JP7846846B2 - バイオメタン発酵設備 - Google Patents

バイオメタン発酵設備

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Description

本発明はバイオメタン発酵設備に関するものである。
特許文献1には、所定の割合で草本系バイオマスが混合され、所定の高さに盛られた盛土と、盛土を覆い、外周縁部が盛土の周囲に固定され、盛土を覆った状態で上部に位置する箇所に貫通孔が形成された遮水シートと、遮水シートに覆われた状態の盛土の周囲に湛えられた水と、を備えた従来のバイオメタン発酵設備が開示されている。
特開2019-147089号公報
しかし、このバイオメタン発酵設備は、冬期の気温低下に伴いバイオメタンの生産量が低下してしまうことがわかっている。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、冬期であってもメタン発酵を良好に行うことができるバイオメタン発酵設備を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のバイオメタン発酵設備は、
所定の割合でバイオマスが混合され、土壌の上に所定の高さに盛られた盛土と、
前記盛土を覆う遮水シートと、
前記遮水シートに覆われた状態の前記盛土の周囲に湛えられた水と、
を備え、
更に、上方から見た平面視において、前記盛土の周囲に配置されて前記遮水シートに覆われ、前記盛土と、前記土壌及び前記水と、の間に介在して設けられ、前記盛土と、前記土壌及び前記水と、の間の熱の伝達を遮断する断熱部材と、
前記盛土に埋設され、外部から供給された液体が内部を流通し、前記液体の熱を前記盛土に伝達するヒートパイプと、
を備え、
前記水は、前記土壌を介して前記盛土に供給される。
この構成によれば、ヒートパイプ内を流通する液体が有する熱によって盛土を温めつつ、断熱部材によって盛土と、土壌及び水と、の間の熱の伝達を遮断するので、盛土を良好に温めることができ、これによって、冬期であっても盛土内における嫌気発酵を良好に行わせることができる。
実施例1のバイオメタン発酵設備を示す断面図である。 実施例1のバイオメタン発酵設備において、盛土及び遮水シートを配置する前の状態を示す平面図である。 ヒートパイプを示す概略図である。 実施例1のバイオメタン発酵設備を用いた実験設備を示す概略図である。 図4に示す実験設備及び比較例1のバイオメタン発酵設備を用いて、所定の期間、盛土内の温度を測定した結果を示すグラフである。 実施例2のバイオメタン発酵設備を示す断面図である。 実施例3のバイオメタン発酵設備を示す断面図である。 実施例4のバイオメタン発酵設備を示す断面図である。
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
本発明のバイオメタン発酵設備の遮水シートは、気泡緩衝材であり得る。この場合、日光が気泡緩衝材に照射されることによって、気泡緩衝材に覆われた盛土を良好に温めることができる。
次に、本発明のバイオメタン発酵設備を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
<実施例1>
図1に示す実施例1のバイオメタン発酵設備10は、例えば、収穫後であり使用されていない田んぼ等に複数が設置される。バイオメタン発酵設備10はバイオメタンを発生することができる。バイオメタン発酵設備10から発生したバイオメタンはガスタンク(図示せず)に貯蔵され、ガスタンクに貯蔵されたバイオメタンは発電用エンジンや暖房用ガスバーナー等の各種機器(図示せず)に供給することができる。
ここで、バイオメタンとは、バイオマスである稲わらや雑草等の草本系バイオマス(以降、草本系バイオマスともいう)を混合した土を盛って畝状の盛土10Aにし、盛土10A中の微生物によって草本系バイオマスの還元的分解(メタン発酵)により生成される。つまり、稲わらや雑草等の草本系バイオマスを混合し畝状にした盛土10Aがバイオメタンの発生源である。生成されるバイオメタンは、メタン10~80%を含み、残りのほとんどは窒素や二酸化炭素の無毒かつ不燃性の気体成分である。バイオメタンは1気圧よりも僅かに高い圧力の低圧ガスである。また、盛土10A中の微生物は嫌気性であるため、メタン発酵を行うには盛土10Aの大部分が嫌気状態である必要がある。
バイオメタン発酵設備10は、畔板シート10Kと、断熱部材10Dと、ヒートパイプ10Eと、盛土10Aと、遮水シート10Bと、水10Cと、を備えている。盛土10Aを設置する設置領域Rの土壌Sは、上方からの平面視において、長方形状をなして、所定の深さに掘り下げられている。例えば、上方からの平面視において、設置領域Rの長手方向の寸法Lは、およそ400cmである(図2参照)。設置領域Rの短手方向の寸法Wは、およそ80cmである(図2参照)。
