JPH0115815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、蝶番のぎぼしの構造、特に蝶番軸筒
の下端に装着するぎぼしの構造、の改良に関する
ものである。

従来より、扉の取付作業（一般に吊り込みと呼
ぶ）の内、上下両蝶番の軸芯線を一致させること
（一般に芯出し、と呼ぶ）は、最も重要な作業で
ありながら、今まで上下軸芯の偏差を数量的に確
認し、これを修正する方法がなかつた。

従つて、扉を吊り込む場合には、蝶番の掘込量
を正確に掘り込んで、軸芯線をなるべく一致させ
るようにする以外に方法がなく、勘に頼つて取り
付けを修正していたのが実情であつた。

従つて、上下蝶番の軸芯線の不一致のために、
扉の軋り、開閉の不具合、を生じることが多く、
蝶番の取り付けに熟練を要し、かつ、蝶番の耐用
年数を縮める、という欠点があつた。

本案は、蝶番、特に軸芯の周囲に回動する軸筒
と、軸筒より同体に突出した羽根と、軸筒の上下
に突出したぎぼしと、より成る羽根蝶番、におい
て、頭部の中央に軸芯線方向の螺孔を有するぎぼ
しを、軸筒下端に装着し、該螺孔に着脱自在に螺
入した吊鈎の鈎底部を中心線上に在らしめたこ
と、を特徴とする蝶番を提供することにより、蝶
番を用いて扉を吊り込む場合、垂球と垂糸とを用
いて、上下両蝶番の軸芯線の偏差を量的に確認し
ながら、この偏差を除去し、扉の軋らない、開閉
の円滑な吊り込みを容易になしうるようにしたも
のである。

図について、本案実施の一例を説明すると、１
は蝶番の左羽根、２は右羽根、３は軸筒、４は軸
芯、５は上部ぎぼし、６は下部ぎぼし、７は吊
鈎、８は垂糸、９は垂球、である。

下部ぎぼし６には、その頭部１０の中央に軸芯
線１１方向の螺孔１２がある。

吊鈎７の１端は螺孔１２に適合する大きさの螺
子部１３になつており、他端は鈎状をなしてい
る。なお、該螺子部１３を該螺孔１２に螺入する
と、吊鈎７の鈎底部１４が必ず軸芯線１１上に来
るように鈎の形を定めてある。従つて、吊鈎７の
形は、図に示したように、Ｖ字形に作るのが最も
望ましい。

１５は上部蝶番、１６は下部蝶番、１７は柱、
１８は扉、である。

本案蝶番は図面及び上記説明の如くに構成され
ており、次のように使用する。

まず、上部蝶番１５の右羽根２を柱１７に、軸
芯線１１を正しく垂直にして、取り付ける。

次に、下部蝶番１６の右羽根２を柱１７に、軸
芯線１１を正しく垂直にして、仮止めする。

次に、上部蝶番１５の下部ぎぼし６の螺孔１２
に吊鈎７を螺入し、吊鈎７の鈎底部１４に垂糸８
を懸けて垂球９を垂下し、垂球９の先端が下部蝶
番１６の上部ぎぼし５の中心に殆んど接触するよ
うに垂糸８の長さを調節し、垂球９を静止させ
る。

すると、もし上下蝶番１５，１６の軸芯線１１
が一致しておらないときは、垂球９の先端と下部
蝶番１６の上部ぎぼし５の中心との間にくいちが
いができる。

そこで、このくいちがいを無くするため、仮止
めした下部蝶番１６の右羽根２を僅かに移動させ
て、垂球９の先端を下部蝶番１６の上部ぎぼし５
の中心と一致させる。

かくすると、上部蝶番１５の軸芯線と下部蝶番
１６の軸芯線とが完全に一致するので、上下蝶番
１５，１６の左羽根１に扉１８を螺着して扉１８
を吊ると、扉１８は極めて円滑に開閉して軋音を
発することもなく、蝶番羽根のジヨイント部の摩
耗もすくなく、従つて、蝶番の耐用年数も大きく
なる、という特徴がある。

また、軸芯線１１の偏差を垂球９の先端により
量的に確認しながら両蝶番の芯出しができるの
で、扉の吊り込みに熟練や勘を要することが無
く、迅速に作業をすることが出来る、という特徴
もある。

なお、螺孔１２は下部ぎぼし６を貫通していて
も良い。

また、図には建築用大型蝶番で、下部ぎぼし６
が軸芯４と別体の場合の例を示したが、軸芯４の
両端を軸筒３の上下に突出させて、この突出部を
かしめて、伏せ皿状のかしめぎぼしとした蝶番の
場合に於ても、下部のかしめぎぼしに螺孔１２を
設けて、この螺孔１２に吊鈎７を螺入することに
より、本案と全く同じ作用効果を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本案蝶番の１実施例の正面図で、要
部を断面で示したもの、第２図は、本案蝶番に用
いる下部ぎぼしの２面図で、イは断面図、ロは底
面図、第３図は、本案蝶番の使用法を説明するた
めの斜視図、第４図は、他の実施例の正面図で、
要部を断面で示したもの、第５図は、同じく、要
部の拡大説明図、である。 図において、３……軸筒、６……下部ぎぼし、
７……吊鈎、９……垂球、１１……軸芯線、１２
……螺孔である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 建築に用いる蝶番、特に、軸芯の周囲に回動す
   る軸筒と、軸筒より同体に突出した羽根と、軸筒
   の上下に突出したぎぼしと、より成る羽根蝶番、
   において、 頭部１０の中央に軸芯線１１方向の螺孔１２を
   有するぎぼし６を、軸筒３下端に装着し、 該螺孔１２に着脱自在に螺入した吊鈎７の鈎底
   部１４を中心線１１上に在らしめたこと、 を特徴とする蝶番。