JPH0125762Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は油圧シリンダ、とくに油圧シリンダ
の軸受構造に関するものである。

〔従来の技術〕

第２図は従来の油圧シリンダのヘツド部を示す
断面図である。図において、１はチユーブ、２は
チユーブ１内に摺動可能に挿入されたピストン、
３はピストン２に取り付けたピストンシール、４
はピストン２に固定された平面軸受、５はピスト
ン２の側面に取り付けられたピストンロツドで、
ピストンロツド５はチユーブ１のヘツド部を貫通
している。６はピストンロツド５の基部に取り付
けられたクツシヨンスリーブ、７はチユーブ１の
ヘツド部に固定された平面軸受、８はチユーブ１
とピストンロツド５との間に設けられたロツドシ
ールである。

この油圧シリンダにおいては、ピストン２、ピ
ストンロツド５が平面軸受４，７によつて支持さ
れて移動するが、ピストン２が紙面左方に移動し
て、クツシヨンスリーブ６がクツシヨン部の低圧
室９内に入ると、高圧室１０が形成され、高圧室
１０内の油が閉じ込められるから、ピストンロツ
ド５の速度が小さくなり、クツシヨン作用が行な
われる。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、平面軸受７とピストンロツド５との
間および平面軸受４とチユーブ１との間には、図
に示すように必ずいくらかの隙間がある（図では
誇張して描いてある）。また、ロツドシール８や
ピストンシール３ではピストンロツド５、チユー
ブ１の自重やピストンロツド５に作用する曲げ荷
重を支えることができない。このため、ピストン
ロツド５に外力や自重が作用すると、チユーブ１
の中心線とピストンロツド５の中心線とが一致し
ないので交差する。いま、たとえばピストンロツ
ド５の中心線がチユーブ１の中心線に対して紙面
右下りとなつたとすると、平面軸受７の上部左端
とピストンロツド５とが線接触し、この部分の局
部面圧は著しく大きくなる。したがつて、平面軸
受７、ピストンロツド５に異常摩耗が生じ、ロツ
ドシール８が損傷して、外部への油漏れの要因と
なる。

この考案は上述の問題点を解決するためになさ
れたもので、ピストンロツドの軸受部に大きな局
部面圧が生ずることのない油圧シリンダを提供す
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため、この考案において
は、チユーブと、上記チユーブ内に摺動可能に挿
入されたピストンと、上記ピストンの側面に取り
付けられかつ上記チユーブのヘツド部を貫通した
ピストンロツドと、上記チユーブのヘツド部に設
けられた低圧室と、上記ピストンロツドの基部に
取り付けられかつ上記ピストンロツドおよび上記
ピストンロツドの移動により上記低圧室内に挿入
されるクツシヨンスリーブと、上記ピストンロツ
ドをその軸方向に摺動可能に支持するために上記
チユーブのヘツド部に配置されかつ上記低圧室と
連通された軸受とを有する油圧シリンダにおい
て、上記軸受として上記ピストンロツドを貫通す
る内周面に摺動部材を有する球面軸受を用い、上
記球面軸受に孔を設けるとともに、上記孔と上記
低圧室内に上記クツシヨンスリーブが挿入さたと
きに形成される高圧室とを連通する油路を設け、
上記孔、上記油路の少なくとも一方に安全弁また
は絞りを設ける。

〔作用〕

この油圧シリンダにおいては、ピストンロツド
が球面軸受により支持されており、しかも高圧室
内の圧油を球面軸受の揺動部および摺動部材とピ
ストンロツドとの摺動部に供給することができる
ため、球面軸受の揺動性、摺動部材とロツドとの
摺動性が向上する。

〔実施例〕

第１図はこの考案に係る油圧シリンダのヘツド
部を示す断面図である。図において、１１はチユ
ーブ１のヘツド部に固定された球面軸受外輪、１
２は球面軸受内輪、１３は内輪１２の内周面に取
り付けられた軸方向摺動部材で、摺動部材１３は
銅合金などからなり、また焼結、圧入などにより
取り付けられていて、従来の平面軸受と同じ摺動
性をもたせるためのものであり、外輪１１と内輪
１２との間および摺動部材１３とピストンロツド
５との間は低圧室９と連通している。１４，１５
はそれぞれ外輪１１、内輪１２に設けられた孔、
１６は高圧室１０と孔１４とを連通する油路、１
７は油路１６に設けられた安全弁である。

