JP2020146602A - バルーン型発酵槽及び当該バルーン型発酵槽を備えるバイオガス発電システム - Google Patents

バルーン型発酵槽及び当該バルーン型発酵槽を備えるバイオガス発電システム Download PDF

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Abstract

【課題】バイオガス発電システムにおいてバルーン型発酵槽を確実且つ効果的に加熱する。【解決手段】熱媒体が流れる媒体流路及び当該媒体流路を保持する基材を含む柔軟な板状の加熱部材を、バルーン型発酵槽の本体部の内部空間に収容されている発酵原料及び消化液(内容液)に対して対向し且つ本体部の外表面に接触するように配設する。これによりバイオガスの滞留状況に応じた本体部の伸縮及び/又は変形に加熱部材が追従することができ、本体部の内部空間に収容されている内容液を確実且つ効果的に加熱することができる。バイオガスを燃料として用いる内燃機関によって駆動される発電機を備えるバイオ発電システムにおいては、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を加熱部材の媒体流路に循環させることにより、本体部の内部空間に収容されている内容液を嫌気性発酵に好適な温度に容易に維持することができる。【選択図】図17

Description

本発明は、バルーン型発酵槽及び当該バルーン型発酵槽を備えるバイオガス発電システムに関する。
当該技術分野においては、発電機を駆動する動力源としての内燃機関を備え、当該発電機によって発電される電力のみならず、当該内燃機関からの排熱をも利用して、高いエネルギー効率を達成するエネルギー供給システムとして、多種多様な発電システムが広く普及している。
例えば、特許文献1には、発電装置と、発電装置の排熱を受熱する熱媒体が流通する熱交換器と、熱媒体の温度を調整するボイラと、電力負荷状況及び熱負荷状況に応じて発電装置及びボイラを制御する制御装置と、を備える発電システムであって、運転モードとして、ボイラの燃焼を停止させ且つ熱負荷状況に応じて発電装置の発電量を制御することにより熱媒体の温度を調整する熱主運転モードを備える発電システムが開示されている。当該発電システムによれば、発電装置を構成する内燃機関の冷却水の熱によって暖められた温水を住宅用床暖房等の熱負荷に供給することにより、発電装置によって発電される電力と併せて、システム全体としてのエネルギー効率を高めると共に静粛性を向上させることができる。
一方、例えば酪農等の分野においては、例えば家畜糞尿等の有機性廃棄物のメタン菌群類等の嫌気性微生物によるメタン発酵に伴って発生するバイオガスを内燃機関の燃料として利用する所謂「バイオガス発電システム」が知られている。このようなバイオガス発電システムによれば、発電機を駆動する動力源としての内燃機関の燃料を有機性廃棄物から発生させることができるので、ランニングコストの削減のみならず、炭酸ガスの発生に起因する地球環境への負荷の軽減をも達成することができる。但し、バイオガスを効率的に発生させるためには、有機性廃棄物の発酵が行われる発酵槽(「ダイジェスタ」とも称呼される)の温度を有機性廃棄物の嫌気性発酵に好適な温度に維持することが肝要である。
そこで、例えば、特許文献2には、上部が開放したメタン発酵槽の外側に温水槽を周設し、メタン発酵槽の開放上部を浮屋根式ガスホルダによって覆い、ガスホルダの側壁を温水槽の加温水中に上下に浮動可能に挿入した、有機性廃棄物よりバイオガスを発生させるガスホルダ一体型メタン発酵槽において、メタン発酵槽から得られるバイオガスをガスエンジン発電ユニットに供給して電力を得ると共に、温水槽の水をガスエンジン発電ユニットの熱交換器に通し、温度が上昇した循環水を温水槽に戻すことにより、同槽の温度を上昇させてメタン発酵槽の加温に利用するガスホルダ一体型メタン発酵槽が開示されている。当該バイオガス発電システムによれば、ガスホルダ一体型メタン発酵槽におけるランニングコストを削減することができる。
また、例えば、特許文献3には、地中に埋設されたメタン発酵槽において発生するバイオガスを燃料とする発電機によって発電される電力を植物栽培施設の照明及びメタン発酵設備の動力等に利用すると共に、発電機からの排熱を植物栽培施設の冷暖房及びメタン発酵設備の保温のための熱源として利用し且つメタン発酵槽の保温筒が埋設された敷地内の地中熱をも植物栽培施設の冷暖房の熱源として利用することが開示されている。当該バイオガス発電システムによれば、植物栽培施設を稼働させるための熱源及び電力等のエネルギーコストを抑制することができる。
しかしながら、上記を始めとする従来技術に係るバイオガス発電システムは、大がかり且つ複雑な構成を有するため、システムの構築に要するコスト及び労力が大きく、また、メンテナンスコスト等のランニングコストも大きい。メタン発酵槽の保温筒及び熱媒体としての温水の循環路を地中に埋設する場合はシステムの構築に要するコスト及び労力が更に増大する。このため、有機性廃棄物から発生するバイオガスを内燃機関の燃料として使用することによるランニングコストの削減効果によるシステムの構築コストの償却期間は長期化する。
ところで、上述した従来技術に係るバイオガス発電システムが備えるメタン発酵槽及び保温筒等は金属製であり且つ保温材はコンクリート製であり、このことが当該システムの構築に要するコスト及び労力並びにランニングコストの増大の大きな要因となっている。そこで、昨今では、例えば防水性テキスタイル等によって構成された柔軟なバルーン型の容器を発酵槽として採用するバイオガス発電システムが普及しつつある。これによれば、システムの構築に要するコスト及び労力並びにランニングコストを大幅に低減することができる。
尚、上記のようなバルーン型の容器を発酵槽として採用する場合においても、発酵槽の温度を有機性廃棄物の嫌気性発酵に好適な温度に維持することが肝要であることに変わりは無い。従って、例えばバイオガス発電システムが設置される場所が温暖な気候を有する場合等を除き、発酵槽の温度を有機性廃棄物の嫌気性発酵に好適な温度に維持するための加熱装置が必須である。
しかしながら、上述した従来技術に係るバイオガス発電システムが備える加熱装置は、例えば金属製の発酵槽の外側に周設された温水槽及び発酵槽の外周若しくは内部に形成された温水の循環路等によって構成されており、発酵槽及び保温筒等と同様に剛直な材料(例えば金属等)によって形成された剛直な構造を有する(即ち、固定された大きさ及び形状を有する)。ところが、上述したような柔軟なバルーン型の容器を発酵槽として採用する場合、バイオガスの滞留状況に応じて発酵槽が伸縮及び/又は変形する。従って、従来技術に係るバイオガス発電システムが備える加熱装置をバルーン型発酵槽に適用しても、例えば、発酵槽の伸縮及び/又は変形に追従して加熱装置が変形することができず、加熱装置とバルーン型発酵槽との間に空隙が生ずる等して、発酵槽を十分に加熱することができない。その結果、例えば寒冷地等においては十分な量のバイオガスを発生させることができず、所期のエネルギー効率を達成することが困難な場合がある。
即ち、バイオガス発電システムにおいてバルーン型発酵槽を確実且つ効果的に加熱することができる技術は当該技術分野において未だに確立されていない。
特開2004−156806号公報 特許第3818970号公報 特許第6044132号公報
上述したように、当該技術分野においては、バイオガス発電システムにおいてバルーン型発酵槽を確実且つ効果的に加熱することができる技術が求められている。即ち、本発明は、バイオガス発電システムにおいてバルーン型発酵槽を確実且つ効果的に加熱することを可能とする技術を提供することを1つの目的とする。
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、柔軟な材料によって構成され且つ熱媒体の流路を含む加熱部材を、バルーン型発酵槽の外表面に常に接触するように設けることにより、バイオガスの滞留状況に応じて発酵槽が伸縮及び/又は変形しても、発酵槽を確実且つ効果的に加熱することができることを見出した。
即ち、本発明に係るバルーン型発酵槽(以降、「本発明発酵槽」と称呼される場合がある。)は、防水性を有する柔軟なシート状部材によって形成された容器である本体部と、本体部の内部空間に発酵原料を導入するための導入口と、発酵原料の発酵によって生ずるバイオガスを内部空間から排出するためのガス取出口と、発酵原料の発酵によって生ずる消化液を内部空間から排出するための排出口と、を備える。
本発明発酵槽は、熱媒体が流れることができる経路である媒体流路及び当該媒体流路を保持する基材である第1基材を含む柔軟な板状の部材である第1加熱部材を更に備える。第1加熱部材は、前記媒体流路が保持されている領域である加熱領域の少なくとも一部が本発明発酵槽の使用時に内部空間に収容されている発酵原料及び消化液に対してシート状部材を挟んで対向する本体部の外表面の領域である対向領域の少なくとも一部に常に接触するように配設されている。
また、本発明に係るバイオ発電システム(以降、「本発明システム」と称呼される場合がある。)は、上述した本発明発酵槽と、バイオガスを燃料として使用する内燃機関及び当該内燃機関によって駆動されるように構成された発電機を含む発電部と、導入口を介して発酵原料を内部空間へと供給する原料供給部と、ガス取出口を介してバイオガスを内燃機関へと供給するガス供給部と、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を媒体流路に循環させる第1循環部と、を備える。
上記のように、本発明発酵槽においては、柔軟な材料によって構成され且つ熱媒体の流路を含む第1加熱部材が本体部の外表面に常に接触するように設けられている。これにより、バイオガスの滞留状況に応じて本体部が伸縮及び/又は変形しても、本体部の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材が変形することができるので、本体部の内部空間に収容された内容液を確実且つ効果的に加熱することができる。
