JPH0133996Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、伝熱管としてプラスチツクチユー
ブを用いたプラスチツクチユーブ熱交換器を、例
えば溶剤回収装置等で使用するためにその容器の
壁面を貫通させて取り付ける場合に、低コストで
信頼性の高いシールと固定を可能にするプラスチ
ツクチユーブ熱交換器の取付構造に関する。

〔従来の技術〕

従来、メツキ槽、脱脂槽、各種反応槽等におい
て腐食性の液体あるいは気体雰囲気を加熱あるい
は冷却するのに使用される熱交換器の伝熱管とし
て、ステンレススチール管などの耐食性金属管、
あるいは弗素樹脂、ポリオレフイン系合成樹脂な
ど耐薬品性高分子材料を素材としたプラスチツク
チユーブが使用されている。

ところで、後者のプラスチツクチユーブを用い
た熱交換器は、素材自体の熱伝導率は金属に比べ
て劣るものの、多数の極細のプラスチツクチユー
ブを束ねた構成となつていることにより、単位容
積当たりの伝熱面積は大きく、小型、軽量化が可
能となる。中でも、弗素樹脂でプラスチツクチユ
ーブを形成した場合（例えば特公昭43−3851号公
報）には、強酸、強アルカリ等の腐食液体あるい
は有機溶剤等に対して化学的にほとんど不活性
で、しかも非粘着性であることからスケールやス
ラツジが付着しにくく安定した熱交換を行なうこ
とができ、さらに液槽内の液体あるいはプラスチ
ツクチユーブ内の流体に有害物質の溶出がないた
め、純度の高い製品づくりに特に最適である。

かかるプラスチツクチユーブ熱交換器は、その
使用目的、被熱交換流体、あるいは熱交換流体の
種類等に応じて適宜選択された方法で液槽に固定
して使用されている。例えば、メツキ等の場合に
は液槽上部で端末継手を固定し、プラスチツクチ
ユーブ束部分をＵ字状に液体中に浸漬して開放状
態で使用している。それに対して、有機溶剤の回
収等のように有害な蒸気を取り扱う場合、あるい
は半導体の洗浄工程において使用される超純水の
加熱などにおいては、被熱交換流体の揮散や被熱
交換流体中への不純物の混入等を防止する必要が
あることから、プラスチツクチユーブ束部分を容
器内に配置し、その端末部を容器から突出させて
取り付け、且つその取り付け部分をシールして密
閉状態とした取付構造となつている。

この種の取付構造として、例えば実公昭52−
21469号公報には、テフロン管束を端末において
集合する鍔付コアー（スリーブ）の外周部に分割
座金（割りリング）を取出ノズルと該鍔間に位置
させて配設し、接続管継手（端末継手）を締付ボ
ルトにより取付ノズルに固定して該継手の内周部
に設けたシールパツキングを該鍔部に圧接させ、
該継手の外周部に螺合されたネジリングによりこ
れに対するシールパツキングを該取付ノズルに圧
接せしめてなるテフロン管束使用熱交換器の管束
取付部が開示されている。

しかしながら、このように接続管継手の鍔に雄
ネジ部を設け、これに螺合するネジリングと前記
鍔とでシールパツキングを容器側の鍔に圧接せし
めてシールする構成では、部品点数が多く、しか
も接続管継手の加工が複雑になるから、取付部に
対する経費が嵩むという欠点がある。また、かか
る使用方法においては信頼性の高いシール性と固
定状態の得られる取付構造であることはもちろん
のこと、組立、保守作業の面から取付け、取外し
が簡単に行なえることが要求され、その点からも
このように部品点数を多く必要とする取付構造は
好ましくない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この考案は上記した従来技術の欠点に鑑みなさ
れたもので、プラスチツクチユーブ熱交換器を液
槽等の容器の壁面を貫通させて取り付ける場合
に、簡単な構造で信頼性の高いシールと固定を可
能にする取付構造の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は上記従来技術の問題点を解決するた
めになされたものであり、そのためこの考案によ
れば、端末部を鍔付スリーブと一体融着させ蜂の
巣状に配列したプラスチツクチユーブ束を具備す
るプラスチツクチユーブ熱交換器を容器内に配
し、前記鍔付スリーブを容器側フランジより突出
させて取り付けるものにおいて、前記鍔付スリー
ブの鍔のプラスチツクチユーブ束端末側の反対面
と一方の面が圧接し且つ他方の面が容器側フラン
ジの内周面に設けられた段差部と圧接する割りリ
ングと、この割りリングの一方の面と前記鍔付ス
リーブの鍔の外周面と容器側フランジの内周面に
よつて形成される環状溝内に押圧係止されて熱交
換器と容器の間を封止保持するための第一のシー
ルリングと、前記鍔付スリーブの端末部に第二の
シールリングを介して圧接する熱交換器に流体を
供給するためのフランジ付端末継手と、このフラ
ンジ付端末継手を前記容器側フランジに係止する
ための係止手段とを備えてなるプラスチツクチユ
ーブ熱交換器の取付構造を構成する。

