JPH0119941B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この発明は、遠心力による上澄分離液を軸方向
一端側から溢流排出させながら沈降汚泥等の濃縮
液をスクリユーで軸方向他端側に搬送して排出す
る遠心濃縮機の改良に関し、特に内蔵するバツフ
ルの濃縮液流通用の開口面積を調整可能とした遠
心濃縮機に関する。

【従来の技術】

従来のこの種の遠心濃縮機は、傾斜胴部を有し
てスクリユーを内蔵した回転ボールの軸方向一端
側に分離液排出口が且つ軸方向他端側に濃縮液排
出口がそれぞれ設けられており、それらの分離液
排出口と濃縮液排出口のスクリユー回転軸からの
距離がほぼ同じため、前記回転ボールにおける傾
斜胴部との間には分離液側と濃縮液側とを仕切る
バツフルを設けている。 上記従来の遠心濃縮機においては、高速回転し
ている回転ボール内に被処理液が供給され、その
回転ボールとスクリユーが回転差をもつて回転駆
動（運転）されていると、前記回転ボールの遠心
力によつて内部の被処理液の汚泥が沈降しその沈
降汚泥がスクリユーによつて回転ボールの傾斜胴
部側に搬送されることにより濃縮液が回転ボール
とバツフルの間隙を介して濃縮液排出口へ向つて
輸送され排出される。一方、回転ボール内の上澄
分離液はバツフルがあるため、濃縮液排出口へは
侵入せず分離液排出口から溢流排出される。

【発明が解決しようとする問題点】

上記従来の遠心濃縮機において、バツフルは分
離液が濃縮液側に流入するのを阻止するのが目的
のため、回転ボールとバツフルの間隙面積が遠心
濃縮性能上で非常に重要な問題点となる。 そこで、かかる問題点を解決する一例として特
開昭51−90067号公報に示さされているようにバ
ツフルを回転ボールにボルト締めして移動自在と
することにより上記間隙面積を調整する方法もあ
る。 しかしこの調整方法の場合、その都度、回転ボ
ールからスクリユーを取り外さなければならず、
このため間隙面積の調整作業が非常に難しいとい
う問題点があつた。 また、上記バツフルをモータや油圧等の公知の
方法で自動的に移動調整自在とするとも理論的に
は可能であるが、遠心濃縮機は500〜3000rpm程
度で高速回転するものであり上記バツフルの確実
な固定を必須とするため、これらの方法も実際に
は遂行し難いという問題点があつた。 この発明は上記問題点を解決するためになされ
たもので、回転ボールに設けられたバツフルの開
口面積を汚泥の性状に合わせて容易に調整するこ
とができ、かつ前記開口が汚泥によつて目詰まり
し難い遠心濃縮機を得ることを目的とする。

【問題点を解決するための手段】

この発明の遠心濃縮機は、スクリユーを内蔵し
て軸方向一端側に分離液排出口が且つ軸方向他端
側に濃縮液排出口が設けられ、分離液側と濃縮液
側とに分割されて同軸上で着脱可能に連結される
二分割構成の回転ボールの分割部に、該回転ボー
ル内を分離液側と濃縮液側とに仕切るバツフルを
介装し、このバツフルの周辺部には濃縮液流通用
の開口を設け、この開口の対応位置には該開口の
一部を閉塞する閉塞部材を設け、この閉塞部材あ
るいは上記バツフルを移動可能として上記開口の
開口量を調整自在とし、該開口量調整位置で上記
バツフルおよび上記閉塞部材を回転ボール全体に
対し一体的に締着固定するようにしたものであ
る。

【作用】

この発明においては、二分割構成の回転ボール
に対するバツフルあるいは閉塞部材の締着固定を
解除し、そのバツフルあるいは閉塞部材を移動調
整することにより、バツフルの開口量がかわり、
これにより前記開口量が遠心濃縮すべき汚泥の性
状に合わせて調整される。また、遠心濃縮時にお
いては、バツフルのある場所で切られたスクリユ
ー羽根端部が前記開口付近の汚泥を撹拌すること
によりその開口の目詰まりが必然的に防止され
る。

