JPH0116910B2 - - Google Patents
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- JPH0116910B2 JPH0116910B2 JP29093485A JP29093485A JPH0116910B2 JP H0116910 B2 JPH0116910 B2 JP H0116910B2 JP 29093485 A JP29093485 A JP 29093485A JP 29093485 A JP29093485 A JP 29093485A JP H0116910 B2 JPH0116910 B2 JP H0116910B2
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Description
産業上の利用分野
本発明は、β型チタン合金であるTi−15V−
3Cr−3Sn−3Al合金の冷間加工材の製造方法に関
するものであり、冷間加工前溶体化処理(軟化焼
鈍)を従来より高い特定の温度域で行いしかもこ
れに所定水準以上の冷間加工度の下での冷間加工
を行うことを特徴とするものである。本発明によ
り製造された冷間加工材から、その後の溶体化処
理に際してプレス加工等に好適な微細な結晶粒を
持つ溶体化処理材が生成され、また溶体化時効処
理に際しては従来より高い強度を示す溶体化時効
処理材が生成される。 発明の背景 チタン及びチタン合金はその優れた比強度、耐
食性及び耐熱性を保有しているために、宇宙航空
機材料、各種化学プラント、海水淡水化装置等広
範な用途に利用されている。 チタン合金としては従来Ti−6Al−4V等に代
表されるα+β型合金が広く用いられてきたが、
α+β型合金は成形性に乏しく、加工の多くを切
削に頼るため最終製品に至るまでの歩留りが非常
に低いという欠点を有している。そこで、α+β
型合金に比較して冷間加工性に優れしかも高強度
が得られることからβ型チタン合金のTi−15V−
3Cr−3Sn−3Alの利用が近年拡がりつつある。 尚、本明細書においてTi−15V−3Cr−3Sn−
3Alチタン合金とは次の組成範囲にあるものを包
括する。 V:14〜16wt% Cr:2.5〜3.5wt% Sn:2.5〜3.5wt% Al:2.5〜3.5wt% 残 部 Ti及び不可避的不純物 β型チタン合金は厳密に言えば準安定β型合金
であり、β域からの急冷によつて常温でもβ単一
相となり、時効硬化性をもつ。 従来技術と問題点 Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al合金の冷間加工材
は、従来、冷間加工前にβ相単相として加工性を
良くする為に、β変態点(730〜750℃)以上の、
780〜830℃の範囲内の温度で3〜60分間冷間加工
前溶体化処理(軟化焼鈍)を施し、その後空冷以
上の冷却速度で室温まで冷却されていた。この処
理により、材料は、変形抵抗を上げそして延性を
低下させるα相を含まない状態となり、冷間加工
性に富んだ状態となる。こうした軟化状態を得る
に充分の温度として上記780〜830℃の冷間加工前
溶体化温度が採用されていたのである。この後、
冷間加工によつて冷間加工材が製造される。 冷間加工材は、その後、用途に応じて溶体化処
理を施されて溶体化処理材に或いは溶体化時効処
理を施されて溶体化時効処理材に成る。 しかしながら、従来からの溶体化処理材或いは
溶体化時効処理材はいまだ、充分に満足しうる機
械的性質を具備しているとは云い難い。例えば、
溶体化処理材のプレス加工時に良質の肌が得られ
ないことが多々あり、また溶体化時効処理材も一
段の強度向上が望まれる。これは、結局、溶体化
処理材及び溶体化時効処理材のβ結晶粒径が充分
に微細でないことが基本的原因である。 従つて、微細結晶組織を有する上記溶体化処理
材或いは溶体化時効処理材を製造する技術が確立
しうるなら、それらからの最終製品の品質も向上
する。 発明の概要 上記状況に鑑み、本発明は、Ti−15V−3Cr−
3Sn−3Al合金の冷間加工材から得られる溶体化
