JPH0123273Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は燻製品製造機などの圧力式加熱調理機
の構成に関する。

食生活の洋風化が進むにつれて各種肉製品を燻
製加工することが多く行われるようになつてきて
おり、ホテル、レストランなどはもとより一般家
庭でも簡単に燻製品を製造できる装置の開発が各
方面において望まれていることは周知である。

かかる実状に鑑みて、普及品としての簡易形燻
製品製造装置が一部提供されているが、従来のこ
の種装置は圧力釜内の圧力および温度を外部から
計器管理することはできるようになつているが、
加熱装理する食材自体の温度を調理中連続して測
定することはできなかつた。

従つて、食材の種類、数量に対応して経験的に
定められた圧力、釜内温度ならびに加熱時間をも
とに調理を行つていたが、個人の嗜好に叶つた仕
上りを期待することは無理であるのは言うまでも
ない。

そこで、温度測定器の温度検知部を圧力釜の側
壁に貫通させて釜内に挿入し食材に挿し込むよう
にすればよいことが一応考えられるが、高温高圧
下に使用する温度検知部は温度検出素子ならびに
これに関連する配線が保護管内に収められたもの
が殆どであつて可撓性を有しない構造とならざる
を得なく、食材や食材吊容器の出し入れに際して
温度検知部の先端を曲げたり延ばしたりする操作
を避けることができないために折損の可能性が十
分考えられることであり、単純に温度検知部を圧
力釜内に挿入するのでは却つてトラブルを多発す
る結果となつて好ましくないものである。

このように従来の圧力式加熱調理機が今なお、
改善すべき問題点を有している事実に鑑みて本考
案は成されたものであつて、食材自体の内部温度
を測定するための温度検知部を食材、食材吊容器
の出し入れに障害とならないように圧力釜の内面
に添つた状態で支持することが可能となり、ま
た、食材への挿し込みも容易に行えて折損事故を
皆無となし得るものであり、温度管理を簡単かつ
合理的に行うことにより品質の向上、安定を果す
上に寄与し得るに至つたものである。

しかして本考案は特に、温度測定器の温度検知
部を挿通するための貫通孔を圧力釜の側壁に穿設
すると共に、前記温度検知部の固定側基部を気密
的に支持するための固定部材を、その支持孔が圧
力釜の内壁面に対する接線にほゞ合致する方向と
なるように、前記貫通孔の外壁側周縁部に固設す
る一方、前記温度検知部を、温度測定器との連絡
用端子部に兼用させた前記固定側基部と、圧力釜
の内径に対し25％減乃至25％増の範囲の長さを有
して前記固定側基部から延長したキヤピラリと、
該キヤピラリの先端側内部に気密を保持して収納
し、前記固定側基部の端子に電気接続した温度検
出素子とにより形成もしめて、前記温度検知部
を、キヤピラリが圧力釜の内面に添つた状態で固
定側基部を介し前記固定部材に固定すると共に、
キヤピラリの先端を屈曲して圧力釜内に収容せし
める食材に挿し込むことにより、食材の温度を外
部から確認しながら高温高圧下で食材の加熱処理
を行い得る如く構成したものであり、温度検知部
は食材に挿し込む先端部を除いた殆どの部分が極
度に曲げられる個所が全然なくて自然に圧力釜の
内壁面に添つた状態となるので折損し難くなると
共に、食材や食材吊容器の出し入れに際して障害
を来すこともなく、ここに所期の目的は達成され
るものである。

以下、本考案に係る１実施例の内容について添
付図面にもとづき説明する。

各図は本考案圧力式加熱調理機のうちの燻製品
製造装置の態様を示したものであつて、第１図に
おいて、１は食材としての燻製原料Ｍを加工のた
めに収納せしめる圧力釜で縦丸胴形の圧力容器か
らなる器体２と、その上部開口を気密閉止する開
閉用上蓋３とにより形成される。

４は食材吊容器であつて、前記器体２の内径に
比し４，５cm程度小さい径の浅皿５と、該浅皿５
の中心から立設した吊金具６とからなり、食材Ｍ
を吊金具６の吊棒部に吊架するようになつてい
る。

前記浅皿５は台部を形成していると共に調理加
工中に発生し食材Ｍから滴下する「だし汁」を受
容する容器として利用されるものである。

７は器体２の外底壁に添設した加熱用ヒータで
あつて、器体２の底に入れた所定量の水を加熱し
て沸騰させ、蒸気に転じさせるためのものであ
る。

８は発煙器で、ヒツコリーチツプあるいは芳香
性を有する木片等の燻煙材を収容する燻煙箱９
と、燻煙材を加熱するための電気ヒータ１０とを
備えていて、器体２の側壁に一体的に設けた収容
部に収容し、燻煙を圧力釜１内に充満させるよう
になつている。

