JPH0133822B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は電子写真法あるいは静電記録法などに
おいて電気的潜像を現像するための負帯電性トナ
ーに関する。 従来、請電潜像を粉末トナーで現像する方法と
しては、トナー粉末を磁性鉄粉と混合し、これを
磁石に保持させ、ブラシ状になつた前記混合物を
静電潜像上で摺動させて現像する磁気ブラシ法
や、トナー粉末をガラス球等のキヤリヤーと混合
してキヤリヤー表面に付着させ、これを静電潜像
上に散布して現像するカスケード法が公知であ
る。これらの現像法はいずれもトナーを磁性鉄粉
またはガラス球と混合することにより、トナーを
摩擦帯電させ、静電潜像に主としてクーロンカに
より付着せしめて現像するものである。即ち、ト
ナーはその極性が静電潜像に極性と異なる場合に
は電荷のある静電潜像部に付着し、同じ場合には
電荷のない非静電潜像部に付着することにより現
像が行われる。 マグネツトブラシ法またはカスケード法に使用
されるキヤリヤーとしては、一般には前述の鉄
粉、ガラス球のほか、これらに樹脂の薄膜を施し
たものが用いられている。前述のようにトナー
は、これらのキヤリヤーと混合摩擦することによ
り帯電するが、その帯電極性はトナーを構成する
着色剤および樹脂によつて大きく左右されるもの
である。樹脂は極性を制御する目的のほか、トナ
ー粉末を定着させる目的も有し、また樹脂によつ
てトナーの着色性あるいは保存安定性等も変化す
るので帯電極性の制御性を満足させ、かつ定着性
その他の諸特性をも満足させる樹脂を選択するこ
とは容易なことではなかつた。しかも被定着物、
定着装置等が異なれば、要求されるトナーの条件
も異なるので、最適のトナーを選択することは非
常に困難であつた。 本発明は、上記の欠点を改善したもので多数枚
の連続した複写に際しても負に帯電した制御され
た、安定した静電写真用トナーを提供するもので
ある。 即ち、本発明は着色剤と樹脂とから少なくとも
なる静電写真用トナーにおいて、着色剤として表
面の活性水素含有量が15.0×10^-5〜30.0×
10^-5mol／ｇのカーボンブラツクを使用するもの
である。 カーボンブラツクは、一般的には圧縮された多
環式芳香族系炭素化合物ともみられる炭素原子の
六角網状に配列した層平面が３〜５層ほぼ等間隔
に平行に積み重なつている。表面附近では結晶子
が平行に配列し、内部では方向が不規則である。
この表面の結晶子の端には、カルボキシル基、ヒ
ドロキシル基、カルボニル基、ラクトン基などの
官能基が少量存在している。一般的に、カーボン
ブラツクの諸特性はこれらの官能基の量に影響さ
れる。本発明者らはトナー用のカーボンブラツク
に関する一連の研究の中でカーボンブラツクの帯
電性が表面官能基中に存在する活性水素により支
配され、負帯電トナーには活性水素量が15.0×
10^-5〜30.0×10^-5mol／ｇのカーボンブラツクを
用いると良いことを見出したものである。 カーボンブラツク表面の活性水素量の測定は、
以下の如く行われる。即ち、カーボンブラツクに
ジアゾメタンのジエチルエーテル溶液を適下させ
ることによりカーボンブラツク上の活性水素（ヒ
ドロキシル基とカルボニル基の水素）は全てメチ
ル基に交換される。この処理をしたカーボンブラ
ツクに比重1.7のヨウ化水素酸を加え、加熱する
とメチル基はヨウ化メチルとなり気化する。この
ヨウ化メチルの気体を硝酸銀溶液でトラツプする
とヨウ化メチルがヨウ化銀となり沈澱する。この
ヨウ化銀の重量より、元のメチル基の量即ち活性
水素の量を測定することができる。この方法によ
り種々のカーボンブラツクについて測定した表面
活性水素量と鉄粉との摩擦帯電性との関係を調べ
たところ、活性水素量が０に近づくほどに一般に
正帯電性大がきくなり、活性水素量が多くなると
負帯電性となり、かつ活性水素量の多少に応じ
て、またカーボンブラツクの種類によつてもその
帯電量は変化するが、平均して15.0×10^-5〜17.0