処理材或いは溶体化時効処理材の結晶組織の微細
化を図ることを目的とする。 本発明者等は、上述した冷間加工前溶体化処理
−冷間加工(冷間加工材)−溶体化処理(溶体化
処理材)−(冷間成形加工)−時効(溶体化時効処
理材)という工程を総合的に検討し、これら処理
工程と結晶粒組織との関係について研究を進め
た。冷間加工後の溶体化処理による再結晶粒の粒
径を支配するのは、冷間加工前溶体化処理条件と
冷間加工条件であり、両者間に次のような相関性
が見出された。冷間加工前の溶体化処理を従来の
ように780〜830℃で行つたものと、それよりもも
つと高温で行つたものとでは冷間加工度と関連し
て異つた挙動が見られる。即ち冷間加工前の結晶
粒径は高温溶体化したものの方が従来の低温溶体
化したものより大きく、ある臨界冷間加工度以下
では、冷間加工−再結晶材の粒径について上記関
係は維持されるが、臨界冷間加工度以上になる
と、この関係は逆転し、高温溶体化したものの冷
間加工・再結晶材の結晶粒径は従来の低温溶体化
したものの冷間加工・再結晶材の結晶粒径より小
さくなる。このユニークな現象をうまく利用する
ことによつて冷間加工後の溶体化或いは溶体化時
効処理材の結晶微細化を実現することが可能とな
る。 このように、冷間加工前の溶体化処理の役割を
ただ単に材料を軟化させるという従来からの考え
方から一歩進め、冷間加工度との適切な組合せに
より、冷間加工後溶体化処理を行つた溶体化処理
材の結晶粒径を微細にし、更に時効処理を施した
溶体化時効処理材の強度を向上させる機能をもつ
ものとしてとらえることが本発明の基本思想であ
る。 本発明の必須構成要件は、次の通りである: (i) 冷間加工前溶体化処理を従来より高温の830
℃を越え1150℃までの温度において、α相を消
滅しそして材料内部が無歪み状態となるに充分
保持し(3分〜5時間)、その効果を保持する
に充分の冷却速度(1.8℃/分以上)で冷却す
ることによつて行うこと、及び (ii) 冷間加工を冷間加工度50%以上で実施するこ
と。尚、冷間加工度とは、冷間加工における相
当ひずみの量と定義される。 斯くして、本発明は、 V14〜16wt%、Cr2.5〜3.5wt%、Sn2.5〜3.5wt
%、Al2.5〜3.5wt%そして残部Ti及び不可避的不
純物から成るチタン合金冷間加工材の製造方法に
おいて、冷間加工前に830℃を超え且つ1150℃以
下の温度に3分〜5時間保持しそして1.8℃/分
以上の冷却速度で冷却することによつて溶体化処
理を行い、その後冷間加工度50%以上で冷間加工
を実施することを特徴とするチタン合金冷間加工
材の製造方法を提供する。 発明の具体的説明 本発明の対象とするチタン合金材は、Ti−15V
−3Cr−3Sn−3Alであり、これは最初に定義した
組成範囲をとる。また、酸素は0.3wt%以下とす
ることが好ましい。この酸素を0.3wt%以下含有
するとチタン合金材の強度が増加する。ただし
0.3w%を超えると延性の低下を招き好ましくな
い。 チタン合金冷間圧延板を例にとつて本発明方法
を説明する。チタン合金製品は、一般に、鋳造さ
れたインゴツトを、その鋳造組織を破壊すると共
に、その後の工程に適した中間素材を生成するた
めのインゴツトブレイクダウン工程を出発工程と
する。インゴツトブレイクダウンは、インゴツト
を分塊圧延或いは鍛造することにより実施され
る。次いで、生成するスラブ材は熱間圧延工程を
経由し、最終寸法に仕上げる冷間圧延を最後に行
うことが多く、その際溶体化処理が冷間圧延前に
施される。圧延工程後の材料は、最終的に、製品
の用途に応じて、溶体化処理(即ち再溶体化処
理)及び時効処理時の熱処理工程を経て最終製品
となる。本発明が関与するのは、圧延工程の最終
段階を構成する溶体化処理−冷間圧延と最終熱処
理工程としての再溶体化処理及び時効処理であ
り、その前歴は本発明においては一切問わない。 最近、良質のチタン合金材の製造の為インゴツ
トブレイクダウン工程及び圧延工程において様々
の改善案が提唱されており(例えば特願昭60−
