JPH0129995B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、冷凍装置、空気調和機用の冷媒圧縮
機として用いられるスクロール圧縮機に係り、特
に旋回スクロール背面の中間室に油溜めを設けた
旋回ガイドの給油方式に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の密閉形スクロール圧縮機を第１図を参照
して説明する。

第１図において、密閉容器１内には、スクロー
ル圧縮機部２が下部に、電動機部３が上部に連設
され収納され、底部には油溜り１５が形成されて
いる。圧縮機部は、平板部６ａにうず巻状のラツ
プ部６ｂを下方に直立させて、旋回運動をする旋
回スクロール６と、平板部７ａにうず巻状のラツ
プ部７ｂを上方に直立させ、フレーム５に固定さ
れた固定スクロール７を互にかみ合わせて形成さ
れている。電動機３の回転軸と一体のクランク軸
４はフレーム５に支承され、その下端は偏心軸４
ａが形成されている。この偏心軸４ａは、旋回ス
クロール６の上方（平板の反ラツプ側）に突設し
たボス部６ｃに遊嵌されている。旋回スクロール
の平板の反ラツプ側には中間室８が形成され、中
間室内にはボス部６ｃと偏心軸４ａおよびバラン
スウエイト９が配置される。

また、中間室内の、フレーム５と旋回スクロー
ルの平板６Ａの間には、クランク軸４の回転によ
り旋回スクロール６に回転することなく、旋回運
動を与えるための自転防止用の旋回ガイド１０が
設けられている。

また旋回スクロール６の平板部６ａには中間室
８と圧縮室１６を連通する小径の連通孔１１が穿
設され、フレーム５のボス部５ａにはフレーム軸
受部への給油孔１２が穿設されている。また固定
スクロール７には吸入管１３が接続開口され、中
心部に開口接続された吐出管１４は密閉容器１上
部の密閉容器室１ａに開口されている。１７は送
出管を示す。

電動機３の回転によりクランク軸４が回転する
と偏心軸４ａの回転運動と旋回ガイド１０の作用
により旋回スクロール６は固定スクロール７に対
して旋回運動を行う。

この旋回運動により旋回スクロール６と固定ス
クロール７により形成される圧縮室の容積が変化
して、吸入管１３から流入したガスを圧縮し吐出
管１４から吐出する。吐出されたガスは圧縮機部
の上方で油を分離したのち、容器の送出管１７か
ら送出される。密閉容器室１８は吐出圧力雰囲気
である。

旋回スクロール６に設けられた連通孔１１は中
間室８と圧縮室１６を連結し、中間室８内の圧力
を吐出圧力よりも低い設定圧力に保持している。
この作用により旋回スクロール６を固定スクロー
ル７に押しつけ、旋回スクロール６と固定スクロ
ール７の間のシールを行つている。連通孔１１が
連通する圧縮室１６内の圧力はクランク軸４の回
転により１回転中に比較的低い圧力から高い圧力
まで変化するので、中間室８と圧縮室１６間で連
通孔１１を介してガスの出入があり、中間室８内
の圧力は圧縮室１６内の圧力変化のほゞ平均的な
圧力となる。即ち、微視的には圧縮室１６内の圧
力が中間室８内の圧力より高い時には圧縮室１６
内のガスが中間室８に流れ、反対に中間室８内の
圧力が圧縮室１６内の圧力より高い時には中間室
８内のガス及び油が圧縮室１６に流れる。圧縮室
内の圧力と吸入圧力の間には、圧縮室内圧力／吸
入圧力＝一定（連通孔の位置により定まる）の関
係があるので、中間室の圧力は主として吸入圧力
により定まる。

また、容器内の吐出圧力と中間室８内の圧力の
差圧により、フレームのボス部５ａ及び旋回スク
ロールのボス部６ｃに設けられた軸受（図示せ
ず）への給油を行つている。上述したように中間
室８の圧力はほゞ吸入圧力により定まるので、吐
出圧力の高い運転では給油の圧力差は大きくな
り、吐出圧力の低い運転では、給油の圧力差は小
さくなるので圧縮機の運転中の圧力状態により軸
受への給油量は変化する。

