JP7844580B2 - 露光装置、露光方法、及び物品の製造方法 - Google Patents

露光装置、露光方法、及び物品の製造方法

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Description

本発明は、露光装置、露光方法、及び物品の製造方法に関する。
半導体デバイスやフラットパネルディスプレイ(FPD)などの製造工程で用いられるリソグラフィ装置の1つとして、露光装置が知られている。露光装置は原版を介して基板を露光することで、原版に形成された回路パターンを基板上に転写(形成)する露光処理を行う装置である。
近年、露光装置に求められる露光性能の要求が高まってきており、露光性能向上のために、光学系(例えば投影光学系)におけるパターンの結像誤差(露光誤差)を低減することが求められる。そのため、露光装置には、光学系の結像誤差を補正するための複数の光学ユニット(物体)が設けられうる。
特許文献1には、複数のアクチュエータを用いて光学素子(平板ガラス)を変形させることにより、高次の収差を補正することができる高次補正機構(光学ユニット)を備えた露光装置に関する内容が開示されている。
特開2023-162947号公報
しかしながら、複数のアクチュエータを用いて光学素子を変形させる動作を繰り返すことにより、複数のアクチュエータが摩耗するおそれがある。
そこで、本発明は、光学ユニットの耐久性を向上させるうえで有利な露光装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての露光装置は、原版のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、光源からの光が通過する光路に配置される光学素子と、摺動部品を備え、前記光学素子の複数の箇所各々変形させる複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記複数のアクチュエータの初期位置を一律に変更することを特徴とする。
本発明によれば、光学ユニットの耐久性を向上させるうえで有利な露光装置を提供することができる。
露光装置の構成を示す概略図である。 光学ユニットの構成を示す概略図である。 アクチュエータの構成を示す概略図である。 アクチュエータが光学素子をクランプしている状態を示す図である。 アクチュエータが光学素子を変形させている状態を示す図である。 光学素子の評価点を示す図である。 基板の露光領域を示す図である。 露光領域を補正点番号ごとに分割した状態を示す図である。 第1実施形態におけるアクチュエータACT1の駆動プロファイルである。 第1実施形態におけるアクチュエータACT2の駆動プロファイルである。 第1実施形態におけるアクチュエータACT1の露光中一律オフセット後(初期位置変更後)の駆動プロファイルである。 第1実施形態におけるアクチュエータACT2の露光中一律オフセット後(初期位置変更後)の駆動プロファイルである。 一律並行駆動を説明するための図である。 第1実施形態における露光装置の制御方法のフローチャートである。 第2実施形態におけるアクチュエータACT1の露光中一律オフセット後(初期位置変更後)の駆動プロファイルである。 第2実施形態におけるアクチュエータACT2の露光中一律オフセット後(初期位置変更後)の駆動プロファイルである。 第2実施形態における露光装置の制御方法のフローチャートである。 物品の製造方法のフローチャートである。
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。尚、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
以下、図1を参照して本実施形態における露光装置の概略を説明する。図1は、露光装置EXの構成を示す概略図である。また、図2を参照して本実施形態に係る露光装置EXが有する光学ユニット300について説明する。図2は、光学ユニット300の構成を示す概略図である。
露光装置EXは、パターンが形成されたマスク101(原版)を保持して移動するマスクステージMSTと、感光材(フォトレジスト)が塗布された基板Pを支持する基板ステージPSTを有する。また、露光装置EXは、マスク101を露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスク101のパターンを基板ステージPSTに保持された基板Pに投影し転写する投影光学系PLを有する。
