクにおいて、本体に給油装置を嵌挿
   し、前記中空穴の１ないし数本と給油装置の給油
   穴と連通させると共に、前記チヤツク筒の端面に
   リング部材を設け、該リング部材には給油装置に
   連通する中空穴の開口部に対応して貫通穴を穿設
   した球状体を回動自在に挿入したことを特徴とす
   る給油穴付チヤツク。 ２ 前記リング部材は２枚の円板を積層してなる
   特許請求の範囲第１項記載の給油穴付チヤツク。 ３ 前記リング部材はシヤンク挿入穴に装着する
   コレツトに一体に設けられている特許請求の範囲
   第１項又は第２項記載の給油穴付チヤツク。