JPH0127749B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 () 発明の背景 技術分野 本発明は減圧採血管またはシリンジを接続し採
血または注射を行う際針管が静脈に穿刺されたこ
とを確認できる採血または注射器の医療用針及び
その製造方法に関する。

従来技術及びその問題点 減圧採血器の構成を第１図に示す。Ａは採血針
（後述するように注射針として使用する場合もあ
るので以下医療用針と称する）であり針管１とハ
ブ２と１回の穿刺で複数の減圧採血管に採血する
際、ホルダー内に血液が流出するのを防止するゴ
ムさや３とからなる。Ｂは該医療用針Ａをハブ２
を介して保持しうる略透明プラスチツクス等より
なる筒状のホルダーである。Ｃは減圧採血管であ
り有底ガラス管４と、該ガラス管４を密栓し前記
針管１により突き刺し貫通をしうるゴム栓５とか
らなり、内部は必要な血液量を採り入れうるよう
に減圧されている。

しかして、採血するにはホルダーＢと医療用針
Ａを螺合し、次いで減圧採血管ＣをホルダーＢ内
に後端より挿入して減圧採血管Ｃのゴム栓５の端
面がホルダーＢの目印線６に一致するまで押し込
んでゴム栓５に接続側針管部分１ａを貫通しない
限度に突き刺す。そして、該ホルダーＢを持つて
穿刺側針管部分１ａを被採血者の腕など所要部位
の血管に穿刺し、腕とホルダーの相対固定を図り
つつ減圧採血管Ｃをさらに押し込んで接続側針管
部分１ａをゴム栓５に貫通させることにより減圧
採血管Ｃ内に血液が流入する。また、他方の方法
としては穿刺後減圧採血管をホルダー内に挿入す
る方法もある。

しかしながら上記構成の減圧採血器は針管１を
ゴム栓５に貫通させて減圧採血管Ｃ内への血液流
入の有無を見るまでは針管１が静脈に穿刺された
ことを確認できない。減圧採血管Ｃ内に血液の流
入がない場合は再び穿刺を試みなければならず、
１本の減圧採血管Ｃが無駄となり、被採血者に対
して穿刺を無用に増すことになる。

第２図は上記問題を解消するものとして提案さ
れている医療用針を示す。ゴムさや被嵌係止部２
ｂの一側にはゴムさや３の内部と外部を連通する
空気逃げ通路７がある。しかして、この医療用針
Ａは針管１を血管に穿刺するとハブ２には空気逃
げ通路７があるのでゴムさや３内及び針管１内の
空気が該通路７より逃げるとともに血液が血管内
の圧力により該針管１内の通路を通りゴムさや３
内に流出するから該穿刺の確認ができる。しかる
後、接続側針管部分１ａをゴム栓に貫通するまで
突き刺せば、減圧採血管内には所定の減圧度に応
じた所定量の血液が外気に触れることなく採り込
まれ、同時にゴムさや３は肉厚で腰が強いのでゴ
ム栓５により押されて軸方向に若干移動されて空
気逃げ通路７を塞いだ状態で軸方向に圧縮され
る。しかしながら、穿刺の確認の後針管１と減圧
採血管の接続が遅れると血液が針管１内の通路を
通りゴムさや３内に流出するだけにとどまらず、
空気逃げ通路７よりホルダー内に流出してしまう
ことになる。すなわち、第１図に示す医療用針Ａ
の欠点である穿刺の確認ができないということに
対する改善は空気逃げ通路７より空気が逃げるこ
とにより、ゴムさや内に血液が流出することによ
り達成されるが、ホルダー内に血液が流出するこ
との防止は、流出する以前に迅速に減圧採血管を
医療用針Ａと結合することによつてはじめて達成
されるにすぎず、医師の穿刺の確認後の操作にゆ
とりがない。

また上述した減圧採血管に変えてシリンジを用
いて採血または注射する場合にも医療用針につい
て同様の問題がある。すなわち、第３図に示すよ
うに、静脈に針管１を穿刺し、穿刺を確認してか
らシリンジＤをその管体８の先端開口に針管１が
差し込まれるまでホルダーＢ内に押し込んで針管
１とシリンジＤの接続を行い、しかる後押子９を
引いて採血するか、押子９を押して管体８内に収
容した薬液や輸液等の液体を注入し、該採血また
は注射を終えたらホルダーＢを固定保持してシリ
ンジＤを引き抜き、次の新らしいシリンジＤを再
び接続することが行なわれているが、この場合に
も第２図に示す従来の医療用針では穿刺の確認の
後血液がゴムさやの外部へ流出する前に針管１と
シリンジＤの接続操作を迅速に行なわねばならな
いという問題がある。