43843、60−43844等多数)、それらのいずれをも
本発明と併用しうる。 本発明では、従来より高い830℃を超え1150℃
以下の温度域から選択される溶体化温度において
3分〜5時間保持することによつて冷間加工前の
溶体化が実施される。 この溶体化処理により、素材の粒径は粗大化す
るが、従来の低い温度での処理により溶体化した
ものと較べると、結晶粒内は一層無歪み状態とな
つている。このため、これに続く冷間圧延により
歪みが入りやすい状態となつている。 こうした状態を実現するには830℃を超える充
分に高い温度が必要である。温度に1150℃という
上限を設けたのは、本合金では、結晶粒の粗大化
は材料の脆化を引起し、冷間加工で割れを生ずる
ためである。 保持時間は、温度に依存してα相が消滅し、更
に材料内部が無歪みの状態となるに必要な時間と
して決定される。上記温度範囲においても3分間
以上が必要である。保持時間が長すぎる場合は結
晶粒が粗大化し、材料の脆化を招くので保持時間
の上限を5時間とした。 こうして、高温に充分保持された材料は、1.8
℃/分以上の冷却速度で冷却される。冷却速度が
1.8℃/分未満の場合には、冷却中にα相の析出
が開始されやすく、上述の溶体化の効果が失われ
る。溶体化後300℃までの冷却速度を1.8℃/分以
上とする必要がある。 本発明の重要な構成要素の一つは冷間加工度即
ちここでは冷間圧延率である。本合金では、本発
明に従う高温溶体化処理したものと従来からの低
温溶体化処理したものでは、冷間圧延率の、冷間
圧延後再溶体化した後の再結晶材の結晶粒径微細
化への影響の仕方が異なる。高温で溶体化したも
のは、低温で溶体化したものに較べて、冷間圧
延・再結晶材の結晶粒径への冷間圧延率の影響が
大きい。圧延前の結晶粒径は高温溶体化処理した
ものの方が当然に低温溶体化処理したものより大
きい。ところが、一定の冷間圧延率以上をとる
と、この関係が逆転する。即ち、高温溶体化−冷
間圧延−溶体化処理した再結晶材の結晶粒径は低
温溶体化−冷間圧延−溶体化処理した再結晶材よ
り小さくなる。本発明等はこの臨界冷間圧延率が
50%であることを見出した。このため、本発明で
は冷間圧延率を50%以上とする。 以上の条件の下で溶体化処理及び冷間圧延を実
施することにより本発明に従う冷間圧延板が製造
される。 本発明に従う冷間圧延板は、その後、用途に応
じて溶体化処理して溶体化処理材とするか、或い
は溶体化時効処理して溶体化時効処理材とされ
る。溶体化処理材は微細な結晶粒を持つためプレ
ス加工等の加工をした場合に良質な肌が得られ
る。溶体化時効処理材はその微細な結晶粒により
従来材よりも高い強度を示す。 このように、本発明においては、高温溶体化と
高い冷間加工率とが、その後の溶体化後の材料の
結晶粒微細化を実現するに好適な状態を創出して
いるのである。 冷間圧延後の溶体化処理は、750〜830℃の温度
に3〜60分保持し、空冷以上の冷却速度による冷
却を施すことによつて実施される。時効処理は
400〜600℃の温度で一般に行われる。 本発明においては、加工は圧延に限らず、冷間
プレス、鍛造等のすべての塑性加工を対象とし、
そのいずれにおいても優れた冷間加工品を提供す
るものである。 発明の効果 Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al合金冷間加工品の機
械的性質の改善を実現し、当該加工品の有用性を
拡大した。 実施例及び比較例 表1に示す化学成分を持つ熱間圧延板を供試材
として用いた:
3Cr−3Sn−3Al合金の冷間加工材の製造方法に関
するものであり、冷間加工前溶体化処理(軟化焼
鈍)を従来より高い特定の温度域で行いしかもこ
れに所定水準以上の冷間加工度の下での冷間加工
を行うことを特徴とするものである。本発明によ
り製造された冷間加工材から、その後の溶体化処
理に際してプレス加工等に好適な微細な結晶粒を
持つ溶体化処理材が生成され、また溶体化時効処
理に際しては従来より高い強度を示す溶体化時効
処理材が生成される。 発明の背景 チタン及びチタン合金はその優れた比強度、耐