また、本発明システムにおいては、バイオガスを燃料として使用する内燃機関によって発電機が駆動され、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体が加熱部材の媒体流路に循環される。これにより、本体部の内部空間に収容された内容液の温度を嫌気性発酵に好適な温度に容易に維持することができるので、本発明システムが設置される場所の気候等に拘わらず、高いエネルギー効率を達成することができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の第1実施形態に係るバルーン型発酵槽(第1発酵槽)の構成の一例を示す模式的な断面図である。 第1発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るバルーン型発酵槽(第2発酵槽)の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るバルーン型発酵槽(第3発酵槽)が備える第1加熱部材の構成の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第4実施形態に係るバルーン型発酵槽(第4発酵槽)の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の第5実施形態に係るバルーン型発酵槽(第5発酵槽)の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の第6実施形態に係るバルーン型発酵槽(第6発酵槽)の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 図7に示した第6発酵槽が備える第1加熱部材の構成の一例を示す模式的な断面図である。 第6発酵槽が備える第1加熱部材の構成の他の例を示す模式的な断面図である。 本発明の第7実施形態に係るバルーン型発酵槽(第7発酵槽)の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の第8実施形態に係るバイオガス発電システム(第1システム)の構成の一例を示す模式的なブロック図である。 本発明の第9実施形態に係るバイオガス発電システム(第2システム)が備える本発明発酵槽の構成の一例を示す模式的な断面図である。 第2システムが備える本発明発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 第2システムの構成の一例を示す模式的なブロック図である。 本発明の第10実施形態に係るバイオガス発電システム(第3システム)の構成の一例を示す模式的なブロック図である。 第2加熱部材を備える第3システムと従来技術に係るバイオガス発電システムにおける原料温度の変化の違いを説明する模式的なグラフである。 第3システムの1つの実装例を示す模式的な斜視図である。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係るバルーン型発酵槽(以降、「第1発酵槽」と称呼される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
図1は、第1発酵槽の構成の一例を示す模式的な断面図である。図1に示す第1発酵槽101の本体部111は、両端が閉じられた略円筒状の形状を有するが、発酵原料並びに発酵原料の発酵によって生ずるバイオガス及び消化液を外部に漏らすこと無く内部空間に収容することが可能である限り、本体部の形状は特に限定されない。図1の(a)は略円筒状の形状を有する本体部111の軸を含む平面による第1発酵槽101の模式的な断面図であり、(b)は本体部111の軸に直交する平面による第1発酵槽101の模式的な断面図であり、(c)は(b)において破線によって囲まれている領域Aの拡大図である。
第1発酵槽101は、防水性を有する柔軟なシート状部材110によって形成された容器である本体部111と、本体部111の内部空間に発酵原料を導入するための導入口112と、発酵原料の発酵によって生ずるバイオガスを内部空間から排出するためのガス取出口113と、発酵原料の発酵によって生ずる消化液を内部空間から排出するための排出口114と、を備える。
シート状部材110は、防水性を有する柔軟な材料であって、第1発酵槽の内部に収容される発酵原料及び消化液の重量及び発酵原料の発酵によって生ずるバイオガスの圧力に耐え得る強度を有し、発酵原料、バイオガス及び消化液に対する耐久性を有する材料によって構成される。このような材料の具体例としては、例えば、各種ゴム及び軟質プラスチック等の樹脂材料、このような樹脂材料によって含浸された各種テキスタイル、このような樹脂材料を含むシート状部材と積層されたテキスタイル等を挙げることができる。また、本体部111は、このような樹脂材料を用いて一体的に成形された容器であってもよく、或いは複数枚のシート状部材110が縫合及び/又は貼り合わされて形成された容器であってもよい。
尚、発酵原料は、嫌気性微生物によるメタン発酵(嫌気性発酵)によりバイオガスを発生することができる原料である限り特に限定されない。このような発酵原料の具体例としては、例えば、し尿、厨芥、及び家畜糞尿等の有機性廃棄物を挙げることができる。また、発酵原料は、有機性廃棄物を圧搾することによって得られる圧搾液であってもよく、或いは有機性廃棄物を水等によって希釈することによって得られる液状の混合物であってもよい。
図1に示す右下がりの斜線部は、導入口112から内部空間に導入された発酵原料及び発酵原料の発酵によって生ずる消化液を含む液状物(以降、「内容液」と総称される場合がある。)121を表している。図1に示す例においては、(b)に示す両矢印Dに表される高さにまで内容液121の液面が達している。また、本体部111の内部空間の内容液121の上部には、発酵原料の発酵によって生ずるバイオガス122が滞留している。
導入口112から内部空間に導入された発酵原料は、内部空間に所定の期間に亘って滞留している間に嫌気性微生物による発酵によってバイオガス及び消化液に変換され、ガス取出口113からバイオガス122が外部へと排出され、内容液121の自重及び/又はバイオガス122の圧力により排出口114から消化液が外部へと排出される。典型的には、一定量の発酵原料が内部空間に定期的に導入される。
尚、図1に示した例においては、内容液121及びバイオガス122の重量及び圧力により、本体部111が略円柱状の形状を保持している。しかしながら、バイオガス122の発生量が少なく本体部111の内部空間における圧力が低い場合はシート状部材110に作用する張力が小さくなる。その結果、本体部111は略円柱状の形状を保持することができず、本体部111の内容液121の液面よりも上側の部分が潰れ、内容液121の液面よりも下側の部分は内容液121の重量により広がる(当該部分の曲率が小さくなる)。即ち、本体部111は、バイオガスの滞留状況に応じて伸縮及び/又は変形する。
第1発酵槽101は、第1加熱部材130を更に備える。第1加熱部材130は、図1の(c)に示すように、媒体流路131及び第1基材132を含む柔軟な板状の部材である。媒体流路131は、熱媒体が流れることができる経路である。第1基材132は、媒体流路131を保持する基材である。
ここで言う「柔軟な」とは、上述したようにバイオガスの滞留状況に応じて本体部111が伸縮及び/又は変形しても、本体部111の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材130が変形することができることを意味する。従って、第1加熱部材130を構成する媒体流路131及び第1基材132もまた、柔軟な材料によって構成される。このような材料の具体例としては、例えば各種ゴム及び軟質プラスチック等の樹脂材料等、弾性変形が可能な材料を挙げることができる。
媒体流路131の構成は、熱媒体が外部に漏れ出すこと無く流れることができる限り特に限定されない。例えば、媒体流路131は、第1基材132に穿孔された流路として形成されていてもよく、或いは第1基材132とは別個の部材(例えば、チューブ等)によって形成されていてもよい。
尚、図1の(c)に示す例においては、熱媒体を媒体流路131に流入させるための媒体流入部133及び熱媒体を媒体流路131から流出させるための媒体流出部134が描かれている(但し、両者は重なっているので1つの部材として省略して描かれている。)
好ましくは、媒体流路131は、第1基材132の内部に埋設されたチューブ又はシート状部材110の外表面に対向する第1基材132の表面に形成された溝に嵌め込まれたチューブによって構成されている。また、好ましくは、第1基材132は断熱材によって構成されている。典型的には、例えば塩化ビニル等の樹脂材料によって形成されたチューブ等を媒体流路131として採用することができ、例えば発泡スチロール(発泡ポリスチレン)、発泡ポリウレタン及び発泡ポリエチレン等の発泡樹脂等を第1基材132として採用することができる。
更に、第1加熱部材130は、媒体流路131が保持されている領域である加熱領域の少なくとも一部が第1発酵槽101の使用時に本体部111の内部空間に収容されている内容液(即ち、発酵原料及び消化液121)に対してシート状部材110を挟んで対向する本体部111の外表面の領域である対向領域の少なくとも一部に常に接触するように配設されている。具体的には、例えば図1の(b)に示す例においては、本体部111の内部空間に溜まっている内容液(右下がりの斜線部)に接触しているシート状部材110の領域の外側(即ち、対向領域)に第1加熱部材130の媒体流路131が保持されている領域である(即ち、加熱領域)が接触するように第1加熱部材130が設けられている。
但し、本体部111の内部空間に溜まっている内容液に接触しているシート状部材110の領域(第1領域)と第1加熱部材130が設けられている領域(第2領域)とは必ずしも厳密に対向している必要は無い。即ち、第1加熱部材130によって内容液を確実且つ効果的に加熱することが可能である限り、第1領域及び第2領域の何れか一方が他方よりも広くても或いは狭くてもよい。
また、図1に示した例においては、略円筒状の形状を有する本体部111の側面にのみ第1加熱部材130が配設されている。しかしながら、略円筒状の形状を有する本体部111の頂面及び/又は底面(即ち、略円筒形の閉じられた両端の何れか一方又は両方の外表面。所謂「鏡板」に相当する面。)にも第1加熱部材130を配設して、第1加熱部材130による内容液の加熱効果を更に高めてもよい。
尚、第1加熱部材130を本体部111の外表面に常に接触させるための手段及び/又は手法は特に限定されない。このような手段及び/又は手法の具体例については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。
更に、第1加熱部材130は、必ずしも一体的に形成された部材である必要は無い。即ち、第1加熱部材130は、所定の大きさ及び構成を有する1つ又は2つ以上の基本ユニットによって構成されていてもよい。
ここで言う「基本ユニット」とは、例えば、第1基材として容易に入手することができる(例えば、市販されている)単一の部材を用いて構成される第1加熱部材又は第1加熱部材として容易に入手することができる単一の部材を指す。上述した第2領域を1つの基本ユニットによって覆うことが可能である場合は、1つの基本ユニットによって第1加熱部材を構成すればよい。一方、上述した第2領域が広く1つの基本ユニットによって覆うことが不可能である場合は、複数(2つ以上)の基本ユニットによって第1加熱部材を構成すればよい。後者の場合、個々の基本ユニットに含まれる媒体流路を直列に連通させてもよく、或いは並列に連通させてもよい。
