JPH0131581Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、水力発電所等のダムにおける監査用
トンネル内で人荷を運搬するに適用される人荷兼
用台車に関する。

〔従来の技術〕

水力発電所のダム管理上の省力化の一つとし
て、第４図に示すようにダム堰堤１内に傾斜した
監査廊（トンネル）２を形成し、このトンネル２
の天井部にレール３を架設してこれに台車４を走
行自在に懸吊し、この台車４に乗員や作業用機材
等の積荷を積載してトンネル２内を運搬する運搬
装置（インクライン装置）がある。

上記のような運搬装置においては、台車４の内
部高さを極力大きくするため、台車４の前後下隅
部４Ａ，４Ａをトンネル２の底部の傾斜に合うよ
うに斜めに削成し、その下隅部４Ａ，４Ａ内の空
間部を乗員用の椅子５や機材類の設置スペースと
しているが、上記のように下隅部４Ａ，４Ａが削
成されているために床面積が狭小となり、したが
つて機材類を積載する場合には乗員用の椅子５を
徹去するか、あるいは点線図示のように引起して
係止させておき、積載スペースを確保するように
している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかして前記のように乗員用椅子５を積荷積載
の都度徹去することは、その取外しや取付け作業
が煩わしく、また徹去した場合に椅子５の保管が
必要になるなどの問題がある。一方、椅子５を引
起して格納するようにすると、椅子５の座部の厚
さだけ常にスペースが削減され、積荷の積込みス
ペースが狭くなるという問題がある。さらに台車
４の下底部は前記のように下隅部４Ａ，４Ａが削
り落された形状を有するため、水平な床面４Ｂの
面積が少なく、かつ積荷を積載する際の安定性が
悪いものとなる。

〔問題を解決するための手段〕

本考案は、上記のような傾斜したトンネル内を
走行する運搬装置における台車内の乗員用椅子の
座面より上位の台車内側面両側部にレールを周設
し、このレール上に積荷積載用パレツトを着脱自
在に載置する構成として、椅子を徹去乃至は引起
すことなく広い積荷積載面積を確保することがで
き、かつ積荷を安定よく積載することができるよ
うにしたものである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を第１図乃至第３図を参照
し、第４図と共通する部分には同一符号を用いて
説明する。

第１図は本考案に係る人荷兼用台車の一実施例
の略示縦断面側面を、第２図は同平面を、そして
第３図は正面をそれぞれ示し、この実施例では２
座席構造とした場合を示している。

台車４内下部には椅子５が着座位置（第１図実
線図示）と引起し位置（第１図鎖線図示）とにわ
たり起伏回動自在に設けられている。

この椅子５の着座位置における座面最高位置よ
りも上位の台車内側面前後部に、合成樹脂、金属
等により形成されたレール６，６が固設され、こ
のレール６，６上に台車４内のほゞ1/2の大きさ
を有する積荷積載用パレツト７が載置され、この
パレツト７は第２図に白矢印で示す方向にスライ
ド自在とされる。

なお乗員が乗らずに積荷のみを積載する場合に
は、２枚のパレツト７をレール６，６上に載置し
て積荷積載用として使用する。

図において８は台車４の内側面に固定された背
もたれ、９は出入用扉、１０は窓である。

〔作用〕

本考案は上記の構成であるから、乗員のみが乗
る場合には、パレツト７を外し、椅子５に座つて
トンネル２内を往来することができる。

機材等の積荷と乗員とが同乗して運搬する場合
には、一方の椅子５の部分のレール６，６上にパ
レツト７を載置し、このパレツト７上に機材類を
載置し、他方の椅子５に乗員が座つて乗員と共に
運搬することができる。

また乗員が乗らず、積荷のみを運搬する場合に
は、両方の椅子５，５の部分のレール６，６上に
２枚のパレツト７を載置し、その上に機材等を積
載して運搬する。

なお図に示す実施例では、２座席構造の台車の
場合について説明したが、管理上の規模により１
座席構造または２座席以上の台車とすることがで
きる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案は、ダム堰堤等の内部に傾
斜して設けられるトンネル内に走行自在に懸吊支
持され、前後下隅部がトンネルの底部の傾斜に合
せて削成された形状を有し、乗員および機材等の
積荷を運搬する台車において、台車内下部に設置
される乗員用椅子の座面より上位の台車内側面両
側部にレールを固設し、このレール上に積荷積載
用パレツトを着脱自在に載置する構成としたの
で、機材等の積込み時はパレツトの上面に安定よ
く積載することができ、下隅部が削成された下す
ぼまり形状を有する台車であつても多くの機材類
を積込むことができる。また機材類の積み下し時
にはパレツトをスライドさせてドア近くで作業が
でき、作業性および作業の安定性を頗る高めるこ
とができる。

そしてパレツトは椅子より上部位置に載置され
るので、積荷積載時に台車の内部下方にある機器
の移動や取外しが全く不要であり、パレツトが機
器の損傷や汚染を防ぐ保護カバーとしての役目を
持ち、しかも台車内の機器の移動、取外しの必要
がないため、その移動、取外しのための付加機器
の設備が不要であり、台車自体の重量増加のおそ
れもない。さらに乗員登乗時と積荷積載時とは、
パレツトを取外すのみでよいから極めて簡単であ
るなど、安価なコストにより有用性の高い台車を
得ることができる優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す略示縦断側面
図、第２図は同平面図、第３図は同正面図、第４
図は本考案を適用するダム堰堤内トンネルおよび
台車を示す一部断面とした側面図である。 ２……トンネル、３……レール、４……台車、
４Ａ……下隅部、５……椅子、６……レール、７
……パレツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ダム堰堤等の内部に傾斜して設けられるトンネ
   ル内に走行自在に懸吊支持され、前後下隅部が該
   トンネルの底部の傾斜に合せて削成された形状を
   有し、乗員および機材等の積荷を運搬する台車に
   おいて、台車内下部に設置される乗員用椅子の座
   面より上位の台車内側面両側部にレールを固設
   し、このレール上に積荷積載用パレツトを着脱自
   在に載置してなる人荷兼用台車。