食性及び耐熱性を保有しているために、宇宙航空
機材料、各種化学プラント、海水淡水化装置等広
範な用途に利用されている。 チタン合金としては従来Ti−6Al−4V等に代
表されるα+β型合金が広く用いられてきたが、
α+β型合金は成形性に乏しく、加工の多くを切
削に頼るため最終製品に至るまでの歩留りが非常
に低いという欠点を有している。そこで、α+β
型合金に比較して冷間加工性に優れしかも高強度
が得られることからβ型チタン合金のTi−15V−
3Cr−3Sn−3Alの利用が近年拡がりつつある。 尚、本明細書においてTi−15V−3Cr−3Sn−
3Alチタン合金とは次の組成範囲にあるものを包
括する。 V:14〜16wt% Cr:2.5〜3.5wt% Sn:2.5〜3.5wt% Al:2.5〜3.5wt% 残 部 Ti及び不可避的不純物 β型チタン合金は厳密に言えば準安定β型合金
であり、β域からの急冷によつて常温でもβ単一
相となり、時効硬化性をもつ。 従来技術と問題点 Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al合金の冷間加工材
は、従来、冷間加工前にβ相単相として加工性を
良くする為に、β変態点(730〜750℃)以上の、
780〜830℃の範囲内の温度で3〜60分間冷間加工
前溶体化処理(軟化焼鈍)を施し、その後空冷以
上の冷却速度で室温まで冷却されていた。この処
理により、材料は、変形抵抗を上げそして延性を
低下させるα相を含まない状態となり、冷間加工
性に富んだ状態となる。こうした軟化状態を得る
に充分の温度として上記780〜830℃の冷間加工前
溶体化温度が採用されていたのである。この後、
冷間加工によつて冷間加工材が製造される。 冷間加工材は、その後、用途に応じて溶体化処
理を施されて溶体化処理材に或いは溶体化時効処
理を施されて溶体化時効処理材に成る。 しかしながら、従来からの溶体化処理材或いは
溶体化時効処理材はいまだ、充分に満足しうる機
械的性質を具備しているとは云い難い。例えば、
溶体化処理材のプレス加工時に良質の肌が得られ
ないことが多々あり、また溶体化時効処理材も一
段の強度向上が望まれる。これは、結局、溶体化
処理材及び溶体化時効処理材のβ結晶粒径が充分
に微細でないことが基本的原因である。 従つて、微細結晶組織を有する上記溶体化処理
材或いは溶体化時効処理材を製造する技術が確立
しうるなら、それらからの最終製品の品質も向上
する。 発明の概要 上記状況に鑑み、本発明は、Ti−15V−3Cr−
3Sn−3Al合金の冷間加工材から得られる溶体化
処理材或いは溶体化時効処理材の結晶組織の微細
化を図ることを目的とする。 本発明者等は、上述した冷間加工前溶体化処理
−冷間加工(冷間加工材)−溶体化処理(溶体化
処理材)−(冷間成形加工)−時効(溶体化時効処
理材)という工程を総合的に検討し、これら処理
工程と結晶粒組織との関係について研究を進め
た。冷間加工後の溶体化処理による再結晶粒の粒
径を支配するのは、冷間加工前溶体化処理条件と
冷間加工条件であり、両者間に次のような相関性
が見出された。冷間加工前の溶体化処理を従来の
ように780〜830℃で行つたものと、それよりもも
つと高温で行つたものとでは冷間加工度と関連し
て異つた挙動が見られる。即ち冷間加工前の結晶
粒径は高温溶体化したものの方が従来の低温溶体
化したものより大きく、ある臨界冷間加工度以下
では、冷間加工−再結晶材の粒径について上記関
係は維持されるが、臨界冷間加工度以上になる
と、この関係は逆転し、高温溶体化したものの冷
間加工・再結晶材の結晶粒径は従来の低温溶体化
したものの冷間加工・再結晶材の結晶粒径より小
さくなる。このユニークな現象をうまく利用する
ことによつて冷間加工後の溶体化或いは溶体化時
効処理材の結晶微細化を実現することが可能とな
る。 このように、冷間加工前の溶体化処理の役割を
ただ単に材料を軟化させるという従来からの考え
方から一歩進め、冷間加工度との適切な組合せに
より、冷間加工後溶体化処理を行つた溶体化処理
材の結晶粒径を微細にし、更に時効処理を施した
