JPH0126549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内面板と外面板とにより、クラン
クギヤおよびフリーギヤ、ならびにこれらのギヤ
間に懸回されるチエーンをほぼ完全に覆い隠すよ
うに構成した、いわゆるフルカバー型自転車用チ
エーンケースの改良に関する。

一般に、フルカバー型チエーンケースは、本願
の第４図に示されるように、内面板１と外面板２
よりなり、これら内面板１および外面板２は、そ
れぞれ組付けられたとき隠蔽空間Ｓを形成するよ
うにプレス成形され、これらを対向状にそれぞれ
の周縁部を突き合すことにより作成される。こう
したフルカバー型チエーンケースのクランクギヤ
収容部の内面板１には、ギヤクランク軸Ａを突出
させるための透孔３が穿設され、これと対向する
外面板２には、クランクギヤＢを着脱しうるよう
に円孔４が穿設される。このようなフルカバー型
チエーンケースは、前部を自転車のハンガ部に、
後部をチエーンステー当に固定することにより、
自転車に対して取付けられる。

上記チエーンケースＫの前部の自転車のハンガ
部に対する固定は、ハンガラツグＣの内周にねじ
付けられた球押し部材Ｅの外周ねじ部Ｇに上記内
面板１に穿設したギヤクランク突出用透孔３をは
め、さらに上記ねじ部ＧにハンガナツトＨをねじ
付けることにより、上記ギヤクランク軸突出用透
孔３の縁をハンガラツグＣの端部とハンガナツト
Ｈとの間に挟着することにより行なわれる。

しかしながら、上記のようにクランク軸突出用
透孔３の縁を局部的に挟着するだけでは、十分な
取付け剛性を得ることができないため、通常この
透孔３を囲む内面板１にある程度の面積を有する
ドーナツ状の補強部材を溶接し、取付け剛性を高
めるといつたことが従来から行なわれてきたが、
このような方法では、第一に別部材としての補強
部材を用意しなければならない、第二に溶接のた
めの工数が増える、といつたことにより、コスト
高となるため、最近では、実開昭53−52554号公
報に示されているように、上記透孔の周囲に凸条
または溝条が半径方向に延びるようにした波板部
を一体プレス成形するというアイデイアも生まれ
ている。しかしながら、単に凸条や溝条が半径方
向放射状に延びるような波板部を設けても、凸条
または溝条に沿う軸を曲げようとする力に対する
剛性はアツプしても、凸条または溝条と交差する
軸を曲げようとする力る対しては、かえつて凹条
または溝条がクラツシユビードとして機能して脆
弱化し、簡単に変形してしまうという問題があ
る。この結果、上記公報に示された従来例では、
ギヤクランク突出用透孔の直径に沿う軸を曲げよ
うとする力に対して弱く、したがつて、曲げ力の
かかりかたによつては容易に変形してしまうとい
つた弱点を露呈していた。

この考案は、上記の事情のもとで考え出された
ものであつて、その目的は、コスト安く、ハンガ
ラツグとハンガナツトとの間に挟着されるべき内
面板のギヤクランク突出孔の周縁の剛性をさらに
高め、チエーンケース取付け時の取付け安定性を
向上させることである。

このような目的を達成するため、本考案では、
次の技術的手段を講じている。

すなわち、内面板と外面板とにより、クランク
ギヤおよびフリーギヤならびにこれらのギヤ間に
懸回したチエーンをほぼ完全に覆い隠すように構
成された、いわゆるフルカバー型自転車用チエー
ンケースにおいて、ハンガラツグの内周にねじつ
けられる球押し部材の外周ねじ部にはめこまれる
とともにこのねじ部にねじつけられるハンガナツ
トと上記ハンガラツグの端部との間に挟着固定さ
れる、内面板に穿設されたクランク軸突出用透孔
の周囲を、複数本の溝条または凸条が上記透孔か
ら円弧状にのびて渦を形成するように、波板状に
一体プレス成形したこと、である。

本考案において、内面板のクランク軸突出用透
孔の周囲に一体形成される波板部と、上記実開昭
53−52554号公報に示された従来例の波板部との
大きな違いは、従来例では、複数本の凸条が上記
透孔からその透孔の半径方向に単に放射状に延び
るようにしているのに対し、本考案では、複数本
の溝条または凸条が上記透孔から円弧状にのびて
渦を形成するようにしていることである。