畔板シート10Kは、合成樹脂製であり、公知のものである。畔板シート10Kは、第1畔板シート10L、及び第2畔板シート10Mを有している。第1畔板シート10Lは、板厚方向を横向きにして、設置領域Rの外縁に沿って、配置されている。畔板シート10Kの上部は、掘り下げられていない土壌Sの表面よりも上方に突出している。第2畔板シート10Mは、板厚方向を横向きにして、第1畔板シート10Lと所定の寸法離間して、第1畔板シート10Lの内側に沿うように配置されている。第1畔板シート10L、及び第2畔板シート10Mの下端は、設置領域Rの底面に接触している。第2畔板シート10Mの上端は、第1畔板シート10Lの上端よりも下方に位置している。
断熱部材10Dは、発泡スチロールや発泡ウレタン等の、発泡して形成された合成樹脂製である。断熱部材10Dは、平板状をなした第1断熱部材10Hと、平板状をなした第2断熱部材10Jを有している。第1断熱部材10Hは、板厚方向を横向きにして、第1畔板シート10Lと第2畔板シート10Mとの間に配置されている。第1断熱部材10Hの下端は、設置領域Rの底面に接触している。第1断熱部材10Hの上端は、第1畔板シート10Lの上端と揃っている。上方からの平面視において、第1畔板シート10L、第1断熱部材10H、及び第2畔板シート10Mは、四角形状をなして設置領域Rの外縁部に配置されている(図2参照)。第2断熱部材10Jは、板厚方向を上下方向にして、第2畔板シート10Mの内側の設置領域Rの底面に接触して配置されている。第2断熱部材10Jの外周縁と、第2畔板シート10Mの内側の面との間は、所定の寸法離間した隙間Gが形成されている。
ヒートパイプ10Eには、株式会社箕浦製のC-tubeが用いられる。ヒートパイプ10Eは、図3に示すように、外筒10N、中筒10P、一対の閉塞部材10Q、及び液体10Rを有している。外筒10Nは、両端が開口した円筒状のアルミニウム製である。中筒10Pは、両端が開口した円筒状のアルミニウム製である。中筒10P内には、外部から供給された加熱された水等の液体が流通する。中筒10Pの外径は、外筒10Nの内径よりも小さい。中筒10Pは、外筒10Nに挿通されており、その両端部が外筒10Nの外部に突出するように配置されている。
閉塞部材10Qは、円柱状をなしており、外筒10Nの開口した両端部の各々を塞ぐ機能を有している。閉塞部材10Qには、中筒10Pが挿通される貫通孔10Sが形成されている。貫通孔10Sは、閉塞部材10Qの外径に対して偏芯して形成されている。これにより、中筒10Pは、外筒10Nに対して偏芯した位置に配置された状態が保持される。両端が閉塞部材10Qで閉塞された外筒10Nの内部であって、中筒10Pの外側の領域には、アンモニアやアルコール等の液体10Rが封入されている。
こうして構成されたヒートパイプ10Eには、図1に示すように、アルミニウム製の金属板10Tが沿うように連結される。ヒートパイプ10Eは、軸線方向を横向きにして2つが横方向に並び、第2断熱部材10Jの上面に配置される。各ヒートパイプ10Eの軸線方向は、設置領域Rの長手方向に向いている(図2参照)。金属板10Tは、ヒートパイプ10Eの上方に配置され、中筒10Pは、外筒10Nに対して下側に偏芯した位置に配置される。外筒10Nから突出した中筒10Pの両端部には、ホースHが連結される(図3参照)。ホースHは、第1畔板シート10L、第1断熱部材10H、及び第2畔板シート10Mを貫通して外部に引き出される(図2参照)。ヒートパイプ10E、及び第2断熱部材10Jは、掘り下げられていない土壌Sの表面よりも下方に配置される。
盛土10Aには、稲わらや雑草等の草本系バイオマスが所定の割合(およそ14kg/m2)で混合される。草本系バイオマスを盛土10Aに混合する場合、鍬や耕耘機等を用いて混合する。また、ミキサ等を用いて草本系バイオマスと盛土10Aとを混合してもよい。盛土10Aは、第2畔板シート10Mに囲まれた領域であって、第2断熱部材10Jの上方の設置領域Rに配置され、掘り下げていない土壌Sの表面から所定の高さに突出するように盛られる。例えば、盛土10Aは、第1畔板シート10Lの上端の高さまで盛られる。こうして、ヒートパイプ10Eは、盛土10Aに埋設される。設置領域Rに盛られた盛土10Aは、一方向に延びた畝状に形成される。上方からの平面視において、第1断熱部材10Hは、盛土10Aの周囲に配置される。