マスクステージMSTに保持されているマスク101と基板ステージPSTに保持されている基板Pとは、投影光学系PLを介して共役な位置関係に配置される。この実施形態の露光装置EXは、大型凹面鏡を有するいわゆるミラースキャン型露光装置として構成されている。基板Pは、典型的には、ガラスプレート(ガラス基板)でありうるが、シリコン等の半導体ウエハであっても良い。
本実施形態において、露光装置EXは、走査型露光装置として構成され、露光光ELを射出する照明光学系ILに対してマスク101と基板Pとを同期して移動させて、マスク101のパターンを基板Pに走査露光により転写する。以下では、投影光学系PLの光軸方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な方向でマスク101及び基板Pの同期移動方向をY軸方向(走査方向)、Z軸方向およびY軸方向と直交する方向をX軸方向とする。また、X軸まわり、Y軸まわり、Z軸まわりのそれぞれの方向をθX方向、θY方向、θZ方向とする。
照明光学系ILは、例えば、高圧水銀ランプ或いはLED等を含む光源と、光源から射出された光束を集光する楕円鏡と、楕円鏡により集光された光束を拡大しかつ平行光束化するコンデンサレンズを備える。さらに、照明光学系ILは、所定面積の照明領域を定義するための制限スリット板と、制限スリット板からの光束を反射させてマスク101にスリット状照明光束を照射するミラーとを含む。
照明光学系ILが発生する露光光ELとしては、例えば、水銀ランプやLEDから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)の他に、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等が用いられる。照明光学系ILは、所謂ケーラー照明系として構成される。
マスクステージMSTは、照明光学系ILに対してマスク101を走査駆動するように構成され、Y軸方向(走査方向)に長いストロークを有し、走査方向に直交するX軸方向に適当なストロークを有する。マスクステージMSTは、マスク101を保持するための吸着部を有する。吸着部は、不図示のバキューム装置に接続されており、マスク101は、吸着部により真空吸着されて保持される。
図1に示すように、マスクステージMST上のX軸方向及びY軸方向のそれぞれの端縁には直交する方向に移動鏡32a、32bが設けられている。移動鏡32aに対向するように、レーザー干渉計Mx1が配置され、移動鏡32bに対向するように複数個(この実施形態では2個)のレーザー干渉計My1、My2が配置されている。レーザー干渉計My1、My2は、移動鏡32bにレーザー光を照射して、レーザー干渉計My1、My2と移動鏡32bとの距離を検出する。レーザー干渉計My1、My2の検出結果は制御部Cに出力され、制御部Cはレーザー干渉計My1、My2の検出結果に基づいてマスクステージMSTのY軸方向における位置、及びZ軸まわりの回転量を演算する。また、レーザー干渉計Mx1は、移動鏡32aにレーザー光を照射して、レーザー干渉計Mx1と移動鏡32aとの距離を検出する。レーザー干渉計Mx1の検出結果は制御部Cに出力され、制御部Cはレーザー干渉計Mx1の検出結果に基づいてマスクステージMSTのX方向における位置を決める。制御部Cは、レーザー干渉計Mx1、Mx2、及びMy1の出力からマスクステージMSTの位置(姿勢)をモニタしつつ、マスクステージMSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
マスク101を透過した露光光ELは、投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは、反射面を備える複数のミラー52、54および結像誤差を補正する光学ユニット300を含み、マスク101の照明領域に存在するパターンの像を基板P上に形成する。マスク101上部に撮像装置ASを備えており、典型的には露光光ELとは異なる波長の光がマスク101と投影光学系PLを透過し、基板ステージPST上に投影される。反射光が同様に投影光学系PL、マスク101を透過し、撮像装置ASで撮影される。撮像装置ASは投影光学系PLの結像性能を計測する。撮像装置ASの位置は光学ユニット300上でもよく、その場合は光学ユニット300単体の結像性能を計測する。