図2は、第1発酵槽101の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図2に示す例においては、(a)に示す2つの基本ユニットからなる平板状の第1加熱部材130(130a及び130b)を(b)に示すように本体部111の下側の外表面に沿う形状に湾曲させる。そして、第1加熱部材130(130a及び130b)を本体部111の下側の外表面に接触するように配設することにより、(c)に示す第1発酵槽101が構成される。尚、図2においては、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130に含まれる媒体流路を連通させる配管等は省略されている。
〈効果〉
上記のように、第1発酵槽においては、柔軟な材料によって構成され且つ熱媒体の流路を含む第1加熱部材が本体部の外表面に常に接触するように設けられている。これにより、バイオガスの滞留状況に応じて本体部が伸縮及び/又は変形しても、本体部の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材が変形することができるので、本体部の内部空間に収容された内容液を確実且つ効果的に加熱することができる。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係るバルーン型発酵槽(以降、「第2発酵槽」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第1加熱部材を本体部の外表面に常に接触させるための手段及び/又は手法は特に限定されない。例えばゴム及びバネ等の弾性体を用いて、本体部の外表面に密着するように第1加熱部材を付勢してもよい。
〈構成〉
そこで、第2発酵槽は、上述した第1発酵槽を始めとする本発明発酵槽であって、弾性体を含む部材である固定用部材を更に備える。更に、第1加熱部材は、固定用部材によって本体部の外表面に締め付けられるように構成されている。
固定用部材に含まれる弾性体は本体部の外表面に密着するように第1加熱部材を付勢することが可能である限り、特に限定されない。このような弾性体の具体例としては、例えばゴム、エラストマー及びバネ等を挙げることができる。また、固定用部材によって本体部の外表面に第1加熱部材を締め付けるための手法もまた特に限定されない。このような構成の具体例としては、例えば、上記のような弾性体を含むバンド状の部材を固定用部材として構成し、第1加熱部材を本体部の外表面に密着させるのに十分な収縮力を発揮する程度に引き延ばした当該固定用部材を第1加熱部材の外周に配設する(巻き付ける)手法等を挙げることができる。
図3は、第2発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図3に示す第2発酵槽102においては、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130(130a及び130b)の各々について、それぞれ2本のバンド状の固定用部材140が配設されている。各々の固定用部材140は、その収縮力により、第1加熱部材130を本体部111の外表面に締め付けて密着させる。尚、固定用部材140の弾性率、形状及び本数は、第2発酵槽102におけるバイオガスの発生に伴う本体部111の膨張を妨げず且つ第1加熱部材130の本体部111の外表面への接触を維持することができるように適宜定めることができる。
〈効果〉
上記のように、第2発酵槽においては、固定用部材によって第1加熱部材が本体部の外表面に締め付けられているので、第1加熱部材の本体部の外表面への接触をより確実に維持することができる。その結果、バイオガスの滞留状況に応じた本体部の伸縮及び/又は変形に対して第1加熱部材がより確実に追従することができるので、本体部の内部空間に収容された内容液をより確実且つ効果的に加熱することができる。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係るバルーン型発酵槽(以降、「第3発酵槽」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第1加熱部材を本体部の外表面に常に接触させるための手段及び/又は手法は特に限定されない。例えば接着剤等を用いて、第1加熱部材を本体部の外表面に常に接触させるようにしてもよい。
〈構成〉
そこで、第3発酵槽は、上述した第1発酵槽又は第2発酵槽を始めとする本発明発酵槽の何れかであって、第1加熱部材が本体部の外表面に接着されている、バルーン型発酵槽である。
第1加熱部材を本体部の外表面に接着するための具体的な手段及び/又は手法は特に限定されない。例えば接着剤等によって第1加熱部材を本体部の外表面に接着してもよい。但し、バイオガスの滞留状況に応じた本体部の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材が円滑に変形することができる必要があるので、第1加熱部材と本体部の外表面との間に形成される接着剤層が柔軟であることが望ましい。或いは、第1加熱部材及び本体部を構成する材料によっては、所謂「溶着」によって第1加熱部材と本体部の外表面とを接着してもよい。
図4は、第3発酵槽の構成の一例を示す模式的な断面図である。図4の(a)は略円筒状の形状を有する本体部111の軸に直交する平面による第3発酵槽103の模式的な断面図であり、(b)は(a)において破線によって囲まれている領域Aの拡大図である。図4に示す第3発酵槽103においては、第1加熱部材130が本体部111の外表面(上述した第2領域)に接着剤によって接着されており、第1加熱部材130とシート状部材110との間に十分な柔軟性を有する接着剤層150が形成されている。
尚、第1加熱部材が本体部の外表面に接着される上記構成は、上述した第1発酵槽のみならず、弾性体を含む部材である固定用部材によって第1加熱部材が本体部の外表面に締め付けられて接触している第2発酵槽にも適用することができる。即ち、本発明に係るバルーン型発酵槽(本発明発酵槽)においては、固定用部材による第1加熱部材の本体部への締め付けと第1加熱部材の本体部への接着とを併用してもよい。
〈効果〉
上記のように、第3発酵槽においては、第1加熱部材が本体部の外表面に接着されているので、第1加熱部材の本体部の外表面への接触をより確実に維持することができる。その結果、バイオガスの滞留状況に応じた本体部の伸縮及び/又は変形に対して第1加熱部材がより確実に追従することができるので、本体部の内部空間に収容された内容液をより確実且つ効果的に加熱することができる。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係るバルーン型発酵槽(以降、「第4発酵槽」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第1加熱部材を本体部の外表面に常に接触させるための手段及び/又は手法は特に限定されない。例えば、第1加熱部材を本体部の標準的な形状に沿う形状に成形し、当該第1加熱部材を本体部の外表面に常に接触させるように配設してもよい。
〈構成〉
そこで、第4発酵槽は、上述した第1発酵槽乃至第3発酵槽を始めとする本発明発酵槽の何れかであって、第1加熱部材は、バルーン型発酵槽の定常状態における本体部の外表面に沿う形状に成形されており、弾性変形及び復元力によりバルーン型発酵槽の使用時における本体部の伸縮及び/又は変形に追従して変形することにより本体部の外表面との接触を維持するように第1加熱部材が構成されている、バルーン型発酵槽である。
ここで言う「バルーン型発酵槽の定常状態」とは、本体部が略円柱状の形状を保持している状態を指す。換言すれば、「バルーン型発酵槽の定常状態」とは、例えば「バイオガスの発生量が少なく本体部の内部空間における圧力が低いためにシート状部材に作用する張力が小さく本体部の内容液の液面よりも上側の部分が潰れ下側の部分が広がっている状態」及び「バイオガスの発生量が多く本体部の内部空間における圧力が高いために本体部が過度に膨張している状態」等、本体部が略円柱状の形状を保持していない状態には該当しない状態を指す。
図5は、第4発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図2に例示した第1発酵槽101においては、2つの基本ユニットからなる平板状の第1加熱部材130(130a及び130b)を本体部111の下側の外表面に沿う形状に湾曲させて本体部111の下側の外表面に接触するように配設した。しかしながら、第4発酵槽104においては、図5の(a)に示すように、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130(130c及び130d)が本体部111の下側の外表面に沿う形状に予め成形されている。そして、第1加熱部材130(130c及び130d)を本体部111の下側の外表面に接触するように配設することにより、(b)に示す第4発酵槽104が構成される。尚、図5においても、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130に含まれる媒体流路を連通させる配管等は省略されている。
〈効果〉
上記のように、第4発酵槽においては、バルーン型発酵槽の定常状態における本体部の外表面に沿う形状に第1加熱部材が予め成形されている。上述したように第1加熱部材は柔軟な板状の部材であるので、弾性変形及び復元力によりバルーン型発酵槽の使用時における本体部の伸縮及び/又は変形により確実に追従して変形することができる。その結果、第1加熱部材の本体部の外表面への接触をより確実に維持することができるので、本体部の内部空間に収容された内容液をより確実且つ効果的に加熱することができる。
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係るバルーン型発酵槽(以降、「第5発酵槽」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1発酵槽乃至第4発酵槽を始めとする本発明発酵槽においては、柔軟な板状の部材である第1加熱部材により、第1加熱部材の本体部の外表面への接触をより確実に維持することができるので、本体部の内部空間に収容された内容液をより確実且つ効果的に加熱することができる。また、第1加熱部材の基材として断熱材を採用することにより、(第1加熱部材がシート状部材に接触している)第2領域を経由する内容液からの放熱が低減され、本体部の内部空間に収容された内容液の温度を嫌気性発酵に好適な温度に維持することが容易となる。