遮水シート10Bは、可撓性を有した合成樹脂製である。遮水シート10Bは、シート状をなして所定の幅を有し、一方向に長く形成されている。遮水シート10Bの幅の寸法は、およそ200cmである。遮水シート10Bは、畔板シート10K、断熱部材10D、及び盛土10Aを覆うように配置される。遮水シート10Bの外周縁部は、盛土10Aの周囲の土壌S(掘り下げられていない土壌S)の表面を覆うように配置され、更に、土壌Sが被せられる。これによって、遮水シート10Bは、盛土10Aを覆った状態で、外周縁部が盛土10Aの周囲近傍の土壌Sに固定される。遮水シート10Bの外周縁部に石や鉄パイプ等を錘として載置してもよい。
例えば、遮水シート10Bには、貫通孔10Fが形成されている。貫通孔10Fは、遮水シート10Bが盛土10Aを覆った状態で、盛土10Aの上部に位置する箇所に配置されている。例えば、貫通孔10Fには、通気管10Gの一端が連通して気密に連結される。通気管10Gの他端は、例えば、バイオメタン発酵設備10が設置された現場の近傍に設置されたガスタンク(図示せず)等に気密に連結される。通気管10Gには、通気管10Gの一端と他端とを連通する連通状態、及び連通しない非連通状態とに切り替え自在な開閉弁(図示せず)が設けられる。
水10Cは、遮水シート10Bに覆われた状態の盛土10A、畔板シート10K、断熱部材10D、及びヒートパイプ10Eの周囲(掘り下げられていない土壌Sの上方)に湛えられる。水10Cの水面は、盛土10Aの高さよりも低い。こうしてバイオメタン発酵設備10が形成される。第1断熱部材10Hは、盛土10Aと、土壌S及び水10Cとの間に介在して設けられる。このため、第1断熱部材10Hは、盛土10Aと、土壌S及び水10Cとの間の熱の伝達を遮断する。第2断熱部材10Jは、盛土10Aと、土壌Sとの間に介在して設けられる。このため、第2断熱部材10Jは、盛土10Aと、土壌Sとの間の熱の伝達を遮断する。つまり、断熱部材10Dは、少なくとも盛土10Aと、土壌Sとの間の熱のやり取りを遮断する。
バイオメタン発酵設備10は、盛土10Aの周囲に湛えられる水10Cによって盛土10Aが押圧される。これによって、バイオメタン発酵設備10が設置された初期に盛土10Aの中の空気を押出すことができ、盛土10A内を早期に嫌気状態にすることができる。このため、盛土10A内におけるメタン発酵を早期に活発化させることができる。更に、盛土10Aの周囲に水10Cが湛えられており、水10Cは、土壌S、及び隙間Gを介して盛土10Aに供給される。このため、盛土10A内が長期に嫌気状態を維持することができる。これにより、このバイオメタン発酵設備10は、良好(早期かつ長期間)にメタン発酵することができる。
バイオメタン発酵設備10は、盛土10Aの温度がおよそ15℃以上の場合に盛土10A内においてメタン発酵が活発に行われる。バイオメタン発酵設備10において生成されたバイオメタンは、遮水シート10Bに捕捉され、遮水シート10Bに形成された貫通孔10F、及び貫通孔10Fに連結された通気管10Gを介してガスタンク等に流入する。こうして、バイオメタン発酵設備10において発生したバイオメタンは、ガスタンク等で貯蔵することができる。
次に、バイオメタン発酵設備10を用いて行った実験結果について図面を参照しつつ説明する。この実験を行うにあたり、図4に示すような実験設備Fを準備した。具体的には、実験設備Fは、3つのバイオメタン発酵設備10、ボイラーBo、及び複数の温度測定器T1,T2,T3を有している。3つのバイオメタン発酵設備10は、互いの長手方向の向きを揃えた状態にして、短手方向に並べられている。
ボイラーBoには、例えば、灯油を燃焼させることによって、水を加熱する機能を有した公知のものを用いる。ボイラーBoは、バイオメタン発酵設備10の近傍に配置されている。ボイラーBoは、水が流出する流出口B1と、水が流入する流入口B2と、を有している。ボイラーBoの流出口B1には、各バイオメタン発酵設備10の一方側から引き出されたホースHが連結している。ボイラーBoの流入口B2には、各バイオメタン発酵設備10の他方側から引き出されたホースHが連結している。更に、各バイオメタン発酵設備10の一方側から引き出されたホースHの各々には、弁Vが設けられている。弁Vには、例えば、減圧弁や流量弁が用いられる。これによって、ボイラーBoにおいて加熱された水は、流出口B1から各バイオメタン発酵設備10の一方側から引き出されたホースHを介してヒートパイプ10Eの中筒10Pに流入した後、中筒10Pから流出し、各バイオメタン発酵設備10の他方側から引き出されたホースHを介してボイラーBoの流入口B2に流入する。これによって、ヒートパイプ10Eは、外部から供給された加熱された水(液体)が中筒10Pの内部を流通し、加熱された水の熱を盛土10Aに伝達することができる。