第１図に示した従来例では、フレームのボス部
５ａに設けた給油孔１２から軸受に給油された油
は、中間室８に排出される。

また、図示していないが給油孔１２からの油
は、クランク軸４内に設けた通路により旋回ボス
部６ｃの軸受に給油され、同様に中間室に排出さ
れる。

中間室８に排出された油は連通孔１１を通つ
て、圧縮室１６に排出され、冷媒ガスと共に吐出
され、密閉容器室１ａで冷媒ガスと分離され、容
器下方の油溜１５に戻る。中間室８内の油は前述
したように中間室の圧力が圧縮室１６の圧力より
高い時に圧縮室に排出されるが、圧縮機の運転状
態の変化に対する圧縮室内の圧力変化は小さいの
で中間室からの油排出量はほゞ連通孔１１の大き
さで定まる。

従つて中間室内に存在する油量は流入する油量
と、排出する油量により定まる。

流入油量は差圧により変化し、排出油量はほぼ
一定であり連通孔１１の大きさで定まるので連通
孔１１を大きくすると中間室８に油がなくなり自
転防止機構への給油が不足する。一方連通孔を小
さくすると中間室８内に油が充満してバランスウ
エイトによる撹拌損失が発生する。従つて広い範
囲で中間室内の油量を適正に保つことは難しい。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記連通孔１１は旋回スクロール６の平板部６
ａに開口しており、中間室８の下面に位置するた
め、中間室への流入油量、すなわち軸受からの排
出油量が連通孔１１からの排出油量に比較して少
ない場合には、旋回ガイド部１０、旋回スクロー
ル６と固定スクロール７との接触面への給油が不
足して機械損失の増大または焼付、ガス洩れを生
じる。反対に中間室への流入油量が連通孔からの
排出油量に比較して多い場合には、中間室８内に
油が充満して、バランスウエイト９による油撹拌
損失を生じる。従つて旋回スクロールと固定スク
ロールの接触面への給油、旋回ガイド部への給油
は確保して、しかもバランスウエイト部には油が
充満しないように中間室内の油面を制御する必要
がある。

本発明は上記に鑑みて発明されたもので、旋回
ガイドへの給油を確保するために、中間室内の油
面を適正に保持することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明は、圧縮室と
背圧室を連通する通路の外周壁の開口高さを、旋
回ガイドの高さ位置より上部位置に設けることに
より達成される。

〔作用〕

連通孔からの過大な排出を防止するために、中
間室内に油溜を設ける。

これは、連通孔を油を溜めようとする部分より
上方に開口することにより達成され、該開口部の
高さ位置まで中間室に油が溜められ旋回ガイドに
給油不足を起すことがない。従つて連通孔は油の
排出が容易となるよう大きくすることができる。
この結果油の排出量を増加することができるので
上記開口位置以上に余分の油が溜ることもない。

〔実施例〕

本発明の一実施例を第２図乃至第４図にもとづ
き説明する。第２図の実施例が第１図の従来例と
相違するところは、旋回スクロール６のボス部６
ｄをその上端面２１が旋回ガイド１０よりも上部
になるように突出して形成し、この上端面２１に
圧縮室１６に連通する連通孔２２を開口してい
る。即ち第３図に示す如く、旋回スクロール６の
上面に突出されるボス部６ｄの外形は連通孔２２
より外側に位置する大径に形成され、軸方向の突
出長さは上端面２１が旋回ガイド１０（第２図参
照）より上部になる様設定され、このボス部６ｄ
に連通孔２２が穿設されている。その他の部分は
第１図の従来例と同様であるから同符号を付しそ
の説明を省略する。尚連通孔２２の大きさは従来
より大きくしてある。

上記構造のスクロール圧縮機の作用について以
下説明する。

電動機３、クランク軸４の回転により偏心軸４
ａは旋回スクロール６のボス部６ｄに嵌入状態で
偏心回転を行い、旋回スクロール６は上記偏心回
転により旋回ガイド１０を介し旋回運動を行う。
この旋回運動により吸入管１３より圧縮室１６に
吸入された吸入ガスは圧縮室１６の容積変化によ
り圧縮されて、吐出管１４より密閉容器１８に吐
出される。一方フレーム５の給油孔１２及び図示
していないクランク軸中の給油孔を介しボス部５
ａ及び６ｄに給油された油は中間室８に流入し、
該中間室８に溜り、旋回スクロール６のボス部６
ｄの上端面２１より上方迄流入すれば連通孔２２
を介し圧縮室１６に給油される。換言すれば中間
室８内の油面は旋回スクロール６のボス部６ｄの
上端面２１の面位まで保持され、この面位は旋回
ガイド１０より上方に位置しているため、旋回ガ
イド１０は油に浸つた状態であり、該旋回ガイド
１０およびその他の摺動部には充分な給油が行な
われる。またバランスウエイト９の周囲には油が
存在しないため、バランスウエイト９による油の
撹拌作用は無い。尚、旋回スクロールのボス部の
上端面と連通孔の開口端の面位とに段差があつて
も、連通孔の開口端の面位が旋回ガイドより上部
にあれば同様な作用効果を行う。

