JPH0111398Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、主蒸気隔離弁の分解組立装置に係わ
り、特に、主蒸気隔離弁の機構部を主蒸気隔離弁
と一体のフランジを利用してその軸線に沿つて脱
着させるようにした主蒸気隔離弁の分解組立装置
に関する。

「従来の技術」 一般に、原子力プラントの主蒸気配管には、該
主蒸気配管内を輸送される主蒸気を止めて隔離す
る主蒸気隔離弁が設置されている。そして、該主
蒸気隔離弁は、原子力プラントの定期点検時にお
いて、リークテスト等の各種点検を実施するため
に、その機構部やポペツトを取り外し、点検終了
後に再度主蒸気配管へ取り付けることが行なわれ
る。

従来、主蒸気隔離弁の機構部を取り外す場合、
例えば第６図に示すように、主蒸気隔離弁２近傍
の支持構造物９等に多数の吊上げ機（例えばチエ
ーンブロツク）１５を配設して、該吊上げ機１５
により主蒸気隔離弁２の機構部２ａを掛け止め
し、吊上げ機１５相互の吊上げ量を調整しつつ機
構部２ａを矢印で示すようにその軸線に沿つて直
線的に移動させるようにしている。

「考案が解決しようとする問題点」 しかしながら、このような技術によると、第６
図に示すように機構部２ａの移動方向が傾斜して
いる場合には、吊上げ機１５により上下方向およ
び斜め方向に機構部２ａを吊上げもしくは送り出
しながら移動させる調整が微妙で熟練作業者を必
要とし、作業時間が長期化し易いという問題点が
生じる。

そこで、本出願人は、実願昭59−7480号等によ
り「主蒸気隔離弁の分解組立装置」を提案して、
機構部にその移動を案内するガイドバーを接触さ
せることにより、機構部を主蒸気隔離弁の軸方向
に沿つて脱着する技術を開示している。

本考案はこの分解組立装置の改良を図つて提案
されたもので、機構部を主蒸気隔離弁の軸線に沿
つて脱着するとともに、該機構部の移動を案内す
るガイドバーを主蒸気隔離弁の軸線に平行に配設
する作業を正確かつ容易に行なうことを目的とす
る。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、機構部に接触してその移動を案内す
るガイドバーの先端に、主蒸気隔離弁と一体のフ
ランジに着脱可能に取り付けられてガイドバーを
主蒸気隔離弁の軸線に平行に固定するためのフラ
ンジクランプを設けたことを特徴とし、主蒸気隔
離弁と一体のフランジを利用して、ボルト孔明け
加工や溶接加工等を施すことなくフランジクラン
プによりガイドバーを取り付けるようにしたもの
である。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第６図
に基づいて説明する。

これらの図中符号１は、主蒸気隔離弁２の機構
部２ａを主蒸気配管３から取り外す引き上げ機構
である。該引き上げ機構１は、主蒸気隔離弁２の
機構部２ａに外側方から係脱自在なフツク４と、
該フツク４を第１図の矢印イ，ロで示す方向に往
復移動させるための例えばエアモータ、ウオーム
ギヤジヤツキ等を組み合わせてなる駆動部５と、
該駆動部５を支持するとともに前記フツク４と一
体に移動するローラ６を摺動自在に支持しかつ機
構部２ａと一体の車輪７に接触してその移動を案
内する相互に平行な一対のガイドバー８と、該ガ
イドバー８を回動自在に支持するとともに主蒸気
隔離弁２近傍の支持構造物９等に固定される固定
座１０とからなるものである。

そして、前記ガイドバー８の先端に、該ガイド
バー８を前記車輪７に接触させた状態で主蒸気隔
離弁２と一体のフランジ２ｂに着脱可能に取り付
けられるフランジクランプ１１が設けられてい
る。該フランジクランプ１１は、第２図および第
３図に示すように、前記フランジ２ｂの外周面か
ら上面にかけてかぎ状に接触させられる半割り可
能な環状に形成され、その径方向をガイドバー８
の軸方向と直交させた状態として各ガイドバー８
にそれぞれボルト１２により取り付けられてお
り、フランジ２ｂの外周部に巻き付けられた状態
で相互に締結ボルト１３により固定されるととも
に、止めねじ１４により回り止めされる構造であ
る。

