JPH0118419Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ガーデントラクタ等の歩行型移動農
機に連結するようにしたロータリ耕耘機等の動力
駆動式耕耘機において、該耕耘機に前記移動農機
から動力伝達するための装置に関するものであ
る。

〔従来の技術とその問題点〕

ガーデントラクタ等の歩行型移動農機に動力駆
動式の耕耘機を連結する場合、耕耘機には、移動
農機に突設したPTO軸からチエン伝動機構を介
して耕耘機の入力軸に動力伝達するようにしてい
る。

ところが、従来のチエン伝動機構は、PTO軸
及び入力軸にそれぞれチエンスプロケツトを被嵌
係止して、これら一対のチエンスプロケツトにチ
エンを巻掛けし、該チエンをチエンケースにて囲
うようにしているに過ぎず、チエン伝動機構を取
付けたり取外したりするに際しては、チエンケー
スの着脱作業と、チエンの着脱作業、及び、チエ
ンスプロケツトの嵌脱作業を別々に行わねばなら
ないため、チエン伝動機構の着脱作業が極めて厄
介であり、しかも、この従来のチエン伝動機構
は、一旦取外すと、チエン等の各構成部品がバラ
バラになるため、取外し後における当該チエン伝
動機構の保管・管理にも手間がかかつていた。

また、動力駆動式の耕耘機には、耕耘爪の回転
速度を変速するための変速機構と、耕耘爪への動
力をON・OFFするためのクラツチ機構とが必要
で、従来は、この変速機構とクラツチ機構とを移
動農機側に設けるようにしていたが、かくすると
移動農機が大型化すると共に重量も増大してしま
うのであり、しかも、プラウ等のような非駆動式
の作業機を取付けた場合には、それら変速機構や
クラツチ機構が全く無用になつてしまう問題があ
つた。

このため最近では、前記変速機構とクラツチ機
構とを耕耘機側に設けることにより、移動農機の
小型軽量化を図るようにしている。

しかし、このように耕耘機に変速機構とクラツ
チ機構とを設けると、それだけ耕耘機の重量が増
大することになるため、耕耘機を移動農機に着脱
する作業に一層手間がかかると共に、耕耘機の運
搬・格納作業も厄介になるのであつた。

本考案は、これらの問題を解消することを目的
とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、歩行型移動
農機におけるヒツチに耕耘機を着脱自在に連結す
る一方、前記移動農機におけるPTO軸と、前記
耕耘機における入力軸との間には、一対のチエン
スプロケツト間にチエンを巻掛けしたチエン伝動
機構を着脱自在に装架して成る耕耘機の動力伝達
装置において、前記PTO軸と入力軸とを同径に
形成する一方、前記一対のチエンスプロケツトの
うち一方のチエンスプロケツトを、チエンケース
の一端部内に回転自在で且つ脱落不能に装着する
と共に、該一方のチエンスプロケツトを、前記
PTO軸と入力軸とに嵌め換え自在に構成し、前
記一対のチエンスプロケツトのうち他方のチエン
スプロケツトを、前記PTO軸と入力軸とに嵌め
換え自在に構成した中空軸に回転自在に被嵌し、
該中空軸を、前記チエンケースの他端部における
外側面から突設したクラツチカバーの内部に回転
自在で且つ脱落不能に装着し、前記クラツチカバ
ー内における前記中空軸に、前記他方のチエンス
プロケツトに噛合するクラツチを回転不能で摺動
自在に被嵌し、前記クラツチカバーの外側には、
前記クラツチを摺動操作するための操作手段を設
ける構成にした。

〔考案の作用〕

このように構成すると、チエンとチエンスプロ
ケツトとをチエンケースに取付けたままで、一方
のチエンスプロケツトと中空軸とをPTO軸と入
力軸とに嵌脱できるから、チエン伝動機構の取付
け・取外しをワンタツチ的に行うことができると
共に、取外した後におけるチエン伝動機構は、チ
エンやチエンスプロケツト及びクラツチをチエン
ケースに取付けたままで、保管することができる
ことになる。

また、一方のチエンスプロケツトと中空軸と
を、PTO軸と入力軸とに嵌め換え自在に形成し
たから、チエン伝動機構は、その一端部と他端部
とが逆向きになるように180度姿勢を変えた状態
で付け替えることができることになる。

そして、PTO軸から入力軸への動力を断続す
るためのクラツチをチエン伝動機構に内蔵したこ
とにより、チエン伝動機構と一緒にクラツチも取
外されるから、クラツチを耕耘機に内蔵した場合
に比べて、耕耘機単体の重量をクラツチの重量分
だけ軽量化できることになる。

更に、クラツチカバーの外側に設けた摺動操作
手段にてクラツチを摺動操作し、クラツチを他方
のスプロケツトに係脱させることにより、移動農
機におけるPTO軸から耕耘機の入力軸に対して
動力を断続できることになる。

