JPH0119676Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、スプールを前端部に固着した摺動軸
の後端部にドラグ制動装置を設けてなる魚釣用ス
ピニングリールのドラグロツク装置に関する。

上述スピニングリールにあつては、通常は摺動
軸のスプール取付部分にドラグ制動装置を設けて
いるが、これだと魚釣り操作中における制動操作
が極めて面倒である為、ドラグ制動装置は摺動軸
の後端部に設けたものが知られている。

しかしながら、上述何れの方式であつてもスプ
ール自体を完全に固定できるものではないから、
魚釣時にあつて、魚種、釣場、釣り方等に応じて
ドラグ制動したり、スプールを完全に固定したり
しなければならない場合、従来のスピニングリー
ルではこれに充分対応することができなかつた。

かゝる現状に鑑み、ドラグ制動装置を摺動軸の
後端部に設けたスピニングリールにおいて、スプ
ールを固定できるようにしたスプール制動装置は
現在知られているが、これは、制動筒に係着した
爪車の側方における筐体に斜状カムを設けた軸受
支承部を形成し、該軸受支承部に、上記斜状カム
に係合するピンを突設し、かつバネで内方に弾撥
された掛止杆を嵌挿し、該掛止杆先端を爪車に係
脱するように構成したものであつたから、上記掛
止杆先端を爪車に係脱すべくレバーを回転させる
と、レバーは掛止杆と共に斜状カムの高低差だけ
軸方向に移動する為、レバーは筐体から外側へ長
く突出して釣糸がひつかゝつたりからみ易い欠点
と、上記レバー作動は、ピンが急勾配の斜状カム
面を滑動することにより行なわれるので釣糸負荷
が大きい場合、レバー操作が重く、不円滑となる
欠点がある。

本考案は上述従来の欠点を除去してドラグのロ
ツク及びロツク解除操作並びにリール操作を円滑
ならしめることを目的としたドラグロツク装置を
提供するものである。

以下本考案を図示の実施例に基づいて詳述すれ
ば、第１図、第２図に示したように、リール本体
１にローター２を回転自在に支承したピニオン管
軸３に摺動自在に挿通した摺動軸４の先端部には
スプール５が一体的に固着され、又後端部には摺
動子６が固着されてハンドル軸７の回転により軸
方向へ往復摺動するように設けられ、更に欠円軸
部４ａが後方へ延出形成されている。

上記摺動軸４の欠円軸部４ａには、前端外周に
止輪９を嵌着したドラグカラー８を欠円孔をもつ
て軸方向へ摺動可能に嵌合し、該ドラグカラー８
の先端部にはラチエツト１０と爪車１１が軸方向
へ摺動可能に夫々嵌合し、そのドラグカラー８
は、リール本体１の後端部、又は当該本体１の一
側開口部にビス止めにて固定される蓋体１２の後
端部に形成した制動板収容筒１３に嵌挿され、該
制動板収容筒１３内におけるドラグカラー８外周
には、上記制動板収容筒１３の溝１４に係合する
摩擦板１５…とワツシヤー１６…が夫々交互に重
合収納され、制動板収容筒１３の開口部に螺合し
た調節蓋１７と上記摩擦板１５間にドラグスプリ
ング１８を収納し、上記調節蓋１７を螺進退せし
めて摩擦板１５…を上記制動板収容筒１３の底部
１３ａとの間に圧着し、又は弛緩せしめることで
ドラグ制動できるようドラグ制動装置１９は形成
されている。

しかして、ドラグロツク装置Ａは、上記ラチエ
ツト１０の側方にあつて、上記蓋体１２には軸承
部２０を設け、該軸承部２０には、内端へドラグ
ロツク用の偏心ピン２１を第２図ないし第５図に
示したように突設したドラグロツクピン２２を、
レバー２６の裏面から突設したボス２３を、上記
軸承部２０に所定角度に切欠形成した切欠部２４
に嵌合して、所定角度の範囲内で正、逆転自在に
嵌合支承すると共に、一端を蓋体１２に、他端は
ドラグロツクピン２２に夫々掛止して介在したデ
ツトポイントバネ２５により正、逆転方向へ夫々
弾撥付勢し、該デツトポイントバネ２５にて上記
偏心ピン２１を節度感をもつて上記ラチエツト１
０に係脱するよう設けてある。

