JPH0128885Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、片持ち式ミルスタンドのリングロー
ルのロール締結装置に関し、新旧リングロールの
交換時の着脱を簡便化し、リングロールが取付け
られた後はロール軸に突設されたプリテンシヨン
ボルトの弾性力を利用してリングロールとロール
軸とを緊着させ、強固な締結が維持できるロール
締結装置に関する。これは、リングロールを使用
した片持ち式ミルスタンドのロール交換を行なう
分野で利用されるものである。

〔従来技術〕

従来、短胴のリングロールが片持ち式ミルスタ
ンドに取付けられた圧延機では、第１図ａに示す
ように、リングロール１とロール軸２との締結
は、そのリングロール１の内周面１ａとロール軸
２のテーパ部の外周面２ａとの間にテーパスリー
ブ３を圧入することによつて行なわれる。すなわ
ち、リングロール１とロール軸２とは、そのテー
パスリーブ３の内外周面がリングロール１の内周
面１ａとロール軸２のテーパ部の外周面２ａとの
間に発生する面圧力により固着締結される。そし
て、圧延トルクはロール軸２からロール１に伝達
される。なお、テーパスリーブ３の着脱部３Ａを
覆う保護カバー４は、ロール軸２の端部のネジ２
ｂに挿入された後ナツト５によりロール軸２に固
着され、ロール軸２と一緒に回転するようになつ
ている。

ところで、リングロール１に刻設された少数の
カリバ１ｂの摩耗などにより、リングロール１を
交換する場合、保護カバー４を取外した後リング
ロール１とロール軸２との間に圧入さているテー
パスリーブ３を第１図ｂに示す抜取り治具６を用
いて取外す。この場合の一例を示すと、まず、抜
取り治具６をテーパスリーブ３の着脱部３Ａの菊
ナツト部３ａに挿入し、若干回動させて菊ナツト
部３ａに係合させる。抜取り治具６のケーシング
６ａの内面６ｂに固着された金具６ｃと、ピスト
ン７とにより形成されたシリンダ部８に、高圧油
を油圧導入出口６ｄから導入すると、スプリング
９の弾発力に抗してピストン７がロール１側に移
動し、ピストン７の先端７ａがロール軸２の面２
ｃに当接する。その当接反力は、抜取り治具６を
矢符１０方向に移動させるように働くので、テー
パスリーブ３は面６ｅを介してリングロール１よ
り抜取られる。一方、第１図ｃに示すように、新
しいリングロール１をロール軸２に取付けるに
は、上記の抜取り治具６に代えて、取付け治具１
１を用いる。取付け治具１１は、その本体部材１
１Ａの面１１ａを上述と同様にして、着脱部３Ａ
の菊ナツト部３ａに係合させることにより、テー
パスリーブ３に装着する。本体部材１１Ｂは、そ
のネジ穴１１ｂがロール軸２のネジ２ｂに螺合さ
れて固着される。本体部材１１Ａには複数個のシ
リンダ１２が設けられ、そのシリンダ１２に嵌入
された複数個のピストン１３が、油圧導入出口１
４からの高圧油で矢符１５方向に移動し、ピスト
ン１３の端面１３ａは本体部材１１Ｂの面１１ｃ
に当接する。その結果、本体部材１１Ｂは矢符１
５方向に押圧されるがロール軸２に螺着されてい
るので、その押圧反力は本体部材１１Ａの面１１
ｄを介してテーパスリーブ３の面３ｂに伝達され
る。そのテーパスリーブ３がリングロール１の内
周面１ａとロール軸２のテーパ部の外周面２ａと
の間に圧入されるので、リングロール１とロール
軸２とは、テーパスリーブ３を介して固着締結さ
れ、リングロール１の取付けが完了する。

ところが、上述のように、リングロールをロー
ル軸に着脱する場合抜取り治具と取付け治具とを
別箇に準備して外部から装着し、２つの治具を交
互に使用しなければならないので、作業が複雑化
すると共にその作業に時間が掛り、圧延機の稼働
率を低下させる問題がある。特に、リングロール
の取付け時には、リングロールの内周面とテーパ
スリーブの外周面との嵌合精度およびロール軸の
外周面とテーパスリーブの内周面との嵌合精度に
ついては、常時それぞれの仕上がり精度のデータ
に基づく管理が必要となる。すなわち、ロール軸
のテーパ面とテーパスリーブのテーパ面の間隙が
零となつた位置を確認した上で、必要な押込み量
で正確に押込まなければ所望の取付けが行なわれ
ない。もし過剰な押込み量となれば、リングロー
ルの内周面にその押込み量に比例した面圧力が作
用して、リングロールが破壊する事態が生じるこ
とがある。したがつて、未熟練作業者では作業処
理が困難となる問題があり、これに加えて、それ
らの嵌合精度を必要とする各仕上げ面に疵があれ
ば、取付けに支障をきたす問題がある。

