JPH0133591B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明はポリエステル繊維製品の洗濯処理方法
に関するものである。 （従来技術） 従来より、ポリエステルを含む布帛（織編物）
は、寸法安定性、強力、しわになりにくいなど優
れた特性をもつが、反面疎水性であるために、綿
などの親水性繊維に比較して親油性が強く油性汚
れが付着しやすく、かつ除去し難い、また洗たく
中に汚れが再付着しやすいなどの問題があつた。 これはポリエステルが実用化されて以来、常に
提起された問題であり、このような問題を改良す
るために多くの方法がこれまで提案されている。
例えばポリエチレングリコールとポリエステル樹
脂の共重合物からなる溶液または分散液中でポリ
エステル系成形物を侵漬処理する方法（特公昭47
−2512号）、ポリエチレングリコールのジメタク
リレートなどの親水性ビニル化合物をパツドもし
くはスプレー後、蒸熱処理する方法（特公昭51−
2559号）、あるいは酸素を含む気体の低温プラズ
マ処理による方法（“Polymer”1987年８月号
p904〜912など）などがあるが、これらはいずれ
もポリエステル系繊維製品の仕上加工として提案
されたものであり、操作が煩雑であるとか、特殊
な設備が要るとかあるいは加工の再現性に乏しい
など加工面での問題があると共に、肌着、白衣な
ど洗たく頻度の多いユニフオーム等の衣類や、使
用する度に洗たくされるホテルのシーツなどは洗
たくを行うにつれ初期の効果が徐々になくなると
いう問題があり、従来より特殊な加工をせずとも
また何回洗たくを繰返しても再汚染防止効果を有
する素材や、処理剤（洗剤）の出現が待ち望まれ
ていた。 （発明の目的） 本発明の目的は、、ポリエステルを含む繊維製
品の処理、特に洗たくにおける汚れの再付着を防
止する洗濯処理方法を提案することにある。 （発明の構成） 本発明はポリエステルを含む布帛を芳香族ジカ
ルボン酸又はその低級アルキルエステルと、アル
キレングリコールおよびポリアルキレンゴリコー
ルとのブロツク共重合体と、洗剤とからなる液中
で処理することを特徴とするポリエステル繊維製
品の洗濯処理方法にある。 本発明方法において使用される芳香族ジカルボ
ン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸など
があり、単独あるいは併用して用いてもかまわな
い。又、本発明方法に用いるものはその低級アル
キルエステルでもよいが、さらに、これらの芳香
族ジカルボン酸又はその低級アルキルエステルに
５−ナトリウムスルホイソフタル酸を加えたもの
を用いてもかまわない。 一方アルキレングリコールとは一般式 HO−（CH₂）ｎ−OH （ただしｎは２〜４の整数） であらわされるものが有効に使用され、具体的に
はたとえばエチレングリコール、プロピレングリ
コール、プチレングリコールなどがあげられる。 またポリアルキレングリコールとは一般式 Ｈ−（OR）ｍ−OH （ただしＲは炭素数２〜４のアルキレン基であ
り、ｍは10〜250の整数である） で表わされるものが有効に使用され、具体的には
たとえばポリエチレングリコー、ポリプロピレン
グリコールおよびそのランダム共重合体、ブロツ
ク共重合体であり、分子量は600〜20000、好まし
くは800〜10000のものが好適に示される。 本発明方法においてこれらの化合物をポリエス
テル布帛に付与する場合、ブロツク共重合体とし
て付与するが、少数の具体例を挙げるとテレフタ
ール酸／アルキレングリコール／ポリアルキレン
グリコール、テレフタール酸メチル／アルキレン
グリコール／ポリアルキレングリコール、イソフ
タール酸／アルキレングリコール／ポリアルキレ
ングリコール、テレフタール酸／イソフタール
酸／アルキレングリコール／ポリアルキレングリ
コール等があるが、これらに限定されるものでは
ない。 これらのブロツク共重合体の各成分のモル比は
前記一般式の化合物：アルキレングリコール：ポ
リアルキレングリコール＝１：２〜３：１〜31の
ものが防汚性の点から好ましい。 なお該ブロツク共重合体は非イオン系もしくは