その他、ハブ部分に液密通気作用をする極小な
弁機構を有する医療用針等が提案されているが、
製作が大変むずかしくコストが高くつき量産に向
かないという問題がある。

() 発明の目的 本発明は上述した点に鑑み案出したもので、針
管の静脈への穿刺を血液が該針管内の通路を通り
ゴムさや内に流出することにより確認できるのみ
ならず、減圧採血管またはシリンジと針管を接続
する操作をしなくともゴムさや内に流出した血液
の外部への流出防止が図られるように改良された
採血または注射器の医療用針及び上記改良された
医療用針を信頼性のある均一な品質に保つて簡単
でコスト高とならず量産性を有して製作できる採
血または注射器の医療用針の製造方法を提供する
ものである。

しかして本発明の目的の一つは、両端に刃面を
有する針管と、該針管の外面中途を支持するとと
もにその一端にゴムさや被嵌係止部を有するハブ
と、該ハブの前記ゴムさや被嵌係止部側に延びた
針管部分を被包して前記ゴムさや被嵌係止部に被
嵌係止された透明または半透明なゴムさやとから
なる採血または注射器の医療用針において、 前記ハブは前記ゴムさや被嵌係止部の少なくと
も一箇所に液密通気性部材を備え、かつ該液密通
気性部材を介してのみ前記ゴムさやの内部と外部
との通気性を図れるように該液密通気性部材の外
側に前記ゴムさやが被嵌していることを特徴とす
る採血または注射器の医療用針によつて達成され
る。

また本発明の目的の他の一つは、液密通気性部
材は疎水性フイルター材であるハブを前記針管挿
通孔を介して両端に刃面を有する針管の外面中途
に挿通して固定し、円板状の液密通気性部材を該
針管の該ハブのゴムさや被嵌係止部側に伸ていた
接続側針管部分に鍔状に突き刺して前記ゴムさや
被嵌係止部に合わせ、次に長手方向の一端が開口
され他端が閉塞した前記接続側針管部分より若干
長い透明もしくは半透明のゴムさやを該針管部分
に袋状に被せてその開口端で前記ゴムさや被嵌係
止部に合せた前記液密通気性部材を外側より被嵌
することを特徴とする採血または注射器の医療用
針の製造方法によつて達成される。

そして、本発明は液密通気性部材は疎水性フイ
ルター材である実施態様、液密通気性部材は通気
性を有する紙である実施態様、液密通気性部材は
通気性を有し血液凝固剤を含浸させてある紙であ
る実施態様をそれぞれ含むものであり、ゴムさや
被嵌係止部は針管に沿う断面が丸角状となるよう
に端面と連結する面となつており、液密通気性部
材は針管挿通孔を略中央に有する円板状で前記ゴ
ムさや被嵌係止部に合せるよう備えられている実
施態様とすることが好ましい。

また上記目的の他の一つである採血または注射
器の医療用針の製造方法は、本発明によれば内部
に針管挿通孔を有し外面の該針管挿通孔に沿う方
向の一端にゴムさや被嵌係止部があるハブを前記
針管挿通孔を介して両端に刃面を有する針管の外
面中途に挿通して固定し、円板状の液密通気性部
材を該針管の該ハブのゴムさや被嵌係止部側に伸
ていた接続側針管部分に鍔状に突き刺して前記ゴ
ムさや被嵌係止部に合わせ、次に長手方向の一端
が開口され他端が袋状であり前記接続側針管部分
より若干長い透明もしくは半透明のゴムさやを該
針管部分に袋状に被せてその開口端で前記ゴムさ
や被嵌係止部に合せた前記液密通気性部材を外側
より抑えるように被嵌することを特徴とする採血
または注射器の医療用針の製造方法によつて達成
される。

() 本発明の具体的な説明 本発明の具体的な構成 本発明の採血または注射器の医療用針を第４図
に示す。本発明の医療用針Ａは両端に刃面を有す
る針管１と、前記針管１の中途を支持するハブ２
と、採血管側針管部分１ａに袋状に被嵌する透明
もしくは半透明なゴムさや３とからなる。針管１
はステンレス管等よりなりハブ２はプラスチツク
ス等を成形してなり、ゴムさや３は十分な可撓性
と復元性がある軟質ゴムを肉厚が薄い一端のみが
開口した袋状に形成してなる。そして、ハブ２に
は第１図に示すホルダーＢと螺合しうる雄ねじ部
２ａよりも減圧採血管等と接続される側の一端に
ゴムさや被嵌係止部２ｂがある。また前記ゴムさ
や３は前記針管１の前記ハブ２より減圧採血管の
ゴム栓に穿刺され接続される側に伸びた針管部分
１ａよりも若干長くて該針管部分１ａに袋状に被
つており前記ゴムさや被嵌係止部２ｂに被嵌係止
されている。以上の構成は第２図に示す従来の医
療用針と何ら変るものではない。本発明のこの実
施例では特に、ゴムさや被嵌係止部２ｂの全周に
液密通気性部材１０を備えており、該液密通気性
部材１０を介してのみゴムさや３の内部と外部と
の通気性が図れるようにゴムさや３が袋状であ
り、かつ液密通気性部材１０を外方より抑えるよ
うに被嵌しており、さらにゴムさや被嵌係止部２
ｂの針管１に沿う断面が丸角状となるように端面
と連続する面となつており、さらにまた前記液密
通気性部材１０がちり紙などを複数枚押し固めて
円板状に切り抜き形成した通気性を有する紙また
は通気性を有し血液凝固剤を含浸させてある紙で
あり針管１に鍔状に備えられている点に特徴があ
る。

