JPH0115951Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は１速段に回転クラツチを設けた自動
変速機において、上記１速段クラツチに、常時該
クラツチがオンされない程度の低油圧を供給する
ようにした油圧制御回路に関する。

従来遊星歯車機構を採用した自動変速装置にお
いては、１速段のプラネツトキヤリヤの回転を出
力軸へ伝達するのに回転クラツチを用いたものが
ある。このような変速機の回転クラツチには相対
回転部にピストンリング式の摺動シールを設けて
いるため、この部分から油圧のリークが多く、圧
力室内に油圧が充満してクラツチが接続されるま
でに時間を要する不具合があつた。

この考案はかかる不具合を改善する目的でなさ
れたもので、１速クラツチに、該クラツチが接続
されない程度の低圧を常時供給して、１速クラツ
チの立上りを改善した自動変速機の油圧制御回路
を提供して、１速クラツチに回転クラツチを採用
した変速機の応答性向上を図ろうとするのもであ
る。

以下この考案の一実施例を図面を参照して説明
する。図は前進３速後進３速の速度段を有する自
動変速機の油圧制御回路を示すもので、油圧ポン
プ１より吐出された油圧はプライオリテイバルブ
２、モジユレーシヨンバルブ３及びクイツクリタ
ーンバルブ４を介して主回路６に接続された切換
え弁群７へ供給される。上記切換え弁群７は図示
しない自動変速機の１速段に設けられたクラツチ
８の１速クラツチ８₁を制御する１速切換え弁７₁
と、２速クラツチ８₂を制御する２速切換え弁７₂
と、３速クラツチ８₃を制御する３速切換え弁７₃
及び前進クラツチ８₄を制御する前進切換え弁７₄
と、後進クラツチ８₅を制御する後進切換え弁８₅
とよりなり、回転クラツチよりなる１速クラツチ
８₁には、主回路６より分岐された回路６ａの途
中に設けられたレジユーシングバルブ５により、
上記１速クラツチ８₁の係合圧より低い圧力に減
圧された油圧が１速切換え弁７₁のポジシヨン７
ａおよびオリフイスを介して常時供給されている
と共に、この油圧は２速または３速切換え弁７₂，
７₃の操作時回路２０及び２速または３速切換え
弁７₂，７₃のポジシヨン７ｂよりドレンされるよ
うになつている。

また上記切換え弁７₁ないし７₅はパイロツト切
換え弁により構成されていて、油圧ポンプ１の吐
出圧の一部がパイロツトバルブ１０及びパイロツ
ト回路１１を介して各切換え弁７₁ないし７₅の両
端側に導入されていると共に、上記パイロツト回
路１１には緊急切換え弁１２を介して電磁弁１３
が接続されている。上記緊急切換え弁１２及び電
磁弁１３は各切換え弁７₁ない７₅毎に設けられて
いて、これら電磁弁１３の１個または複数個をオ
ンすると、その電磁弁１３の接続された切換え弁
７₁ないし７₅のパイロツト回路１１が、上記緊急
切換え弁１２の中立ポジシヨン１２ａを介してド
レンされ、これによつて切換え弁７₁ないし７₅の
１個ないし複数個がポジシヨン７ａよりポジシヨ
ン７ｂに切換えられて、この切換え弁７₁ないし
７₅により制御されるクラツチ８₁ないし８₅がオ
ンされるようになつている。

一方、一速ないし３速切換え弁７₁ないし７₃は
主回路６に直列接続されているのに対して、前進
切換え弁７₄及び後進切換え弁７₅は主回路６に並
列接続されていて、１速ないし３速切換え弁７₁
ないし７₃の優先回路に対して、前後進切換え弁
７₄，７₅は同時に切換えられなくなつている。す
なわち後進クラツチ８₅に通じる回路１５は回路
１６を介して前進切換え弁７₄に接続されていて、
前進切換え弁７₄の切換え時には後進クラツチ８₅
の回路１５が回路１６を介してドレンされるよう
になつており、これにより前進クラツチ８₄，８₅
が同時に入る所謂るダブルクラツチが防止される
ようになつている。

また各切換え弁７₁ないし７₅と各電磁弁１３間
のパイロツト回路１１に設けられた緊急切換え弁
１２は手動切換え弁であつて、中立ポジシヨン１
２ａよりドレンポジシヨン１２ｂへ手動により切
換えることにより、パイロツト回路１１をドレン
させることができる。

次に作用を説明すると、電磁弁１３のオフ時は
各切換え弁７₁ないし７₅に内装された圧縮ばね７
ｃの作用で各切換え弁７₁ないし７₅はポジシヨン
７ａに保持されており、１速クラツチ８₁を除く
各クラツチ８₂ないし８₅の油はドレンされている
と共に、回転クラツチよりなる１速クラツチ８₁
には回路６ａより１速クラツチ８₁の係合圧より
低い油圧が常時供給されていて、１速クラツチ８
_１の立ち上りを改善している。この状態から車両
を前進または後進すべく切換え弁７₄または７₅に
接続された電磁弁１３の一方と、１速切換え弁７
_１に接続された電磁弁１３をオンにすると、これ
ら切換え弁７₄または７₅及び７₁のパイロツト回
路１１がドレンされて、これら切換え弁７₄また
は７₅及び７₁がポジシヨン７ｂになり、主回路
６，６ａより各クラツチ８₄または８₅及び８₁に
油圧が供給されてこれらがオンとなり、車両は１
速で前進または後進を開始する。その後２速切換
え弁７₂及び３速切換え弁７₃と接続する電磁弁１
２が順次オンとなり、これに伴ない２速及び３速
切換え弁７₂，７₃もポジシヨン７ｂに順次切換え
られて自動変速機の変速段も１速から２速、２速
から３速へと自動的に切換えられる。またこのと
き１速クラツチ８₁に供給されていた低圧は回路
２０及び２速または３速切換え弁７₂，７₃のポジ
シヨン７ｂを経てドレンされるため、２速または
３速時１速クラツチ８₁が入る所謂るダブルクラ
ツチが防止できる。

この考案は以上詳述したように、１速クラツチ
に係合圧に達しない油圧を常時供給してリークさ
れる油圧を補償するようにしたことから、１速ク
ラツチへ油圧を供給することにより、瞬時に１速
クラツチが接続されるようになり、１速クラツチ
に回転クラツチを使用した自動変速機の応答性を
高めることができる。また２速、３速切換え弁の
切換え時には上記油圧はドレンされるため、２
速、３速選択時１速クラツチも接続される所謂る
ダブルクラツチも確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示す回路図であ
る。 ７₁ないし７₅は切換え弁、８₁は１速クラツチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １速段のクラツチ８₁に回転クラツチを使用し
   た自動変速機の前後進と各変速段を選択する複数
   個の切換え弁７₁ないし７₅と、これら切換え弁７
   _１ないし７₅に供給されたパイロツト圧をドレンさ
   せることにより各切換え弁７₁ない７₅を切換え制
   御する電磁弁１２を設けたものにおいて、上記１
   速段クラツチ８₁に、該クラツチ８₁の係合圧に達
   しない低圧を常時供給すると共に、２速及び３速
   切換え弁７₂，７₃の操作時この油圧を上記２速及
   び３速切換え弁７₂，７₃を介してドレンしてなる
   自動変速機の油圧制御回路。