JPH0124560Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は被焼成物を均一かつ急速に冷却するこ
とができるトンネル炉に関するものである。

（従来の技術） 瓦、タイル等の陶磁器類の焼成に広く使用され
ているトンネル炉においては、その全長の過半部
を占める冷却帯においていかに急速かつ均一な冷
却を行うかが生産性向上の上で重要なポイントと
なる。そこで本出願人は実公昭54−1482号公報に
示されるように、冷却帯の天井アーチに透孔を形
成するとともに、その上方の屋根部分に金属製の
冷却フードを架設することによつて冷却能率を高
めたトンネル炉の構造を考案したのであるが、ア
ーチ天井は中央部分と両側部分とで高さが異なる
ために被焼成物の冷却速度が中央部と両側部とで
異なり品質にばらつきが生じ易いこと、耐熱レン
ガ製のアーチ天井自体の熱容量が大きいため応答
性が悪いこと、被焼成物の高さによつてアーチ天
井までの上部空間容積が変化するため、被焼成物
に応じた最適操炉が困難であること等の問題があ
つた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記のような従来の問題点を解決し
て、被焼成物を均一に冷却することができ、応答
性が早く被焼成物に応じた最適操炉が可能なトン
ネル炉を目的として完成されたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は炉体の屋根部分を内部に冷却空気等の
気体が供給される中空のフードにより構成すると
ともに、このフードの下方に吊りボルトによつて
複数本の桁材を水平に支持させ、これらの桁材の
上面に多数枚の耐熱ボードを相互間に適度の隙間
を設けて並べて中天井を構成したことを特徴とす
るものである。

（実施例） 次に本考案をフードを冷却帯に設けた実施例に
ついて詳細に説明する。

図面は本考案のトンネル炉の断面を示すもの
で、１は炉体、２は炉室、３は被焼成物４を積載
した台車である。炉体１の上方の屋根部分はステ
ンレス鋼のような耐熱金属製のフード５によつて
構成されており、その中空部に冷却空気等の気体
を流すことにより熱を奪うことができる構造とな
つている。このフード５の下方には吊りボルト
６，６によつて、炉の幅方向に延びる桁材７が炉
の長手方向に一定ピツチで水平に支持されてい
る。桁材７としてはステンレス鋼製のパイプ等が
用いられ、その両端部を図示のように炉体１の内
側壁に突設された段部８，８に支持させることが
好ましい。そしてこれらの桁材７の上面には多数
枚の耐熱ボード９が並べられて中天井を構成して
いる。耐熱ボード９としてはアルミナ系の1200〜
1600℃の耐熱性を持つセラミツクフアイバーボー
ドが好ましく、また耐熱ボード９の相互間には適
度の隙間１０を形成して炉室２内の加熱された空
気がこの隙間１０を通つて中天井とフード５との
間の空間１１に流入できるようにしておく。なお
図示のように隙間１０は炉幅方向の中央部におい
て広くし、また炉の長手方向においては焼成帯に
近い高温側の部分では開口率が30〜40％となるよ
うに隙間１０をやや大きく、低温側の部分では開
口率が20〜30％となるようやや小さくしておくこ
とが好ましい。

（作用） このように構成されたものは、被焼成物４を積
載した台車３を焼成帯から冷却帯に送り込むとと
もに、炉室２の屋根部分を構成する中空のフード
５に冷却空気等の気体を通して被焼成物４の熱を
奪うようにしたことは従来のものと同様である。
しかし本考案においてはフード５の下方部分に吊
りボルト６によつて支持された桁材７上に耐熱ボ
ード９が並べられ中天井を構成しているので、被
焼成物４により加熱された炉室２内の空気はその
隙間１０を通つて空間１１に進入したうえでフー
ド５と接触することとなり、耐熱ボード９を動か
して隙間１０を調節することにより炉室２内の各
部分の冷却度合を自由に制御することができる。
また従来のアーチ構造の中天井とは異なり、本考
案の中天井は水平な桁材７と耐熱ボード９によつ
て構成されているから、炉室の中央部においても
両端部においても被焼成物４と中天井との間の距
離は一定となり、冷却速度が均一化され品質のば
らつきを生じにくい。更にまた耐熱レンガ製のア
ーチ天井とは異なり、本考案の中天井は桁材７と
耐熱ボード９から構成された熱容量の小さいもの
であるから、フード５の冷却能力を変更した場合
の応答性が良好であるうえ、吊りボルト６，６の
長さを調節すれば炉外から中天井の高さを変更す
ることができるので、被焼成物４の大きさに合わ
せて中天井までの上部空間容積を調節することが
でき、常に最適な操炉が可能となる。

なお以上の実施例においてはフードを冷却帯に
設けたが、例えば予熱帯等にフードを設けるとと
もに、フードの内部に加熱空気を流して炉室内の
温度調節を行わせることもできる。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、被
焼成物を炉幅方向の位置にかかわらず均一に冷却
あるいは加熱することができ、応答性が良好で常
に最適操炉を行わせることができるものであるか
ら、従来の問題点を一掃したトンネル炉として、
その実用的価値は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例の断面図である。 ５……フード、６……吊りボルト、７……桁
材、９……耐熱ボード、１０……隙間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 炉体の屋根部分を内部に冷却空気等の気体が
   供給される中空のフード５により構成するとと
   もに、このフード５の下方に吊りボルト６によ
   つて複数本の桁材７を水平に支持させ、これら
   の桁材７の上面に多数枚の耐熱ボード９を相互
   間に適度の隙間１０を設けて並べて中天井を構
   成したことを特徴とするトンネル炉。 ２ フード５が冷却帯に設けられている実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のトンネル炉。