JPH0120547Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、伝熱管としてプラスチツクチユー
ブを使用するプラスチツクチユーブ熱交換器を例
えば溶剤回収装置等でその容器の壁面を貫通させ
て取付ける場合に、経済的に信頼性の高いシール
性と固定を可能とするプラスチツクチユーブ熱交
換器の取付構造に関する。

〔従来の技術〕

従来、メツキ槽、脱脂槽、各種反応槽等におい
て強い腐食性の液体あるいは気体雰囲気を加熱あ
るいは冷却するのに使用される熱交換器の伝熱管
として、ステンレススチール管などの耐食性金属
管、あるいは弗素樹脂、ポリオレフイン系合成樹
脂など耐薬品性高分子材料を素材としたプラスチ
ツクチユーブが使用されている。

前者の金属管は使用初期には高い熱伝導率をも
つているが、使用中のスケールの付着、汚れが熱
伝導率を低下させ、一定の熱交換を継続すること
が難しい。更に、腐食性雰囲気例えば硝酸、塩酸
等の強酸中での使用には制約を受け、また溶液の
汚染や触媒反応を生じる欠点がある。

それに対して後者のプラスチツクチユーブを用
いた熱交換器は、素材自体の熱伝導率は金属に比
べて劣るが、複数の極細のプラスチツクチユーブ
を束ねた構成となつていることにより、単位容積
当たりの伝熱面積は大きく、小型、軽量化が可能
となる。さらに、前述のごときプラスチツクチユ
ーブは金属管に比べ耐薬品性に優れ、スケールの
付着、浴液の汚染も少ないという利点がある。中
でも、弗素樹脂でプラスチツクチユーブを形成し
た場合（例えば特公昭43−3851号公報）には、強
酸、強アルカリ等の腐食性液体あるいは有機溶剤
等に対して化学的にほとんど不活性で、しかも非
粘着性であることからスケールやスラツジが付着
しにくく安定した熱交換を行なうことができる。
さらに、化学的にほとんどの物質に対して不活性
であるから、浴液中への有害物質の溶出がなく、
純度の高い製品づくりに特に最適である。

例えば、IC，LSIなど半導体の製造工程中で、
加熱した純水による洗浄作業があり、純水の加熱
手段として従来の金属管を用いた熱交換器を使用
すると、純水中に金属イオン等の有害物質が溶出
して好ましくない。特に、最近のように半導体の
精度、機能が高度化すると、該有害物質の溶出と
いう問題を無視することはできなくなり、そこで
溶液を汚染することのないプラスチツクチユーブ
熱交換器が注目されつつある。

ところで、このプラスチツクチユーブ熱交換器
を使用する場合の液槽への取付け方法としては、
その使用目的、被熱交換媒体に応じていくつかの
方法が選択される。一般的には、例えばメツキ浴
等の場合には液槽上部の端末継手を固定し、プラ
スチツクチユーブ束部分をＵ字状に液体中に浸漬
することが行なわれているが、上記したように純
水の加熱や有機溶剤の回収等の場合には、被熱交
換液体中への不純物の混入や溶剤蒸気の揮散等を
考慮し、プラスチツクチユーブ束部分を密閉容器
内に配置して使用することが検討されている。溶
剤回収の場合、プラスチツクチユーブ熱交換器
は、容器内の液面変化や熱交換効率の点から常に
プラスチツクチユーブ束部分が液面下にあるよう
に、容器の壁面に端末部を貫通させて横向きに取
り付けたほうが有利である。また、純水を加熱す
る場合にはプラスチツクチユーブ束部分を密閉容
器内に配置し、プラスチツクチユーブ内に純水を
流し、プラスチツクチユーブ束の周囲にスチーム
等を接触させることによつて熱交換を行なうと、
純水の汚染もなく都合が良い。

上記したごとく、この種のプラスチツクチユー
ブ熱交換器を使用する場合にプラスチツクチユー
ブ熱交換器を容器内に取付けることが多く、その
ためプラスチツクチユーブ束と容器との間の液シ
ールあるいは気体シールを必要とされる。このよ
うな場合に、信頼性の高いシール性と固定状態の
得られる取付構造であることはもちろんのこと、
組立て、保守の面から容器の外部で取付け、取外
しが簡単に行なえることが望ましい。