しかしながら、第1加熱部材が本体部の外表面の一部の領域(例えば、対向領域)のみに設けられている場合は、本体部の外表面のうち第1加熱部材が設けられている領域(第2領域)以外の領域(第3領域)には内容液からの放熱を低減する部材は配設されていない。その結果、特に寒冷地等においては、第3領域を経由する内容液からの放熱により、本体部の内部空間に収容された内容液の温度を嫌気性発酵に好適な温度に容易に維持することが困難となる場合がある。
〈構成〉
そこで、第5発酵槽は、上述した第1発酵槽乃至第4発酵槽を始めとする本発明発酵槽の何れかであって、断熱材によって構成された断熱部材を更に備える。断熱部材は、本体部の外表面の第1加熱部材が配設されていない領域(第3領域)の少なくとも一部を覆うように配設されている。当然のことながら、本体部の外表面の第1加熱部材が配設されていない領域(第3領域)を経由する内容液からの放熱を低減する観点からは、第3領域の全てを覆うように断熱部材が配設されていることが好ましい。但し、当然のことながら、この場合も、本体部の内部と外部とを連通又は接続するための構成部材を挿通するための貫通孔を断熱部材に設けることができることは言うまでも無い。このような構成部材の具体例としては、例えば、前述した導入口、ガス取出口及び排出口、並びに後述する温度センサ等との電気的接続のための端子等を挙げることができる。
断熱部材を構成する断熱材は、第3領域を経由する内容液からの放熱を低減することが可能な材料である限り、特に限定されない。このような材料の具体例としては、例えば、発泡スチロール(発泡ポリスチレン)、発泡ポリウレタン及び発泡ポリエチレン等の発泡樹脂等を挙げることができる。
また、断熱部材の大きさ及び形状もまた、第3領域を経由する内容液からの放熱を低減することが可能な材料である限り、特に限定されない。例えば、平板状の断熱部材を湾曲させて第3領域を覆うように配設してもよく、或いは本体部の外表面の第3領域の形状に沿う形状に予め成形された断熱部材を第3領域に配設してもよい。また、上述した固定用部材によって第1加熱部材と共に断熱部材を本体部の外表面に締め付けることにより断熱部材を第3領域に配設してもよく、或いは断熱部材を第3領域に接着してもよい。但し、断熱部材は必ずしも第3領域に密着している必要は無く、断熱部材と第3領域との間に例えば外気等が容易に流れることができない場合は、断熱部材と第3領域との間に空隙が存在してもよい。更に、例えば上述したような発泡性樹脂又はその先駆物質を第3領域に塗布又は(スプレー等によって)吹き付けることにより、第3領域の表面に断熱部材を形成してもよい。
図6は、第5発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図6の(a)に示すように、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130(130a及び130b又は130c及び130d)を本体部111の外表面の第2領域に接触するように配設すると共に、断熱部材160を本体部111の外表面の第3領域を覆うように配設する。その結果、(b)に示す第5発酵槽105が構成される。尚、図6においても、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130に含まれる媒体流路を連通させる配管等は省略されている。
尚、図6に示した例においては、略円筒状の形状を有する本体部111の側面にのみ第1加熱部材130及び断熱部材160が配設されている。しかしながら、略円筒状の形状を有する本体部111の頂面及び/又は底面(即ち、略円筒形の閉じられた両端の何れか一方又は両方の外表面。所謂「鏡板」に相当する面。)にも第1加熱部材130又は断熱部材160を配設して、本体部111の内部空間に収容された内容液の保温効果を更に高めてもよい。即ち、本体部111の内部空間に収容された内容液の保温効果を高める観点からは、本体部111の外表面の全てが第1加熱部材130又は断熱部材160によって覆われていることが好ましい。
〈効果〉
上記のように、第5発酵槽においては、断熱材によって構成された断熱部材により、本体部の外表面の第1加熱部材が配設されていない領域(第3領域)の少なくとも一部が覆われている。その結果、第3領域を経由する内容液からの放熱が低減され、本体部の内部空間に収容された内容液の温度を嫌気性発酵に好適な温度に維持することが更に容易となる。
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係るバルーン型発酵槽(以降、「第6発酵槽」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第5発酵槽は、上述した第1発酵槽乃至第4発酵槽を始めとする本発明発酵槽の何れかであって、断熱材によって構成された断熱部材を更に備える。断熱部材は、本体部の外表面の第1加熱部材が配設されていない領域(第3領域)の少なくとも一部を覆うように配設されている。これにより、第3領域を経由する内容液からの放熱が低減され、本体部の内部空間に収容された内容液の温度を嫌気性発酵に好適な温度に維持することが更に容易となる。
しかしながら、上記のように別個の部材である断熱部材を追加すること無く、本体部の外表面の第3領域を断熱材によって覆うことができれば、例えば本発明に係るバルーン型発酵槽(本発明発酵槽)の部品点数の増加、構成の複雑化及び製造工程の煩雑化等の問題を低減しつつ、本体部の内部空間に収容された内容液の保温効果を高めることができる。
〈構成〉
そこで、第6発酵槽は、上述した第1発酵槽乃至第4発酵槽を始めとする本発明発酵槽の何れかであって、第1加熱部材は、上述した対向領域の少なくとも一部のみならず、本体部の外表面の対向領域以外の領域である非対向領域の少なくとも一部をも覆うように配設されており、非対向領域に対向する領域が少なくとも2つの部分領域に分割されている、バルーン型発酵槽である。当然のことながら、本体部の外表面の第1加熱部材が配設されていない領域(第3領域)を経由する内容液からの放熱を低減する観点からは、本体部の外表面の全てを覆うように第1加熱部材が配設されていることが好ましい。但し、当然のことながら、この場合も、本体部の内部と外部とを連通又は接続するための構成部材を挿通するための貫通孔を第1加熱部に設けることができることは言うまでも無い。このような構成部材の具体例としては、例えば、前述した導入口、ガス取出口及び排出口、並びに後述する温度センサ等との電気的接続のための端子等を挙げることができる。
第1加熱部材の大きさ及び形状もまた、内容液からの放熱を低減し且つ対向領域において内容液を加熱することが可能である限り、特に限定されない。例えば、平板状の第1加熱部材を湾曲させて本体部の外表面の少なくとも一部の領域(即ち、第2領域)を覆うように配設してもよく、或いは本体部の外表面の第2領域の形状に沿う形状に予め成形された第1加熱部材を第2領域に配設してもよい。また、上述した固定用部材によって第1加熱部材を本体部の外表面に締め付けることにより第1加熱部材を第2領域に配設してもよく、或いは第1加熱部材を第2領域に接着してもよい。
但し、第1加熱部材の非対向領域に対向する領域は、少なくとも2つの部分領域に分割されている必要がある。このように当該領域が単一の連続した領域として形成されるのではなく複数の部分領域に分割されることにより、バイオガスの滞留状況に応じた第6発酵槽の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材が変形することが容易又は可能となる。また、非対向領域においては、第1加熱部材は必ずしも第2領域に密着している必要は無く、第1加熱部材と第2領域との間に例えば外気等が容易に流れることができない場合は、第1加熱部材と第2領域との間に空隙が存在してもよい。
また、第6発酵槽が備える第1加熱部材において、対向領域に対向する領域のみに媒体流路が配設されていてもよく、或いは、対向領域に対向する領域のみならず非対向領域に対向する領域にも媒体流路が配設されていてもよい。後者の場合、本体部の内部空間に収容される内容液のみならず内容液の上部の空間に滞留するバイオガスもまた、媒体流路に流れる熱媒体によって加熱することができるので、内容液の保温効果を更に高めることができる。
図7は、第6発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図7に例示する第6発酵槽106においては、図7の(a)に示すように、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130(130e及び130f)が、略円筒状の形状を有する本体部111の側面に沿うようにC字状に湾曲した形状に予め成形されている。このように、第1加熱部材130が閉じたO字状の形状ではなくC字状の形状に成形されることにより、第1加熱部材130の非対向領域に対向する領域が2つの部分領域に分割されるので、バイオガスの滞留状況に応じた第6発酵槽106の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材130が変形することが容易となる。
略円筒状の形状を有する本体部111の外側面の全体に接触するように上記のような第1加熱部材130を配設することにより、図7の(b)に示す第6発酵槽106が構成される。その結果、第6発酵槽106においては、本体部111の外側面の対向領域に該当する領域の全体が第1加熱部材130によって連続的に覆われている。一方、本体部111の外側面の非対向領域に該当する部分を覆う第1加熱部材130の部分は、上述したC字状の形状における切れ目によって2つの領域に分割されている。これにより、バイオガスの滞留状況に応じた第6発酵槽106の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材130が変形することが可能となる。
図7の(b)においては、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130のうち一方の第1加熱部材130eに含まれる媒体流路131が破線によって示されている。また、図8は、図7に示した第6発酵槽106が備える第1加熱部材の構成の一例を示す模式的な断面図であり、(b)は(a)において破線によって囲まれている領域Aの拡大図である。図7の(b)及び図8に例示した第6発酵槽106においては、第1加熱部材130の加熱領域は、本体部111の外表面の対向領域に対向する領域にのみ配設されている。即ち、図7の(b)及び図8に例示した第6発酵槽106においては、対向領域に対向する領域にのみ媒体流路131が配設されている。