実際にこのバイオメタン発酵設備10を用いる場合には、例えば、鶏舎の暖房に用いた温水や、住居の床暖房に用いた温水や、太陽光によって温められた水等をヒートパイプ10Eの中筒10Pに流入させることが考えられる。
複数の温度測定器T1,T2,T3には、公知の温度センサが用いられる。温度測定器T1は、各バイオメタン発酵設備10の一端部に配置される。温度測定器T2は、各バイオメタン発酵設備10の長手方向の中央部に配置される。温度測定器T3は、各バイオメタン発酵設備10の他端部に配置される。
温度測定器T1,T3は、2つのヒートパイプ10Eの間、すなわち、ヒートパイプ10Eの近傍であって、盛土10Aの下部に配置する。そして、温度測定器T2は、一方のヒートパイプ10Eと、第2畔板シート10Mとの間であって、ヒートパイプ10Eよりも上方、すなわち、盛土10Aの上部に配置する。
また、バイオメタン発酵設備10のうち畔板シート10Kと、断熱部材10Dと、ヒートパイプ10Eと、を省略して形成したバイオメタン発酵設備を比較例1として準備した。比較例1のバイオメタン発酵設備は、畔板シート10Kと、断熱部材10Dと、ヒートパイプ10Eと、を用いていない点がバイオメタン発酵設備10と異なっており、その他の構成は、バイオメタン発酵設備10と同様であるので、詳細の説明を省略する。比較例1のバイオメタン発酵設備の盛土10A内における長手方向の中央部であって、盛土10Aの上部には、温度測定器T2を配置した。
実験設備F、及び比較例1のバイオメタン発酵設備は、令和3年10月12日に施工した。水10Cは、令和3年10月22日に供給を開始し、令和3年11月10日に排水した。更に、水10Cは、令和3年11月12日に再び供給を開始した。そして、施工した日(令和3年10月12日)から19日目、26日目、33日目、38日目、及び53日目に、各温度測定器T1,T2,T3を用いて実験設備F及び比較例1のバイオメタン発酵設備の各々の盛土10A内の温度を測定した。なお、ヒートパイプ10Eに供給する水の温度は、40℃とした。
図5に示す、各温度測定器T1,T2,T3の測定値は、実験設備Fにおける3つのバイオメタン発酵設備10のうちの1つものを示している。図5における0日目が令和3年10月12日である。図5に示すように、施工日から19日目において、比較例1の盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ15℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ18℃であった。
施工日から26日目において、比較例1の盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ14℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ19℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の一端部(加熱された水が流入する側)における温度測定器T1による測定値は、およそ24.5℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の他端部(加熱された水が流出する側)における温度測定器T1による測定値は、およそ24℃であった。
施工日から33日目において、比較例1の盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ10℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ18℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の一端部における温度測定器T1による測定値は、およそ25℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の他端部における温度測定器T3による測定値は、およそ23℃であった。
施工日から38日目において、比較例1の盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ10℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ15℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の一端部における温度測定器T1による測定値は、およそ24℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の他端部における温度測定器T3による測定値は、およそ20℃であった。
