JPH0118342Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、溶融し射出された合成樹脂製品等
を、横穴有り又は横穴無し等の一定の形状に成形
する、射出成形用金型装置の改良に関する。

「従来の技術」 従来のこの種射出成形用金型装置は、第３図に
示すごとく、入駒１を組み込んでなるスライド駒
２を、アンギユラピン３又は空気圧、油圧シリン
ダー等により作動する構成よりなつていた。そし
てこの入駒１を交換するか又はスライド駒２全体
を交換することにより、横穴４有り又は横穴４無
し等、一部形状を変更した成形品５を成形してい
た。

「考案が解決しようとする問題点」 しかしながら、この従来例の金型装置にあつて
は、スライド駒２の全部又は一部を入駒して交換
するため交換時間がかかり、又その交換時に本
体、スライド駒２等が破損することがあり、更に
取り外した交換用のスライド駒２等の保守管理も
必要となり、アンギユラピン３についてはその破
損やがじりの発生の問題もあり、又空気圧や油圧
シリンダーを用いた場合にはその構造が複雑で製
作コストが高くなる等の問題点が指摘されてい
た。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、このような実情に鑑み、上記従来例
の問題点を解決すべくなされたものであつて、金
型の開閉方向に対し直角に摺動する所定のスライ
ド駒を異なつたストロークで押圧するインローを
有してなることにより、横穴有り又は横穴無し等
の成形品を、工数・能率面等に優れて成形するこ
とができる射出成形用金型装置を提案せんとする
ものである。

本考案の射出成形用金型装置は、次のごとき横
穴処理機構を備えた構成である。

すなわち、金型６に出入自在に挿通され成形品
５を型開き方向に沿つて押し切つて横穴４を形成
する突出部７と、金型６との間に介装された弾撥
材８とを備えたスライド駒９を有している。

そしてこのスライド駒９は、異なつたストロー
クで、インロー１０により押圧される。

「実施例」 次に本考案の構成を、スライド駒要部縦断面の
第１図、第２図に示すその実施例に基づいて、詳
細に説明する。

スライド駒９は、金型の開閉方向に対し、直角
に摺動する所定のストロークだけスライドし、前
部に突出部７を有しているが、この突出部７はス
ライド駒９と一体構成とされるか又は別部材とし
て組み付けられたもので、その断面形状は、円、
角、楕円等成形品により適宜定める。

又弾撥材８は、横穴４のアンダーカツトを解除
すべく機能し、図示例のごとく圧縮スプリングを
用いるのが代表的であるが、ストロークの少ない
場合には、耐磨耗性、耐油性、耐衝撃性および弾
力性に優れたウレタン柔ゴム等を用いるのもよ
い。

インロー１０は、スライド駒９の背面１１を押
圧すべく（機能するが、そのストロークＢ，
B′を異なつたものにすべく、図示例では反転可
能な駒よりなり、中心面に対する距離を異にした
前面１２と後面１３の２面を備えている。このよ
うな前面１２と後面１３の一方の面は、切欠きに
より通常形成されるが、第２図に示す如くこの切
欠き量により金型６と、スライド駒９との間隙Ａ
が得られる。間隙Ａは、例えば成形品５の板厚ｔ
分程度とするが、それ以下とした場合には、成形
品５に設けられる横穴４はいわゆるめくら穴とな
る。

ストツパー１４は、型開き時インロー１０の押
圧を解除されたスライド駒９が、弾撥材８の伸長
作用により戻り過ぎて、インロー１０の下面１５
に干渉するのを防止するもので、スライド駒の端
面よりB′（ｔ＋ａ）の間隙を保ち設置固定される
ものである。

「作用」 まず成形品５に横穴４を設ける場合について、
第１図により説明する。

インロー１０の例えば切欠きのない前面１２
を、スライド駒９の背面１１に当接させる。そし
て型締め時、インロー１０の前面１２がスライド
駒９の背面１１を押圧すると、金型６とスライド
駒９との間隙ＡはA′に縮まり、スライドストロ
ークB′が得られて突出部７が成形品５の一部を
押し切り、横穴４が形成される。

次に成形品５に横穴４を設けない場合につい
て、第２図により説明する。

インロー１０を前述の場合から180゜回転する事
により、その例えば切欠かれた方の後面１３がス
ライド駒９の背面１１を押圧するようにし、スラ
イド駒９は金型６との間隙Ａ分だけ、弾撥材８に
よりバツクし、ストロークＢが得られ、そのまま
押え込まれて保持される。このようにして突出部
７もバツクするので、横穴４無しの成形品５が得
られる。

「考案の効果」 本考案に係る射出成形用金型装置は、所定のス
ライド駒を異なつたストロークで押圧するインロ
ーを有してなることにより、次のごとく工数・能
率面に優れて、横穴有り又は横穴無し等の成形品
を成形することができる。

すなわち、従来例のごとく横穴の有り無しの別
毎に入駒等を交換することがなく、本体、スライ
ド駒、入駒等の交換品を準備する必要もなく、又
それらの破損、損傷もない。又インローを回転さ
せるだけ等の簡単な操作で横穴の有無を変更でき
るので、時間が短縮され限られた時間内で所定の
成形品が容易にかつ多数得られ、生産数のアツ
プ、生産コストの低減、品質の向上につながる。
更にスライド駒等の保守管理も容易である。そし
て従来例のごとくアンギユラピンを用いないた
め、その破損、がじり発生がない等、トラブルお
よび故障も少なく、又空気圧、油圧シリンダー等
を用いることもないため、配管の必要がなく、も
つて油洩れ等による成形品の汚れ不良もなく、こ
の面からも品質の向上につながる。そして更に構
造が簡単で製作コスト面にも優れ、又横穴の有無
のみならずスライド方向へ抜く事が可能なアンダ
ーカツト部においても適用出来るので活用範囲も
広い。

このように従来例のこの種金型装置に存した問
題点が一掃される等、その発揮する効果は、顕著
にして大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、本考案に係る射出成形
用金型装置の実施例を示す要部断面図であり、第
１図は横穴有りの成形品を得る場合、第２図は横
穴無しの成形品を得る場合をそれぞれ示してい
る。第３図はこの種従来例装置を示す要部断面図
である。 符号の簡単な説明、１……入駒、２……スライ
ド駒、３……アンギユラピン、４……横穴、５…
…成形品、６……金型、７……突出部、８……弾
撥材、９……スライド駒、１０……インロー、１
１……背面、１２……前面、１３……後面、１４
……ストツパー、１５……インローの下面、Ａ…
…間隙、A′……間隙、Ｂ……ストローク、B′…
…ストローク、ｔ……成形品の板厚。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 射出成形用の金型装置であつて、金型に挿通さ
   れ、成形品を型開き方向に沿つて押切つて横穴を
   形成する突出部と、 上記金型との間に介装された弾撥材とを備えて
   なるスライド駒と、 該スライド駒の背面を押圧するインローとを有
   しており、前記インローは該スライド駒とは対向
   した配置で、反転可能に設置すると共にスライド
   駒への押圧面のいずれか一方に横穴無しストロー
   ク分の後退を許容する切欠面を形成してなる事を
   特徴とする射出成形用金型装置。