JPH0112133Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は太陽熱及び発酵熱を利用した給湯装
置に関するもので、従来の太陽熱温水器の主要部
であるコレクターと貯湯槽のほかに、集熱された
太陽熱の蓄熱と蓄発熱材による発酵熱を与える蓄
発熱槽を設け、貯湯槽とコレクター内の温度差が
一定以上になると両者間に湯水を循環させて貯湯
槽の水温を上昇せしめ、該貯湯槽の水温が設定値
以上になるとその湯水を蓄発熱槽に循環させて蓄
発熱槽への蓄熱と発酵促進熱源の供給を行わし
め、この蓄発熱槽の蓄熱及び発酵熱を太陽熱の集
熱が不可能な時又は集熱可能量が少い時に放熱さ
せて給湯に利用する機構の装置を提供せんとする
ものである。

従来太陽熱を蓄熱槽に蓄熱してこれを二次放熱
させる装置として公知のものでは特開昭53−
113335号、同57−169552号等の公報中に記載され
た考案のように、コレクターで集熱された熱量を
大型の蓄熱槽内の蓄熱体へ放熱（熱交換）してこ
こに蓄熱し、これを必要に応じて二次放熱させて
利用する装置等がある。

しかしこれらの装置はいずれも蓄熱槽及び蓄熱
体の蓄熱容量に限りがあることと蓄放熱中の熱損
失等を考慮すれば、蓄熱槽も相当大きくしなけれ
ば実用性がなく、また蓄熱槽から長期的に高温水
を得るためにはヒーター等による補助熱源を付設
せざるを得ない場合が多いという問題がある。

この考案はこれらの問題を改善する装置を提供
せんとするもので以下図示する実施態様につき詳
述する。

第１図は本考案装置の要部を示す一部破断面斜
視図で、コンクリート、コンクリートブロツク、
発泡樹脂材等の保温性、断熱性に優れた断熱材３
１，３２に囲まれた蓄発熱槽１内には、内部に多
数の流水路３を形成したステンレス鋼、強化樹脂
等よりなるパネル状の熱交換素子２が垂直にしか
も一定間隔を保つて整列収容され、各熱交換素子
２の近傍には、内部に例えば糖類、おが屑又は籾
殻等の発酵性の素材、あるいは更に硬質の砂礫又
は高密度の玉石等の高蓄熱性の素材を含む蓄発熱
材４を収容したカートリツジケース３３が挿脱交
換自在に挿入されている。そして該カートリツジ
ケース３３と熱交換素子２はこれを整置収容せし
める中箱７内に挿入されている。

上記熱交換素子２の端部には温水の循環用給水
口５と排水口６が設けられ、中箱７を貫いてその
端面に突出しており、各給排水口５，６の端部は
給水ヘツダーパイプ８と排水ヘツダーパイプ９と
に連通されている。

上記各ヘツダーパイプ８，９は熱交換素子２の
配列に応じて設けられるとともに各列のヘツダー
パイプ８と同９はそれぞれ１本の往水管１０と復
水管１１に連通せしめられ、上記往水管１０と復
水管１１はともに蓄発熱槽１の外蓋１４又は周壁
を貫いて外部に導かれ、その端部は別途設けられ
た貯湯槽１２内の貯湯タンク１３内に開口してい
る。

上記貯湯タンク１３内には往水管１０、復水管
１１の他にタンク１３内の水位が一定以下に下る
とここに冷水を供給するフロート弁１５付の給水
管１６と、タンク下部に開口しコレクター２７
（第２図参照）に水を送るための送水管１７と、
タンク上部に開口し上記コレクター２７によつて
加熱（一次蓄熱）された温水を返送する返送管１
８と、タンク内の温水を風呂場等の消費部へ供給
する給湯管１９と、タンク内圧を解放し、規定量
以上の水を排出するオーバーフロー管２０（第２
図参照）とが各設けられている。

またタンク１３内にはその内部の温度を常時検
出しているサーモセンサー２１が挿入され、該サ
ーモセンサー２１は貯湯槽１２内における貯湯タ
ンク１３外の空間２２内に設けられたサーモコン
トローラー２３に電気的に接続されている。他
方、往水管１０、送水管１７、給湯管１９とには
上記空間２２内において、熱交換ポンプ２４と、
集熱ポンプ２５と、給湯ポンプ２６とが各管と対
応して設けられている。

このうち熱交換ポンプ２４はサーモセンサー２
１が貯湯タンク１３内の湯の温度が一定以上（例
えば45℃以上）になつたことを検知した場合にサ
ーモコントローラー２３より発せられる信号によ
り駆動され、熱交換素子２に温水を強制循環さ
せ、蓄発熱槽１への蓄熱及び蓄発熱材４の発酵を
促進するための熱源の供給を行うものである。一
方、集熱ポンプ２５は後述するようにコレクター
２７の取水口の水温が貯湯タンク１３内の水温よ
り一定以上（例えば２〜10℃以上）高くなつた場
合にこれを検出演算するサーモセンサー２８，２
９及び両センサーと接続された差温コントローラ
ー３０からの信号によりタンク１３内の低温水を
コレクター２７に循環させるように作動する。両
コントローラー２３，３０は共に貯湯槽１２内の
空間２２に一体に設けられ、コントローラー３０
はサーモセンサー２８，２９の前記温度差が解消
するまで、あるいは予め設定された一定時間ポン
プ２５を作動させる。給湯ポンプ２６は給湯管１
９より温水が排出消費されることによつて駆動開
始し、該排水を停止することによつて停止する。