アニオン系の界面活性剤、好ましくは分子中にエ
チレンオキサイドを含む非イオン系部分と、アニ
オン系部分を同時に有する界面活性剤を用い、水
に分散させるとよい。 尚、本発明方法において、ポリエステル繊維製
品とはポリエステル布帛（織編物）それ自体、お
よびポリエステル布帛から、さらに後次加工され
た縫製品、成形品等の加工品を意味する。 （発明の作用） 本発明方法は、これらのブロツク共重合体を処
理液の中に入れることによつて、着用などで汚れ
た被洗物を洗滌し、該被洗物から一たん除去され
た汚れが、再び被洗物に付着するいわゆる洗たく
再汚染現象を著しく防止できたものである。 これらのブロツク共重合体によつて、洗たく再
汚染現象を防止することができる作用機構はまだ
明確ではないが、繊維上より一たん脱落した汚れ
がこれらのブロツク共重合体の存在で再び繊維に
付着しにくくなるか、あるいは付着してもすぐに
洗たく液中で脱落しやすくなつているのかのいず
れかであろうと推定される。 これらのブロツク共重合体は洗たく液に対して
有効成分で0.00001重量％以上、望ましくは
0.0001重量％以上用いるのがよい。 実施例 １ 織物の作成： ポリエステル系繊維からなる短繊維織物を常法
により精練を行つた後、下記染浴中で温度130℃
に昇温後、30分間処理し 蛍光染料：Mikawhite ATN CH₃COOH ２％owf 0.2c.c.／ 蛍光染色を行つた。 次いで乾燥後温度160℃で１分間ヒートセツト
した。 処理液の作成： ジメチルテレフタール酸とジメチルイソフター
ル酸とがモル比80：20である酸成分と、エチレン
グリコール、及びポリエチレングリコール（分子
量3100）をモル比１：2.5：７でブロツク共重合
し、ノニルフエノールのエチレンオキサイド６モ
ル付加物をスルホン酸ソーダ化した界面活性剤で
有効成分10％になるように調整した処理液（分散
液）を作成した。 洗たく汚染試験： 下記組成の洗たく液300c.c.をカラーペツト染色
試験機（日本染色機械製）のポツトに入れ、この
中にホルダーにはさんだ10cm×13cmの織物を侵漬
させ温度50℃で100分間撹拌処理した。 使用済のモーターオイル アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ 硫酸ソーダ 杜リポリリン酸ソーダ 前記処理剤（有効成分） １％ 0.02 0.03 0.02 0.01％ 次に汚染した試料を家庭洗たく機の弱条件下で
マルセル石けん２ｇ／、温度40℃×10分の条件
で１回洗たくした。洗浄した試料を乾燥後、自記
分光光度計RC−330（島津製作所製）で430mmの波
長を用いて反射率を測定し、下記式により汚染率
を求めた。 汚染率（％） ＝汚染前の試料の反射率−汚染後の反射率／汚染前の
反射率 ×100 比較例１として前記処理液（汚染防止剤）を入
れない洗たく液中で処理としたものを同様の方法
により汚染率を求めた。実施例１、比較例１の結
果を合わせて第１表に示す。

【表】 実施例 ２ 織物及び前記処理液（汚染防止剤）としては実
施例１と同様のものを用い、汚染液として使用済
のモータオイルを用い、下記の処方により実施例
１と同様に処理をし、汚染率を測定した。 使用済のモータオイル マルセル石けん 汚染防止剤（有効成分） １％ ２ 0.01 比較例２として汚染防止剤を入れない洗たく液
中で処理をしたものを作り、同じく汚染率を測定
した。実施例２、比較例２の結果を第２表に合わ
せて示す。

【表】 実施例１、２共、本発明方法による汚染防止剤
を洗たく液中に入れることにより汚染が著しく減
少することがわかる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリエステル繊維製品の洗濯処理において、
   ポリエステルを含む布帛を芳香族ジカルボン酸又
   はその低級アルキルエステルと、アルキレングリ
   コールおよびポリアルキレンゴリコールとのブロ
   ツク共重合体と、洗剤とからなる液中で処理する
   ことを特徴とするポリエステル繊維製品の洗濯処
   理方法。