JPH0117671B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は気体の生成に関し、更に詳しくは嫌気
性雰囲気の生成に関する。

ある種の微生物の培養に嫌気性雰囲気が必要で
ある。米国特許第3246959号はこのような嫌気性
雰囲気を生成するための装置を開示しており、米
国特許第3483089号は低温白金触媒を含有する嫌
気性培養用嫌気性装置を開示している。米国特許
第3246959号によれば、例えば水と接触させると
水素を生成できる物質を含有する包装物が提供さ
れている。包装物の内部は２個の区画に分けら
れ、これらは互いに流体の流れが連通する関係に
あり、区画の一方に水素生成性物質を含有してい
る。水を外側区画へ導くと、水素生成性物質を含
有する区画へと水の制御された流れが起きる。こ
のような包装物は米国特許第3483089号に開示さ
れたような嫌気性ビン中で用いることができる。

本発明はこのような気体生成装置における改良
を目ざしたものである。

本発明によれば袋状物からなる嫌気性雰囲気を
与えるのに使用するための雰囲気を生成するため
の製品が提供され、この内部は気状状酸素と反応
する水素を発生できる物質を含有し、この外部は
酸素及び袋状物内で生成され、かつそれから放出
された水素の反応を促進するための触媒が塗布さ
れている。

好ましい実施態様によれば、袋状物の内部は水
素を生成できる、好ましくは錠剤の形態をした、
物質を含有しており、酸素−水素の反応のための
触媒が袋状物の外部に適用されている。特に好ま
しい実施態様によれば、袋状物の内部はまた二酸
化炭素を生成できる、やはり好ましくは錠剤の形
態をした、物質を含有している。本発明の他の好
ましい態様によれば、袋状物の外部はまた、適正
水準の嫌気性雰囲気が達成されていることを示す
ための嫌気性指示薬及び必要な二酸化炭素濃度が
達成されていることを示すための二酸化炭素指示
薬が適用されている。

本発明の他の態様によれば、新規かつ改良され
た二酸化炭素生成性組成物が提供される。更に詳
しくは、この組成物は二酸化炭素を生成し、かつ
酸性PHを提供し、かくして気体生成性袋状物中で
水素生成剤と併用したとき酸性条件が保持される
ことによりアルカリ性条件下では起きるかもしれ
ない二酸化炭素の吸収を防止するような方法で処
方される。

更に詳しくは、この組成物は水溶性固体酸及び
水溶性固体炭酸塩を、水に溶解したとき二酸化炭
素を生成し、かつ酸性PH、特に、一般に６未満の
PHを与えるのに適した量で含有している。好適な
酸の代表的な例として、クエン酸、酒石酸、アス
コルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマール酸、
乳酸等が挙げられる。好適な炭酸塩の代表的な塩
として、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウムが挙げられ
る。好ましい組成物はクエン酸及び炭酸水素ナト
リウムを含有する。組成物は好ましくは適当な滑
剤及び結合剤も一般に用いられる錠剤の形態で用
いられる。酸及び炭酸塩の正確な割合は用い物質
によつて異なる。培養のための望ましい二酸化炭
素濃度及び酸性のPHを与える好適な量の選択は本
明細書の教示から当業者が行なえる範囲にあるも
のと考えられる。

本発明をその好ましい実施態様に関して更に説
明するが、本発明はこれにより限定されるわけで
はない。この好ましい実施態様は添付図面に例示
したが、図中第１図は本発明による気体生成用包
装物の好ましい実施態様の立面図であり、第２図
は第１図の包装物の断面図であり、そして第３図
はこの気体生成用包装物を用いた嫌気ビンの立面
図である。

