JPH0118203Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、回転駆動され且つ高電圧が印加され
るカツプ状体に塗油剤を供給し、この塗油剤を遠
心力及び静電気力によつて微粒化させて放射する
ようにした静電塗油装置に関する。

この種の静電塗油装置は、主に鋼板、アルミニ
ウム板あるいは銅板等から成る帯状板体の生産ラ
インの最終工程において、製品である帯状板体の
表面に防錆油等の塗油剤を塗布して薄油膜を形成
するために使用され、例えば第１図に示すように
構成されている。

第１図において、１は回転駆動源としてのエア
モータ（図示せず）を内蔵した本体であつて、そ
の前端部から前記エアモータの回転軸２が前方に
突出延長され、その先端にカツプ状体３が固着さ
れている。

カツプ状体３は、略円筒状の外筒４と、その軸
方向の中央部を閉塞する隔壁５と、該隔壁５の中
心部に一体成形され隔壁５側に行くに従つて徐々
に径が大きくなる截頭円錐状の内筒６とから構成
されており、隔壁５と外筒４との間には所要間隔
でスリツト７が形成されると共に、図示はしない
がDC−80〜120KV程度の直流高電圧が印加され
る。

８は、噴射ノズル９から塗油剤を噴射させてカ
ツプ状体３の外筒４の内周面に塗油剤を供給する
塗油剤供給パイプである。

以上が第１図に示す静電塗油装置の構成であ
り、次にその作用について説明すると、カツプ状
体３を例えば約20000rpm程度に高速回転させ、
この状態で塗油剤供給パイプ８の塗油剤吐出口９
からカツプ状体３の外筒４の内周面に塗油剤を供
給すると、その塗油剤が遠心力によつて該外筒４
の内周面に沿つてその前端面側に薄膜状となつて
供給される。

ここで、カツプ状体３には前記の如く80〜
120KV程度の高電圧が印加されているから、外
筒４の前端面に薄膜状に供給された塗油剤が霧化
されて例えば所要速度で搬送される帯状板体１０
に対して放射され、該帯状板体１０の表面に静電
塗着される。

このように、帯状板体１０に対して塗油剤を塗
布する場合においては、その表面に塗油剤を所定
の膜厚で均一に塗布することが何よりも要求され
ている。

然しながら、上記の如く高速回転駆動されてい
るカツプ状体３の外筒４の内周面に対して、塗油
剤供給パイプ８の塗油剤吐出口９から塗油剤を噴
霧又は滴下して供給すると、その遠心力により塗
油剤の一部が比較的粗大な粒子となつてカツプ状
体３の本体１側開口部１１からカツプ状体３外に
飛散し、したがつて静電塗油装置を帯状板体１０
に対して第１図に示す如く上方から設置した場合
には、このようにカツプ状体３外に飛散した塗油
剤の粗い粒子が帯状板体１０上に直接降下し、あ
るいは飛散した塗油剤粒子が本体１の前端面に付
着しこれが一定量に達つして液滴となつて帯状板
体１０上に直接滴下し、何れの場合も帯状板体１
０の表面に所謂オイルスポツトと称する油膜厚部
が形成されて塗油不良を生ずるという重大な欠点
がある。

殊に、鋼板の成形最終工程において、防錆の目
的でその表面に0.01〜0.05μ程度の極めて薄い薄
油膜を形成する場合には、鋼板上に前記の如き粗
い塗油剤粒子が降下し、あるいは塗油剤の液滴が
滴下して付着して油膜厚部が存在すると、次の加
工工程における前処理工程で油膜を除去する際に
その除去を確実に行うことができず、また例えば
製罐工程のように前処理を行うことなく薄油膜上
に直接印刷を施すような場合には、油膜厚部の印
刷インキののりが悪くなり印刷仕上がりが極めて
悪いという弊害がある。

そこで本考案は、前記の如くカツプ状体に供給
された塗油剤が該カツプ状体の本体側開口部から
外部に飛散することを防止することによつて、上
記の如き諸問題を解決することを目的とする。

この目的を達成するために、本考案は、回転駆
動源を内装した本体と、該本体から前方に突出延
長せられた前記回転駆動源の回転軸の先端に固着
されて回転駆動され且つ高電圧が印加されるカツ
プ状体とから構成され、該カツプ状体に供給され
る塗油剤を遠心力と静電気力で微粒化して放射さ
せるように成された静電塗油装置において、前記
本体の前端部に、前記カツプ状体の前記本体側開
口部を閉塞する蓋体が、着脱自在に配設されると
共に、当該蓋体の前記本体側外周縁部に環状溝が
形成され、該環状溝には、前記カツプ状体内に開
口する透孔が穿設されていることを特徴とする。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて具
体的に説明する。