こゝで、上記偏芯ピン２１は偏芯量を大きく設
定できるようドラグロツクピン２２の内端に設け
た円盤部２２ａから突設してあり、上記レバー２
６のボス２３が第４図中実線で示した如く軸承部
２０に設けた切欠部２４のストツプ面２４ａに当
接した時は、偏芯ピン２１は第５図中実線で示し
たＥ点にあつてラチエツト１０より外れており、
摺動軸４は回転可能な状態（ドラグ作動状態）に
あり、又レバー２６を所定角度（図示例では90
度）逆回転した時は、ボス２３が上記切欠部２４
のストツプ面２４ｂに当接して偏芯ピン２１が第
５図中二点破線で示したＦ点にあつてラチエツト
１０に係合し、摺動軸４は回転不可能な状態、つ
まりドラグはロツク状態となるように設けてあ
る。

又、上記レバー２６はドラグロツクピン２２の
外端部に設けた欠円軸部２２ｂに嵌合した後、ビ
ス２７にて固定してある。

以上説明したように本考案に係る魚釣用スピニ
ングリールのドラグロツク装置によれば、偏芯ピ
ン２１を突設したドラグロツクピン２２を蓋体１
２の軸承部２０に所定角度回転可能に、かつデツ
トポイントバネ２５により正、逆転方向に弾撥付
勢させて支承し、上記偏芯ピン２１をドラグカラ
ー８に嵌着したラチエツト１０に係脱自在に構成
したから、釣時にあつて必要に応じてレバー２６
を正、逆転ワンタツチ操作によつてドラグを完全
にロツクできてスプールを固定し、釣糸の繰出し
を阻止することができ、又ドラグ作動状態に簡単
に切換えできるから魚種、釣り場、釣り方等に応
じた釣操作を行なうことができることはもとよ
り、特に本案によると、傾斜カム等を使用しない
から上述ドラグロツク及びロツク解除操作時、ド
ラグロツクピン２２及びレバー２６は平面上で回
転して軸方向に移動するものではないので、レバ
ー２６がリール本体の蓋体１２から外側へ突出す
ることはなく、従つて従来例の如くレバー部に釣
糸が巻き付いたり、からみつくといつたことはな
くなるので釣糸の繰出し操作をスムーズに行なう
ことができ、又、ドラグロツクピン２２は平面上
で回転して偏芯ピン２１をラチエツト１０に係脱
するので、釣糸負荷の大小に関係なく、レバー２
６の回転操作を常に小さい力で円滑に行なうこと
ができ、更に偏芯ピンはデツトポイントバネ２５
により節度感をもつてラチエツト１０に係脱する
から釣時にあつてドラグのロツク状態が外れた
り、又不用意にドラグがロツクされてしまうとい
つたことがなくなる等、魚釣用スピニングリール
の操作性と信頼性を従来例に比して格段に向上で
きる効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るドラグロツク装置を備え
た魚釣用スピニングリールを一部断面して示した
側面図、第２図は同ドラグロツク装置の拡大縦断
側面図、第３図、第４図は第２図における−
線、−線各矢視断面図、第５図は同ドラグロ
ツク装置における偏芯ピンとラチエツトとの関係
を示した説明図である。 １……リール本体、４……摺動軸、４ａ……欠
円軸部、５……スプール、８……ドラグカラー、
１０……ラチエツト、１２……蓋体、１９……ド
ラグ制動装置、２０……軸承部、２１……偏芯ピ
ン、２２……ドラグロツクピン、２５……デツト
ポイントバネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前端部にスプール５を固着した摺動軸４の後端
   部にドラグ制動装置１９を設けてなる魚釣用スピ
   ニングリールにおいて、摺動軸後端の欠円軸部４
   ａに嵌合したドラグ制動装置のドラグカラー８に
   ラチエツト１０を嵌着し、該ラチエツトの側方に
   あつてリール本体１の蓋体１２に設けた軸承部２
   ０には、ドラグロツク用の偏芯ピン２１を設けた
   ドラグロツクピン２２を所定角度回転可能に、か
   つ介在したデツトポイントバネ２５により正、逆
   転方向へ夫々弾撥付勢させて支承し、上記偏芯ピ
   ンをラチエツトに節度感をもつて係脱自在とした
   ことを特徴とする魚釣用スピニングリールのドラ
   グロツク装置。