さて、図面を見ると、封筒状の形態をした袋状
物１０からなる嫌気性雰囲気生成用包装物が示さ
れており、これはこの雰囲気及び水分を通さず、
袋状物中の物質及びその中で生成した気体に対し
て不活性であり、かつ後述するように袋状物の使
用中に放出される反応熱により破壊しない好適な
材料から出来ている。かくして、例えば、袋状物
１０は金属箔、例えば、その内面にポリエチレン
または塩化ビニル系重合体のような熱可塑性材料
を塗布したアルミニウムから形成されている。袋
状物１０は溶封により緑の周囲同志で適当に固着
した２枚のパネルから形成してもよい。袋状物１
０の内部は例えば溶封により形成した適当な仕切
り２０により第一気体生成区画１１及び第二液体
収納区画１２に分けられる。区画１１は錠剤１３
及び１４の形態をした気体生成物質を含有してお
り、錠剤１３は水素を生成できる物質及び錠剤１
４は二酸化炭素を含有している物質を含有してい
る。内部区画１１及び１２は例えば紙１５の形
態をした、区画１１及び１２間で液体及び気体両
者が流れるようにした流体移動材料中を互いに内
部で流体の流れが連通する関係にある。紙１５
は仕切り２０を通つて区画１１及び１２の各々に
及んでいる。紙の多孔性のために液体及び気体
は内部区画間を徐々に拡散できる。しかしなが
ら、吸取紙、ガーゼ等のような他の多孔性材料を
紙１５の代りに用いてもよい。また紙を１枚
の紙として図示してあるが、これは２枚以上の紙
に分けてもよいことが理解されよう。更に、袋状
物は２個の区画に限らないことも理解されよう。
特に図示したように、仕切り２０は袋状物の上端
の前で終つており、かくして区画は仕切りの上方
で互いに連通している。この袋状物は、区画１２
に導入された液体が仕切りを越える高さには達し
ないため、区画１１及び１２は仕切りの上方で気
体の流れのみの連通関係にあるような方法で用い
られるよう設計されている。

本発明によれば袋状物１０の外部には酸素及び
袋状物１０内でかつそれから放出された水素の反
応を促進するための触媒が与えられている。特に
示したように、このような触媒は袋状物１０の外
部を形成している金属箔上に塗布されており、こ
のような触媒は１７として一般に示してある。触
媒は塗布以外の方法によつても適用できることが
理解されよう。特に、このような触媒は炭素、酸
化アルミニウムまたは他の金属酸化物のような適
当な担体に担持させたパラジウムまたは白金から
構成することができ、これは袋状物の外部に塗布
または他の方法で適用される。触媒は縞状に一般
に示したが、触媒を他の形で適用してもよいこと
が理解されよう。

促進は水素及び酸素間の反応を触媒するのに充
分な量で袋状物の外部に適用され、かくして嫌気
性雰囲気を生成する。触媒は一般に袋状物の外部
に塗布されるが、他の適用方法が可能であり、例
えば袋状物の外部に接着剤を適用し、触媒を散布
することができる。触媒を袋状物外部に塗布また
は他の方法により適用する際、適用は塗布材料の
ような、用いた他の材料が触媒を「マスク」しな
いような方法で達成しなければならない。袋状物
の外部に触媒を適用する特定の方法は本明細書の
教示から当業者の行なえる範囲に入ると考えられ
る。

触媒は様々な形態でかつ様々な位置に適用でき
る。場合により、もし触媒を錠剤上に濃縮された
点として適用するならば、袋状物の焼けが起きて
しまうので、これは汚染の可能性を防止するため
に防がなければならない。最良の結果を達成する
ための触媒の特定な配設は本明細書の教示から当
業者が行なえる範囲に充分入るものである。

特に好ましい実施態様によれば、嫌気性指示薬
もまた袋状物１０の外部に適用されている。この
ような指示薬は金属箔へ塗布または他の方法で適
用でき、そしてこのような指示薬は、特に図示し
たように、一般に１８，１９及び２１として示し
た３種の異なる指示薬の形をとつている。指示薬
は異なる濃度の酸素に反応する、すなわち異なる
酸化還元電位を有するメチレンブルー、リザズリ
ン及びインジゴカルミンからなつていてもよい。
このような指示薬の使用は異なる濃度の酸素を示
す。二酸化炭素の濃度を検出する同様の指示薬も
また金属箔の外部に適用でき２３として一般に示
した。このような指示薬は袋状物の外部にスポツ
トとして印刷されているように示したが、指示薬
はレタリングや他のデザインのような他の形態を
とつてもよい。

明らかなように、袋状物は嫌気性雰囲気を与え
る一体化した包装物を形成し、この中で袋状物は
水素及び二酸化炭素を生成する物質及び水素及び
酸素間の反応を促進する触媒及び嫌気性条件及び
二酸化炭素濃度を示す指示薬を含有する。

本発明の気体生成用包装物を用いるのに当つて
は、２２として一般に示してある切裂線に沿つ
て、袋状物１０の隅を切取るか裂くことにより液
体受容区画１２を開く。区画１１中の気体生成性
物質と相互作用できる物質、例えば水を区画１２
に導き、そしてこのような水は紙１５を通つて
制御された速度で区画１１へ流入する。水と接触
すると、錠剤１３及び１４は水素及び二酸化炭素
を生成し、これらは紙１５及び／または開放上
方溝を通つて区画１１から区画１２に流入し、最
終的には包装物が入れられた容器中へ流入する。
水素はこのような容器内で酸素と反応し、このよ
うな反応は袋状物１０の外部に適用された触媒１
７により促進される。更に、嫌気性条件は同じく
袋状物１０の外部に適用された指示薬１８，１９
及び２１により指示される。二酸化炭素の濃度は
やはり袋状物の外部に適用された指示薬２３によ
り指示される。