施工日から53日目において、比較例1の盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ8℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度測定器T2による測定値は、およそ14℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の一端部における温度測定器T1による測定値は、およそ24℃であった。そして、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の他端部における温度測定器T3による測定値は、およそ21℃であった。
比較例1の盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度は、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の中央部における温度よりも常に低い状態であることがわかった。また、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の一端部における温度は、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の他端部における温度よりも常に高い状態であることがわかった。
更に、実験設備Fの盛土10Aにおける長手方向の両端部(すなわち、ヒートパイプ10Eの近傍であって、盛土10Aの下部)における温度は、比較例1及び実験設備Fの各々盛土10Aにおける長手方向の中央部(すなわち、盛土10Aの上部)における温度よりも常に高い状態であることがわかった。
次に、上記実施例における作用を説明する。
バイオメタン発酵設備10は、所定の割合でバイオマスが混合され、土壌Sの上に所定の高さに盛られた盛土10Aと、盛土10Aを覆う遮水シート10Bと、遮水シート10Bに覆われた状態の盛土10Aの周囲に湛えられた水10Cと、を備えている。更に、バイオメタン発酵設備10は、上方から見た平面視において、盛土10Aの周囲に配置されて遮水シート10Bに覆われ、盛土10A
と、土壌S及び水10Cと、の間に介在して設けられ、盛土10Aと、土壌S及び水10Cと、の間の熱の伝達を遮断する断熱部材10Dと、盛土10Aに埋設され、外部から供給される加熱された水が内部を流通し、加熱された水の熱を盛土10Aに伝達するヒートパイプ10Eと、を備え、水10Cは、土壌Sを介して盛土10Aに供給される。
この構成によれば、ヒートパイプ10E内を流通する加熱された水が有する熱によって盛土10Aを温めつつ、断熱部材10Dによって盛土10Aと、土壌S及び水10Cと、の間の熱の伝達を遮断するので、盛土10Aを良好に温めることができ、これによって、冬期であっても盛土10A内における嫌気発酵を良好に行わせることができる。
<実施例2>
次に、実施例2のバイオメタン発酵設備30について、図を参照しつつ説明する。実施例2のバイオメタン発酵設備30は、設置領域Rにおける土壌Sが掘り下げられてない点、畔板シート10Kの配置の形態、断熱部材10Dの配置の形態、及び気泡緩衝材30Aが用いられる点等が実施例1と相違する。実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
バイオメタン発酵設備30は、図6に示すように、盛土10Aを設置する設置領域Rの土壌Sは、掘り下げられていない。つまり、設置領域Rは、その周囲の土壌Sの表面と同じ高さである。
畔板シート10Kは、板厚方向を横向きにして、設置領域Rの外縁に沿って、配置される。畔板シート10Kは、土壌Sの表
面から立ち上がるように設けられる。断熱部材10Dは、板厚方向を上下方向にして、畔板シート10Kの内側の設置領域Rの表面に沿って配置されている。断熱部材10Dの外周縁と、畔板シート10Kの内側の面との間は、所定の寸法離間した隙間G2が形成されている。
ヒートパイプ10Eは、アルミニウム製の金属板10Tが沿うように連結され、断熱部材10Dの上に軸線方向を横向きにして2つが横方向に並んで配置される。中筒10Pの両端部に連結されたホースHは、畔板シート10Kを貫通して外部に引き出される(図示せず)。ヒートパイプ10E、及び断熱部材10Dは、掘り下げられていない土壌Sの表面よりも上方に配置される。
盛土10Aは、畔板シート10Kに囲まれた領域であって、断熱部材10Dの上方の設置領域Rに配置され、畔板シート10Kの上端よりも上方に突出するように山状に盛られる。