１１は圧力釜１内を設定圧力に保持するための
圧力調節弁であり、圧力釜１内の圧力を検知する
ために設けた圧力スイツチに電気的関連を持たせ
ており、圧力釜１内が設定圧力に達しない間は前
記加熱用ヒータ７が通電され、設定圧力に達する
と通電が解かれるようになつている。

かかる構造となした装置において、圧力釜１の
器体２の側壁には、第２図に拡大示してなる如
く、適宜径の貫通孔１２を穿設せしめていて、さ
らに、この貫通孔１２の外壁側周縁部に固定用部
材１３を固設している。

前記貫通孔１２は温度測定器１４の温度検知部
１５を挿通するための孔であり、一方、固定用部
材１３は温度検知部１５の固定側基部１６を気密
的に支持するための支持部材である。

上記固定用部材１３は貫通孔１２の外壁側周縁
部に溶接などにより固設する場合、前記固定側基
部１６を支持する支持孔が圧力釜１の丸胴壁部の
内壁面に対する接線にほゞ合致する方向となるよ
うに斜めに取付けるものである。

一方、温度検知部１５は、温度測定部１４との
連絡用端子部に兼用せしめた前記固定側基部１６
と、耐圧、耐熱の目的から所定範囲内の長さを有
して固定側基部１６から延長したキヤピラリ１７
と、該キヤピラリ１７の先端側内部に気密を保持
して収納し、かつ固定側基部１６の端子に電気的
接続した温度検出素子１８とから形成せしめてい
て、キヤピラリ１７の長さは圧力釜１の内径に対
し25％減乃至25％増の範囲に選定している。

しかして前記取付用部材１３としては、機械
的、気密的に温度検知部１５の固定側基部１６を
支持し得るものであればよくて各種の形態が考え
られるが、図示例は貫通孔１２の外壁側周縁部に
溶接したナツト部材１９と、キヤピラリ１７を挿
通するための通し穴を有するニツプル部材２０
と、キヤピラリ１７を挿通するための通し穴を有
するボルト部材２１と、ニツプル部材２０内に介
挿せしめてキヤピラリ１７を周りから気密的に挾
持する挾持用リング２２と、パツキン２３とから
形成されたねじ締め形のものである。

この固定用部材１３は次のようにして温度検知
部１５を支持する。まず、パツキン２３を介在さ
せてニツプル部材２０をナツト部材１９に螺締
し、次いで、温度検知部１５のキヤピラリ１７
に、ボルト部材２１、挾持用リング２２を順に嵌
め込んだ後、キヤピラリ１７をニツプル部材２
０、ナツト部材１９および貫通孔１２に挿通して
ボルト部材２１をニツプル部材２０にねじ込む
と、挾持用リンク２２がこのねじ込み力によつて
変形し、キヤピラリ１７の貫通部分の周りに密着
する。

かくして、温度検知部１５の固定側基部１６は
キヤピラリ１７を介して気密的、機械的に支持さ
れる。

この状態では、圧力釜１内に挿し込んだキヤピ
ラリ１７は、固定用部材１３の支持孔が圧力釜１
の内壁面に対する接線にほゞ合致する方向となつ
ているので内壁面に添つた方向に延びて該内壁面
から大きくはずれることがない。

次に上記装置を使用して燻製処理を行う場合を
説明すると、前述の要領によつて温度検知部１５
を圧力釜１に取り付けて温度測定器１４に接続し
ておいて、圧力釜１の器体２内にコツプ半分程の
水を入れると共に、チツプの入つた燻煙箱９を所
定の収容個所に収容する。

次いで食材Ｍを食材吊容器４の吊棒部に係止す
る。

そして、食材吊容器４を器体２内におさめる
が、ここでキヤピラリ１７が食材吊容器４の浅皿
５に接触することがないようにするために、器体
２の内壁の適当個所に固定していた受け具２４，
２４を利用して、キヤピラリ１７を器体２の内壁
に正しく添うように保持させておく。

しかる後、キヤピラリ１７の先端部を屈曲して
前記食材Ｍに挿し込ませ、つづいて上蓋３を閉じ
てねじ止めにより気密、耐圧的に閉塞する。

そして、操作盤（図示せず）に設けたサーモス
タツトを所望温度の位置にセツトすると共に、加
熱運転時間を決めるタイマ（図示せず）を所定の
時間にセツトすると後は自動的に加熱加工がなさ
れる。