〔考案の効果〕

従つて、本考案は次の効果を有する。

チエン伝動機構を、移動農機におけるPTO
軸と耕耘機の入力軸との間にワンタツチ的に着
脱することができ、しかも、耕耘機単体の重量
を軽量化できることにより、耕耘機を移動農機
に連結したり分離したりする作業も容易に行う
ことができるから、耕耘機を移動農機に取付
け・取外しする作業を至極簡単且つ迅速に行う
ことができる。

チエン伝動機構の構成部品、及び、クラツチ
はチエンケースに対して脱落不能に取付けられ
ており、チエン伝動機構を移動農機及び耕耘機
から取外しても、それらチエンスプロケツトや
チエン、クラツチ等の部品がバラバラになるこ
とはないから、チエン伝動機構の保管・管理に
要する手間も軽減することができる。

クラツチがチエン伝動機構と一緒に取外され
ることにより、移動農機及び耕耘機の単体の重
量を、クラツチの重量の分だけ軽量化できるか
ら、移動農機及び耕耘機を単体で運搬したり格
納したりするに際して、その作業に要する労力
を軽減することができるのであり、また、チエ
ン伝動機構を取外すことによつてクラツチも簡
単に分解できるから、クラツチに対する保守・
点検の作業性も向上することができる。

チエン伝動機構は、その一端部と他端部とを
逆にした姿勢に付け替え自在であるから、各チ
エンスプロケツトの外径を同径にすれば、チエ
ン伝動機構の方向性をなくして、着脱作業の手
間を一層軽減できるのであり、他方、各チエン
スプロケツトの外径を大小異径に形成すれば、
チエン伝動機構の取付け方向を変えるだけで、
耕耘機における入力軸の回転数を減速したり増
速したりすることができ、移動農機又は耕耘機
の変速機構を簡単化・軽量化することができ
る。

クラツチカバーをチエンケースの他端部の外
側面から突設して、このクラツチカバー内にク
ラツチを設けたから、クラツチをチエン伝動機
構に設けたことによつてチエンケースの巾寸法
が全体にわたつて広巾になるのを回避すること
ができ、クラツチ付きのチエン伝動機構であり
ながら、全体として小型・軽量化することがで
きるのであり、しかも、中空軸をPTO軸又は
入力軸に被嵌するに際して、クラツチが邪魔に
なることもない。

クラツチによる動力の断続は、クラツチカバ
ー内に装着された中空軸を介して行われるもの
で、PTO軸及び入力軸の突出寸法は、中空軸
が被嵌係合するだけの長さ寸法があれば足りる
から、クラツチをチエン伝動機構に設けたこと
によつてPTO軸及び入力軸の長さ寸法が長く
なることを回避することができ、しかも、既存
の耕耘機に対してもそのまま適用することがで
きる。

前記クラツチカバーの外側に、前記クラツチ
を摺動操作するための操作手段を設けたことに
より、操作手段は、チエン伝動機構の付替え姿
勢の如何に拘わりなく、常に、チエンケースよ
り外側の部位に位置するから、チエン伝動機構
の付替えによつて、クラツチの操作性が損なわ
れることもない。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、図において符号１は、車輪４付き車軸３に
て車体２を支持して成る歩行型の移動農機を示
し、前記車体２の前部にはエンジン５を搭載する
一方、車体２の後部には、作業機を連結するため
のヒツチ６と、後ろ向きに延びる二股状の操縦ハ
ンドル７とを備え、更に、車体２の後部側面に
は、前記エンジン５にて駆動されるPTO軸８を
横向きに突設している。

符号９は、前記移動農機１のヒツチ６に着脱自
在に連結するようにしたロータリ耕耘機を示し、
該ロータリ耕耘機９には、下端にロータリ軸１０
を軸支すると共に内部に変速機構（図示せず）を
設けた上下長手の伝動ケース１１を設け、該伝動
ケース１１の上端部側面には、前記移動農機１に
おけるPTO軸８と同径で同じ突出寸法の入力軸
１１を、前記PTO軸８と平行にして横向き突設
している。

符号１３は、前記PTO軸８と入力軸１２との
間に着脱自在に装架したチエン伝動機構を示し、
該チエン伝動機構１３における板金製中空状チエ
ンケース１４の一端部内には、小径のチエンスプ
ロケツト１７を、チエンケース１４の内側面に固
着した左右一対の筒状支持体２４を介して回転自
在で且つ脱落不能に装架する一方、チエンケース
１４の他端部には、当該チエンケース１４の外側
面から突出するようにしたクラツチカバー２５を
固着し、該クラツチカバー２５内に、中空軸１６
を回転自在に装着し、該中空軸１６に大径のチエ
ンスプロケツト１５を回転自在に被嵌し、該大径
のチエンスプロケツト１５と前記小径のチエンス
プロケツト１５とにエンドレスチエン１８を巻掛
けする。

