JPH0117083Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電子ビーム管の電子ビームを集束する
ために用いられる周期磁界集束装置の改良に関
る。

周知のとおり進行波管等、比較的細長い高周波
回路の内部に電子ビームを通過させる電子ビーム
管において、電子ビームを終始一定の径に集束さ
せる手段の一つとして一般的に周期磁界集束装置
が用いられる。第１図は従来行なわれている周期
磁界集束装置を進行波管装置に用いた場合の一例
を断面図で示したものである。以下第１図により
従来形の進行波管装置を説明する。管球１は電子
ビームを発射する電子銃１１、電子ビームを高周
波と作用させる高周波回路１２、及び電子ビーム
を捕獲するコレクタ１３とを含み、高周波回路１
２は管状１の外囲容器の一部を形成する管状の外
周管体１４の内側に収納されている。周期磁界装
置２は全体として筒状を呈し、外周管体１４の軸
線に沿つて同軸的に配列される。周期磁界集束装
置２は軸方向に磁化された複数個の同じ厚さの永
久磁石２１、及び、この永久磁石２１の間に介在
される環状の磁極片２２から構成されており、軸
上に電子ビームを集束させるための周期磁界を発
生させる。永久磁石２１は第２図に示すように半
円形状の永久磁石２４，２５を一対として円筒状
に構成される。また高周波回路１２への入出力同
軸窓３の取出部の永久磁石２１は第３図に示すよ
うな形状の永久磁石２６，２７を一対として構成
されている。ところで周期磁界集束装置を用いて
電子ビームを集束させる場合には軸上に発生させ
られた周期磁界により、電子ビームはリツプルを
うちながら高周波回路を通過することとなる。一
般的にはリツプル成分は周期磁界集束装置の磁界
周期Ｌが小さい程小さくなり、安定な電子ビーム
を得ることができるが、反対に磁界周期Ｌが小さ
すぎると永久磁石の厚さがうすくなるため、高周
波回路の軸上において電子ビームを収束するに必
要な中心磁界を得ることができなくなる。よつて
通常、周期磁界集束装置の磁界周期Ｌは電子ビー
ム集束に必要な中心磁界が実現できて、かつ電子
ビームのリツプル成分が最低になるような値に決
定される。

しかしながら、このように磁界周期Ｌを形定し
てしまうと次に示すような不都合が生じてしまう
欠点があつた。すなわち高周波回路１２の入出力
窓部３の整合特性を良好にするため、高周波回路
１２の入出力窓部の同軸内導体３２及び同軸外導
体３１にてインピーダンス変換を行なう際、同軸
外導体３１の外径を磁石周期Ｌの1/2以上にでき
ないという欠点があつた。すなわち同軸外導体３
１の外径は磁石周期Ｌに制限されてしまうという
欠点があつた。

本考案の目的は、従来形装置の欠点を取り除き
入出力窓部の同軸外導体の外径が周期磁界装置の
磁界周期Ｌに独立に決定できる構造の周期磁界集
束装置を提供することにある。

以下、第４図に基づいて本考案の１実施例を説
明する。

進行波管は従来と全く同様に電子銃１１、高周
波回路１２、コレクタ１３とを含むものである。
周期磁界集束装置２は従来形と同様に全体として
筒状を呈し、外周管体１４の軸線に沿つて同軸的
に配列されており、軸上に電子ビームを集束させ
るため周期磁界を発生させている。永久磁石２１
は従来形と同様に半円形状の永久磁石２個を一対
として円筒状に構成されている。本考案が従来形
と異なる点は入出力窓部の永久磁石２３の厚さが
その他の永久磁石２１の厚さに比べて厚くなつて
いることである。このような構造にすれば入出力
窓部の永久磁石２３の厚さが厚くなつた分だけ同
軸外導体３１の外形も大きくすることができる。
この際、周期磁界集束装置２の磁界周期Ｌは入出
力窓部分で長くなるが、これによる高周波回路内
での電子ビームの集束状態に対する影響は次に述
べるようにほとんど生じない。すなわち、入力窓
部分についてはこの部分の磁界、すなわち電子銃
部から周期磁界集束部への遷移領域の磁界のパタ
ーンを適切に選ぶことによりリツプルが大きくな
らないようにすることができる。ところが出力窓
部分については、この部分においてリツプルが大
きくなるが、ビーム進行方向でのこの部分から先
の部分には高周波回路が存在しないため電子ビー
ムの透過に対する影響は生じない。

すなわちこのような構造にすれば、電子ビーム
の高周波回路内での集束状態をほとんど変えるこ
となく入出力窓部の同軸外導体の径を大きくする
ことが可能となり、入出力部の整合特性を良好に
するように入出力窓のインピーダンス変換構造を
設計する際、同軸外導体の径に制限をうけること
がなくなり非常に有利となる。特に広帯域進行波
管の必要が高まつている近年においては入出力整
合特性の広帯域化も必然的に必要となるがそのよ
うな広帯域入出力窓の実現のためには本考案によ
る方法は有効である。

尚、本実施例では進行波管を例にあげて説明を
行なつたが本考案は進行波管のみならず、周期磁
界集束装置をもつ他の電子ビーム管に応用するこ
とは同様の理由により可能である。

以上説明した通り、本考案によれば、入出力窓
部の永久磁石の厚さを他の永久磁石の厚さより厚
くすることにより、電子ビームの集束状態を安定
に保つたまま同軸外導体の外径を大きくすること
ができ入出力窓部の整合特性を良好にする際非常
に有利になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来行なわれている進行波管装置の縦
断面図、第２図及び第３図は第１図に示す永久磁
石の正面図、第４図は本考案に係る周期磁界集束
装置を有した進行波管装置の縦断面図である。 １……管球、２……周期磁界集束装置、１１…
…電子銃、１２……高周波回路、１３……コレク
タ、１４……外周管体、２１……環状永久磁石、
２２……磁極片、２３……入出力窓部分の永久磁
石、２４，２５……環状永久磁石２１を半分割し
た永久磁石個片、２６，２７……入出力窓部分の
永久磁石２３を半分割した永久磁石個片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電子ビーム管の高周波回路の外周に複数個の円
   環状永久磁石およびポールピースを交互に同軸的
   に配置してなる周期磁界集束装置において、前記
   円環状永久磁石のうち、前記高周波回路の入出力
   取り出し部分の円環状永久磁石の厚さが他の円環
   状永久磁石の厚さより厚いことを特徴とする周期
   磁界集束装置。