すなわち、加熱用ヒータ７の運転開始によつて
器体２底部の水は温度上昇し、やがて沸騰により
蒸気を発生する。

蒸気の大量発生により、圧力釜１内の圧力が上
昇し、空気は図示しない空気抜管から略々完全に
器外に追い出されることにより、圧力釜１内は高
温蒸気の雰囲気となる。

この時点になると前記タイマの第１段の設定時
間到来によつて前記空気抜管を全閉させると共
に、電気ヒータ１０に通電せしめる。

かくして電気ヒータ１０の加熱運転による水蒸
気の発生が続いて圧力が上昇すると同時に、燻煙
箱９内の燻煙材が加熱されることにより、燻煙が
流れ出す。

従つて加圧蒸気下でこの燻煙が食材Ｍにしみ込
み、同時に120℃程度の蒸気雰囲気によつて食材
Ｍは調理される。

この調理の間を通じて圧力釜１内の圧力も設定
圧力例えば１Kg／cm²・Ｇに自動調節され、そして
タイマで設定した時間例えば50〜70分になると、
第２段作動によつてリセツトされる結果、電気ヒ
ータ７，１０への通電は断たれ、燻製調理の一行
程が終了する。

以上述べた加熱運転が続いている間を通じて、
温度測定器１４による食材Ｍの内部温度を常時確
認できるので、調理を早目に切り上げたり、ある
いは延長させるなどの処置をとつて焼きすぎ、焼
き不足の失敗をなくすることができる。

調理運転が終ると、上蓋３を開いた後、キヤピ
ラリ１７先端の食材Ｍに挿し込んだ部分を抜いて
延ばしながら受け具２４に取り付ける。

このようにすることによつて、キヤピラリ１７
は圧力釜１の内壁に添つた状態となるので、食材
吊容器４は邪魔されるものが何もなくてスムース
に取り出すことができ、また、キヤピラリ１７に
ついても食材吊容器４の取り出しにより損傷を受
けることがない。

なお、温度検知部１５におけるキヤピラリ１７
は、短か過ぎると食材Ｍへの挿脱操作によつて固
定用部材１３に近い部分まで曲げ力が作用するこ
ととなつて折損のおそれがあり、反対に長過ぎる
と圧力釜１の内壁に添わせるのが容易でなく、食
材吊容器４に接触するおそれがあつて好ましくな
いものであり、従つて圧力釜１の内径に対し25％
減乃至25％増の範囲の長さにおさめることがよ
く、これは多くの実験の結果によつて立証された
条件である。

また、キヤピラリ１７の最先部は第２図図示の
如く尖鋭な構造となしておくことによつて食材Ｍ
への挿し込みを容易ならしめる利点がある。

本考案は以上述べた構成を有するものであつ
て、温度検知部１５のキヤピラリ１７を略々接線
方向から挿入し圧力釜１の内壁面に添つて展延す
るようにしているので食材Ｍの出し入れに際して
キヤピラリ１７が接触するのを回避でき、従つて
温度検知部１５の損傷を防止することが可能であ
る。

しかもこの損傷防止効果はキヤピラリ１７を内
壁面に添つて展延するに最適の長さに設定してい
ることによつてより一層確実に奏されるものであ
る。

さらに本考案は、加熱調理運転中を通じて、前
記温度検知部１５により食材Ｍ自体の温度を測定
できるので、焼き過ぎ、焼き不足などの不都合を
解消して好みの仕上りが合理的に得られるもので
あつて頗る有用な考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案調理機の１例に係る略示正面
図、第２図は第１図における要部拡大示平面図、
第３図は同じく要部略示横断面図である。 １……圧力釜、１２……貫通孔、１４……温度
測定器、１５……温度検知部、１６……固定側基
部、１７……キヤピラリ、１８……温度検出素
子、Ｍ……食材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 温度測定器１４の温度検知部１５を挿通するた
   めの貫通孔１２を圧力釜１の側壁に穿設すると共
   に、前記温度検知部１５の固定側基部１６を気密
   的に支持するための固定用部材１３を、その支持
   孔が圧力釜１の内壁面に対する接線にほゞ合致す
   る方向となるように、前記貫通孔１２の外壁側周
   縁部に固設する一方、前記温度検知部１５を、温
   度測定器１４との連絡用端子部に兼用せしめた前
   記固定側基部１６と、圧力釜１の内径に対し25％
   減乃至25％増の範囲の長さを有して前記固定側基
   部１６から延長したキヤピラリ１７と、該キヤピ
   ラリ１７の先端側内部に気密を保持して収納し、
   前記固定側基部１６の端子に電気的接続した温度
   検出素子１８とにより形成せしめて、前記温度検
   知部１５を、キヤピラリ１７が圧力釜１の内面に
   添つた状態で固定側基部１６を介し前記固定用部
   材１３に固定すると共に、キヤピラリ１７の先端
   を屈曲して圧力釜１内に収容せしめる食材Ｍに挿
   し込むことにより、食材Ｍの温度を外部から確認
   しながら高温高圧下で食材Ｍの加熱処理を行い得
   る如くしたことを特徴とする圧力式加熱調理機。