この種のプラスチツクチユーブ熱交換器の取付
構造として、例えば実公昭52−21469号公報には、
テフロン管束を端末において集束する鍔付コアー
（スリーブ）の外周部に分割座金（割りリング）
を取出ノズルと該鍔間に位置させて配設し、接続
管継手（端末継手）を締付ボルトにより取付ノズ
ルに固定して該継手の内周部に設けたシールパツ
キングを該鍔部に圧接させ、該継手の外周部に螺
合されたネジリングによりこれに対するシールパ
ツキングを該取付ノズルに圧接せしめてなるテフ
ロン管束使用熱交換器の管束取付部が開示されて
いる。

しかるに、このように接続管継手の鍔に雄ねじ
部を設け、これに螺合するネジリングと前記鍔と
でシールパツキングを容器側の鍔に圧接してシー
ルする構成では、部品点数が多く、また接続管継
手の加工が複雑であるため取付部経費が嵩むとい
う欠点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この考案は上記した従来技術の欠点に鑑みなさ
れたもので、プラスチツクチユーブ熱交換器を液
槽等の容器の壁面を貫通させて取付ける場合に、
簡単な構造で信頼性の高いシール性と固定を可能
とする、経済的な取付構造の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記この考案が解決しようとする目的を達成す
るため、この考案によれば、端末部を鍔付スリー
ブと一体融着させ蜂の巣状に配列したプラスチツ
クチユーブ束を具備するプラスチツクチユーブ熱
交換器を容器内に配し、前記鍔付スリーブを容器
側フランジより突出させて取付けるものにおい
て、前記鍔付スリーブの外周部に容器側フランジ
と鍔付スリーブの鍔間に位置して配設され該鍔付
スリーブの鍔のプラスチツクチユーブ束端末側の
反対面と第一のシールを介して一方の面が圧接し
且つ他方の面が第二のシールを介して容器側フラ
ンジと圧接し、分割面に第三のシールを介してこ
れらを一体化するための固定手段を備えた割りリ
ングと、該鍔付スリーブの端末部にシールリング
を介して圧接する熱交換器に流体を供給するため
のフランジ付端末継手と、このフランジ付端末継
手を前記容器側フランジに係止するための係止手
段とを備えてなるプラスチツクチユーブ熱交換器
の取付構造を構成する。

〔作用〕

この考案によれば、上記のごとく、端末部を鍔
付スリーブと一体融着させ蜂の巣状に配列したプ
ラスチツクチユーブ束を具備するプラスチツクチ
ユーブ熱交換器を容器内に配し、前記鍔付スリー
ブを容器側フランジより突出させて取付けるもの
において、前記鍔付スリーブの外周部に容器側フ
ランジと鍔付スリーブの間に位置して配設され、
該鍔付スリーブの鍔のプラスチツクチユーブ束端
末側の反対面と第一のシールを介し一方の面が圧
接し且つ他方の面が第２のシールを介して容器側
フランジと圧接し、分割面に第三のシールを介し
てこれらを一体化するための固定手段を備えた割
りリングと、該鍔付スリーブの端末部にシールリ
ングを介して圧接する熱交換器に流体を供給する
ためのフランジ付端末継手と、このフランジ付端
末継手を前記容器側フランジに係止するための係
止手段とよりなるものであるから、シール性を損
なうことなしに前記従来例に比べて構造を簡略に
することができ、しかも取付に用いる部品に特別
な加工を施す必要がなく市販品を用いることがで
きるので、取付けコストの低減化が達成される。
また、取り外し作業も簡単であるから保守、点検
作業も容易となる。

〔実施例〕

第１図はこの考案によるプラスチツクチユーブ
熱交換器の取付構造の部分断面図、第２図はこの
考案によるプラスチツクチユーブ熱交換器の取付
構造において使用する割りリングの組立後の端面
図である。