気泡緩衝材30Aは、可撓性を有した合成樹脂製であり、主に物品を梱包する際に用いられる公知のものである。気泡緩衝材30Aは、シート状であり所定の幅を有し、一方向に長く形成される。気泡緩衝材30Aは、畔板シート10K、断熱部材10D、及び盛土10Aを覆うように配置される。気泡緩衝材30Aは、遮水シートとしての機能も有している。つまり、気泡緩衝材30Aは、遮水シートである。遮水シート10Bは、気泡緩衝材30Aに重なるように配置される。例えば、気泡緩衝材30A、及び遮水シート10Bの外周縁部は、畔板シート10Kの外側の面に沿うように配置されるとともに、盛土10Aの周囲の土壌Sを覆うように配置される。そして、気泡緩衝材30A、及び遮水シート10Bの外周縁部のうちの、土壌Sを覆う部分には、土壌Sが被せられる。
例えば、気泡緩衝材30Aには、貫通孔30Bが形成されている。貫通孔30Bは、遮水シート10Bの貫通孔10Fに連通している。例えば、貫通孔30B及び貫通孔10Fには、通気管10Gの一端が連通して気密に連結される。
水10Cは、気泡緩衝材30A及び遮水シート10Bに覆われた状態の盛土10Aの周囲に湛えられる。水10Cの水面は、盛土10Aの高さよりも低い。こうしてバイオメタン発酵設備30が形成される。
バイオメタン発酵設備30の遮水シートは、気泡緩衝材30Aである。この構成によれば、日光が気泡緩衝材30Aに照射されることによって、気泡緩衝材30Aに覆われた盛土10Aを良好に温めることができる。
<実施例3>
次に、実施例3のバイオメタン発酵設備50について、図を参照しつつ説明する。実施例3のバイオメタン発酵設備50は、畔板シートを用いない点、断熱部材50Dとして稲わらが用いられる点、支柱30Cが用いられる点、遮水シート10Bと盛土10Aとの間に充填空間Jが形成され、ここに発生したバイオメタンが満たされる点等が実施例1、2と相違する。実施例1、2と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
バイオメタン発酵設備50は、図7に示すように、盛土10Aを設置する設置領域Rの土壌Sは、掘り下げられていない。つまり、設置領域Rは、その周囲の土壌Sの表面と同じ高さである。断熱部材50Dには、稲わらが用いられる。断熱部材50Dは、設置領域Rの表面に沿って配置されている。断熱部材50Dには、多数の隙間G3が形成されている。
ヒートパイプ10Eは、アルミニウム製の金属板10Tが沿うように連結され、断熱部材50Dの上に軸線方向を横向きにして2つが横方向に並んで配置される。このとき、金属板10Tは、ヒートパイプ10Eの下方に配置され、中筒10Pは、外筒10Nに対して下側に偏芯した位置に配置される。ヒートパイプ10E、及び断熱部材50Dは、掘り下げられていない土壌Sの表面よりも上方に配置される。盛土10Aは、断熱部材50Dの上方の設置領域Rに配置され山状に盛られる。
更に、断熱部材50Dである稲わらが盛土10A全体を覆うように配置される。そして、断熱部材50Dで覆われた盛土10Aを短手方向に跨ぐように、弧状に形成された支柱30Cが設けられる。支柱30Cの下端部は、土壌Sに差し込まれる。支柱30Cには、金属製の公知のものを用い得る。
遮水シート10Bは、断熱部材50Dに覆われた盛土10A及び支柱30Cを覆うように配置される。遮水シート10Bと、断熱部材50Dに覆われた盛土10Aとの間には、支柱30Cによって離間した充填空間Jが形成される。盛土10Aから発生したバイオメタンは、この充填空間Jを満たす。バイオメタンは、断熱する効果を有するので、充填空間Jにバイオメタンが満たされることによって、盛土10Aが外気によって冷却されることを防止することができる。
また、盛土10Aの下方に位置する断熱部材50Dには、多数の隙間G3が形成されているので、水10Cは、土壌S及び断熱部材50Dを介して盛土10Aに良好に供給される。
<実施例4>
次に、実施例4のバイオメタン発酵設備70について、図を参照しつつ説明する。実施例3のバイオメタン発酵設備70は、断熱部材としてアルミニウムが蒸着された蒸着シート70Aが用いられる点等が実施例1、2、3と相違する。実施例1、2、3と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
バイオメタン発酵設備70は、図8に示すように、盛土10Aを設置する設置領域Rの土壌Sが掘り下げられている。ヒートパイプ10Eは、設置領域Rの底面に軸線方向を横向きにして2つが横方向に並んで配置される。金属板10Tは、ヒートパイプ10Eの上方に配置され、中筒10Pは、外筒10Nに対して下側に偏芯した位置に配置される。盛土10Aは、設置領域Rに配置され土壌Sよりも上方に突出するように山状に盛られる。