尚、図7の(b)に示した例においては、熱媒体を媒体流路131に流入させるための媒体流入部133及び熱媒体を媒体流路131から流出させるための媒体流出部134が本体部の最上部に設けられたガス取出口113の近傍に描かれている。しかしながら、媒体流入部133及び媒体流出部134の配置はこれに限定されず、例えば、第6発酵槽を使用するシステムの仕様及び設計に応じた好適な位置に配置することができる。
ところで、図9は、第6発酵槽が備える第1加熱部材の構成の他の例を示す模式的な断面図であり、(b)は(a)において破線によって囲まれている領域Aの拡大図である。図9に例示した第1加熱部材130においては、第1加熱部材130の加熱領域が、本体部111の外表面の対向領域に対向する領域のみならず、非対向領域に対向する領域にも配設されている。即ち、図9に例示した第1加熱部材130においては、対向領域に対向する領域のみならず、非対向領域に対向する領域にも媒体流路131が配設されている。これにより、本体部111の内部空間に収容される内容液121のみならず内容液121の上部の空間に滞留するバイオガス122もまた、媒体流路131に流れる熱媒体によって加熱することができるので、内容液121の保温効果を更に高めることができる。
〈効果〉
上記のように、第6発酵槽においては、対向領域の少なくとも一部のみならず、非対向領域の少なくとも一部をも覆うように、第1加熱部材が配設されている。その結果、例えば本発明に係るバルーン型発酵槽(本発明発酵槽)の部品点数の増加、構成の複雑化及び製造工程の煩雑化等の問題を低減しつつ、本体部の内部空間に収容された内容液の保温効果を更に高めることができる。
《第7実施形態》
以下、本発明の第7実施形態に係るバルーン型発酵槽(以降、「第7発酵槽」と称呼される場合がある。)について説明する。
第1発酵槽及び第5発酵槽に関する説明において前述したように、第1加熱部材による内容液の加熱効果を更に高める観点からは、略円筒状の形状を有する本体部の頂面及び/又は底面(即ち、略円筒形の閉じられた両端の何れか一方又は両方の外表面。所謂「鏡板」に相当する面。)にも第1加熱部材を配設することが望ましい。
〈構成〉
そこで、第7発酵槽は、上述した第6発酵槽であって、上述した部分領域の間に形成され得るギャップ及び本体部の内部と外部とを連通又は接続するための構成部材を挿通するための貫通孔を除き、本体部の外表面の全ての領域を覆うように第1加熱部材が配設されている、バルーン型発酵槽である。前述したように、本体部の内部と外部とを連通又は接続するための構成部材の具体例としては、例えば、前述した導入口、ガス取出口及び排出口、並びに後述する温度センサ等との電気的接続のための端子等を挙げることができる。
図10は、第7発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図10に例示する第7発酵槽107においては、図10の(a)に示すように、第1加熱部材130は、全体としては、本体部111と同様に、外側に凸状に張り出した皿状の形状を有する鏡板によって両端が閉じられた略円筒状の形状を有する本体部111の表面全体に沿う形状に予め成形されている。そして、第1加熱部材130を構成する2つの基本ユニット130g及び130hは、上記のように略円筒形の形状を有する第1加熱部材130を、その略円筒形の軸に平行な平面に沿って途中まで(図10においては、導入口112及び排出口114のための貫通孔まで)切れ目を入れ、更に略円筒形の形状の軸に直交する平面に沿って2つに切断することによって得られる形状を有する。
第1加熱部材130が完全に閉じた形状に成形されるのではなく、上記のように切れ目が入れられていることにより、第1加熱部材130の非対向領域に対向する領域が2つの部分領域に分割されるので、バイオガスの滞留状況に応じた第7発酵槽107の伸縮及び/又は変形に追従して第1加熱部材130が変形することが容易となる。
図10の(b)においては、2つの基本ユニットからなる第1加熱部材130のうち一方の第1加熱部材130gに含まれる媒体流路131が破線によって示されている。第7発酵槽107においては、本体部111の外表面の対向領域に対向する領域の全体(即ち、略円筒形の形状における側面のみならず頂面及び底面(両方の鏡板面)をも含む領域)に亘って第1加熱部材130の加熱領域が配設されている。即ち、図10に例示した第7発酵槽107においては、対向領域に対向する領域の全体に亘って媒体流路131が配設されている。
但し、図9を参照しながら第6発酵槽106について上述したように、図10に例示した第1加熱部材130においても、第1加熱部材130の加熱領域を、本体部111の外表面の対向領域に対向する領域のみならず、非対向領域に対向する領域にも配設することができる。即ち、図10に例示した第1加熱部材130においても、対向領域に対向する領域のみならず、非対向領域に対向する領域にも媒体流路131を配設することができる。これにより、本体部111の内部空間に収容される内容液121のみならず内容液121の上部の空間に滞留するバイオガス122もまた、媒体流路131に流れる熱媒体によって加熱することができるので、内容液121の保温効果を更に高めることができる。
尚、図10の(b)に示した例においては、熱媒体を媒体流路131に流入させるための媒体流入部133及び熱媒体を媒体流路131から流出させるための媒体流出部134が本体部の最上部に設けられたガス取出口113の近傍に描かれている。しかしながら、媒体流入部133及び媒体流出部134の配置はこれに限定されず、例えば、第7発酵槽を使用するシステムの仕様及び設計に応じた好適な位置に配置することができる。
〈効果〉
上記のように、第7発酵槽においては、バイオガスの滞留状況に応じた第7発酵槽の伸縮及び/又は変形に対する第1加熱部材の追従を容易にするためのギャップ及び本体部の内部と外部とを連通又は接続するための構成部材を挿通するための貫通孔を除き、本体部の外表面の全ての領域を覆うように第1加熱部材が配設されている。その結果、本体部の内部空間に収容された内容液の保温効果を大幅に高めることができる。
《第8実施形態》
以下、本発明の第8実施形態に係るバイオガス発電システム(以降、「第1システム」と称呼される場合がある。)について説明する。
本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、バルーン型発酵槽のみならず、当該バルーン型発酵槽を備えるバイオガス発電システムにも関する。
〈構成〉
そこで、第1システムは、上述した第1発酵槽乃至第7発酵槽を始めとする本発明発酵槽の何れかと、発電部と、原料供給部と、ガス供給部と、第1循環部と、を備えるバイオ発電システムである。
第1システムが備える発酵槽は、上述した第1発酵槽乃至第7発酵槽を始めとする多種多様な本発明発酵槽のうちの何れのバルーン型発酵槽であってもよい。また、発酵槽は必ずしも地中に埋設される必要は無く、例えば地面及び/又は床等に設置してもよい。この場合、例えば杭及び/又は柵等を利用して、発酵槽の位置及び向き等を固定してもよい。また、例えば人間及び/又は動物等による悪戯等による発酵槽の損壊の防止等を目的として、例えば、発酵槽を柵等によって囲ったり、或いは発酵槽を建屋の中に設置したりしてもよい。更に、発酵槽を少なくとも部分的に地中に埋設することにより、発酵槽の位置及び向き等を固定してもよい。この場合、地中の温度変化は気温の変化に比べて小さいので、発酵原料の発酵によるバイオガスの発生効率への気温の変化による影響を低減することもできる。
発電部は、本発明発酵槽が備える本体部の内部空間に収容された発酵原料の発酵によって生ずるバイオガスを燃料として使用する内燃機関及び当該内燃機関によって駆動されるように構成された発電機を含む。発電部は、発電機によって発電された電力を所望の周波数及び電圧を有する交流電力に変換するためのコンバータ及びインバータを更に備えていてもよい。また、発電部は、コンバータによって直流に変換された電力を貯える蓄電池を更に備えていてもよい。更に、発電部は、内燃機関によって発生する駆動力を発電機に伝達したり遮断したりする動力伝達機構を更に備えていてもよい。
原料供給部は、本発明発酵槽が備える導入口を介して発酵原料を内部空間へと供給するように構成されている。原料供給部は、新たに投入される発酵原料の自重によって発酵原料が内部空間へと流入するように構成されていてもよく、或いは例えばポンプ等の流体機械により発酵原料を内部空間へと供給するように構成されていてもよい。また、原料供給部は、新たに投入される発酵原料が内部空間へと供給されるまでに一時的に滞留させるための滞留部としての容器を備えていてもよい。
ガス供給部は、本発明発酵槽が備えるガス取出口を介してバイオガスを内燃機関へと供給するように構成されている。ガス供給部は、本体部の内部空間において発生するバイオガスの圧力によってバイオガスを内燃機関へと供給するように構成されていてもよく、或いは例えばコンプレッサ等の流体機械によりバイオガスを加圧してバイオガスを内燃機関へと供給するように構成されていてもよい。また、ガス供給部は、本体部の内部空間において発生するバイオガスを貯蔵するためのタンク等の容器を更に備え、当該容器を介してバイオガスを内燃機関へと供給するように構成されていてもよい。更に、ガス供給部は、バイオガスに含まれる水分を除去するための除湿器及び/又はバイオガスに含まれる硫化水素等の硫黄成分を除去するための脱硫器を更に備えていてもよい。
第1循環部は、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を本発明発酵槽が備える第1加熱部材の媒体流路に循環させるように構成されている。内燃機関からの排熱によって熱媒体を暖めるための手段及び/又は手法は特に限定されない。例えば、内燃機関を冷却するための熱媒体自体を第1循環部によって循環させてもよい。しかしながら、典型的には、第1循環部によって循環される熱媒体は、内燃機関からの排熱によって直接的に暖められるのではなく、内燃機関を冷却するための熱媒体からの熱交換器を介する受熱により間接的に暖められる。
第1循環部は、第1加熱部材の媒体流入部を介して熱媒体を媒体流路に流入させ、媒体流出部を介して熱媒体を媒体流路から流出させるための循環経路(第1経路)を備える。また、第1循環部は、第1経路に熱媒体を循環させるための例えばポンプ等の流体機械を備える。更に、第1循環部は、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を貯蔵するためのタンク等の容器を更に備え、当該容器を介して熱媒体を第1経路へと供給するように構成されていてもよい。
加えて、第1循環部は、内燃機関の冷却及び第1加熱部材による本体部の加熱に好適な温度に熱媒体の温度を調節するための装置を更に備えていてもよい。このような装置の具体例としては、例えば、ラジエータ等の冷却装置及びボイラ等の加熱装置を挙げることができる。熱媒体は、内燃機関からの排熱を内部空間に収容された内容液に伝達することができる流体である限り、特に限定されない。このような流体の具体例としては、例えば油及び水等を挙げることができる。典型的には、熱媒体は水である。