溶体化時効処理材の強度を向上させる機能をもつ
ものとしてとらえることが本発明の基本思想であ
る。 本発明の必須構成要件は、次の通りである: (i) 冷間加工前溶体化処理を従来より高温の830
℃を越え1150℃までの温度において、α相を消
滅しそして材料内部が無歪み状態となるに充分
保持し(3分〜5時間)、その効果を保持する
に充分の冷却速度(1.8℃/分以上)で冷却す
ることによつて行うこと、及び (ii) 冷間加工を冷間加工度50%以上で実施するこ
と。尚、冷間加工度とは、冷間加工における相
当ひずみの量と定義される。 斯くして、本発明は、 V14〜16wt%、Cr2.5〜3.5wt%、Sn2.5〜3.5wt
%、Al2.5〜3.5wt%そして残部Ti及び不可避的不
純物から成るチタン合金冷間加工材の製造方法に
おいて、冷間加工前に830℃を超え且つ1150℃以
下の温度に3分〜5時間保持しそして1.8℃/分
以上の冷却速度で冷却することによつて溶体化処
理を行い、その後冷間加工度50%以上で冷間加工
を実施することを特徴とするチタン合金冷間加工
材の製造方法を提供する。 発明の具体的説明 本発明の対象とするチタン合金材は、Ti−15V
−3Cr−3Sn−3Alであり、これは最初に定義した
組成範囲をとる。また、酸素は0.3wt%以下とす
ることが好ましい。この酸素を0.3wt%以下含有
するとチタン合金材の強度が増加する。ただし
0.3w%を超えると延性の低下を招き好ましくな
い。 チタン合金冷間圧延板を例にとつて本発明方法
を説明する。チタン合金製品は、一般に、鋳造さ
れたインゴツトを、その鋳造組織を破壊すると共
に、その後の工程に適した中間素材を生成するた
めのインゴツトブレイクダウン工程を出発工程と
する。インゴツトブレイクダウンは、インゴツト
を分塊圧延或いは鍛造することにより実施され
る。次いで、生成するスラブ材は熱間圧延工程を
経由し、最終寸法に仕上げる冷間圧延を最後に行
うことが多く、その際溶体化処理が冷間圧延前に
施される。圧延工程後の材料は、最終的に、製品
の用途に応じて、溶体化処理(即ち再溶体化処
理)及び時効処理時の熱処理工程を経て最終製品
となる。本発明が関与するのは、圧延工程の最終
段階を構成する溶体化処理−冷間圧延と最終熱処
理工程としての再溶体化処理及び時効処理であ
り、その前歴は本発明においては一切問わない。 最近、良質のチタン合金材の製造の為インゴツ
トブレイクダウン工程及び圧延工程において様々
の改善案が提唱されており(例えば特願昭60−
43843、60−43844等多数)、それらのいずれをも
本発明と併用しうる。 本発明では、従来より高い830℃を超え1150℃
以下の温度域から選択される溶体化温度において
3分〜5時間保持することによつて冷間加工前の
溶体化が実施される。 この溶体化処理により、素材の粒径は粗大化す
るが、従来の低い温度での処理により溶体化した
ものと較べると、結晶粒内は一層無歪み状態とな
つている。このため、これに続く冷間圧延により
歪みが入りやすい状態となつている。 こうした状態を実現するには830℃を超える充
分に高い温度が必要である。温度に1150℃という
上限を設けたのは、本合金では、結晶粒の粗大化
は材料の脆化を引起し、冷間加工で割れを生ずる
ためである。 保持時間は、温度に依存してα相が消滅し、更
に材料内部が無歪みの状態となるに必要な時間と
して決定される。上記温度範囲においても3分間
以上が必要である。保持時間が長すぎる場合は結
晶粒が粗大化し、材料の脆化を招くので保持時間
の上限を5時間とした。 こうして、高温に充分保持された材料は、1.8
℃/分以上の冷却速度で冷却される。冷却速度が
1.8℃/分未満の場合には、冷却中にα相の析出
が開始されやすく、上述の溶体化の効果が失われ
る。溶体化後300℃までの冷却速度を1.8℃/分以
上とする必要がある。 本発明の重要な構成要素の一つは冷間加工度即
ちここでは冷間圧延率である。本合金では、本発
明に従う高温溶体化処理したものと従来からの低
温溶体化処理したものでは、冷間圧延率の、冷間