蒸着シート70Aは、可撓性を有したPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂製である。蒸着シート70Aは、シート状であり所定の幅を有し、一方向に長く形成される。蒸着シート70Aの一方の面には、アルミニウムが蒸着されている。一枚目の蒸着シート70Aは、一方の面(アルミニウムを蒸着した面)を外向きにして盛土10Aを覆うように配置される。そして、気泡緩衝材30Aは、一枚目の蒸着シート70Aに重なるように配置される。更に、二枚目の蒸着シート70Aは、一方の面(アルミニウムを蒸着した面)を気泡緩衝材30Aに対向する向きで気泡緩衝材30Aに重なるように配置される。つまり、2つの蒸着シート70Aは、アルミニウムを蒸着した面を対向する向きに配置される。2つの蒸着シート70A、及び気泡緩衝材30Aの外周縁部は、設置領域Rの外縁であって、土壌Sと盛土10Aとの間に埋設される。例えば、蒸着シート70Aの各々には、貫通孔70Bが形成されている。これら貫通孔70Bは、気泡緩衝材30Aの貫通孔30Bに連通している。例えば、貫通孔30B及び貫通孔70Bには、通気管10Gの一端が連通して気密に連結される。
水10Cは、2つの蒸着シート70A、及び気泡緩衝材30Aに覆われた状態の盛土10Aの周囲に湛えられる。2つの蒸着シート70A、及び気泡緩衝材30Aは、遮水シートとしての機能を有する。盛土10Aは、設置領域Rの底面に直接的に盛られている。このため、水10Cは、土壌S及び設置領域Rの底面を介して、盛土10Aに供給される。水10Cの水面は、盛土10Aの高さよりも低い。
また、盛土10Aは、設置領域Rの底面に直接的に盛られているので、水10Cは、土壌S及び設置領域Rの底面を介して盛土10Aに良好に供給される。こうしてバイオメタン発酵設備70が形成される。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1から4に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1から4とは異なり、草本系バイオマスの種類や大きさに制限はない。また、長径が1cm以下に粉砕、裁断された木質系バイオマスや、この木質系バイオマスを原料とした農林畜産業由来廃棄物(例えば、キノコ栽培後の廃菌床等)であってもよい。この場合でもメタン発酵を行うことができる。
(2)実施例1から4とは異なり、盛土の形状を正方形や円形等、他の形状であってもよい。
(3)実施例1から4とは異なり、空き地などで漏水しない環境を整備することができれば、実施場所は制限されない。また、盛土が配置される場所は土壌の上でなくてもよく、地面を掘り下げて、漏水防止措置を施した上に盛土を配置してもよい。
(4)盛土に草本系バイオマスが混合される量は実施例1から4と異なっていてもよい。
(5)遮水シート、気泡緩衝材、蒸着シートの幅は、実施例1から4と異なっていてもよい。
(6)実施例4とは異なり、蒸着シートにPET以外の合成樹脂を用いてもよく、アルミニウム以外の金属を蒸着してもよい。
(7)ヒートパイプの中筒を流通する水の温度は、40℃未満でも40℃よりも高くてもよい。
10,30,50,70…バイオメタン発酵設備
10A…盛土
10B…遮水シート
10C…水
10D,50D…断熱部材
10E…ヒートパイプ
30A…気泡緩衝材(遮水シート)
70A…蒸着シート(遮水シート)

Claims (2)

  1. 所定の割合でバイオマスが混合され、土壌の上に所定の高さに盛られた盛土と、
    前記盛土を覆う遮水シートと、
    前記遮水シートに覆われた状態の前記盛土の周囲に湛えられた水と、
    を備え、
    更に、上方から見た平面視において、前記盛土の周囲に配置されて前記遮水シートに覆われ、前記盛土と、前記土壌及び前記水と、の間に介在して設けられ、前記盛土と、前記土壌及び前記水と、の間の熱の伝達を遮断する断熱部材と、
    前記盛土に埋設され、外部から供給された液体が内部を流通し、前記液体の熱を前記盛土に伝達するヒートパイプと、
    を備え、
    前記断熱部材は、第1断熱部材であり、
    前記土壌の上且つ前記盛土の下に配置される第2断熱部材を備え、
    前記第2断熱部材の外周縁と前記第1断熱部材の下端部との間には、隙間が形成されており、
    前記水は、前記土壌及び前記隙間を介して前記盛土に供給されるバイオメタン発酵設備。
  2. 前記遮水シートは、気泡緩衝材である請求項1に記載のバイオメタン発酵設備。
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