【実施例】

以下、この発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。 図において、１は遠心濃縮機の回転ボールであ
り、円筒状をなした分離液側のボール本体１Ａ
と、その端部には同軸環状のバツフル２を介して
ボルト３で着脱可能に締着された同軸上の濃縮液
側の傾斜胴部１Ｂとによる二分割構成になつてい
る。 回転ボール１は、ボール本体１Ａの端部と傾斜
胴部１Ｂの端部が軸受４，５により回転自在に軸
支されて内部汚泥に遠心力を与える駆動手段６に
より回転駆動されるもので、ボール本体１Ａの軸
方向一端側に分離液排出口７を且つ傾斜胴部１Ｂ
の小径側端部に濃縮液排出口８を有している。 そして、回転ボール１内には傾斜胴部１Ｂ内に
至るスクリユー９が設けられている。 スクリユー９は、回転ボール１と同一回転方向
に所定の回転差をもつて回転駆動されるもので、
分離液側スクリユー胴９ａと、この端部に継手を
介して着脱可能に連結された濃縮液側スクリユー
胴９ｂと、これらのスクリユー胴９ａ，９ｂの各
外周に個々に設けられた分離液側スクリユー羽根
９ｃおよび濃縮液側スクリユー羽根９ｄと、分離
液側スクリユー胴９ａに設けられた被処理液供給
口９ｅと、分離液側スクリユー胴９ａの端部外周
に一体形成された同軸環状配列のフイードカバー
９ｆとからなつている。 従つて、スクリユー９の場合も回転ボール１と
同様にバツフル２の位置で二分割された構成とな
つている。 そして、濃縮液側スクリユー胴９ｂ内には分離
液側スクリユー胴９ａ内に臨んでその被処理液供
給口９ｅに接続する汚泥流入管１０が挿入されて
いる。 バツフル２は前記フイードカバー９ｆおよびフ
イードカバー９ｆ間に配置された閉塞板９ｇの周
面を汚泥の流通を防ぐ状態で近接配置され上述の
ようにボール本体１Ａと傾斜胴部１Ｂとで挟み込
まれてボルト３で共締めされることにより回転ボ
ール１内をボール本体１Ａ内の分離液側と傾斜胴
部１Ｂ内に濃縮液側とに分離しているもので、周
辺側に濃縮液流通用の開口１１が設けられてい
る。この開口１１は複数としてもよい。 一方、傾斜胴部１Ｂ内の大径側端部には前記開
口１１と対応する位置でその開口１１を部分的に
閉塞する開口一部閉塞部材１２が設けられてい
る。 この実施例の開口一部閉塞部材１２は、傾斜胴
部１Ｂに一体の開口調整板からなつている。 また、バツフル２の外端分離液側にはは開口一
部閉塞部材１２と対応する位置に目印を兼ねた回
転操作子１３が設けられている。 つぎに、上記実施例の作用を説明する。ボール
本体１Ａと傾斜胴部１Ｂとの締付ボルト３を取り
外し、バツフル２を回転操作子１３で回転させる
と、開口一部閉塞部材１２による前記バツフル２
の開口１１の開口量が変化する。このように、そ
の開口量を汚泥に性状に合わせて調整したのち、
ボール本体１Ａと傾斜胴部１Ｂとバツフル２とを
締付ボルト３で共締めすることによりバツフル２
が回転ボール１にセツトされる。 この状態で、流入管１０から被処理液供給口９
ｅを介してボール本体１Ａ内に被処理液が供給さ
れ、回転ボール１とスクリユー９が回転差をもつ
て回転駆動されると、回転ボール１の遠心力によ
つてボール本体１Ａ内に被処理液の汚泥が沈降す
る。そして、その沈降汚泥が分離液側スクリユー
羽根９ｃで傾斜胴部１Ｂ側に移送されつつ濃縮さ
れることによりその濃縮液が前記開口１１を通つ
て傾斜胴部１Ｂ内に流入し、さらに濃縮液側スク
リユー羽根９ｄで移送されることにより濃縮液排
出口８から排出される。 一方、ボール本体１Ａ内の上澄液はバツフル２
か又はシール板１４があるため、濃縮側には侵入
せず分離液排出口７から溢流排出される。 なお、上記開口一部閉塞要素１２は例えば第３
図に示すような段差付形状のものであつてもよ
い。そして、この段差の大きさの違うものを複数
作れば、これを取りかえることによつて斜線で示
す開口１１の大きさを変更できる。この場合、開
口一部閉塞要素１２は半径方向に移動調整自在と
なつている。またバツフル２は第４図に示すよよ
うに回転ボール１内の水面上まで延ばしたもので
あつてもよい。また、開口一部閉塞部材１２はボ
ール本体１Ａ側にあつてもよく、これを移動自在
としてもよい。

【発明の効果】

この発明では、二分割構成の回転ボールに対す
るバツフルあるいは閉塞部材の締着固定を解除
し、そのバツフルあるいは閉塞部材を移動させる
だけで、上記バツフルの濃縮液流通用の開口量を
汚泥の性状等に合わせて簡単に調整することがで
き、このため分離液が前記開口から濃縮液側に流
入するようなことがなくなり、かつ濃縮液の排出
が妨げられることもなくなつて汚泥等を効率的に
濃縮することができる。 しかも前記開口付近の汚泥はスクリユーで撹拌
されるので前記開口が目詰まりを起こすこともな
く、遠心濃縮性能の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例に係る遠心分離機
の断面図、第２図は第１図のＡ―Ａ線断面図、第
３図および第４図はそれぞれ異なつた要部の変形
例を示すである。 図において、１は回転ボール、２はバツフル、
７は分離液排出口、８は濃縮液排出口、９はスク
リユー、１１は開口、１２は開口一部閉塞部材で
ある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一端側に分離液排出口が、他端側に濃縮液排
   出口がそれぞれ設けられた回転ボールと、この回
   転ボール内に設けられてそれと所定の回転差をも
   つて回転駆動されるスクリユーとを備えた遠心濃
   縮機において、前記回転ボールは分離液側と濃縮
   液側とに分割されて同軸上で着脱可能に締着固定
   される二分割構成とし、その分割部で前記回転ボ
   ール内を分離液側と濃縮液側とに仕切る環状のバ
   ツフルと、このバツフルの周辺部に設けられた濃
   縮液流通用の開口と、この開口の対応位置に設け
   られて前記開口の一部を閉塞する閉塞部材とを有
   し、前記バツフルおよび前記閉塞部材の一方また
   は両方を移動可能として前記開口量を調整自在と
   し、該開口量調整位置で前記バツフルおよび前記
   閉塞部材を前記回転ボールに対し締着固定するよ
   うにしたことを特徴とする遠心濃縮機。