第２図は本考案の実験装置の系統図で、送水管
１７と返送管１８の各先端は、複数枚（図示例で
は３枚）のコレクター２７の給水側と返送側に各
分岐して接続され、貯湯タンク１３とともに集熱
循環路を形成している。

上記機構においてコレクター２７による集熱が
可能な時は前述したように集熱ポンプ２５の駆動
により水を循環させて貯湯タンク１３内に常によ
り高温の湯水を貯留するように作動する。この作
動中に給湯管１９より温水が消費されるときは上
記貯湯タンク１３内に貯められた温水を供給する
ことができる。この場合給湯によつて消費された
タンク１３内の湯量の減少分は、フロート弁１５
によつて開閉される給水管１６から自動的に給水
補充される。

他方、天候不順や冬期等においてコレクター２
７による集熱が不可能若しくは集熱量が極めて少
い時に採湯する場合は、サーモコントローラー２
３内に設置したタイマーセツト（図示しない）を
作動させて熱交換ポンプ２４を一定時間（例えば
１〜４時間）運転し、蓄発熱槽１内に蓄熱されあ
るいは蓄発熱材４の発酵によつて得られた熱量を
熱交換素子２において採取し、貯湯タンク１３内
に温水を環流（二次放熱）させて貯湯し、これを
給湯することになる。上記熱交換ポンプ２４の運
転時間の長短は蓄発熱槽１内の蓄発熱量その他の
条件によつて決められる。

上記構成において年間を通じて最も効率良い熱
利用を実現するためには、多量の余剰熱量を得ら
れる夏季は主に蓄熱を行い、余剰熱量の少い冬期
にはそのより多量の熱量消費を可能にするために
補助熱源としての発酵熱を可能な限り多量に確保
することが望ましい。そのためには蓄発熱材４の
発酵サイクルが例えば６ケ月位の長期なものが理
想的であるが、３ケ月位のものでも十分使用可能
である。

また蓄発熱槽１内における蓄熱と発酵による発
熱を効率よく行うために、例えば複数の蓄発熱槽
を設置してそれぞれの発熱時期をずらして作動さ
せ順次それぞれの熱量を利用して行く機構にする
ことも可能であり、さらに蓄熱材と発酵材とを別
個のカートリツジに収納し、発酵材のカートリツ
ジは発酵熱の必要時期に応じ蓄熱材カートリツジ
と隣接せしめて蓄発熱槽内に収納することもでき
る。

この考案は以上の如く構成され、天候及び外気
温の変化の激しい年間を通じて蓄発熱材の蓄熱及
び発熱作用により安定的に一定以上の温水を得る
ことができるもので、電気や燃料等のエネルギー
源を必要とせずあるいはこれらのエルギー源を最
少限に節約できるほか、蓄発熱槽も従来の二次放
熱用の蓄熱槽に比して小型化できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の要部を示す一部断面斜視
図、第２図は同じくその系統図である。 １：蓄発熱槽、２：熱交換素子、３：流水路、
４：蓄発熱材、５：給水口、６：排水口、７：中
箱、８，９：ヘツダーパイプ、１０：往水管、１
１：復水管、１２：貯湯槽、１３：貯湯タンク、
１４：外箱、１５：フロート弁、１６：給水管、
１７：送水管、１８：返送管、１９：給湯管、２
０：オーバーフロー管、２１：サーモセンサー、
２２：空間、２３：サーモコントローラー、２
４：熱交換ポンプ、２５：集熱ポンプ、２６：給
湯ポンプ、２７：コレクター、２８，２９：サー
モセンサー、３０：差温コントローラー、３１，
３２：断熱材、３３：蓄発熱材カートリツジケー
ス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 太陽熱を集熱して水を加熱するコレクター２７
   と上記コレクター２７と水の循環が可能な如く接
   続される貯湯タンク１３と、該貯湯タンク１３内
   の水を別途循環させるように貯湯タンク１３に接
   続された熱交換素子２とを備えた装置において、
   上記熱交換素子２及び、該熱交換素子２のまわり
   に配置される発酵性の素材と高蓄熱性の素材をそ
   れぞれ相互に熱交換が可能な状態で収容する蓄発
   熱槽１を設けるとともに、前記コレクター２７側
   と貯湯タンク１３側の水温差の検出信号により両
   者間の水を強制循環せしめ、さらに貯湯タンク１
   ３内の水温上昇の検出信号により熱交換素子２と
   貯湯タンク１３間の水を強制循環させる温度セン
   サー付コントローラ３０，２３を設けてなる太陽
   熱及び発酵熱を利用した給湯装置。