圧延後再溶体化した後の再結晶材の結晶粒径微細
化への影響の仕方が異なる。高温で溶体化したも
のは、低温で溶体化したものに較べて、冷間圧
延・再結晶材の結晶粒径への冷間圧延率の影響が
大きい。圧延前の結晶粒径は高温溶体化処理した
ものの方が当然に低温溶体化処理したものより大
きい。ところが、一定の冷間圧延率以上をとる
と、この関係が逆転する。即ち、高温溶体化−冷
間圧延−溶体化処理した再結晶材の結晶粒径は低
温溶体化−冷間圧延−溶体化処理した再結晶材よ
り小さくなる。本発明等はこの臨界冷間圧延率が
50%であることを見出した。このため、本発明で
は冷間圧延率を50%以上とする。 以上の条件の下で溶体化処理及び冷間圧延を実
施することにより本発明に従う冷間圧延板が製造
される。 本発明に従う冷間圧延板は、その後、用途に応
じて溶体化処理して溶体化処理材とするか、或い
は溶体化時効処理して溶体化時効処理材とされ
る。溶体化処理材は微細な結晶粒を持つためプレ
ス加工等の加工をした場合に良質な肌が得られ
る。溶体化時効処理材はその微細な結晶粒により
従来材よりも高い強度を示す。 このように、本発明においては、高温溶体化と
高い冷間加工率とが、その後の溶体化後の材料の
結晶粒微細化を実現するに好適な状態を創出して
いるのである。 冷間圧延後の溶体化処理は、750〜830℃の温度
に3〜60分保持し、空冷以上の冷却速度による冷
却を施すことによつて実施される。時効処理は
400〜600℃の温度で一般に行われる。 本発明においては、加工は圧延に限らず、冷間
プレス、鍛造等のすべての塑性加工を対象とし、
そのいずれにおいても優れた冷間加工品を提供す
るものである。 発明の効果 Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al合金冷間加工品の機
械的性質の改善を実現し、当該加工品の有用性を
拡大した。 実施例及び比較例 表1に示す化学成分を持つ熱間圧延板を供試材
として用いた:
【表】
これに、800℃(従来法)、900℃、950℃、1000
℃及び1100℃でそれぞれ30分加熱保持して溶体化
を施し、その後空冷をした。この状態での材料の
結晶粒径を表2に示す(結晶粒径はすべてlinear
intercept法により測定)。当然に、溶体化温度の
高い程、結晶粒径は大きくなつている。
℃及び1100℃でそれぞれ30分加熱保持して溶体化
を施し、その後空冷をした。この状態での材料の
結晶粒径を表2に示す(結晶粒径はすべてlinear
intercept法により測定)。当然に、溶体化温度の
高い程、結晶粒径は大きくなつている。
【表】
これらをすべて、冷間圧延に供した。冷間圧延
率は10%(比較例)、30%(比較例)、50%、70%
及び90%の5段階を採用した。冷間圧延後、800
℃×30分−空冷の溶体化処理を施した。表3は生
成された結晶粒径を示す。
率は10%(比較例)、30%(比較例)、50%、70%
及び90%の5段階を採用した。冷間圧延後、800
℃×30分−空冷の溶体化処理を施した。表3は生
成された結晶粒径を示す。
【表】
表3は次の事実を示している:
(i) 冷間加工前溶体化温度が高いもの程、結晶粒
径の加工度(圧延率)依存性が高い。 (ii) 加工度(圧延率)50%未満では冷間圧延前溶
体化温度の高いもの程、結晶粒径は大きいが、
加工度50%以上では冷間圧延前溶体化温度が高
いもの程逆に微細な結晶粒径が得られる。 表3において50%加工度のものは境界条件にあ
るため、その前後のもの程明確な増減傾向を示さ
ないが、結晶粒の粗大化が起つていない点で本発
明に属するものとした。 上記のうち加工度を90%にとつた場合の溶体化
処理材の機械的性質を表4に示す。
径の加工度(圧延率)依存性が高い。 (ii) 加工度(圧延率)50%未満では冷間圧延前溶
体化温度の高いもの程、結晶粒径は大きいが、
加工度50%以上では冷間圧延前溶体化温度が高
いもの程逆に微細な結晶粒径が得られる。 表3において50%加工度のものは境界条件にあ
るため、その前後のもの程明確な増減傾向を示さ
