JPH0118243Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、工作機械の主軸台構造に関するも
のである。

一般に、工作機械で工作物を加工するには、第
１図に示すように主軸台ａと心押台ｂとで工作物
ｃを支持し、これを軸回転させながら工具ｄ（図
例では砥石）で切削加工するようになつている。
この場合、工作物の長さが異なるときは、前記心
押台ｂを移動させて工作物を支持するが、特に加
工物が長短２種であつて、しかも加工箇所が同一
寸法でいずれも心押台ｂから一定距離の場合に
は、第１図ロに示すように、短い加工物c′を加工
する際、心押台ｂを長短の差ｌ寸法だけ主軸台ａ
方向へ移動させ、かつ加工箇所を工具ｄ位置に合
せるため、テーブルｅをベースｆに対して寸法ｌ
だけ移動させねばならない。このように、心押台
ｂとテーブルｅの両方を移動させる作業は面倒で
あるばかりでなく、加工精度に悪影響を及ぼすこ
ととなる。

本考案は、上記のような不都合を解消したもの
であつて、長短２種類の加工物に対し、心押台、
テーブル等を移動させることなく、能率良く加工
でき、かつ加工精度の向上を図れるようにした工
作機械の主軸台構造を要旨とするものである。こ
のため、本考案は、内部にスピンドルを回転自在
に保持したスリーブがスリーブ受けを介して主軸
台に嵌挿され、このスリーブ受けは外周の一部に
リングナツトが螺合され、このリングナツトは主
軸台に設けられた回転手段により正逆方向に回転
させられ、かつスリーブは外周にフランジが形成
され、前記スリーブ受けの内面に形成された拡径
部と前記スリーブの外面及びスリーブの端部に取
り付けられたスリーブ押えとで囲まれた空間の両
端部にそれぞれ油を注入する管を備えた移動手段
により、前記フランジを介してスピンドルと共に
移動できるように構成したことを特徴とするもの
である。

以下、図示の実施例により本考案を説明する
と、第３図において１は主軸台２にスリーブ受け
３を介して嵌挿されたスリーブであり、内部にス
ピンドル４が回転自在に保持されている。スピン
ドル４は一端側にセンタ４ａを備えると共に、他
端側にはスプライン軸４ｂを有し、このスプライ
ン軸は駆動側のプーリ５と共に回転するスプライ
ン外筒６と係合し、プーリ５の回転によつてスピ
ンドル４を回転できるようになつている。前記ス
リーブ１は外周に段付きフランジ１ａが形成さ
れ、このフランジを介して主軸台に設けた移動手
段により軸線方向にスライドさせられるようにな
つている。即ち、移動手段は、前記スリーブ受け
３の内面に形成された拡径部３ａと、前記スリー
ブ１の外面及びスリーブ１の端部に取付けられた
スリーブ押え７とで囲まれた空間に油を注入する
管８，９を備え、一方の管８から油を注入したと
きにはスリーブ１を図の右方に動かし、他方の管
９から注油したときには左方に動かせるようにな
つている。１０は前記スリーブ受け３の外周の一
部に設けられたねじ部３ｂに螺合したリングナツ
トであり、このリングナツトを回転させるとスリ
ーブ受け３をスライドさせられるようになつてい
る。リングナツト１０の回転手段は第４図に示す
ように、上下動するシリンダ１１を備え、このシ
リンダの外面にラツク歯１１аが上下方向に形成
されて前記リングナツト１０と螺合している。１
２は前記主軸台２の内部に立設されたインナであ
り、このインナに下端部を嵌入し、上端部を主軸
台２の上部に固定してガイド部材１３が取付けら
れ、このガイド部材１３と前記シリンダ１１との
間に油室１４が設けられ、かつこの油室１４に注
油する通路１５，１６がガイド部材１３に設けら
れている。そして、シリンダ１１の内部の中央に
仕切壁１１ｂが設けられ、この仕切壁で前記油室
１４が区画され、前記通路１５から注油するとシ
リンダ１１は上昇し、他方の通路１６から注油す
るとシリンダ１１は下降するようになつている。
従つて、このシリンダ１１を上下動させることに
よつて前記リングナツト１０を正逆回転させるこ
とができる。なお、１７は筒状のハウジングであ
り、前記主軸台２に固定されている。

本考案は上記のように構成されており、短い加
工物を加工する場合は、前記の油管８から油を導
入してスリーブ１を突出する方向に摺動させ、ス
リーブ１の段付きフランジ１ａがスリーブ受け３
の拡径部３ｄの端部に当接するまで移動させる。
即ち、この移動量が長短２種の加工物の長さの差
ｌとなつている。一方、長い加工物の加工に移る
際には、前記油管９から圧油を導入すればスリー
ブ１は引込む方向に摺動し、段付きフランジ１ａ
か前記スリーブ受け３に当接するまで移動させれ
ばよい。なお、スピンドル４はベアリングを介し
てスリーブ１に保持されているので、スリーブ１
と一緒に移動する。また、前記スピンドル４のス
プライン軸４ｂは、スピンドル４が摺動しても前
記スプライン外筒６から抜け出ることがないよう
に十分の長さを備えている。

ところで、加工物の長さに若干の誤差がある場
合には、前記リングナツト１０をシリンダ１１に
より回転させてスリーブ受け３をスライドさせれ
ば、正しい位置に微調整することができる。そし
て、スリーブ受け３を突出方向に移行させると、
スリーブ押え７によつてスリーブ１の段付きフラ
ンジ１ａが押されて動き、一方スリーブ受け３を
引込める方向に移行させると段付きフランジ１ａ
に油管９からの油圧が作用しているためにスリー
ブ１は押されて動くことになる。このような微調
整をするために、第２図に示すように定寸装置１
８を設け、この定寸装置からの信号を前記回転手
段に送つて、この回転手段のシリンダ１１を油圧
操作することが好ましい。

以上説明したように、本考案によれば長短２種
類の加工物に対し、主軸台のスピンドルのみ移動
させることにより高能率に加工することができ、
かつその加工精度を向上させると共に、スピンド
ルの微調整によつて加工物の寸法の誤差を吸収で
きる等のすぐれた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示すもので、イは長寸の加工
物、ロは短寸の加工物をそれぞれ加工する際の状
態を示す説明図、第２図は本考案の実施例を示す
説明図、第３図は主軸台要部の横断面図、第４図
は第３図のＡ−Ａ線断面図である。 １……スリーブ、２……主軸台、３……スリー
ブ受け、４……スピンドル、５……プーリ、６…
…スプライン外筒、７……スリーブ押え、８，９
……油管、１０……リングナツト、１１……シリ
ンダ、１２……インナ、１３……ガイド部材、１
４……油室、１５，１６……通路、１７……筒状
ハウジング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部にスピンドルを回転自在に保持したスリー
   ブがスリーブ受けを介して主軸台に嵌挿され、こ
   のスリーブ受けは外周の一部にリングナツトが螺
   合され、このリングナツトは前記主軸台に設けら
   れた回転手段により正逆方向に回転させられ、か
   つ前記スリーブは外周にフランジが形成され、前
   記スリーブ受けの内面に形成された拡径部と前記
   スリーブの外面及びスリーブの端部に取り付けら
   れたスリーブ押えとで囲まれた空間の両端部にそ
   れぞれ油を注入する管を備えた移動手段により、
   前記フランジを介して前記スピンドルと共にスラ
   イドされるように構成したことを特徴とする工作
   機械の主軸台構造。