JPH0123815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、手作業で発行されていた約束手形
（以下、手形等と云う）の処理を機械を用いて行
う場合、その発行手形部分の金額記入のために特
定された俗に金座と称される区域（以下、金額欄
と云う。）の凹凸文字や磁気文字を除いた部分を
通常のインパクトまたはノンインパクトプリンタ
で印字処理し、オフラインで残された金額部分の
特殊処理を行うようにした手形等の専用印字機に
関する。

［従来の技術］ この種の事務においては従来から、手形等発行
の機械化が行われていたが、そのための専用機と
して市販されている機械はいずれも、プリント機
構と金額欄への金額印字装置（金額の改ざん防止
のため）との二つの機構を具備し、プリントと金
額欄への打刻とを同時に行えるもので、機構が複
雑になり勝ちであり、また高価な設備となつて、
手軽に設置するわけにはいかなかつた。

一方、事務の機械化、省力化が進むにつれて、
高速処理能力を持ち、しかも漢字を表示すること
ができるプリンタを事務室に備えることが常識化
しつつある中で、上述の高価なプリント機能を持
つ手形等発行機を併置することは二重投資に近
く、いかにも無駄なことである。

［目的］ そこで、本考案は、手形等の発行手形部分の金
額欄における凹凸のみを、前もつて備付のOA機
器等により高速印字処理されたフオームから情報
を読取つて単独処理をすることができる安価な装
置を提供しようとするものである。勿論、OA機
器によりプリント処理した手形等の控え片部分に
記載の金額の数字を目視しながら、チエツクライ
タなどを使用して人手により、その発行手形部分
の金額欄に金額を打込むことは可能であるが、そ
れは非能率であつて多量の処理に向かないばかり
でなく、絶対に錯誤が無いとは云えないから更に
照合、チエツクを必要とする。また、誤記である
ことを発見しても打込まれた金額を訂正すること
ができず、後処理が非常に面倒で間違いが生じ易
い。

［構成］ 前記の目的を達成するための本考案の構成を、
実施例に対応する第１〜５図を用いて説明する
と、本考案の約束手形用印字機は、控え片部分と
発行手形部分とからなり、控え片部分の所要欄１
６に予め印刷した文字または記号により金額を表
示されたテープ状に連続的に形成された手形用紙
１に対して、前記発行手形部分の金額欄１８に前
記金額を打刻する印字機であつて、控え片部分の
前記所要欄１６に対面して文字または記号を読取
る光学的読取装置２と、発行手形部分の前記金額
欄１８に改ざん不能な凹凸文字２２を打刻する複
数の印字輪からなる凹凸文字印字輪列６と、前記
光学的読取装置２によりコード化された信号を変
換して前記各印字輪の文字を読取りコードに合わ
せて整定する制御回路３，４とよりなり、すべて
の印字輪の整定後に打刻動作を行なうようにした
ものである。

［実施例］ 以下、実施例を挙げ、図面に沿つて本考案を説
明する。

第１図図示のものは、プリント後の約束手形用
紙の一例であつて、テープ状用紙１の両側縁には
紙送りのためのパーフオレーシヨン１０を穿設
し、隣接したその内側に前記孔列に平行したミシ
ン目１１を施すと共に、用紙１の中央寄りにやや
片寄せて長手方向にミシン目１２を入れて控え片
部分とこれに対応する発行手形部分とに区分し、
長手方向に対し直角に横断して、各間隔を置いて
ミシン目１３を施すことにより形成されるそれぞ
れの一片を、一枚の約束手形とする。

一つの手形等において、中央付近の縦向きのミ
シン目１２よりも左側の片を控え部分とし、同部
分には、上段から順に約束手形番号欄１４、受取
人氏名欄１５、金額表示欄１６および支払地、支
払場所欄１７等々、手形等の要件記載欄を設けて
ある。これに対応する右側の片をなす発行手形部
分には、前記控え片部分の金額表示欄１６にプリ
ントした額と同一表示の凹凸文字打刻のための予
め区画、指定された金額欄１８および磁気読取文
字（たとえば、E13B）で手形等発行人名義を示
す記号１９が印刷されている。図示のものは、控
え片部分の各欄に既にOA機器等の印字装置を利
用して必須事項をプリントした後の用紙で、特に
金額表示欄１６の文字は、光学的読取文字は（た
とえばOCRB）の書体によりプリントされてお
り、その最後尾の記号は“チエツクデジツト”で
ある。