ないが、結晶粒の粗大化が起つていない点で本発
明に属するものとした。 上記のうち加工度を90%にとつた場合の溶体化
処理材の機械的性質を表4に示す。
【表】
次に、更に510℃×8時間の時効を行つた溶体
化時効処理材の機械的性質を示す。
化時効処理材の機械的性質を示す。
【表】
溶体化時効処理材では、冷間加工前溶体化温度
が高いもの程、強度が上昇している。
が高いもの程、強度が上昇している。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 V14〜16wt%、Cr2.5〜3.5wt%、Sn2.5〜
3.5wt%、Al2.5〜3.5wt%そして残部Ti及び不可
避的不純物から成るチタン合金冷間加工材の製造
方法において、冷間加工前に830℃を超え且つ
1150℃以下の温度に3分〜5時間保持しそして
1.8℃/分以上の冷却速度で冷却することによつ
て溶体化処理を行い、その後冷間加工度50%以上
で冷間加工を実施することを特徴とするチタン合
金冷間加工材の製造方法。 2 チタン合金材の酸素含有量が0.3wt%以下で
ある特許請求の範囲第1項記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29093485A JPS62151551A (ja) | 1985-12-25 | 1985-12-25 | チタン合金冷間加工材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29093485A JPS62151551A (ja) | 1985-12-25 | 1985-12-25 | チタン合金冷間加工材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62151551A JPS62151551A (ja) | 1987-07-06 |
JPH0116910B2 true JPH0116910B2 (ja) | 1989-03-28 |
Family
ID=17762392
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29093485A Granted JPS62151551A (ja) | 1985-12-25 | 1985-12-25 | チタン合金冷間加工材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62151551A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4802930A (en) * | 1987-10-23 | 1989-02-07 | Haynes International, Inc. | Air-annealing method for the production of seamless titanium alloy tubing |
TW360551B (en) | 1997-04-16 | 1999-06-11 | Sumitomo Rubber Ind | Golf club head |
JP4921328B2 (ja) * | 2007-02-16 | 2012-04-25 | 株式会社リコー | 画像形成装置 |
US8233168B2 (en) | 2007-02-16 | 2012-07-31 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus for converting lights to generate and store electrical power |
-
1985
- 1985-12-25 JP JP29093485A patent/JPS62151551A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62151551A (ja) | 1987-07-06 |
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