〔考案の目的〕

本考案は、上述の問題を解消するためになされ
たもので、その目的は、下記の二点を満足させた
ロール締結装置を提供することである。すなわ
ち、着脱兼用の１つの着脱治具によりロール交換
が行ない得ること。その治具は常時ロール軸の突
出部に具備され、リングロールの交換時に持ち運
びする必要がないことである。その結果、リング
ロールの着脱が迅速かつ簡便に行い得ると共に、
リングロールの取付け後の締結は緊着して行なわ
れ、駆動動力を円滑にリングロールに伝達できる
ロール締結装置を提供することである。

〔考案の構成〕

本考案のロール締結装置の特徴を第２図を参照
して説明すると、以下の通りである。ミルスタン
ド２１に軸承されたロール軸２３の軸芯２３ｍ方
向にプリテンシヨンボルト２５が突設されてい
る。ロール軸２３の端面２３ａと、プリテンシヨ
ンボルト２５に摺動自在に嵌入されたリングロー
ル２６の対向面２６ｆとに、相互に緊着する係合
締結部２４が刻設され、プリテンシヨンボルト２
５に摺動自在に嵌入されたシリンダホルダ２８
に、軸芯２３ｍ方向に拡縮するシリンダ室３０を
形成するピストン２９が外嵌されている。シリン
ダホルダ２８の端部外周２８ｄに刻設されたネジ
２８ｅに螺合し、ピストン２９をリングロール方
向に押圧するナツト３１と、プリテンシヨンボル
ト２５の端部外周２５ｂに刻設されたネジ２５ｃ
に螺合し、シリンダホルダ２８を押圧するナツト
３２が設けられている。

〔実施例〕

以下、本考案をその実施例を示す図面に基づい
て説明する。

第２図において、ロール締結装置２０には、片
持ち式ミルスタンド２１に装着された軸受２２ａ
および２２ｂに軸承されるロール軸２３が設けら
れ、そのロール軸２３の端面２３ａには後述する
放射状に凹凸をもつた歯車状の係合締結部２４Ａ
が刻設されている。そのロール軸２３には軸芯２
３ｍ方向の穴２３ｂが穿設され、これに刻設され
たネジ穴２３ｃに螺合するネジ２５ａを介して、
プリテンシヨンボルト２５が突設されている。リ
ングロール２６は、プリテンシヨンボルト２５に
摺動自在に嵌入されたリングロールホルダ２６ａ
と、適数個のカリバ２７（図示２個）が刻設され
たリングロール本体２６ｂとから構成され、リン
グロール本体２６ｂはリングロールホルダ２６ａ
の外周面２６ｃに圧入されている。さらに、リン
グロールホルダ２６ａとリングロール本体２６ｂ
とが離脱しないように、取付けプレート２６ｄが
複数個の取付けボルト２６ｅにより、リングロー
ルホルダ２６ａにネジ止めされている。このリン
グロールホルダ２６ａには、ロール軸２３の端面
２３ａに刻設されている係合締結部２４Ａに対
し、対向面となる端面２６ｆに、緊着可能な係合
締結部２４Ｂが刻設されている。なお、リングロ
ール２６は上述の分割型に代えて一体物で形成さ
れ、係合締結部２４Ｂがそのリングロール２６の
対向面に刻設されていてもよい。