本発明を実施例に関して説明するが、本発明の
範囲はこれによつて限定されない。

実施例 以下、本発明による包装物を例示するが、これ
は二酸化炭素生成性錠剤、水素生成性錠剤、袋状
物の外部に適用された水素及び酸素間の反応のた
めの触媒及び袋状物の外部に適用された嫌気性及
び二酸化炭素指示薬を含有している。本実施例に
よる包装物は気体生成製品として用いられ、10ml
の水を液体受容区画に添加することにより達成さ
れる。

二酸化炭素生成性錠剤 クエン酸 1.850ｇ 炭酸水素ナトリウム 0.730〜0.820ｇ 更に、この錠剤は適当な結合剤及び滑剤、例え
ば0.1ｇの硫酸及び0.015ｇのステアリン酸マグネ
シウムを含有している。

水素生成性錠剤 ホウ水素化ナトリウム 0.9ｇ この錠剤は適当な結合剤及び滑剤を含有してい
る。

所望ならば、この錠剤は0.2ｇのニツケルまた
はコバルトを触媒として含有していてもよい。錠
剤は分解を防ぐために水溶性ゼラチンで被覆して
もよい。

触媒被覆物の処方 トラガカントガム 0.3333ｇ ５％炭素パラジウム触媒 1.2ｇ 混合物を沸騰、冷却次いで均一になるまで振湯
する。

指示薬基剤の処方 フルクトース 18ｇ K₂HPO₄ 1.53ｇ NaOH 0.35ｇ フエニル硝酸水銀 2.5mg メチレンブルー指示薬の処方 指示薬基剤 メチレンブルー ５mg 1.2ｇの乾燥指示薬混合物及び0.3333ｇのトラ
ガカントガムを秤量する。40mlの水を添加し、沸
騰させる。冷却すれば使用できる。

インジゴカルミン指示薬の処方 指示薬基剤 インジゴカルミン ５mg 1.2ｇの乾燥指示薬混合物及び0.3425ｇのトラ
ガカントガムを秤量する。40mlの水と混合し、沸
騰させる。冷却すれば、使用できる。

リザズリン指示薬の処方 指示薬基剤 リザズリン ５mg 1.2ｇの乾燥指示薬製剤及び0.3345ｇのトラガ
カントを秤量する。40mlの水を添加し、沸騰させ
る。冷却すれば使用できる。

二酸化炭素指示薬の処方 炭酸水素ナトリウム 0.02ｇ ブロムチモールブルー 0.001ｇ トラガカントガム 0.3333ｇ 40.0mlの水と混合し、沸騰させる。冷却すれば
使用できる。

触媒の適用 箔外部に少なくとも0.001ｇのパラジウム触媒
を与えるのに充分な被覆物を適用する。縞を乾燥
する。触媒は使用できる状態にある。

指示薬の適用 メチレンブルー：１滴（0.05c.c.）の指示薬を袋
状物の外部アルミニウム表面に適用し乾燥する。

インジゴカルミン：１滴（0.05c.c.）の指示薬を
袋状物の外部アルミニウム表面に適用し乾燥す
る。

リザズリン：１滴（0.05c.c.）の指示薬を袋状物
の外部アルミニウム表面に適用し乾燥する。

本発明を好ましい実施態様について記載してき
たが、本発明の範囲内で多くの変更が可能である
ことが理解されよう。かくして、例えば、水以外
の液体が気体を生成させるために用いることがで
き、また特に記載した錠剤以外の錠剤でも気体を
生成させるため用いることができる。従つて、例
えば、水素生成性錠剤の代りにアセチレンを生成
できる錠剤が使用できるが、水素生成性錠剤が好
ましい。同様に、特に記載したもの以外の方法で
水素を生成させるように錠剤を処方してもよい。
例えば、水素は他の液体、例えば酸、特に塩酸に
より生成させることができるが水の使用が好まし
い。同様に、錠剤と接触すると気体を生成する液
体を別個の区画またはアンプルに入れて袋状物中
に入れてもよい。かくして、本発明は、袋状物中
で水素を生成するための物質及び袋状物の外部に
設けた触媒を含有する、特に記載したこの１種以
外の形状をした包装物を提供することができる点
で、特に記載した実施態様に限定されない。