このように構成される主蒸気隔離弁の分解組立
装置は、固定座１０を支持構造物９等に仮止めし
ておいて、ガイドバー８を機構部２ａの車輪７に
接触させた状態で、フランジクランプ１１を主蒸
気隔離弁２のフランジ２ｂに取り付けた後、前記
固定座１０を支持構造物９等に固定すると、ガイ
ドバー８を主蒸気隔離弁２の軸線と平行状態に固
定することができるものである。

したがつて、機構部２ａを主蒸気隔離弁２から
取り外す場合には、フツク４を機構部２ａに掛け
止めして、駆動部５により第１図の矢印イで示す
方向に移動することにより、機構部２ａをガイド
バー８に沿つて、すなわち主蒸気隔離弁２の軸線
に沿つて引き上げることができるものである。そ
して、第１図の鎖線位置まで引き上げられた機構
部２ａは、吊上げ機１５により吊上げ状態で点検
作業場所へ搬送され、該機構部２ａ等の各種点検
作業等を終えた後に、前述した操作と逆の手順に
より主蒸気隔離弁２に再度取り付けられる。

なお、主蒸気隔離弁２は原子炉運転中には熱伸
縮等により移動し易いため、分解組立作業が終了
した後には、ガイドバー８とフランジクランプ１
１とを結合しているボルト１２等を外しておくこ
とにより、主蒸気隔離弁２の移動を許容した状態
にすることが行なわれる。

この場合、回動自在な固定座１０が設けられて
いるから、該固定座１０を支持構造物９に取り付
けた状態としておけば、主蒸気隔離弁２の近傍に
保管しておくことができるとともに、再度の取り
付け作業の際にも、固定座１０を回動させながら
容易に取り付けることができる。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案の主蒸気隔離弁の
分解組立装置によれば、次のような効果を奏する
ことができる。

(i) フランジクランプの径方向とガイドバーの長
さ方向とが直交状態に設けられているから、主
蒸気隔離弁のフランジにフランジクランプを取
り付けるだけでガイドバーを主蒸気隔離弁の軸
線と平行に支持することができ、かつ、該フラ
ンジクランプがフランジの外周面から上面にか
けて接触するかぎ状に形成されているから、そ
の固定状態を確実かつ正確にし、ガイドバーに
より機構部を主蒸気隔離弁の軸線に沿つて正確
に案内し得て、主蒸気隔離弁の損傷等を防止す
ることができる。

(ii) 半割り可能なフランジクランプがフランジを
挾持した状態に取り付けられるから、配設現場
でのボルト孔明け加工、溶接加工等を施す必要
がなく、既設の原子炉であつても容易に取り付
け得て、被曝線量を低減することができる。

(iii) 使用しないときは、主蒸気隔離弁との係止を
解除しておくことにより、主蒸気隔離弁の熱伸
縮等による移動を許容し得て、主蒸気隔離弁の
機能に支障をきたすことがない。

この場合、回動自在な固定座により支持構造物
等に固定されるから、主蒸気隔離弁との係止を外
した状態でも、その近傍に保管し得るとともに、
再度の取り付け作業も容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図、第２
図は第１図の鎖線で示す部分の一部を断面にし
た拡大図、第３図ないし第５図はそれぞれ第１図
の−線ないし−線に沿う矢視断面図、第
６図は従来の主蒸気隔離弁の分解組立操作の一例
を示す概略図である。 １……引き上げ機構、２……主蒸気隔離弁、２
ａ……機構部、２ｂ……フランジ、３……主蒸気
配管、４……フツク、５……駆動部、６……ロー
ラ、７……車輪、８……ガイドバー、９……支持
構造物、１０……固定座、１１……フランジクラ
ンプ、１２……ボルト、１３……締結ボルト、１
４……止めねじ、１５……吊上げ機。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主蒸気隔離弁の分解組立装置において、主蒸気
   隔離弁の機構部を主蒸気隔離弁から取り外す引き
   上げ機構に、前記機構部に接触してその移動を案
   内するガイドバーを設けるとともに、該ガイドバ
   ーの上端部に、主蒸気隔離弁近傍の支持構造物等
   に固定される固定座を回動自在に設け、ガイドバ
   ーの下端部に、主蒸気隔離弁と一体のフランジに
   着脱可能に取り付けられるフランジクランプを設
   けてなり、該フランジクランプは、前記フランジ
   の外周面から上面にかけて接触されるかぎ状をな
   しているとともに、該フランジに挾持状態に取り
   付けられる半割り可能な環状に形成され、その径
   方向とガイドバーの長さ方向とを直交させた状態
   に設けられていることを特徴とする主蒸気隔離弁
   の分解組立装置。