図11は、第1システムの構成の一例を示す模式的なブロック図である。第1システム1001は、本発明発酵槽100と、発電部200と、原料供給部300と、ガス供給部400と、第1循環部500とを備える。本発明発酵槽100は、上述した第1発酵槽乃至第7発酵槽を始めとする種々の本発明発酵槽の何れかに該当するバルーン型発酵槽である。即ち、「本発明発酵槽100」という呼称は、上述した第1発酵槽乃至第7発酵槽を始めとする種々の本発明発酵槽の総称として使用する。図11に示す本発明発酵槽100においては、第1加熱部材130に加えて、断熱部材160が本体部111の外表面の第3領域を覆うように配設されている。即ち、図11に示す本発明発酵槽100は上述した第5発酵槽105と同様の構成を有する。
発電部200は、本発明発酵槽100において発生するバイオガスを燃料として使用する内燃機関(ENG)210及び内燃機関210によって駆動されるように構成された発電機(G)220を含む。尚、図11に示す例においては、発電部200は、発電機220によって発電された電力を所望の周波数及び電圧を有する交流電力に変換するためのコンバータ及びインバータ(CNV/INV)230を更に備える。
上記のようにして発電された電力は、上述したポンプ及びコンプレッサ等の流体機械を稼働させるための電源として使用することができる。また、これらの流体機械による電力消費量よりも発電機によって発電される電力量の方が大きい場合は、図11において点線の矢印及び丸で囲まれた「X」によって示されているように、例えば、家屋、植物栽培施設及び/又は畜舎等における照明及び/又は空調並びに電力供給業者への売電等に余剰電力を利用してもよい。また、発電機による発電の必要が無い場合には、例えば、内燃機関を停止させてもよく、或いは上述した動力伝達機構により内燃機関から発電機への駆動力の伝達を遮断してもよい(即ち、内燃機関をアイドリング状態にしてもよい)。
原料供給部300は、太い実線の矢印によって示されているように、投入口310から投入された発酵原料120を本発明発酵槽100が備える本体部111の内部空間へと供給する。尚、図11に示す例においては、原料供給部300は、上流側の端部に設けられた投入口310から新たに投入される発酵原料120の自重により原料供給管320を通って発酵原料が本体部111の内部空間へと流入するように構成されている。内部空間に導入された発酵原料120は、内部空間に所定の期間に亘って滞留している間に嫌気性微生物による発酵によってバイオガス及び消化液に変換される。そして、ガス取出口からバイオガスがガス供給部400へと排出され、斜線の矢印によって示されているように排出口から消化液が外部へと排出される。
ガス供給部400は、太い破線の矢印によって示されているように、本発明発酵槽100が備える本体部111のガス取出口を介してバイオガスを発電部200に含まれる内燃機関210へと供給する。尚、図11に示す例においては、ガス供給部400は、本体部111の内部空間において発生するバイオガスを貯蔵するための容器としてのガスタンク410を更に備え、ガスタンク410を介してバイオガスを内燃機関210へと供給するように構成されている。更に、ガス供給部400は、バイオガスに含まれる水分を除去するための除湿器420及びバイオガスに含まれる硫化水素等の硫黄成分を除去するための脱硫器430を更に備えている。
尚、内燃機関210(及び上述したように第1循環部がボイラを備える場合はボイラ等)によるバイオガスの消費量よりもバイオガスの発生量が多い場合は、図11において破線の矢印及び丸で囲まれた「Y」によって示されているように、例えば、家屋、植物栽培施設及び/又は畜舎等における調理用及び/又は暖房用の燃料として、余剰のバイオガスを利用してもよい。
第1循環部500は、内燃機関210からの排熱によって暖められた熱媒体を第1加熱部材130の媒体流路(図示せず)に循環させる。尚、図11に示す例においては、内燃機関210を冷却するための他の熱媒体からの熱交換器510を介する受熱によって間接的に暖められた熱媒体としての水が第1経路520を介して媒体流路へと導かれる。また、第1循環部500は、第1経路に熱媒体を循環させるための流体機械としてのポンプ530を備える。更に、第1循環部500は、内燃機関210からの排熱によって暖められた熱媒体を貯蔵するための容器としての温水タンク540を更に備え、温水タンク540を介して熱媒体を第1経路へと供給するように構成されている。
尚、第1加熱部材130による本体部111の加熱に必要とされる熱量よりも内燃機関210から排出される熱量が十分に大きい場合は、上述した温水タンク430に大量の熱媒体を貯蔵しておき、図11において白抜き矢印及び丸で囲まれた「Z」によって示されているように、例えば、家屋、植物栽培施設及び/又は畜舎等の暖房用の熱媒体等として利用してもよい。熱媒体として水を使用する場合は、家屋、植物栽培施設及び/又は畜舎等に温水として熱媒体を供給することもできる。
〈効果〉
上記のように、第1システムにおいては、当該システムにおいて発生するバイオガスを燃料として使用する内燃機関によって駆動される発電機によって発電することができる。しかも、内燃機関からの排熱を利用して嫌気性発酵に好適な温度に発酵槽の温度を維持することができるので、第1システムが設置される場所の気候等に拘わらずバイオガスを安定的に発生させることができる。また、上述したように、余剰の電力、バイオガス及び熱媒体(温水)を様々な用途に利用することができるので、結果的に極めて高いエネルギー効率を達成することができる。更に、第1システムにおいては、発電機を駆動する動力源としての内燃機関の燃料を有機性廃棄物から発生させることができるので、ランニングコストの削減のみならず、炭酸ガスの発生に起因する地球環境への負荷の軽減をも達成することができる。
《第9実施形態》
以下、本発明の第9実施形態に係るバイオガス発電システム(以降、「第2システム」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1システムによれば、当該システムにおいて発生するバイオガスを燃料として使用して発電機を駆動する内燃機関からの排熱を利用して、発酵槽を確実且つ効果的に加熱することができる。従って、例えば寒冷地等においても、発酵原料の嫌気性発酵に好適な温度に発酵槽の温度を維持して、十分な量のバイオガスを発生させることができる。即ち、第1システムが設置される場所の気候等に拘わらず、バイオガスを安定的に発生させることができる。
しかしながら、メタン菌群類等の嫌気性微生物による発酵原料の嫌気性発酵に好適な温度には上限値及び下限値があり、発酵槽の温度が下限値未満である場合は嫌気性発酵が十分に進まなくなり、発酵槽の温度が中温発酵の上限値以上である場合は嫌気性微生物が死滅して嫌気性発酵を行うことができなくなる等の問題が生ずる虞がある。
〈構成〉
そこで、第2システムは、上述した第1システムを始めとする本発明システムであって、温度センサと、制御部と、を更に備えるバイオ発電システムである。温度センサは、本体部の内部空間に収容されている発酵原料の温度である原料温度を検出するように構成されている。温度センサの構成は、内部空間に収容されている発酵原料の温度を検出することが可能である限り、特に限定されない。このような温度センサの具体例としては、例えば、内部空間に収容されている内容液(発酵原料及び消化液を含む液状物)の液面よりも下に位置するように配設された熱電対等を挙げることができる。
更に、制御部は、原料温度が所定の上限温度以上であるときは媒体流路を経由する熱媒体の循環を停止し、原料温度が所定の下限温度未満であるときは媒体流路を経由する熱媒体の循環を開始するように、第1循環部を制御する。上限温度は、例えばメタン菌群類等の嫌気性微生物による発酵原料の嫌気性発酵(メタン発酵)によるバイオガスの発生効率が許容範囲内にあるという条件を満たし得る原料温度の上限値等に等に基づいて適宜設定することができる。尚、原料温度が過度に高い場合、上記嫌気性微生物が死滅してしまう虞がある。一方、下限温度は、例えば上記嫌気性微生物による発酵原料の嫌気性発酵によるバイオガスの発生効率が許容範囲内にあるという条件を満たし得る原料温度の下限値等に等に基づいて適宜設定することができる。
換言すれば、原料温度の上限温度及び下限温度は、所期の効率にて上記嫌気性微生物による発酵原料の嫌気性発酵によってバイオガスを発生させることが可能な原料温度の範囲の上限値及び下限値にそれぞれ対応する。典型的には、原料温度の上限温度及び下限温度は、例えば、それぞれ40℃及び35℃に設定される。
従って、原料温度が所定の上限温度以上であるとき、制御部は媒体流路を経由する熱媒体の循環を停止する。熱媒体の循環を停止するための具体的な手法としては、例えば第1経路に介装された開閉弁の閉弁及び/又は第1経路に介装されたポンプの停止等を挙げることができる。
上記「熱媒体の循環を停止する」という動作は、「熱媒体の循環が実行中である場合は、熱媒体の循環を停止する」という動作のみならず、「熱媒体の循環が既に停止している場合は、熱媒体の循環を開始しない」という動作をも含む。これにより、原料温度が過度に上昇してバイオガスの発生効率が低下することを回避することができる。
一方、原料温度が所定の下限温度未満であるとき、制御部は媒体流路を経由する熱媒体の循環を開始する。熱媒体の循環を開始するための具体的な手法としては、例えば第1経路に介装された開閉弁の開弁及び/又は第1経路に介装されたポンプの起動等を挙げることができる。
上記「熱媒体の循環を開始する」という動作は、「熱媒体の循環が停止中である場合は、熱媒体の循環を開始する」という動作のみならず、「熱媒体の循環が既に開始されている場合は、熱媒体の循環を停止しない」という動作をも含む。これにより、原料温度が過度に低下してバイオガスの発生効率が低下することを回避することができる。
尚、制御部の構成は、上記のような制御を実行することが可能である限り、特に限定されない。例えば、制御部は、マイクロコンピュータを主要部として備える電子制御装置(ECU:Electric Control Unit)として実装され得る。この場合、制御部は、温度センサからの検出信号を受信するための入力ポート及び上述した開閉弁を開閉するためのアクチュエータ及び/又は上述したポンプの電源等への指示信号を送信するための出力ポート等を備える。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPUとROM及びRAM等のデータ記憶装置を含み、CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム)に基づき、検出信号を受信し、各種演算処理を実行し、指示信号を送信することにより、各種機能を実現するように構成されている。