基板Pを駆動する基板ステージPSTは、マスクステージMSTと同様に、Y軸方向(走査方向)に走査用のストロークを有し、走査方向に直交するX軸方向にステップ用のストロークを有する。さらに、基板ステージPSTは、Z軸方向、およびθX、θY、θZ方向にも移動可能に構成されている。
図1に示すように、基板ステージPST上のY軸方向及びX軸方向のそれぞれの端縁には直交する方向に移動鏡33a、33bが設置されている。X軸方向に延在する移動鏡33aに対向するように、複数(例えば、3個)のレーザー干渉計Px1、Px2、Px3が配置されている。また、Y軸方向に延在する移動鏡33bに対向するように、複数(例えば、2個)のレーザー干渉計Py1、Py2が配置されている。
複数のレーザー干渉計Py1、Py2は、移動鏡33bにレーザー光を照射して、レーザー干渉計Py1、Py2と移動鏡33bとの距離を検出する。レーザー干渉計Py1、Py2の検出結果は制御部Cに出力され、制御部Cはレーザー干渉計Py1,Py2の検出結果に基づいて基板ステージPSTのY軸方向における位置、及びZ軸まわりの回転量を求める。また、レーザー干渉計Px1~Px3は移動鏡33aにレーザー光を照射して、レーザー干渉計Px1~Px3と移動鏡33aとの距離を検出する。ここで、基板ステージPSTは、Y軸方向に走査用の長いストロークを有するので、基板ステージPSTの位置に応じてレーザー干渉計Px1~Px3が切り替えられる。
レーザー干渉計Px1~Px3の検出結果は制御部Cに出力され、制御部Cはレーザー干渉計Px1~Px3それぞれの検出結果に基づいて基板ステージPSTのX軸方向における位置を求める。制御部Cは、レーザー干渉計Py1、Py2、及びPx1~Px3の出力から基板ステージPSTの位置(姿勢)をモニタし基板ステージPSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
制御部Cは、マスクステージMST及び基板ステージPSTの位置をモニタしながらマスク101と基板Pとを投影光学系PLに対して任意の走査方向(同期移動速度)でX軸方向に同期駆動する。
次に、本実施形態に係る光学ユニット300について説明する。光学ユニット300は、図2に示すように、光学素子301の周辺に複数(例えば、24個)のアクチュエータ302(駆動部)を配置する構成をとる。光学ユニット300は、光源からの光(露光光)が通過する光路に配置される。光学ユニット300は、図5に示すように、アクチュエータ302を独立に駆動させることで、光学素子301のそれぞれの位置に変位を与え、光学素子301を変形させる構造となっている。
光学素子301は典型的にはガラスであるが、他の部材であってもよい。また、典型的には平板ガラスであるが、シリンドリカルレンズ等の平板以外の形状の部材でもよい。また、形状は典型的には円弧を切り出した扇形であるが、これに限らず矩形や円形であってもよい。光学素子301が平板ガラスである場合には、平板ガラスでない場合と比較して、光学素子301を高さ方向に一律オフセットしても結像性能は変化しない点で有利である。また、光学素子301は、アクチュエータ302により反射面を変形可能な反射鏡でありうる。
図3及び図4は、光学ユニット300のアクチュエータ302の構成を示す図である。アクチュエータ302は、上下方向(Z方向)に光学素子301を駆動するためのユニットである。Yスライド部307をY方向に駆動すると、後述するくさび構造によって、Y方向の駆動がZ方向の駆動に変換され、Zスライド部306が上下方向(Z方向)に駆動する機構である。
アクチュエータ302の構成を説明する。アクチュエータ302は、クランプ上部304、クランプ下部305、Zスライド部306、Yスライド部307、ボールネジ308、カップリング309、シャフト310、遮光板金311、フォトセンサ312、エンコーダ314、モータ315を有する。クランプ上部304とクランプ下部305とで光学素子301を上面及び下面で把持している。制御部Cからの指令に基づいて、各モータ315がそれぞれ駆動し、シャフト310が回転する。シャフト310の回転はカップリング309を通じてボールネジ308に伝達され、ボールネジが回転する。図4に示すようにYスライド部307底部のY直動ガイド317により、Yスライド部307はY方向に案内される。