旋回スクロールと固定スクロールで形成される
圧縮室は対称に形成されるので、連通孔もほぼ対
称の位置となる。

従つて、旋回スクロールのボス６ｄの外径増加
は必ずしも全域で必要ではなく、連通孔の部分の
みでも良い。

第４図は旋回スクロールの他の実施例を示し、
ボス部６d′をクランク軸の偏心軸を嵌入保持する
に必要な肉厚に形成し、連通孔２２′は平板部６
ａ部に穿設し、この連通孔２２′の外側に油を溜
める堰板となる環状壁２３を突設し、この環状壁
２３の上端面２１′を旋回ガイドより上部面位に
形成する。この旋回スクロール６′を用いた実施
例においても、中間室には環状壁２３の外周部に
上端面２１′の面位まで油が溜められるため、前
記実施例と同様に、旋回ガイドおよびその他の摺
動部には充分な給油が行われる。しかしてこの実
施例の旋回スクロール６′は重量を軽減すること
ができる利点を有する。

本実施例においても第３図に示した実施例の場
合と同様に堰となる外壁は必ずしも旋回スクロー
ルのボス６ｄの外周部全周に設ける必要はなく少
なくとも連通孔２２′を囲んでいれば良い。

以上説明したように本発明によれば、中間室内
の油の排出孔すなわち、中間室と圧縮室を連通す
る通路を旋回ガイド部より上方に開口することに
より中間室内の油面を旋回ガイド以上に保持する
ことができ、各摺動部への給油を確実に行うこと
ができる。また上記のように中間室内の油面を一
定以上に保持できるので連通孔の大きさを大きく
して油の排出量を増加することができるため、バ
ランスウエイト周囲に油が存在しないようにでき
る為、油の撹拌による損失は生じない等の効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密閉形スクロール圧縮機の縦断
面図、第２図は本発明の一実施例を示す密閉形ス
クロール圧縮機の縦断面図、第３図は第２図の実
施例の旋回スクロール部の拡大断面図、第４図は
他の実施例の旋回スクロール部拡大断面図を示
す。 １……密閉容器、３……電動機、４……クラン
ク軸、４ａ……偏心軸、５……フレーム、５ａ…
…ボス部、６……旋回スクロール、６ａ……平板
部、６ｂ……ラツプ、６ｄ，６a′……ボス部、７
……固定スクロール、８……中間室、９……バラ
ンスウエイト、１０……旋回ガイド、１６……圧
縮室、２１，２１′……上端面、２２，２２′……
連通孔、２３……環状壁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 平板に渦巻き状のラツプを直立してなる固定
   スクロール及び旋回スクロール、固定スクロール
   を下方に、旋回スクロールを上方に配置し、互い
   にラツプを内側にして噛合せ、旋回スクロールを
   駆動するクランク軸を旋回スクロールの上方に突
   出し、このクランク軸をフレームにて支承し、上
   部に電動機を配置して密閉容器内に収納し、旋回
   スクロール背面のフレームに中間室を形成し、こ
   の中間室には旋回スクロールの自転を防止し旋回
   駆動させる旋回ガイドを配置し、上記中間室を圧
   縮途中の圧縮室と通路を介し連通して中間的な圧
   力室とし、密閉容器内の吐出圧力と中間室の圧力
   との差圧により各摺動部へ給油を行うものにおい
   て、上記圧縮室と背圧室を連通する通路の外周壁
   の開口高さを上記旋回ガイドの高さ位置より上部
   に設けたことを特徴とする密閉形スクロール圧縮
   機。 ２ 旋回スクロールの平板背面のボス部を旋回ガ
   イドの上部高さ位置まで突出し、この突出部分に
   圧縮室と背圧室を連通する通路を開口してなる特
   許請求の範囲第１項記載の密閉形スクロール圧縮
   機。 ３ 旋回スクロールの平面背面のボス部分外周に
   旋回ガイドの上部位置まで突出した堰を形成し、
   この堰の内方に圧縮室と背圧室を連通する通路を
   開口してなる特許請求の範囲第１項記載の密閉形
   スクロール圧縮機。