JPH0116043Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は鋼管の内外表面や丸棒の表層部に発
生する欠陥を検出するための超音波探触子の改良
に関するものである。

まず、従来の超音波探触子について第１図ａ，
ｂを用いて説明する。

第１図ａは従来の超音波探触子の断面図と超音
波の伝播経路を示す図である。第１図ｂは従来の
超音波探触子による探傷波形図である。

第１図ａ，ｂにおいて１は振動子、２は楔、３
はケース、４はしきり板、５はケース３の中がし
きり板４で分割された水溜部、６は超音波の反射
板、７，８，９は超音波ビーム、１０は水取入
口、１１は水、油等の接触媒体、１２は被検材、
１３は欠陥、１４は送信パルス、１５は表面エコ
ー、１６は虚エコー、１７は欠陥エコー、１８は
カツプリングエコー、１９は探傷ゲートである。

超音波自動探傷装置においては欠陥の有無及び
大小の判定はすべて機械が自動的に処理するた
め、超音波が被検材１２に正常に伝播しているか
否かの音響結合状態の確認を行なう必要がある。
そのために超音波探触子の中にはしきり板４で分
割された水溜部５が設けられ、さらに上記水溜部
５の中には反射板６が設けられている。水、油等
の接触媒体１１は被検材１２に対向する楔２の面
に設けられた水取入口１０から入り、水溜部５に
充満される。

一方、振動子１より発生した超音波は楔２と接
触媒体１１を経由して被検材１２表面へ到達す
る。この被検材１２表面において超音波は大きく
３つの経路に分かれる。第１の経路は再び逆の経
路で振動子１へ戻るもので表面エコー１５として
現われる。第２の経路は被検材１２内部へ伝播
し、欠陥１３に到達し、再び逆経路で振動子１へ
戻るもので欠陥エコー１７として現われる。第３
の経路は水溜部５の方向へ伝播するものである
が、この時、超音波ビームには拡がりがあるた
め、中心の超音波ビーム７は反射板６まで到達
し、再び逆経路で振動子１へ戻り、カツプリング
エコー１８として現われるが、中心の超音波ビー
ム７以外の超音波ビーム９は水取入口１０に当た
りそこで反射して再び逆経路で振動子１へ戻り、
虚エコー１６として現われる。又、もう１つの超
音波ビーム８は、他の超音波探触子の方向へ伝播
し、自分自身の振動子１へは戻らない。

ここでカツプリングエコー１８のレベルと位置
を常に検知する事により、超音波探触子が正常に
動作している事や、超音波探触子と被検材１２と
の位置関係を含めた音響結合の確認が行なわれ
る。従つてこの機能を無くする事は出来ず、従来
の超音波探触子では、外形寸法を振動子１の寸法
に比べてかなり大きくして水取入口１０から発生
する虚エコー１６の影響を逃げていた。しかし、
この方法では超音波探触子の配列が粗くなるため
探傷処理速度を上げる事ができなかつた。又、探
傷処理速度優先の場合にはＳ／Ｎ比の悪い状態で
使用していた。

この考案はこの様な従来の欠点を大幅に改善
し、小形で、かつＳ／Ｎ比の良い超音波探触子を
提供するものである。

以下この考案の一実施例について第２図を用い
て詳述する。

第２図ａはこの考案による超音波探触子の断面
図と超音波の伝播経路を示す図である。第２図ｂ
はこの考案による超音波探触子を用いた時の探傷
波形図である。

第２図ａ，ｂにおいて１は振動子、２は楔、３
はケース、４はしきり板、５は水溜部、６は反射
板、７，８，９は超音波ビーム、１０はこの考案
によるケース３前面に設けた水取入口、１１は接
触媒体、１２は被検材、１３は欠陥、１４は送信
パルス、１５は表面エコー、１７は欠陥エコー、
１８はカツプリングエコー、１９は探傷ゲートで
ある。

この考案による超音波探触子においてはカツプ
リングエコー１８を検出するために設けられた水
溜部５への水の取入口がケース３の前面にあり、
被検材１２に対向する楔２の面には反射体となる
ものが存在しないため中心の超音波ビーム７以外
の超音波ビーム９もその伝播経路は中心の超音波
ビーム７と同じ経路となる。つまり探傷信号上で
も水の取入口１０から発生する虚エコー１６がな
くなるため、表面エコー１５とカツプリングエコ
ー１８の間の探傷ゲート１９の中には通常は何も
現われず、欠陥１３がある時だけ欠陥エコー１７
として現われ、Ｓ／Ｎ比が大幅に向上する事にな
る。

又、外形寸法も振動子１の寸法に近い値にでき
るため小形化が可能になる。

以上述べた様に、この考案はケースの前面に水
の取入口を設ける事により、音響結合の確認機能
を低下させずに、小形で、かつＳ／Ｎ比の良い超
音波探触子を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来の超音波探触子の断面図と超音
波の伝播経路を示す図、第１図ｂは探傷波形図、
第２図ａはこの考案による超音波探触子の断面図
と超音波の伝播経路を示す図、第２図ｂは探傷波
形図である。 図において、１は振動子、２は楔、３はケー
ス、４はしきり板、５は水溜部、６は反射板、
７，８，９は超音波ビーム、１０は水取入口、１
１は接触媒体、１２は被検材、１３は欠陥、１４
は送信パルス、１５は表面エコー、１６は虚エコ
ー、１７は欠陥エコー、１８はカツプリングエコ
ー、１９は探傷ゲートである。尚、図中同一ある
いは相当部分には同一符号を付して示してある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被検材と超音波探触子との間にギヤツプを設
   け、上記ギヤツプを水、油等の液体の接触媒質で
   満たして超音波探傷を行う超音波探触子におい
   て、超音波の送受信を行う振動子と、上記振動子
   を被検材の表面に対して所定の角度で固定する楔
   と、上記振動子の保護と、楔を固定するためのケ
   ースと、上記振動子への水の侵入を防ぐしきり板
   と、上記楔とケースとしきり板とに囲まれた水溜
   部と、上記水溜部の中に設けられた反射と、上記
   ケースの水溜部に当接する一面に上記水溜部につ
   ながる水取入口とを設けた事を特徴とする超音波
   探触子。