この油圧シリンダにおいては、通常の摺動動作
時には従来通りの摺動性能を生じ、ピストンロツ
ド５に自重や外力が作用して、ピストンロツド５
の中心線がチユーブ１の中心線に対して傾斜する
と、内輪１２の中心線がピストンロツド５になら
つて傾斜し、ピストンロツド５と内輪１２とは面
接触を保ち、内輪１２と外輪１１とはもちろん面
接触を保つたままであるから、ピストンロツド５
の軸受部に局部面圧が発生することはないので、
ピストンロツド５に異常摩耗が発生することがな
く、ロツドシール８が損傷することがなく、外部
に洩れることはない。また、ピストン２が紙面左
方に移動して、クツシヨンスリーブ６が低圧室９
内に入ると、高圧室１０内の圧油が油路１６を介
して外輪１１と内輪１２との間および摺動部材１
３とピストンロツド５との間に供給され、低圧室
９に流出するから、ピストンロツド５の軸受部の
潤滑性が向上し、それにより外輪１１と内輪１２
との揺動性および摺動部材１３とピストンロツド
５との摺動性が向上する。したがつて、ピストン
ロツド５に異常摩耗が発生するのを確実に防止す
ることができ、ロツドシール８の損傷による外部
への油洩れを確実に防止することができる。そし
て、高圧室１０と低圧室９とは油路１６、孔１
４，１５を介して連通されているが、油路１６に
安全弁１７が設けられているので、クツシヨンス
リーブ６が低圧室９内に入つたときに、油路１６
内を圧油が流れるのを安全弁１７が妨害するた
め、高圧室１０内の圧力を高圧に保つことができ
るから、これにより従来と同様にクツシヨン機能
を保持することが可能である。

なお、上述実施例においては、油路１６に安全
弁１７を設けたが、油路１６に安全弁１７の代り
に絞りを設けてもよく、この場合にもクツシヨン
スリーブ６が低圧室９内に入つたときに、油路１
６内を圧油が流れるのを絞りが妨害するため、高
圧室１０内の圧力を高圧に保つことができる。さ
らに、この絞りを内輪１２の孔１５で兼用すれ
ば、すなわち孔１５の径を小さくすれば、内輪１
２と外輪１１との間に高圧室１０内の圧力が作用
し、内輪１２と外輪１１とを高圧で浮かせて潤滑
性をさらによくすることができ、したがつて外輪
１１と内輪１２との揺動性をさらに向上すること
ができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案に係る油圧シリ
ンダにおいては、ピストンロツドを球面軸受によ
り支持しているので、ピストンロツドの軸受部に
大きな局部面圧が生ずることがないから、ピスト
ンロツドに異常摩耗が発生することがなく、ロツ
ドロツドと接したシールが損傷することはなく、
外部に油が洩れることはない。しかも、高圧室内
の圧油を球面軸受の揺動部および摺動部材とピス
トンロツドとの摺動部に供給することができるた
め、球面軸受の揺動性、摺動部材とロツドとの摺
動性が向上するので、ピストンロツドに異常摩耗
が発生するのを確実に防止することができ、ロツ
ドに接したシールの損傷による外部への油洩れを
確実に防止することができる。このように、この
考案の効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る油圧シリンダのヘツド
部を示す断面図、第２図は従来の油圧シリンダの
ヘツド部を示す断面図である。 １……チユーブ、２……ピストン、５……ピス
トンロツド、６……クツシヨンスリーブ、９……
低圧室、１０……高圧室、１１……球面軸受外
輪、１２……球面軸受内輪、１３……摺動部材、
１４，１５……孔、１６……油路、１７……安全
弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チユーブと、上記チユーブ内に摺動可能に挿入
   されたピストンと、上記ピストンの側面に取り付
   けられかつ上記チユーブのヘツド部を貫通したピ
   ストンロツドと、上記チユーブのヘツド部に設け
   られた低圧室と、上記ピストンロツドの基部に取
   り付けられかつ上記ピストンおよび上記ピストン
   ロツドの移動により上記低圧室内に挿入されるク
   ツシヨンスリーブと、上記ピストンロツドをその
   軸方向に摺動可能に支持するために上記チユーブ
   のヘツド部に配置されかつ上記低圧室と連通され
   た軸受とを有する油圧シリンダにおいて、上記軸
   受として上記ピストンロツドを貫通する内周面に
   摺動部材を有する球面軸受を用い、上記球面軸受
   に孔を設けるとともに、上記孔と上記低圧室内に
   上記クツシヨンスリーブが挿入さたときに形成さ
   れる高圧室とを連通する油路を設け、上記孔、上
   記油路の少なくとも一方に安全弁または絞りを設
   けたことを特徴とする油圧シリンダ。