×10^-5mol／ｇで帯電性が０に近ずく。従つてト
ナーの目的に応じたカーボンブラツクを選択する
ことができる。また、表面活性水素の量は化学的
処理により人為的に変化させることができる。 カーボンブラツクの活性水素を増加させる方法
としては、重クロム酸カリ、過安息香酸、過マン
ガン酸カリ、水素化リチウムアルミニウム、ホウ
素化水素ナトリウム、フエニルアジド、アニリン
などで処理する。また減少させるには、ジアゾメ
タン、トリメチルクロロシラン、ジメチル硫酸な
どで処理する方法がある。このような方法で処理
して、トナーの目的に応じたカーボンブラツクを
使用することにより、トナーの帯電量を安定化で
き、トナーに用いる樹脂に対する分散性、分散安
定性を向上することができ、また反対電荷を有す
るトナー部分が減少するので画質、とくに黒ベタ
部の白斑（白ヌケ）がなくなり、合せて記録濃度
を増加することができる。 また、本発明のトナー用樹脂としては、従来ト
ナーに用いられるほとんど全ての樹脂が使用で
き、例えばポリスチレン、ポリエステル、ポリア
ミド、ポリエチレン、エチレン−塩化ビニル共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重体、マレイン酸
樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、キシレン
樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、フ
エノール樹脂、ロジンテルペン樹脂などが挙げら
れる。 以上の材料の他に、本発明のトナーには必要に
応じて、染料や各種の助剤、添加剤を加えること
ができる。 本発明のトナーを作るには、従来の方法と同様
に、樹脂、カーボンブラツク、染料および必要あ
れば助剤を混合して、熱ロールを有する混練機中
で充分混練した後、粉砕し、５〜25μ程度に分級
すればよい。 以下、実施例にて本発明を具体的に説明する。 実施例 １ アクリル系樹脂100重量部、染料（保土谷化学
社製、スピロンブラツクBHH）５重量部および
重クロム酸々化処理により表面活性水素量を21.7
×10^-5mol／ｇとしたカーボンブラツク５重量部
を熱混練した後冷却し、ハンマーミルで粗粉し、
さらにジエツトミルで微粉化後分級して５〜25μ
の粒径分布をもつたトナーを作製した。 実施例 ２ 過マンガン酸々化処理して、表面活性水素量を
15.1×10^-5mol／ｇとしたカーボンブラツクを用
いる以外は実施例１と同様にしてトナーを作製し
た。 比較例 １ ジアゾメタンで処理し、表面活性水素量を4.1
×10^-5mol／ｇとしたカーボンブラツクを用いる
以外は実施例１と同様にしてトナーを作製した。 上記で得られたトナー５重量部を鉄粉（日本鉄
粉社製、TEFV200／300）100重量部に混合した
ものを用い、感光体としてセレンを用いる幹式
PPC複写機により記録を行ないその特性を比較
したところ、下表のような結果を得た。

【表】 表に示した如く、化学処理をして表面活性水素
量を増加させたカーボンブラツクを用いたトナー
は記録特性およびカーボンの分散性が良好であつ
た。又、該実施例１のトナーの摩擦帯電量をブロ
ーオフ帯電量測定装置により測定したところ、コ
ピーの開始時においては−22μc／ｇであり、
5000枚の連続コピー後においても−21μc／ｇで
あつて連続したコピーの過程でもほぼ安定した負
帯電性を示した。また、化学処理により表面活性
水素を減少したカーボンを用いたトナーは記録特
性カーボンの分散性が悪いものであつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 着色剤と樹脂とから少なくともなる静電写真
   用トナーにおいて、前記着色剤として表面の活性
   水素含有量が０〜10.0×10^-5mol／ｇのカーボン
   ブラツクを使用したことを特徴とする正帯電性静
   電写真用トナー。