取付けプレート２６ｄの面２６ｇ側に、ピスト
ン２９を介してシリンダホルダ２８がプリテンシ
ヨンボルト２５に摺動自在に嵌入され、油圧ホー
ス３３が接続される油圧導入出口２８ａが穿設さ
れている。シリンダホルダ２８の外周面２８ｂお
よび２８ｃに、摺動自在にピストン２９が外嵌さ
れ、シリンダホルダ２８とピストン２９とによ
り、シリンダ室３０がプリテンシヨンボルト２５
の軸芯２３ｍ方向に、拡縮自在に形成されてい
る。なお、シリンダ室３０に導入された高圧油を
シールするため、シールパツキン３０ａがピスト
ン２９と摺動するシリンダホルダ２８の外周面２
８ｂおよび２８ｃに設けられている。上述のシリ
ンダホルダ２８の端部の外周面２８ｄにはネジ２
８ｅが刻設され、これにピストン２９を取付けプ
レート２６ｄの面２６ｇに押圧するナツト３１が
螺合されている。一方、プリテンシヨンボルト２
５の他端部外周２５ｂに、ネジ２５ｃが刻設さ
れ、このネジに面３２ａでシリンダホルダ２８の
面２８ｆを押圧するナツト３２が螺合されてい
る。第３図ａおよびｂに示すように、係合締結部
には凹凸が放射状に刻設され、プリテンシヨンボ
ルト２５の軸芯２３ｍ方向に、係合締結部２４Ｂ
が２４Ａに向つて後述のように移動すれば、両者
は緊着締結されるようになつている。

このような構成の実施例によれば、次のような
手順でリングロールが着脱されると共に、取付け
後のリングロールとロール軸とを緊着して締結す
ることができる。

まず、第２図を参照しながら、ロール締結装置
２０によつてリングロール２６をロール軸２３に
取付ける場合を説明する。新しいリングロール２
６をプリテンシヨンボルト２５に嵌入し、リング
ロールホルダ２６ａの端面２６ｆの係合締結部２
４Ｂを、第３図ｂに示すように係合締結部２４Ａ
に挿入する。次に、シリンダホルダ２８と、その
外周面２８ｂと２８ｃとに外嵌されたピストン２
９と、シリンダホルダ２８の端部外周２８ｄのネ
ジ２８ｅに螺合されたナツト３１とを一体化させ
た後、プリテンシヨンボルト２５に嵌入させ、ピ
ストン２９を取付けプレート２６ｄの面２６ｇに
当接させる。プリテンシヨンボルト２５の他方の
端部外周２５ｂのネジ２５ｃにナツト３２を螺合
させ、ナツト３２の面３２ａをシリンダホルダ２
８の面２８ｆに当接させる。続いて、シリンダホ
ルダ２８の油圧導入出口２８ａに、図示しない外
部の高圧油圧源に接続されている油圧ホース３３
を接続し、シリンダホルダ２８とピストン２９に
より形成されたシリンダ室３０に、予め設定され
た油圧油を導入する。シリンダ室３０はプリテン
シヨンボルト２５の軸芯２３ｍ方向に沿う矢符３
４方向に拡大し、その際、その反力はピストン２
９を介して取付けプレート２６ｄの面２６ｇを押
圧する。そして、シリンダホルダ２８を同じく矢
符３４方向に移動させようとする力が発生する。
一方、ネジ２５ｃに螺合してプリテンシヨンボル
ト２５に固着されたナツト３２の面３２ａが、シ
リンダホルダ２８の面２８ｆを押圧しているの
で、シリンダホルダ２８に働く矢符３４方向の力
は、上記の各面２８ｆ，３２ａおよびネジ２５ｂ
を介してプリテンシヨンボルト２５に作用し、そ
の力に比例した所定の引つ張り量だけプリテンシ
ヨンボルト２５が伸びる。この時、ピストン２９
とナツト３１との間に間隙が生じるので、ネジ２
８ｄに螺合されたナツト３１を締込み、ナツト３
１とピストン２９との間隙を零にする。ついで、
シリンダ室３０の油圧油を導出させると、シリン
ダホルダ２８と、ネジ２８ｅに螺合されたナツト
３１と、ネジ２５ｃに螺合されたナツト３２とを
介して、プリテンシヨンボルト２５の伸びが保持
され、プリテンシヨンボルトの伸びに比例した力
が矢符３５方向に働く。この力が上述のナツト３
２から、ロール締結装置２０の各部分を介して伝
達され、両係合締結部２４が緊着状態となつてリ
ングロール２６とロール軸２３とが締結される。
そして、ロール軸２３の駆動動力がリングロール
２６に伝達できるようになり、油圧ホース３３は
取外すと、圧延作業を行なうことができる。