前記小径のチエンスプロケツト１７と中空軸１
６に、同径・同歯数のスプライン歯を造型した係
合孔１６′，１７′を形成することにより、これら
小径のチエンスプロケツト１７と中空軸１６と
を、前記PTO軸８と入力軸１２とに嵌め替え自
在に構成する。

そして、前記中空軸１６のうちクラツチカバー
２５内部に位置した部位には、一側面に爪１９′
を形成したクラツチ１９をスプライン係合にて回
転不能摺動自在に被嵌し、該クラツチ１９を、そ
の爪１９′が大径のチエンスプロケツト１５の側
面に形成した爪１５′に常時噛合するようばね２
０付勢する一方、前記クラツチカバー２５の外側
に、前記クラツチ１９の鍔１９″側面に接当する
滑子２１′と、該滑子２１′を作動するためのシフ
ター２１とから成る操作手段を設け、該操作手段
におけるシフター２１と前記操縦ハンドル７に設
けたレバー２２とを、レバー２２の握り操作によ
つてクラツチ１９が切れるように、ワイヤー２３
を介して連動連結している。

以上の構成において、レバー２２から手を離せ
ばクラツチ１９が入り、チエン伝動機構１３を介
して動力がロータリ軸１０に伝達されて圃場の耕
耘が行われる一方、レバー２２の握り操作によつ
てクラツチ１９を切れば、チエン伝動機構１３に
設けたクラツチ１９が切れて入力軸１２への動力
伝達が遮断されるから、畦際等での移動農機１の
旋回を安全に、且つ、土を飛散させることなく行
うことができるのである。

そして、耕耘機９を移動農機１に着脱するに際
しては、チエン伝動機構１３をPTO軸８と入力
軸１２とに着脱せねばならないが、一対のチエン
スプロケツト１５，１７及びクラツチ１９を、チ
エンケース１４に取付けたままで、小径のチエン
スプロケツト１７及び中空軸１６を、PTO軸８
と入力軸１２とに嵌脱できるから、チエン伝動機
構１３の着脱をワンタツチ的に行うことができ、
しかも、チエン伝動機構１３を取外した後におい
て部品が紛失したりすることも確実に防止できる
のである。

また、チエン伝動機構１３を取外すとクラツチ
１９も一緒に取り外され、クラツチ１９を耕耘機
９に内臓した場合に比べて、耕耘機９単体の重量
を軽くできるから、耕耘機９を移動農機１に連
結・分離する作業や、移動農機１から取外した耕
耘機９を運搬したり格納したりするに際して、そ
の作業労力を軽減することができるのである。

そして、実施例のように両チエンスプロケツト
１５，１７を大小異径に形成すると、チエン伝動
機構１３の取付け姿勢を変えて、小径のチエンス
プロケツト１７を入力軸１２に、中空軸１６を
PTO軸８に嵌め替えることにより、入力軸１２
の設定回転数を減速から増速に変更することがで
き、移動農機１又は耕耘機９の変速機構を簡単
化・軽量化することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は移動農
機に耕耘機を連結した状態での側面図、第２図は
同じく平面図、第３図は第１図の−視拡大断
面図、第４図は第３図の−視断面図である。 １……移動農機、５……エンジン、６……ヒツ
チ、８……PTO軸、９……耕耘機、１１……伝
動ケース、１２……耕耘機の入力軸、１３……チ
エン伝動機構、１４……チエンケース、１５，１
７……チエンスプロケツト、１６……中空軸、１
８……チエン、１９……クラツチ、２１……シフ
ター、２５……クラツチカバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歩行型移動農機におけるヒツチに耕耘機を着脱
   自在に連結する一方、前記移動農機における
   PTO軸と、前記耕耘機における入力軸との間に
   は、一対のチエンスプロケツト間にチエンを巻掛
   けしたチエン伝動機構を着脱自在に装架して成る
   耕耘機の動力伝達装置において、前記PTO軸と
   入力軸とを同径に形成する一方、前記一対のチエ
   ンスプロケツトのうち一方のチエンスプロケツト
   を、チエンケースの一端部内に回転自在で且つ脱
   落不能に装着すると共に、該一方のチエンスプロ
   ケツトを、前記PTO軸と入力軸とに嵌め換え自
   在に構成し、前記一対のチエンスプロケツトのう
   ち他方のチエンスプロケツトを、前記PTO軸と
   入力軸とに嵌め換え自在に構成した中空軸に回転
   自在に被嵌し、該中空軸を、前記チエンケースの
   他端部における外側面から突設したクラツチカバ
   ーの内部に回転自在で且つ脱落不能に装着し、前
   記クラツチカバー内における前記中空軸に、前記
   他方のチエンスプロケツトに噛合するクラツチを
   回転不能で摺動自在に被嵌し、前記クラツチカバ
   ーの外側には、前記クラツチを摺動操作するため
   の操作手段を設けたことを特徴とする耕耘機にお
   ける動力伝達装置。