この結果、各溝条まため凸条に沿う軸を曲げよ
うとする力に対する剛性が強いことは勿論、透孔
の中心を通る全ての直径がいずれかの凸条または
溝条と交差することとなるので、どの直径を曲げ
ようとする力にたいしても、その曲げ剛性が強く
なる。したがつて、本考案の波板部の剛性は、上
記従来例の波板部の剛性をさらに上回つたものと
なり、この結果、本考案の波板部を挟着されて固
定されるチエーンケースの取付け剛性、あるいは
取付け安定性は、飛躍的に向上することになる。
とくにハンガナツトが緩んでいるときにチエーン
ケースを左右に傾けるようとする力がかかつた場
合、上記公報に示された従来例では、波板部の一
部凸条がクラツシユビードとして機能して変形し
てしまうといつたことが起こりえたが、本考案で
は、そうした場合においても波板部が容易に変形
しないことになる。

以下、本考案の実施例を図面を参照しつつ具体
的に説明する。

符号Ｋは、フルカバー型チエーンケースで、内
面板１と外面板２により成り、上記内面板１に
は、クランク軸突出用透孔３が、外面板２には、
クランクギヤ着脱用孔４がそれぞれ設けられる。
上記クランクギヤ着脱用孔４は、ここからクラン
クギヤＢをチエーンケース内に入れるために、そ
の径はクランクギヤＢの外径より若干大きい程度
に定められており、この孔４にはさらに円形蓋板
５をはめてフルカバー状態にするように構成され
ている。上記内面板１のクランク軸突出用透孔３
は、その径をハンガラツグＣの端部内周にねじつ
け固定された球押し部材Ｅの外方突出ねじ部Ｆに
はまりこみうる寸度に定められている。

上記内面板１の上記クランク軸突出用透孔３の
周囲の所定範囲には、複数本の溝６…が上記透孔
３から円弧状に延びて渦を形成するようにした波
板部が一体プレスによつて形成される。この渦状
の溝６は、上記透孔３の中心を通る直径と交差す
るようにすることが肝要である。なお、この波板
部の外縁は、組付けたときハンガナツトＨの外径
よりできるだけ外側に位置するようにすることが
好ましい。なお、図に示す実施例では、波板部を
形成する各溝条６…は、自転車右方からみて凹
状、すなわち、自転車左方からみて凸状となるよ
うに形成しているが、逆に、自転車右方からみて
凸状、すなわち自転車左方からみて凹状となるよ
うに形成してもよいことは勿論である。

以上説明したように、本考案の自転車用チエー
ンケースは、その内面板に穿設されるべきクラン
ク軸突出用透孔のまわりに、複数本の凸条または
溝条が渦状に延びるようにした波板部を形成して
いるので、この波板部をハンガラツグとハンガナ
ツトの間に挟着することによりチエーンケースの
前部を自転車本体に固定した場合、何等補強部材
としての別部材を使用しなくても、上記波板部が
剛性アツプ用リブとして機能し、その取付け剛性
が飛躍的に向上するという効果を発揮する。しか
も本考案において上記波板部を形成する各凸条ま
たは溝条は、上記透孔の中心を通る直径と交差す
るように円弧状かつ渦状に延びているので、単に
放射状に延びるようにしたものに比して、どの上
記直径を曲げようとする力に対しても剛く、この
結果、固定状態でのチエーンケースの安定性が飛
躍的にアツプし、走行中でのチエーンケースのが
たつきや揺れがきわめて少なくなるという効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す正面図、第２図
は第１図に示すものの縦断面図、第３図は第１図
に示すものの要部拡大斜視図、第４図は本考案の
自転車用チエーンケースを自転車に組付けた状態
を示す断面図である。 １……内面板、２……外面板、３……ギヤクラ
ンク突出用透孔、４……溝条または凸条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内面板と外面板とにより、クランクギヤおよび
   フリーギヤならびにこれらのギヤ間に懸回したチ
   エーンをほぼ完全に覆い隠すように構成された、
   いわゆるフルカバー型自転車用チエーンケースに
   おいて、ハンガラツグの内周にねじつけられる球
   押し部材の外周ねじ部にはめこまれるとともにこ
   のねじ部にねじつけられるハンガナツトと上記ハ
   ンガラツグの端部との間に挟着固定される、内面
   板に穿設されたクランク軸突出用透孔の周囲を、
   複数本の溝条または凸条が上記透孔から円弧状に
   のびて渦を形成するように、波板状に一体プレス
   成形したことを特徴とする、自転車用チエーンケ
   ース。