次に上記構成の医療用針の具体的な製造方法に
ついて説明する。

第５図ａに示すように内部に針管挿通孔を有す
るとともに該挿通孔に沿う方向の外面一端にゴム
さや被嵌係止部２ｂがある形状に形成したハブ２
を前記針管挿通孔を介して両端に刃面を有する針
管１の外面所要中途に挿通して接着剤により固定
し、次に第５図ｂに示すように円板状の液密通気
性部材１０を該針管１の該ハブ２より減圧採血管
等と接続される側に伸びた針管部分１ａに鍔状に
突き刺して前記ゴムさや被嵌係止部に合わせ、続
いて長手方向の一端が開口され他端が閉塞した前
記針管部分１ａより若干長い透明または半透明の
ゴムさや３を該針管部分１ａに袋状に被せてその
開口端で前記ゴムさや被嵌係止部に合せた前記液
密通気性部材１０を外側より抑えるように被嵌す
れば良い。

() 本発明の変形例 液密通気性部材は疎水性フイルター材とするこ
とができる。

また第６図に示すように、ちり紙等を鍔を有す
る筒状あるいは環状に押し固め形成された液密通
気性部材１０がハブ２のゴムさや被嵌係止部２ｂ
に被嵌されている医療用針としても良い。

また第７図に示すように、ゴムさや被嵌係止部
２ｂを筒状に液密通気性フイルター材１０により
形成し、これをハブ本体に接着剤により固着し、
該フイルター材１０の外面の一部にゴムさや３が
被嵌している医療用針としても良い。このような
場合には特にハブ全体を液密通気性フイルター材
で形成する方が良い。すなわち本発明では液密通
気性部材をハブに対し別部材としなくても良い。
また第８図に示すように、ゴムさや被嵌係止部２
ｂの外周の一端に液密通気性部材１０が備えられ
該液密通気性部材１０の側方に隙間が生じないよ
うにゴムさや３が被嵌している医療用針としても
良い。

また第９図に示すように環状に形成された液密
通気性部材１０がゴムさや被嵌係止部２ｂに被嵌
されており、蛇腹状に形成されたゴムさや３が針
管部分１ａに被されており採血の際減圧採血管の
ゴム栓に押圧されて軸方向に圧縮されうる医療用
針としても良い。

さらにまた第１０図に示すように、医療用針Ａ
をシリンジＤと接続し、押子９を引いて採血し、
または押子９を押し込んで管体８内の薬液もしく
は輸液を静脈注射する採血または注射器の医療用
針として使用しても良い。

() 本発明の具体的な作用効果 以上説明してきたように、本発明の一つである
採血または注射器の医療用針は、針管部分に袋状
に被るように透明または半透明なゴムさやがハブ
に被嵌するものにおいて、ハブのゴムさや被嵌係
止部の全周または１箇所に疎水性フイルター材、
通気性を有する紙または通気性を有し血液凝固剤
を含浸させてある紙などからなる液密通気性部材
を備え、該部材を介してのみゴムさやの内部と外
部との通気性を図れるようにゴムさやが液密通気
性部材の外側からハブに被嵌している構成であ
る。

したがつて、本発明の採血または注射器の医療
用針は、血管への穿刺を行うとゴムさや内及び針
管内の空気が血液の圧力のため液密通気性部材を
介して外部へ排出され血管から血液が針管内の通
路を通してゴムさや内に流出し外部から針が血管
内に刺通したことを確認できる。そして、ゴムさ
や内の血液はゴムさやの外部に流出することがな
い。これは、ゴムさや内に流出した血液が液密通
気性部に接触すると、該液密通気性部材が通気性
を有する疎水性フイルター材からなる場合は該フ
イルター材の疎水性による毛細管現像を妨げる作
用によつて血液を通さず、また通気性を有する紙
からなる場合は毛細管を通る血液が速く実質的に
凝固するという性質と紙繊維の膨潤性によつて、
さらにまた通気性を有しかつ血液凝固剤を含浸さ
せてある紙からなる場合は、上記場合の作用に血
液凝固剤の凝固促進作用が加わることによつてそ
れぞれ該液密通気性部材の毛細管を血液が通らな
いか、通つても浸み入つた段階で凝固し実質的に
液密にしてしまうからである。このため本発明の
採血または注射器の医療用針は、穿刺を行うとゴ
ムさや内に血液が流出してゴムさや内の色が変る
ことから穿刺を確認できるが、それだけではなく
血液がゴムさやの外部に流出しないように該医療
用針自体に改良が加えられているので穿刺の確認
の後に行う針管と減圧採血管またはシリンジとの
接続操作にゆとりがとれ、従来では血液が外部に
流出しないようにするために迅速な接続操作を要
していた医師の負担を軽減できる。