本考案印字機は、上述のような凹凸文字および
磁気読取文字の金額欄を除く他の情報を、予め高
速プリントし終つているテープに状に連なつた手
形発行用紙の発行手形部分の金額欄に、プリント
された情報に基いて自動的に金額を示す文字を打
刻し、または磁気文字を印字する装置であつて、
同装置の具体的構成を第２図に従つて説明すると
次のとおりである。第２図において、１は手形用
紙で、詳しくは第１図に示すとおりのもの、２は
印字機に受入れられた手形用紙１に対し、特定の
位置に設置した光学的読取装置で、たとえば光学
センサ、文字リーダ等を用い、これを回路によつ
てコード変換器３に連結する。前記の文字、記号
の光学的読取装置２は、金額を表示する数字の各
桁に対応してそれぞれ設置しても、また文字、記
号の記載順序に従つて走査するタイプであつても
よい。後者の場合は読取装置２と変換器３との間
に対応する回路を挿入することを要する。読取装
置２からの信号はコード変換器３によつて解析さ
れ、各桁毎にコントローラ４を介してパルスモー
タ５を駆動し、対応する桁の凹凸文字打刻印字輪
列６の各印字輪を制御して、手形用紙の控え片部
分の金額表示欄１６にOA機器等により予めプリ
ントされた数字と同一の印字輪の凹凸文字を、発
行手形部分の金額欄１８に向けて整定する。

同様な手段により、コントローラ４を介してパ
ルスモータ７を回し、金額表示欄１６に記入され
た数字に対し各桁毎に磁気文字印字輪列８を整定
させる。

かくして、全桁にわたつて金額欄１８および磁
気文字打刻欄に対する印字輪列６，８をプリント
の表示と一致するように整定し終えた時点で、印
字機はコントローラ４の制御の許に、また必要に
応じて手動で手形等に対する所要の文字、記号を
打刻し、次にパーフオレーシヨン１０に係合して
いるピントラクタを駆動してテープ状用紙１を一
ピツチ分、即ち手形一枚分だけ移動させ、印字機
の前記光学的読取装置２に対向する位置に、次の
手形の控え片部分の金額表示欄１６にプリントさ
れた文字が持来たされるよう間欠駆動する。

なお、上述の打刻は、印字輪列６を下降させる
か、スタンプ台を上昇させることにより行う。印
字機に備えた光学的読取装置２はその間に当初位
置に戻つていることが望ましいが、それは必ずし
も絶対条件ではない。新たな情報に基く読取信号
によつて、対応する桁の凹凸文字印字輪は、いず
れか回転角の小さな方向に回ることによつて新た
な打刻文字を整定することができる。

かくして、手形等の金額欄に対する凹凸文字ま
たは磁気文字を打刻するためのオフラインによる
処理サイクルが進行するから、装置の故障、送り
機構の不調以外に誤差が生じる余地がなく、処理
作業は自動的に、かつ能率よく行われる。

また、事務室に備付けのOA機器に付属する高
速プリント装置の機能を利用して手形発行の前処
理をすることができるので、全体として設備が安
価で済む。

本考案印字機によつて処理された後の手形等は
第３図に示す通りのもので、第１図示のものに対
して、手形の金額欄１８に改変ができないような
凹凸文字２２により、その金額が打刻され、ま
た、磁気文字欄に必要に応じ、磁気文字（たとえ
ばE13B）２３が印字されている点で相違いてい
る。なお、符号１９で示す文字も同じく磁気読取
文字であるこれはテープ状手形用紙作成の際に前
もつて印字してある不動文字、記号である。

新たに記入された文字、記号はいずれも、左側
控え片部分にプリントされた情報に基き制御され
た印字輪により打刻されたものであり、控え片部
分の記載と一致する。

本考案印字機により金額欄１８に凹凸文字２２
を打刻して形式が整つた発行手形部分は、通常、
第３図図示のようなテープ状用紙のそれぞれのミ
シン目１３，１３の部分およびミシン目１２の部
分から切離され、約束手形として発行されて流通
し、これに対し、ミシン目１２よりも左側の控え
片部分は、発行手形に対する“控え”としてて手
許に保管されることになる。

上述のうち、本考案印字機における光学的読取
装置２、同装置の走査手段、コード変換器３およ
びコントローラ４等の詳細な説明は省略している
が、それらの個々のものはいずれも、本考案の出
願時におけるその種業界で通用する技術レベルに
基いて、きわめて容易に実施をすることができる
ものか、現実に実施されているものであるから、
その技術を転用すれば足りるものであり、詳述す
ることは避ける。同じく、パルスモータ５，７に
よる印字輪列６，８の整定手段もまた、公知技術
の転用をもつて足りる。