図12は第2システムが備える本発明発酵槽の構成の一例を示す模式的な断面図であり、図13は当該発酵槽の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図12及び図13に示す本発明発酵槽105’は、以下の2点を除き、図6を参照しながら説明した第5発酵槽105と同様の構成を有する。1点目は、本体部111の内部空間に収容されている内容液(発酵原料及び消化液を含む液状物)121の液面よりも下に検出部が位置するように配設され且つ内容液121の温度である原料温度Tを検出するように構成された熱電対である温度センサ170が追加されている点である。2点目は、本体部111の外表面のうち第1加熱部材130が設けられている領域(第2領域)以外の領域(第3領域)を覆うように配設された断熱部材160に、温度センサ170のための貫通孔が形成されている点である。
図14は、第2システムの構成の一例を示す模式的なブロック図である。第2システム1002は、温度センサ170及び制御部600を更に備える点を除き、上述した第1システム1001と同様の構成を有する。尚、図12及び図13においては特定の構成を有する本発明発酵槽105’を例示したが、第2システムが備える本発明発酵槽は図12及び図13に示した本発明発酵槽105’に限定されず、上述した第1発酵槽乃至第7発酵槽を始めとする本発明発酵槽の何れであってもよい。従って、第2システム1002に関する以下の記載においては、上述した第1発酵槽乃至第7発酵槽を始めとする種々の本発明発酵槽の総称としての「本発明発酵槽100」を用いて説明する。また、温度センサ170については、図12及び図13を参照しながら既に説明した通りである。
原料温度Tが所定の上限温度Tmax以上であるとき、制御部600は第1循環部500に対して指示信号を送り、第1経路520に介装されたポンプ530を停止させて、第1加熱部材130の媒体流路を経由する熱媒体の循環を停止する。一方、原料温度Tが所定の下限温度Tmin未満であるとき、制御部600は第1循環部500に対して指示信号を送り、ポンプ530を起動させて、媒体流路を経由する熱媒体の循環を開始する。
〈効果〉
上記のように、第2システムにおいては、温度センサによって検出される原料温度に基づいて媒体流路を経由する熱媒体の循環を制御部が停止したり開始したりすることにより本体部の内部空間に収容されている発酵原料の温度を嫌気性発酵に好適な範囲内に収めることができる。従って、第2システムが設置される場所の気候の寒暖に拘わらず、本体部の内部空間に収容された内容液の温度を嫌気性発酵に好適な温度に容易に維持することができるので、バイオガスをより確実且つ効果的に発生させて、より高いエネルギー効率を達成することができる。
《第10実施形態》
以下、本発明の第10実施形態に係るバイオガス発電システム(以降、「第3システム」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1システムによれば、当該システムにおいて発生するバイオガスを燃料として使用して発電機を駆動する内燃機関からの排熱を利用して、発酵槽を確実且つ効果的に加熱することができる。また、上述した第2システムによれば、温度センサによって検出される原料温度に基づいて本体部の内部空間に収容されている発酵原料の温度を嫌気性発酵に好適な範囲内により確実に収めることにより、バイオガスをより確実且つ効果的に発生させて、より高いエネルギー効率を達成することができる。
しかしながら、特に寒冷地等においては、発酵槽に新たに投入される発酵原料の温度が低いために、発酵原料の投入に伴って発酵槽の温度が低下してしまう。その結果、本体部の内部空間に収容されている発酵原料の温度が嫌気性発酵に好適な温度へと再び上昇するまでの期間においてバイオガスの発生量が減少し、システム全体としてのエネルギー効率が低下する虞がある。
〈構成〉
そこで、第3システムは、上述した第1システム及び第2システムを始めとする本発明システムの何れかであって、原料供給部が第2加熱部材を更に備え、且つ、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を第2加熱部材に供給するように構成された第2循環部を更に備える、バイオ発電システムである。第2加熱部材は、原料供給部における発酵原料の供給経路において導入口よりも上流側に配設され且つ第2循環部によって供給される熱媒体によって発酵原料を加熱するように構成されている。
第2循環部の構成は、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を第2加熱部材に供給することができる限り、特に限定されない。例えば、第2循環部は、上述した第1循環部から分岐して第2加熱部材に熱媒体を供給するように構成された熱媒体の循環経路であってもよく、第1循環部とは別個に構成された熱媒体の循環経路であってもよい。また、上述したように内燃機関を冷却するための熱媒体との熱交換器及び/又は内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を貯蔵するためのタンク等の容器を第1循環部が備える場合は、熱交換器及び/又は容器から第2循環部が分岐していてもよい。
また、第2加熱部材の構成もまた、原料供給部を介して第3システムに新たに投入される発酵原料を第2循環部によって供給される熱媒体によって加熱することが可能である限り、特に限定されない。例えば、第2加熱部材は、原料供給部における発酵原料の供給経路を構成する配管の外周に設けられた第1加熱部材と同様の構成を有する部材であってもよい。或いは、第2加熱部材は、原料供給部における発酵原料の供給経路の内部に設けられた熱媒体の流路によって構成されていてもよい。上述したように発酵原料の滞留部としての容器を原料供給部が備える場合は、当該容器の外周及び/又は内部に第2加熱部材を配設してもよい。
尚、第2加熱部材は、原料供給部における発酵原料の供給経路において発酵槽の導入口よりも上流側に配設される。原料供給部は本発明発酵槽が備える導入口を介して発酵原料を内部空間へと供給するように構成されているので、第2加熱部材は原料供給部における発酵原料の供給経路の何れの箇所に配設されていてもよい。
図15は、第3システムの構成の一例を示す模式的なブロック図である。第3システム1003は、原料供給部300が第2加熱部材330を更に備え、且つ、内燃機関210からの排熱によって暖められた熱媒体を第2加熱部材330に供給するように構成された第2循環部700を更に備える点を除き、上述した第2システム1002と同様の構成を有する。
図15に示す例において、第2加熱部材330は、原料供給部300における発酵原料の供給経路を構成する原料供給管320の外周に設けられた第1加熱部材と同様の構成を有する部材である。即ち、第2加熱部材330は熱媒体が流れることができる経路である媒体流路及び当該媒体流路を保持する基材である第2基材を含む柔軟な板状の部材である。また、第2循環部700は、第1循環部500を構成する第1経路520から分岐して第2加熱部材の媒体流路と連通して熱媒体を供給するように構成された熱媒体の循環経路である第2経路710を含む。
〈効果〉
上記のように、第3システムにおいては、内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を第2循環部によって原料供給部に供給し、新たに投入される発酵原料を本体部の内部空間に導入される前に加熱(予熱)することができる。従って、例えば寒冷地等において、新たに投入される発酵原料の温度が低い場合であっても、発酵原料が発酵槽に到達する前に予め加熱されるので、発酵原料の投入に伴う発酵槽の温度の低下を低減することができる。その結果、発酵原料の温度の低下に伴うバイオガス発生量の減少を低減し、システム全体としてのエネルギー効率が低下を防止することができる。
ここで、上記効果について図面を参照しながら詳しく説明する。図16は、第2加熱部材を備える第3システムと従来技術に係るバイオガス発電システムにおける原料温度の変化の違いを説明する模式的なグラフである。下向きの太い実線の矢印は、両方の発電システムへと新たな発酵原料が投入された時刻を示しており、毎日ほぼ決まった時刻に新たな発酵原料が投入されたことが判る。尚、細い点線によって描かれた2本の平行な直線は、発酵原料の嫌気性発酵に好適な温度範囲(この例においては35℃以上且つ40℃未満の温度範囲)を表している。
破線の曲線は、従来技術に係るバイオガス発電システムにおける原料温度の変化を示すグラフである。何れの日においても、昼頃までは外気温の上昇に伴って原料温度も上昇するものの、新たな発酵原料の投入に伴って原料温度が大幅に低下し、上述した好適な温度範囲に戻るまでに長時間を要している。その結果、発酵原料の嫌気性発酵に好適な温度範囲内に原料温度が留まる時間が短く、バイオガス発生量が減少し、システム全体としてのエネルギー効率が低下してしまう。
一方、実線の曲線は、上述した第2システムに第2加熱部材及び第2循環部が追加された第3システムにおける原料温度の変化を表すグラフである。この例に示す第3システムは、上述した好適な温度範囲に原料温度が留まるように第1加熱部材が制御されていることに加えて、新たに投入される発酵原料を加熱する第2加熱部材を備えることから、新たな発酵原料の投入に伴う原料温度の変動が低減され、常に好適な温度範囲内に原料温度が留まっている。従って、第3システムによれば、バイオガスを更により確実且つ効果的に発生させて、更に高いエネルギー効率を達成することができる。
〈変形例〉
上述した第3システム1003においては、図15において破線によって囲まれている領域Sに示すように、第2循環部700を構成する第2経路710が第1循環部500を構成する第1経路520の途中から分岐しており、熱媒体が常に第2加熱部材330に供給されている。しかしながら、例えば上述したように新たな発酵原料が特定の時刻にのみ投入される場合等、新たな発酵原料が連続的に投入されない場合においては、熱媒体が常に第2加熱手段330に供給される必要は無い。
そこで、上述した第3システムの1つの変形例に係るバイオ発電システムにおいては、第2加熱部材への熱媒体の循環経路である第2経路の遮断と開放とを切り替えるように構成された切り替え機構を第2循環部が備える。切り替え機構の構成は、第2加熱部材への熱媒体の循環経路である第2経路の遮断と開放とを切り替えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、切り替え機構は、第1経路520からの分岐部(領域S)よりも第2加熱部材330に近い側の第2経路710に介装された開閉弁であってもよく、或いは当該分岐部に介装された三方弁であってもよい。