また本発明の実施態様としてゴムさや被嵌係止
部の針管に沿う断面が丸角状であり液密通気性部
材が針管挿通孔を略中央に有する円板状で前記ゴ
ムさや被嵌係止部に合せるよう備えられゴムさや
被嵌係止部に当てがえられその外方よりゴムさや
が被嵌する場合には、液密通気部材を初期の上記
効果を発揮するように製作・取付けが簡単であり
自動的に血液流出防止を図りつつ穿刺の確認がで
きる医療用針として品質にむらがなく、コスト高
とならず量産性も備えているという効果を有す
る。また本発明の実施態様としてハブ全体を液密
通気性部材で構成した場合には別部材とした場合
より部品点数が少なく組立工数が少なく、ゴムさ
やのハブへの被嵌係止に特別の注意を払わなくて
済む。

また本発明の他の一つである採血または注射器
の医療用針の製造方法は、ハブを針管の中途に固
定し円板状の液密通気性部材を針管に鍔状に貫通
してハブのゴムさや被嵌係止部に当てがい、ゴム
さやを針管部分に被せて液密通気性部材の上から
ゴムさや被嵌係止部に被嵌係止する構成である。

したがつて本発明の医療用針の製造方法によれ
ば、上記効果を得られる上記医療用針の中でも実
施態様とした鍔状の液密通気性部材を備える医療
用針を製造できるものであり、したがつて液密通
気性部材の製作・取付けが簡単にでき、組立てら
れた際の液密通気性部材の品質を均一に保つこと
ができコスト高とならず量産性に適するという効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の減圧採血器等に用いられる医療
用針の使用状態の縦断正面図、第２図ａは同上の
医療用針に対して改良された従来の医療用針の縦
断正面図、第２図ｂは第２図ａにおけるｂ−
ｂ断面図、第３図はシリンジを用いた使用状態の
従来の医療用針の縦断正面図、第４図は本発明の
実施例にかかる採血または注射器の医療用針の一
部断面した正面図、第５図ａ，ｂは第４図の医療
用針の製造方法の説明用製作工程図、第６図ない
し第１０図はそれぞれ本発明の採血または注射器
の医療用針の変形例にかかる一部断面した正面図
または要部正面図または使用状態の正面図であ
る。 Ａ……採血または注射器の医療用針、１……針
管、１ａ……針管部分、１ｂ……穿刺側針管部
分、２……ハブ、２ｂ……ゴムさや被嵌係止部、
３……ゴムさや、１０……液密通気性部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 両端に刃面を有する針管と、該針管の外面中
   途を支持するとともにその一端にゴムさや被嵌係
   止部を有するハブと、該ハブの前記ゴムさや被嵌
   係止部側に延びた針管部分を被包して前記ゴムさ
   や被嵌係止部に被嵌係止された透明または半透明
   なゴムさやとからなる採血または注射器の医療用
   針において、 前記ハブは前記ゴムさや被嵌係止部の少なくと
   も一箇所に液密通気性部材を備え、かつ該液密通
   気性部材を介してのみ前記ゴムさやの内部と外部
   との通気性を図れるように該液密通気性部材の外
   側に前記ゴムさやが被嵌していることを特徴とす
   る採血または注射器の医療用針。 ２ 液密通気性部材は疎水性フイルター材である
   ハブを前記針管挿通孔を介して両端に刃面を有す
   る針管の外面中途に挿通して固定し、円板状の液
   密通気性部材を該針管の該ハブのゴムさや被嵌係
   止部側に伸ていた接続側針管部分に鍔状に突き刺
   して前記ゴムさや被嵌係止部に合わせ、次に長手
   方向の一端が開口され他端が閉塞した前記接続側
   針管部分より若干長い透明もしくは半透明のゴム
   さやを該針管部分に袋状に被せてその開口端で前
   記ゴムさや被嵌係止部に合せた前記液密通気性部
   材を外側より被嵌することを特徴とする採血また
   は注射器の医療用針の製造方法。