第４図は、第１図図示の手形用紙と同様、予め
OA機器等により所要情報はプリント済である
が、本考案印字機による処理がなされていないテ
ープ状手形用紙であつて、第１図図示のものと異
なるところは、控え片部分の金額表示欄にプリン
トされた金額を示す数字の代りに各桁の数字を代
表する記号（光学読取マーク）２０が横並び（用
紙の移送方向に直角）にプリントされている点で
ある。この際は目視でもチエツクし易いように発
行手形部分の金額欄１８の下側に並べて数字で金
額をプリントしておくと好都合である。

この手形用紙の場合は、本考案印字機備付の光
学的読取装置２およびコード変換器３は記号読取
装置で済むから、簡単で読取り動作がより確実に
なる。この際は光学的読取装置２は各桁毎に並置
した光学センサ列よりなり、数字を表わす記号は
用紙の移送にしたがつて各センサ対向位置を移動
することにより、各桁毎に数字を表わすコードを
伝達する。したがつて、手形等への金額打刻は、
読取り終了後に手形用紙の移送を停止して行うこ
ととなる。

第５図図示のテープ状手形用紙も第１図図示の
ものと同様、本考案印字機で処理する前のもので
ある。第１図の手形用紙と違うところは、控え片
部分の金額表示欄１６の金額のプリントの横に縦
並び（用紙の移送方向）に、前記金額の各桁の数
字を表示する記号（光学読取マーク）２１がプリ
ントされていることである。

この種の手形用紙のプリントに対しては、凹凸
文字印字輪列６等の整定が各記号の読取り作業終
了後となるから、用紙１は記号読取りのために
も、移送され、最後の桁の読取りが終了した後に
停止し、打刻が行われるようになる。もつともテ
ープ状用紙の一ピツチ毎の移送操作の内に、前記
記号読取りのための移送を含めることができるか
ら、用紙は一つの手形の処理毎に一度移送される
だけでよい。

［考案の効果］ 本考案の印字機は、以上のような構成と作用を
有しているので、事務室備付のOA機器の進歩し
た高速プリント機能を有効に活用して、前もつて
控え片部分の所要欄に印刷した文字または記号に
よる情報を読取つて凹凸文字印字輪列を整定し、
発行手形部分の金額欄に自動的に能率よく、且つ
誤りを起すことなしに改ざん不能な凹凸文字を打
刻することができ、約束手形の発行事務処理を正
確かつ迅速に行うことができる。しかも、本考案
の印字機は構成が比較的に簡単であるため、従来
の高価な手形用自動プリント・金額印字装置に比
べ、安価に供給することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はミシン目を介してテープ状に連続した
約束手形の一つを示し、その手形の控え片部分の
所要欄に手形等の要件を光学的読取文字を用い、
OA機器等を利用して予めプリントした後のもの
で、本考案印字機で処理する前の状態の用紙、第
２図は本考案印字機を構成するブロツクダイヤグ
ラム、第３図は本考案印字機で処理した後の発行
準備が整つた約束手形の一例、第４図は第１図同
様のテープ状手形用紙で、第１図示のものとはプ
リントの表示を異にし、控え片部分の金額を記号
によつて表示した用紙、第５図は別の形式のプリ
ントを施した第１図同様の用紙で、控え片部分の
金額表示の横に縦方向に、その金額を表示する記
号を設けた手形用紙を示す。 １……テープ状に連続した手形用紙、２……光
学的読取装置、３……コード変換器、４……コン
トローラ、５，７……パルスモータ、６……凹凸
文字印字輪列、８……磁気文字印字輪列、９……
用紙駆動機構、１１，１２，１３……ミシン目、
１８……金額欄、１９……磁気読取文字、２０，
２１……光学読取マーク、２２………凹凸文字、
２３……打刻磁気文字。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 控え片部分と発行手形部分とからなり、控え
   片部分の所要欄に予め印刷した文字または記号
   により金額を表示されたテープ状に連続的に形
   成された手形用紙に対して、前記発行手形部分
   の金額欄に前記金額を打刻する印字機にして、
   控え片部分の所要欄に対面して文字または記号
   を読取る光学的読取装置と、発行手形部分の前
   記金額欄に改ざん不能な凹凸文字を打刻する複
   数の印字輪からなる凹凸文字印字輪列と、前記
   光学的読取装置によりコード化された信号を変
   換して前記各印字輪の文字を読取りコードに合
   わせて整定する制御回路とよりなり、すべての
   印字輪の整定後に打刻動作を行なうようにした
   ことを特徴とする約束手形用印字機。 (2) 光学的読取装置が控え片部分の所要欄に予め
   印刷した光学的読取文字を順次読取るようにし
   た光学的文字読取りセンサーであることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の約
   束手形用印字機。 (3) 光学的読取装置が控え片部分の所要欄に予め
   印刷した金額を示す記号を用紙の移送動作に伴
   なつて読取り可能な装置であることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の約束手
   形用印字機。