〔作用〕

この考案によれば、上記のごとく、プラスチツ
クチユーブ熱交換器を容器内に配し、端末部をそ
の壁面に貫通させて取り付ける場合に、鍔付スリ
ーブの鍔のプラスチツクチユーブ束端末側の反対
面と一方の面が圧接し且つ他方の面が容器側フラ
ンジの内周面に設けられた段差部と圧接する割り
リングと、この割りリングの一方の面と前記鍔付
スリーブの鍔の外周面と容器側フランジの内周面
によつて形成される環状溝内に押圧係止されて熱
交換器と容器の間を封止保持するための第一のシ
ールリングと、前記鍔付スリーブの端末部に第二
のシールリングを介して圧接する熱交換器に流体
を供給するためのフランジ付端末継手と、このフ
ランジ付端末継手を前記容器側フランジに係止す
るための係止手段とを備えてなるものであるか
ら、前記従来例に比べて構造が簡略化され、しか
も開放状態の取付において用いられている接続用
部品に特別な加工を施すことなく市販品を用いる
ことができ、それらの部品を用い、容器側フラン
ジとプラスチツクチユーブ熱交換器の鍔付スリー
ブの間をシールするための第一のシールリングを
両者の隙間に新たに設け、端末継手のフランジで
押圧することによつてシールする構造であるの
で、信頼性の高い取付構造となるばかりか、取付
部材コスト及び取付け作業の能率向上により経済
的な取付構造となる。また、取付構造が簡単であ
るから取外し作業も容易になり、保守、点検作業
の面でも改善される。

〔実施例〕

図はこの考案によるプラスチツクチユーブ熱交
換器の取付構造の部分断面図である。

このプラスチツクチユーブ熱交換器の取付構造
は、例えばテトラフルオロエチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂からなる
プラスチツクチユーブ束１の端末をそれぞれ束
ね、個々のチユーブを鍔付スリーブ２に一端融着
させて端末部を蜂の巣状に成形した密封構造のプ
ラスチツクチユーブ熱交換器３を、鍔付スリーブ
２が容器側フランジ１１より突出するように容器
１０内に配し、該鍔付スリーブ２の外周部には鍔
付スリーブ２の鍔４のプラスチツクチユーブ束１
端末側の反対面と一方の面２１が圧接し且つ他方
の面２２が容器側フランジ１１の内周面に設けら
れた段差部１２と圧接する割りリング２０を配設
し、この割りリング２０の一方の面２１と鍔付ス
リーブ２の鍔４の外周面５と容器側フランジ１１
の内周面１３によつて形成される環状溝２３内に
第１のシールリング２４を設け、さらに鍔付スリ
ーブ２の端末部に第二のシールリング２５を介し
て圧接するフランジ付端末継手２６を設け、この
フランジ付端末継手２６のフランジ部分２７と容
器側フランジ１１のフランジ部分１３とをボルト
２８及びナツト２９で締め付けて固定した構造と
なつている。

この構成において、容器１０とプラスチツクチ
ユーブ熱交換器３の間のシールは第一のシールリ
ング２４によつて行なわれ、プラスチツクチユー
ブ熱交換器３と端末継手２６との間のシールは第
二のシールリング２５により保持され、これらの
シールリングを介してフランジ部分１３及び２７
をボルト２８及びナツト２９で締め付けて固定す
るものであるから、信頼性の高いシール構造とな
るばかりか、取付部分の部品点数が少なく、取付
けのための作業時間も短縮されるので、経済的な
取付構造となる。

〔考案の効果〕 以上説明したようにこの考案によれば、プラス
チツクチユーブ熱交換器の取付構造において、鍔
付スリーブの鍔のプラスチツクチユーブ束端末側
の反対面と一方の面が圧接し且つ他方の面が容器
側フランジの内周面に設けられた段差部と圧接す
る割りリングと、この割りリングの一方の面と鍔
付スリーブの鍔の外周面と容器側の内周面によつ
て形成される環状溝内に押圧係止される第一のシ
ールリングと、鍔付スリーブの端末部に第二のシ
ールリングを介して圧接するフランジ付端末継手
と、このフランジ付端末継手を容器側フランジに
係止するための係止手段とを備えて構成されるも
のであるから、少ない部品点数で信頼性の高いシ
ール構造を形成することができ、更にフランジ付
端末継手は市販品を用いることができるので、取
付部材コストの低減及び取付作業も簡単になり、
その結果経済的な取付構造となる。また、取外し
作業も簡単に行なうことができるから、保守、点
検作業も容易になり実用面での効果は極めて大で
ある。

なお、この考案は上記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば容器側フランジとフランジ付端
末継手の係止手段の変更、プラスチツクチユーブ
の材質の変更など、この考案の技術思想内での
種々の変更はもちろん可能である。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案によるプラスチツクチユーブ熱交
換器の取付構造の部分断面図である。 １……プラスチツクチユーブ束、２……鍔付ス
リーブ、１２……段差部、２０……割りリング、
２３……環状溝、２４……第一のシールリング、
２５……第二のシールリング、２６……フランジ
付端末継手。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 端末部を鍔付スリーブと一体融着させ蜂の巣状
   に配列したプラスチツクチユーブ束を具備するプ
   ラスチツクチユーブ熱交換器を容器内に配し、前
   記鍔付スリーブを容器側フランジより突出させて
   取り付けるものにおいて、前記鍔付スリーブの鍔
   のプラスチツクチユーブ束端末側の反対面と一方
   の面が圧接し且つ他方の面が容器側フランジの内
   周面に設けられた段差部と圧接する割りリング
   と、この割りリングの一方の面と前記鍔付スリー
   ブの鍔の外周面と容器側フランジの内周面によつ
   て形成される環状溝内に押圧係止されて熱交換器
   と容器の間を封止保持するための第一のシールリ
   ングと、前記鍔付スリーブの端末部に第二のシー
   ルリングを介して圧接する熱交換器に流体を供給
   するためのフランジ付端末継手と、このフランジ
   付端末継手を前記容器側フランジに係止するため
   の係止手段とを備えてなるプラスチツクチユーブ
   熱交換器の取付構造。