本発明は嫌気性条件を生成するために特別のタ
イプの容器やビンを用いる必要が最早ない点で、
かつ、気体生成性袋状物が自蔵式である。すなわ
ち、袋状物は気体を生成する物質並びに触媒及び
指示薬を含有している点で特に有利である。更
に、本発明は各操作が行なわれる毎に新しい触媒
を与えるので、従来の前回の操作からの触媒毒の
問題を排除する。更に、錠剤からの反応熱は袋状
物を通して伝達され、この分野で従来用いられて
いるビンのフタの中の低ぱ温の触媒よりも速かに
触媒を活性化する。同時に、触媒により発生した
熱は錠剤の反応速度を高める。更に、好ましい実
施態様によれば、嫌気性指示薬が袋状物上に与え
られ、かくして別の指示薬を添加する必要性をな
くす。

かくして、例えば、第３図に示したように、気
体生成用包装物は培養平板１０２を含有する嫌気
ビン１０１において用いられ、このようなビンは
酸素−水素反応のための低温の触媒や別個の指示
薬を含有していない。

更に、本発明による二酸化炭素生成性錠剤は袋
状物内における気体生成中酸性PHを生成するた
め、アルカリ性条件下で起りうる二酸化炭素の吸
収を阻止するので従来技術による錠剤より改良さ
れている。更に、このような錠剤は24時間後にな
つても7.5〜8.5％の二酸化炭素の雰囲気を与える
ことができる。

上記の及び他の利点は本明細書の教示から当業
者にとつて明らかなはずである。

上記の教示に照らし、本発明の多くの変更変化
が可能であり、従つて本特許請求の範囲の中で本
発明は特に記載した以外の方法でも実施可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による気体生成装置の好ましい
実施態様の立面図であり、第２図は第１図の装置
の断面図であり、そして第３図はこの気体生成装
置を用いた嫌気ビンの立面図である。 １０……袋状物、１１……第一区画、１２……
第二区画、１３……錠剤、１４……錠剤、１５…
…紙、１７……触媒、１８〜２０……酸素指示
薬、２２……切裂線、２３……二酸化炭素指示
薬、１０１……嫌気ビン、１０２……培養平板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (a) 水素を生成する物質及び二酸化炭素を生
   成する物質を収納する区画、水を入れるために
   開封し易い部分を有する区画並びに前記２つの
   区画の間の流体連通を生じさせる多孔性断片を
   内部に有する柔軟性がある金属箔からなる密閉
   された袋状物； (b) 該袋状物に収納された水素を生成する物質； (c) 該袋状物に収納された二酸化炭素を生成する
   物質；及び (d) 該袋状物の外表面に塗布された触媒；からな
   り該袋状物を開封して、水素を生成する物質と
   反応させるために水を入れたとき、生成した水
   素と袋状物の外側の酸素との反応を袋状物外部
   に塗布された触媒が促進することを特徴とす
   る、嫌気性微生物を培養するのに用いるための
   嫌気性雰囲気をもたらす包装物。 ２ 嫌気性指示薬が柔軟性のある密閉された袋状
   物の外側に適用されていることを更に特徴とす
   る、特許請求の範囲第１項記載の包装物。 ３ 二酸化炭素指示薬が柔軟性のある密閉された
   袋状物の外側に適用されていることを更に特徴と
   する、特許請求の範囲第１項記載の包装物。 ４ 二酸化炭素を生成する物質は水溶性固体炭酸
   塩および袋状物内部に発生した二酸化炭素雰囲気
   に酸性PHを提供する水溶性固体酸であることを更
   に特徴とする、特許請求の範囲第１項記載の包装
   物。 ５ 水素を生成する物質がホウ水素化ナトリウム
   であることを更に特徴とする、特許請求の範囲第
   １項記載の包装物。 ６ 塗布された触媒は担持パラジウム及び担持白
   金からなる群より選択されることを更に特徴とす
   る、特許請求の範囲第１項記載の包装物。 ７ 塗布された触媒は、炭素パラジウム触媒であ
   り、トラガカントガムと共に袋状物外面に塗布さ
   れていることを更に特徴とする、特許請求の範囲
   第１項記載の包装物。 ８ 炭素パラジウム触媒が塗布されている触媒層
   中に少なくとも0.001グラム存在することを更に
   特徴とする、特許請求の範囲第７項記載の包装
   物。