リングロール２６の交換が必要な場合、すなわ
ち、旧いリングロール２６を取外す時は、まず、
プリテンシヨンボルト２５に与えられた矢符３４
方向の伸びより大きい同方向の伸びとなる油圧力
をシリンダ室３０に作用させる。プリテンシヨン
ボルト２５が伸びて、ナツト３１によるピストン
２９の押圧が解除されるとナツト３１を緩め、プ
リテンシヨンボルト２５の伸びを零にする。次に
ナツト３２を取外し、油圧ホース３３と一緒にシ
リンダホルダ２８、ピストン２９およびナツト３
１を一体として抜き去ると共に、旧いリングロー
ル２６も抜き去る。続いて、新しいリングロール
２６をプリテンシヨンボルト２５に嵌入し、上述
した手順でロール軸２３に取付ける。

本考案のロール締結装置では、両係合締結部の
嵌合精度の管理は、従来例のテーパスリーブのよ
うに、その両面とそれが圧入されて面圧力を発生
させる内外周面１ａおよび２ａとの嵌合精度の管
理が重要となる場合と比較して容易に行ない得
る。さらに、未熟練作業者でも、シリンダ室に導
入する油圧力を確認するのみで、リングロールと
ロール軸との着脱作業を容易に行なうことができ
るので、片持ち式ミルのリングロールの交換に要
する時間が大幅に短縮され、圧延機の稼働率を向
上させ得る。特に、取付け後の両係合締結部の締
結は、プリテンシヨンボルトに伸び量を与え、そ
の伸び量に比例して発生した力を利用して確実に
緊着させることできる。

〔考案の効果〕

本考案は上述の実施例で詳細に説明したよう
に、このロール締結装置を使用した圧延機の圧延
作業中は、常時そのロール締結装置がプリテンシ
ヨンボルトに装着されているので、高圧油圧ホー
スを接続するだけで、リングロールの交換作業の
準備を整えることができる。したがつて、リング
ロールの交換の手間が少なくて済みかつ交換時間
が短縮されるので、圧延機の稼働率が向上する。
さらに、取付け後のリングロールとロール軸と
は、プリテンシヨンボルトの弾性力を利用してそ
の力で緊着締結できるので、リングロールに安定
した駆動動力が伝達される。加えて、両係合締結
部の機械仕上げ精度を一定の水準に保持すれば、
現場での取付け作業の調整は不必要となり、未熟
練作業者でも設定油圧油の圧力を確認して操作す
ることにより、リングロールの破壊を回避して容
易に着脱することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来のリングロールの取付け後の状
態断面図、第１図ｂは従来のリングロールの取外
し状態断面図、第１図ｃは従来のリングロールの
取付け状態断面図、第２図は本考案のロール締結
装置の断面図、第３図ａはその係合締結部の正面
図、第３図ｂは同図ａの−線矢視展開図であ
る。 ２０……ロール締結装置、２１……片持ち式ミ
ルスタンド、２３……ロール軸、２３ａ……端
面、２３ｍ……軸芯、２４，２４Ａ，２４Ｂ……
係合締結部、２５……プリテンシヨンボルト、２
５ｂ，２８ｄ……端部外周、２５ｃ……ネジ、２
６……リングロール、２６ｆ……対向面、２８…
…シリンダホルダ、２８ｅ……ネジ、２９……ピ
ストン、３０……シリンダ室、３１，３２……ナ
ツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 リングロールを使用する片持ち式ミルスタンド
   において、 そのミルスタンドに軸承されたロール軸の軸芯
   方向にプリテンシヨンボルトが突設され、 前記ロール軸の端面と、前記プリテンシヨンボ
   ルトに摺動自在に嵌入されたリングロールの対向
   面とに、相互に緊着する係合締結部が刻設され、 前記プリテンシヨンボルトに摺動自在に嵌入さ
   れたシリンダホルダに、軸芯方向に拡縮するシリ
   ンダ室を形成するピストンが外嵌され、 前記シリンダホルダの端部外周に刻設されたネ
   ジに螺合し、前記ピストンをリングロール方向に
   押圧するナツトと、プリテンシヨンボルトの端部
   外周に刻設されたネジに螺合し、シリンダホルダ
   を押圧するナツトが設けられ、 前記シリンダ室が前記プリテンシヨンボルトに
   装着されたことを特徴とするロール締結装置。