第２図は本考案による静電塗油装置の一例を示
す一部を断面とした側面図であり、第１図との共
通部分については同一符号を附してその詳細説明
は省略する。

本考案実施例においては、本体１の前端側に漏
斗状部１２が形成され、カツプ状体３の開口部１
１の内径が漏斗状部１２の前端面の径よりもやや
大きく選定されている。

また、本体１の漏斗状部１２の前端面には、カ
ツプ状体３の開口部１１を閉塞する蓋体１３が配
設されている。

第３図はこの蓋体１３の平面図、第４図及び第
５図は夫々その−線断面図及び−線断面
図である。

蓋体１３は、例えばデルリン等の絶縁性材によ
つてカツプ状体３の開口部１１の内径に合わせて
それよりも僅かに小さい径を有する円板状に成形
され、その中心に回転軸２の直径よりも僅かに大
きい直径を有する回転軸挿通孔１４が穿設される
と共に、塗油剤供給パイプ８を嵌挿するパイプ挿
通孔１５が穿設されている。

また、本実施例においては、特に蓋体１３の本
体１側外周縁部には環状溝１６が形成され、該環
状溝１６内に所要間隔でカツプ状体３内に開口す
る複数の透孔１７，１７…が穿設されると共に、
回転軸挿通孔１４と環状溝１６との間に該蓋体１
３を本体１に固着するための取付ネジ（図示せ
ず）を挿通するネジ穴１８，１８が穿設されてい
る。

而して、高速回転駆動されるカツプ状体３に塗
油剤供給パイプ８の塗油剤吐出口９から塗油剤を
供給すると、該塗油剤の一部がカツプ状体３の遠
心力によつてその開口部１１側に飛散されるが、
該開口部１１は本体１の漏斗状部１２の前端面に
固着された蓋体１３により閉塞されているから、
塗油剤の粗い粒子が開口部１１からカツプ状体３
外に飛散することがない。

したがつて、従来装置の如く開口部１１から飛
散した塗油剤がそのまま帯状板体１０上に直接降
下し、あるいは本体１の前端部に付着して液滴と
なつて帯状板体１０上に滴下することがなくな
り、オイルスポツト等の油膜厚部を形成して塗油
不良を生ずるという欠点が解消される。

また、開口部１１を閉塞する蓋体１３の本体１
側外周縁部に環状溝１６が形成され且つ該環状溝
１６内にカツプ状体３内に開口する透孔１７が穿
設されると共に、本体１の前端側に漏斗状部１２
が形成され、第２図に示すように該漏斗状部１２
の前端面外周が環状溝１６上に位置するように成
されているから、カツプ状体３の前端縁から帯状
板体１０に対して放射された塗油剤粒子の一部が
塗油室内を浮遊して本体１の外周面に付着し、こ
れが或程度以上の量に達して本体１の前端部側に
流下したとしても、この場合には流下する塗油剤
が漏斗状部１２の前端から蓋体１３の環状溝１６
内に移行し、該環状溝１６内に穿設された透孔１
７を通じて再びカツプ状体３内に供給されるか
ら、本体１の外周面に付着した塗油剤がその前端
部に流下して液滴となつて帯状板体１０上に滴下
するという欠点も同時に解消される。

なお、上述の実施例においては、蓋体１３にネ
ジ穴１８を穿設し、これを取付ネジによつて本体
１の前端部に固着する場合について説明したが、
本考案はこのように蓋体１３を本体１に螺着する
場合に限らず、例えば本体１の前端部に嵌着する
ように構成する場合であつても勿論良い。

以上述べたように、本考案によれば、本体の前
端部にカツプ状体の本体側開口部を閉塞する蓋体
が着脱自在に配設されると共に、当該蓋体には、
本体の外周面に付着してその前端部側に流下する
塗油剤をカツプ状体内に供給する環状溝が形成さ
れているから、静電塗油装置を帯状板体１０等の
被塗油物に対して上方から設置した場合でも、カ
ツプ状体の本体側開口部から飛散した塗油剤が被
塗油物上に直接降下したり、本体の前端部に付着
した塗油剤の液滴が被塗油物上に直接滴下して、
被塗油物の表面に油膜厚部を形成して塗油不良を
生ずることが確実に防止されるという優れた効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の静電塗油装置の例を示す一部を
断面とした側面図、第２図は本考案による静電塗
油装置の一例を示す一部を断面とした側面図、第
３図は本考案による静電塗油装置に使用する蓋体
の一例を示す平面図、第４図及び第５図は夫々そ
の−線断面図及び−線断面図である。 符号の説明、１……本体、２……エアモータの
回転軸、３……カツプ状体、１１……開口部、１
３……蓋体、１６……環状溝、１７……透孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 回転駆動源を内装した本体１と、該本体１か
   ら前方に突出延長せられた前記回転駆動源の回
   転軸２の先端に固着されて回転駆動され且つ高
   電圧が印加されるカツプ状体３とから構成さ
   れ、該カツプ状体３に供給される塗油剤を遠心
   力と静電気力で微粒化して放射させるように成
   された静電塗油装置において、前記本体１の前
   端部に、前記カツプ状体３の前記本体１側開口
   部を閉塞する蓋体１３が、着脱自在に配設され
   ると共に、当該蓋体１３の前記本体１側外周縁
   部に環状溝１６が形成され、該環状溝１６に
   は、前記カツプ状体３内に開口する透孔１７が
   穿設されていることを特徴とする静電塗油装
   置。 (2) 前記蓋体１３が、絶縁性材によつて成形され
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載の静電塗
   油装置。