このプラスチツクチユーブ熱交換器の取付構造
は、例えばテトラフルオロエチレン−パ−フロロ
アルキルビニルエーテル共重合体樹脂（以下
PFAと称す）からなるプラスチツクチユーブ束
１の端末をそれぞれ束ね、個々のチユーブを鍔付
スリーブ２に一体融着させて端末を蜂の巣状に成
形した密封構造のプラスチツクチユーブ熱交換器
３を、該鍔付スリーブ２の外周部に割りリング４
を容器側フランジ５と鍔付スリーブ２の鍔２１間
に位置させて配設し、フランジ付端末継手６を鍔
付スリーブ２の鍔２１の端末部に装着したシール
リング７を介してボルト８及びナツト８１により
容器側フランジ５に固定する。なお、割りリング
４はステンレス、弗素樹脂等からなる二ツ割りの
リング４１が分割面に第三のシール４２を介して
ボルト４３及びナツト４４で一体化されたもの
で、プラスチツクチユーブ熱交換器３を取付ける
際に鍔付スリーブ２の鍔２１との係合面及び容器
側フランジ５との係合面にはそれぞれ第一のシー
ル９及び第２のシール１０を配設し、前記ボルト
８及び８１で締め付けることにより、極めて簡単
にしかも安価に、信頼性の高いシール性と固定状
態をもたらすプラスチツクチユーブ熱交換器の取
付構造を形成する。

この構成において、フランジ付端末継手６はそ
のフランジ部分６１にボルト８を通しナツト８１
により容器側フランジ５に係止されているが、フ
ランジ部分６１が小さい場合には容器側フランジ
５に対応する環状支持板を端末継手のフランジに
係合させ、環状支持板と容器側フランジとをボル
ト、ナツトで締め付けて固定することによりフラ
ンジ付端末継手を容器側フランジに係止すること
もできる。

〔考案の効果〕

以上説明したようにこの考案によれば、端末部
を鍔付スリーブと一体融着させ蜂の巣状に配列し
たプラスチツクチユーブ束を具備するプラスチツ
クチユーブ熱交換器の取付構造において、前記鍔
付スリーブの外周部に容器側フランジと鍔付スリ
ーブの鍔間に位置して配設され、該鍔付スリーブ
の鍔のプラスチツクチユーブ束端末側の反対面と
第一のシールを介して一方の面が圧接し且つ他方
の面が第二のシールを介して容器側フランジと圧
接し、分割面には第三のシールを介してこれを一
体化するための固定手段を備えた割りリングと、
該鍔付スリーブの端末部にシールリングを介して
圧接する熱交換器に流体を供給するためのフラン
ジ付端末継手と、このフランジ付端末継手と前記
容器側フランジに係止するための係止手段とより
なるプラスチツクチユーブ熱交換器の取付構造を
構成することにより、少ない部品数で信頼性の高
いシール構造を形成することができ、更にフラン
ジ付端末継手は市販品を用いることができるの
で、取付け部材コストの低減化が可能となる。ま
た、取外し作業も簡単であるから保守、点検作業
が容易になるという効果もある。

なお、この考案は上記実施例に限定されるもの
ではなく、割りリングの形状、その固定手段、材
質等の変更など、この考案の技術思想内での種々
の変更はもちろん可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるプラスチツクチユーブ
熱交換器の取付構造の部分断面図、第２図はこの
考案によるプラスチツクチユーブ熱交換器の取付
構造において使用する割りリングの組立後の端面
図である。 １……プラスチツクチユーブ束、２……鍔付ス
リーブ、３……プラスチツクチユーブ熱交換器、
４……割りリング、６……フランジ付端末継手、
７……シールリング、９……第一のシール、１０
……第二のシール、４２……第三のシール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 端末部を鍔付スリーブと一体融着させ蜂の巣状
   に配列したプラスチツクチユーブ束を具備するプ
   ラスチツクチユーブ熱交換器を容器内に配し、前
   記鍔付スリーブを容器側フランジより突出させて
   取付けるものにおいて、前記鍔付スリーブの外周
   部に容器側フランジと鍔付スリーブの鍔間に位置
   して配設され、該鍔付スリーブの鍔のプラスチツ
   クチユーブ束端末側の反対面と第一のシールを介
   して一方の面が圧接し且つ他方の面が第二のシー
   ルを介して容器側フランジと圧接し、分割面に第
   三のシールを介してこれらを一体化するための固
   定手段を備えた割りリングと、該鍔付スリーブの
   端末部にシールリングを介して圧接する熱交換器
   に流体を供給するためのフランジ付端末継手と、
   このフランジ付端末継手を前記容器側フランジに
   係止するための係止手段とよりなるプラスチツク
   チユーブ熱交換器の取付構造。