JPH0126951B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はサイロ等に利用される複合構造貯槽の
構築方法に関する。

従来、サイロ等の貯槽の構造として薄鋼板によ
る鋼製構造と鉄筋コンクリート構造のものがあ
り、両者にはそれぞれ次のような長所、短所があ
る。即ち、前者は気密性、防水性に優れている
が、座屈、断熱、防錆の面で問題があり、他方、
後者は座屈、断熱、防錆の面では優れているが、
気密性、防水性に劣るという問題がある。そこで
このような問題が改善された貯槽として、鋼板鉄
筋コンクリート構造の貯槽が知られている。この
構造形式は、鋼板を貯槽の内側に配し、その外側
に鉄筋コンクリートを配し、上記鋼板を構造材と
して用いるものであり、上記両構造形式の長所を
併せ持つている。しかし、この種の構造の貯槽で
は、鋼板とコンクリートとの一体性を確保するた
め鋼板面に多数のシアコネクタを取付ける必要が
あり、このために多大な労力を必要とし、また施
工期間も長期化するという問題がある。

本発明はこのような従来貯槽の問題点に鑑み研
究開発されたもので、簡単且つ短期間に施工する
ことができる複合構造貯槽を構築することができ
る方法を提供せんとするものである。

このため本発明は、縞鋼板により、この突起形
成面が貯槽外面側となるように鋼製槽を構築し、
該鋼製槽の構築後または構築と併行して、鋼製槽
の外面側に接着材を塗布し、さらにその上にコン
クリートを打設または吹き付けるようにしたもの
である。

このような構築法によれば、縞鋼板外面の突起
部と接着材とによつて鋼板とコンクリートの高い
一体性を有する複合構造物を簡易且つ短期間に構
築することができる。

以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図面は本発明法による複合構造貯槽の水平断面
を示すものであり、貯槽の壁構造は、突起形成面
１０１が槽外面側となる縞鋼板１（平滑面が槽内
面を構成する）と、この突起形成面１０１に接着
材２を介して設けられたコンクリート層３（モル
タルの場合を含む）とから形成されている。

本発明では、このような複合構造貯槽を、まず
縞鋼板１によりその突起形成面１０１が貯槽外面
側となるように鋼製槽を構築し、該鋼製槽の構築
後または構築と併行して、鋼製槽の外面側に接着
材２を塗布し、さらにその上にコンクリート層３
を打設または吹き付けることにより構築する。

上記接着材２としては鋼板とコンクリートとに
対し強い付着力をもつものが好ましく、例えばポ
リマーセメントが用いられる。ポリマーセメント
コンクリート（又はモルタル）は一般に水硬性セ
メント、ポリマーの水性デイスパージヨン、骨材
および水の混合物で、硬化後はセメント水和物と
ポリマーの複合結合材で骨材が結合されたものと
なる。このポリマーセメントコンクリート（又は
モルタル）は鉄、木、ガラス、アスフアルト、他
のコンクリートなどに対して良好な接着性を有す
るとともに、防水性および防食性、さらには断熱
性、防滑性にも優れた性質を有している。

以上のような壁構造では、縞鋼板１の外側の突
起形成面１０１と接着材２とがシアコネクタの役
割を果たし、これによつて鋼板とコンクリート層
３との一体性を適切に得ることができる。また、
従来のシアコネクタに較べ鋼板とコンクリートと
のシア伝達が連続的で応力集中がないため、この
意味でも鋼板とコンクリートとの一体性が高めら
れ、鋼板とコンクリートとによる複合効果、即
ち、コンクリートが圧縮材として働き、鋼板が引
張材として働く効果ないしはコンクリートが鋼板
の座屈防止材として働く効果が十分に発揮され
る。

さらに接着材２としてポリマーセメントを用い
る場合、ポリマーセメントそのものが高度の防水
性と耐食性を有しているため、仮にコンクリート
層３に亀裂を生じても接着材２が鋼板のコーテイ
ングの役目を果たし、縞鋼板の発錆を適切に防止
できる。また、このことからコンクリート層３に
対する亀裂防止の対策や縞鋼板１の防錆対策等を
不要ならしめることができる。

上記貯槽の構築法をより具体的に説明する。

本発明により縞鋼板の建方と接着材及びコンク
リートの施工とを独立分離して行う場合、まず縞
鋼板１により、その突起形成面１０１が貯槽外側
面となるようにして鋼製槽を全体として構築す
る。そしてしかる後、鋼製槽の外面に前記接着材
２を吹き付け塗布し、さらにその上にコンクリー
ト３を吹き付け付着せしめる。上記コンクリート
３はもちろん型枠を用いて接着材面に打設するこ
とも可能である。但し、上記のように鋼製槽全体
を一体的に構築し、しかる後、接着材２とコンク
リート３の双方を吹き付け方式により付着せしめ
ることにより、型枠なしで、しかも短時間にコン
クリートの打設を行うことができる。

また本発明では、上記方法のように縞鋼板の建
方（鋼製槽の構築）と接着材およびコンクリート
の施工を独立分離して行うのではなく、両者を同
時併行的に、すなわち鋼製槽の構築と併行してそ
の外面に接着材とコンクリートの施工を行うよう
にして構築することができる。

以上述べた本発明の構築法によれば、縞鋼板の
突起部と接着材とがシアコネクタの役割を果たす
ため、従来の如きシアコネクタを要することなく
鋼板とコンクリートとの高度一体性を確保するこ
とができるものであり、このため従来の如きシア
コネクタ取付けに要する労力と時間を省略でき、
簡易な作業により、しかも短期間で施工が完了す
るという優れた効果がある。また、このようにし
て得られる複合貯槽構造は、従来のシアコネクタ
に較べ鋼板とコンクリートとのシア伝達が連続的
で応力集中がないため、鋼板とコンクリートとの
一体性がより高められ、鋼板とコンクリートとに
よる複合効果、すなわちコンクリートが圧縮材と
して働き、鋼板が引張材として働く効果ないしは
コンクリートが鋼板の座屈防止材として働く効果
が十分に発揮され優れた強度を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明法による複合構造貯槽の水平断面
図である。 図において、１は縞鋼板、２は接着材、３はコ
ンクリート層、１０１は突起形成面を各示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 縞鋼板により、その突起形成面が貯槽外面側
   となるように鋼製槽を構築し、該鋼製槽の構築後
   または構築と併行して、鋼製槽の外面側に接着材
   を塗布し、さらにその上にコンクリートを打設ま
   たは吹き付けることを特徴とする複合構造貯槽の
   構築方法。