上記構成によれば、新たな発酵原料が投入されるときにのみ第2加熱部材に熱媒体を循環させて、その他の時間帯には第1加熱部材に熱媒体を集中して循環させることができるので、内燃機関から回収された熱エネルギーをより有効に活用することができる。
尚、例えば、新たな発酵原料の迅速な加熱が要求される場合等、新たな発酵原料の投入時に第2加熱部材に熱媒体を集中して循環させる必要がある場合は、第2加熱部材に熱媒体を循環させるときには第1加熱部材には熱媒体を循環させないようにしてもよい。このような場合は、切り替え機構は、第2経路を開放するときは媒体流路を経由する熱媒体の循環経路である第1経路を遮断し、第2経路を遮断するときは第1経路を開放するように構成することができる。
ここで、第3システムの1つの実装例につき、図面を参照しながら説明する。図17は、第3システムの1つの実装例を示す模式的な斜視図である。図17の(a)に示す実装例は、図13に示した本発明発酵槽105’に、投入口310、原料供給管320及び第2加熱部材330によって構成され且つ導入口112と連通する原料供給部300と、消化液排出管810及び消化液オーバーフロー槽820によって構成され且つ排出口114と連通する排出部800とを追加したものである。当然のことながら、当該実装例に係るバイオ発電システムもまた、この他に、上述した発電部200、ガス供給部400、第1循環部500、制御部600及び第2循環部700等を備えるが、図17においてはこれらの構成要素は省略されている。
尚、図15に示した例においては新たな発酵原料は投入口310から投入された後に第2加熱部材330によって加熱されていたが、図17に示す実装例においては第2加熱部材330によって予め加熱された発酵原料が投入口310から投入される。また、図11、図14及び図15においては省略したが、図17に示す実装例においては排出口114から排出された消化液は消化液排出管810を経由して消化液オーバーフロー槽820へと導かれる。
上記のような第3システムは、前述したように、発酵槽を地中に埋設することにより、発酵槽の位置及び向き等を固定すると共に、発酵原料の発酵によるバイオガスの発生効率への気温の変化による影響を低減するようにしてもよい。図17の(b)は、図17の(a)を参照しながら説明した実装例に係る第3システムが備える発酵槽105’を地中に埋設した状態を示す模式的な斜視図である。
(b)に示すように、この例においては地面900に掘られた穴910に発酵槽105’の全体が収まり、投入口310、第2加熱部材330及び消化液オーバーフロー槽820が穴910の周辺に露出している。このように発酵槽105’を地中に埋設することにより、発酵槽の位置及び向き等を固定すると共に、発酵原料の発酵によるバイオガスの発生効率への気温の変化による影響を低減することができる。尚、この例においては発酵槽105’の全体を地中に埋設したが、前述したように、発酵槽105’の一部が地上に露出していてもよい。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び変形例につき、添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び変形例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
100,101,102,103,104,105,105’,106,106’,107…バルーン型発酵槽、110…シート状部材、111…本体部、112…導入口、113…ガス取出口、114…排出口、120…発酵原料、121…内容液(発酵原料と消化液との混合物)、122…バイオガス、130,130a,130b,130c,130d,130e,130f,130g,130h…第1加熱部材、131…媒体流路、132…第1基材、133…媒体流入部、134…媒体流出部、140…固定用部材、150…接着剤層、160…断熱部材、170…温度センサ、200…発電部、210…内燃機関、220…発電機、230…コンバータ及びインバータ、300…原料供給部、310…投入口、320…原料供給管、330…第2加熱部材、400…ガス供給部、410…ガスタンク、420…除湿器、430…脱硫器、500…第1循環部、510…熱交換器、520…第1経路、600…制御部、700…第2循環部、710…第2経路、800…排出部、810…消化液排出管、820…消化液オーバーフロー槽、900…地面、910…穴、1001,1002,1003…バイオガス発電システム。

Claims (14)

  1. 防水性を有する柔軟なシート状部材によって形成された容器である本体部と、
    前記本体部の内部空間に発酵原料を導入するための導入口と、
    前記発酵原料の発酵によって生ずるバイオガスを前記内部空間から排出するためのガス取出口と、
    前記発酵原料の発酵によって生ずる消化液を前記内部空間から排出するための排出口と、
    を備えるバルーン型発酵槽であって、
    熱媒体が流れることができる経路である媒体流路及び当該媒体流路を保持する基材である第1基材を含む柔軟な板状の部材である第1加熱部材を更に備え、
    前記第1加熱部材は、前記媒体流路が保持されている領域である加熱領域の少なくとも一部が前記バルーン型発酵槽の使用時に前記内部空間に収容されている前記発酵原料及び前記消化液に対して前記シート状部材を挟んで対向する前記本体部の外表面の領域である対向領域の少なくとも一部に常に接触するように配設されている、
    バルーン型発酵槽。
  2. 請求項1に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    前記媒体流路は、前記第1基材の内部に埋設されたチューブ又は前記シート状部材の外表面に対向する前記第1基材の表面に形成された溝に嵌め込まれたチューブによって構成されており、
    前記第1基材は、断熱材によって構成されている、
    バルーン型発酵槽。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    前記第1加熱部材は、所定の大きさ及び構成を有する1つ又は2つ以上の基本ユニットによって構成されている、
    バルーン型発酵槽。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    弾性体を含む部材である固定用部材を更に備え、
    前記第1加熱部材は、前記固定用部材によって前記本体部の外表面に締め付けられるように構成されている、
    バルーン型発酵槽。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    前記第1加熱部材は、前記本体部の外表面に接着されている、
    バルーン型発酵槽。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    前記第1加熱部材は、前記バルーン型発酵槽の定常状態における前記本体部の外表面に沿う形状に成形されており、弾性変形及び復元力により前記バルーン型発酵槽の使用時における前記本体部の伸縮及び/又は変形に追従して変形することにより前記本体部の外表面との接触を維持するように構成されている、
    バルーン型発酵槽。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    断熱材によって構成された断熱部材を更に備え、
    前記断熱部材は、前記本体部の外表面の前記第1加熱部材が配設されていない領域の少なくとも一部を覆うように配設されている、
    バルーン型発酵槽。
  8. 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    前記第1加熱部材は、
    前記対向領域の少なくとも一部のみならず、前記本体部の外表面の前記対向領域以外の領域である非対向領域の少なくとも一部をも覆うように配設されており、
    前記非対向領域に対向する領域が少なくとも2つの部分領域に分割されている、
    バルーン型発酵槽。
  9. 請求項8に記載されたバルーン型発酵槽であって、
    前記第1加熱部材は、前記部分領域の間に形成され得るギャップ及び前記本体部の内部と外部とを連通又は接続するための構成部材を挿通するための貫通孔を除き、前記本体部の外表面の全ての領域を覆うように配設されている、
    バルーン型発酵槽。
  10. 請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載されたバルーン型発酵槽と、
    前記バイオガスを燃料として使用する内燃機関及び前記内燃機関によって駆動されるように構成された発電機を含む発電部と、
    前記導入口を介して前記発酵原料を前記内部空間へと供給するように構成された原料供給部と、
    前記ガス取出口を介して前記バイオガスを前記内燃機関へと供給するように構成されたガス供給部と、
    前記内燃機関からの排熱によって暖められた熱媒体を前記媒体流路に循環させるように構成された第1循環部と、
    を備えるバイオ発電システム。
  11. 請求項10に記載されたバイオ発電システムであって、
    前記内部空間に収容されている前記発酵原料の温度である原料温度を検出するように構成された温度センサと、
    前記原料温度が所定の上限温度以上であるときは前記媒体流路を経由する前記熱媒体の循環を停止し、前記原料温度が所定の下限温度未満であるときは前記媒体流路を経由する前記熱媒体の循環を開始するように前記第1循環部を制御する制御部と、
    を更に備える、
    バイオ発電システム。
  12. 請求項10又は請求項11に記載されたバイオ発電システムであって、
    前記原料供給部は、前記発酵原料の供給経路において前記導入口よりも上流側に配設され且つ前記発酵原料を前記熱媒体によって加熱するように構成された第2加熱部材を更に備え、
    前記熱媒体を前記第2加熱部材に供給するように構成された第2循環部を更に備える、
    バイオ発電システム。
  13. 請求項12に記載されたバイオ発電システムであって、
    前記第2循環部は、前記第2加熱部材への前記熱媒体の循環経路である第2経路の遮断と開放とを切り替えるように構成された切り替え機構を備える、
    バイオ発電システム。
  14. 請求項13に記載されたバイオ発電システムであって、
    前記切り替え機構は、前記第2経路を開放するときは前記媒体流路を経由する前記熱媒体の循環経路である第1経路を遮断し、前記第2経路を遮断するときは前記第1経路を開放するように構成されている、
    バイオ発電システム。
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