Yスライド部307の上面はY方向に沿って傾斜がついており、傾斜面にはくさび部直動ガイド318が備えられている。くさび部直動ガイド318は、くさびの斜面方向に沿って直線案内する機構である。くさび部直動ガイド318の上側はZスライド部306の底面に接続されている。Zスライド部306の底面はY方向に沿って傾斜面を有しており、Yスライド部307の上面に対して平行に滑る構成となっている。さらに、Zスライド部306は、Z直動ガイド316によってZ方向に案内される。Yスライド部307がY方向に移動するとZスライド部306との間の斜面の重なり量が変化する。結果として、Yスライド部307がY方向に駆動されるとZスライド部306がZ方向に駆動されることになる。傾斜の角度が、例えば14°の場合、Y方向の移動量に対してZ方向の移動量が1/4に縮小される。駆動に必要な力も同様に1/4となる。
Yスライド部307が駆動すると、エンコーダ314はY方向の変位を読み取る。エンコーダ314はインクリメンタル式でもよいし、アブソリュート式でもよい。Y方向の変位とZ方向の変位は一対一に対応しているため、Y方向の変位を取得することでZ方向の変位を把握することができる。例えば、上記のようにくさびの傾斜の角度が14°の場合、エンコーダ314が示す値の1/4がZ方向の変位となる。エンコーダ314がY方向の変位を読み取る場合について説明したが、これに限らず、Z方向の変位を読み取るように取り付けてもよい。その場合、エンコーダ314が示す値がそのままZ方向の変位となる。アクチュエータ302は制御部Cからの指令で駆動し、エンコーダ314で現在位置を確認しながら所望の位置まで追い込み駆動をする。駆動後、正しく指令位置まで動いたことをエンコーダ314の現在位置から判別する。指令位置とは、所定の指令値に基づく駆動により理想的に駆動された場合の位置である基準位置である。
図3のようにフォトセンサ312はアクチュエータ302のリミットに配置されており、駆動中にリミットに達した場合、フォトセンサ312は遮光板金311を検知する。遮光を検知すると制御部Cはインターロック信号を送り、アクチュエータは駆動を停止する。
次に、光学ユニット300を用いて結像誤差を補正する方法を説明する。光学ユニット300はアクチュエータ302を独立にZ方向に駆動することで光学素子301を変形させる。結像誤差を補正するための各アクチュエータの駆動量は制御部Cで計算される。駆動量の計算方法を下記に示す。
まず、事前に各アクチュエータの結像感度行列を求めておく。結像感度とは、アクチュエータを1個だけあらかじめ決められた駆動量で駆動したときの像面上の評価点における結像性能の変化量を示す。図6に評価点の位置の例を示す。評価点400は光学素子301上に複数個または1個設定される。これら評価点における結像感度を露光装置EXによる露光開始前に求めておく。結像感度は、一般的には光学領域において複数の評価点を使用するのでベクトルとなる。結像性能とは歪曲収差、非点収差などの補正に必要な光学指標を示す。結像感度は、シミュレーションにより求めてもよいし、実機において各アクチュエータを1個ずつ駆動したときの像を撮像装置ASで計測する実測値に基づいて求めてもよい。
各アクチュエータは順次、決められた駆動量で駆動することで、アクチュエータの数だけの結像感度ベクトルが得られるが、これらを並べて行列にまとめたものが結像感度行列となる。式で表すと下記のようになる。アクチュエータの数をm、結像面上の評価点の数をnとし、i番目のアクチュエータを駆動した時の各評価点における結像性能の変化量を表すベクトルをBiとすると、
Bi=[Ai1,Ai2,・・・,Ain](i=1,2,・・・,m)・・・(1)
と表すことができる。ここで、Aijはi番目のアクチュエータを決められた駆動量で駆動したときのj番目の評価点の結像性能の変化量である。これをアクチュエータの個数分並べたものが結像感度行列Cとなり、
C=[B1,B2,・・・,Bm]・・・(2)
と表すことができる。j番目の評価点における結像誤差をSjとすると、結像誤差行列Sは、
S=[S1,S2,・・・,Sm]・・・(3)
と表すことができる。結像誤差を補正するときのi番目のアクチュエータの駆動量をDiとすると、駆動量行列Dは、
D=[D1,D2,・・・,Dn]・・・(4)
と表すことができる。
制御部Cは、送られてきた結像誤差補正量と、保存部に内蔵してある結像感度行列を用いて演算部において各補正機構の駆動量を求める。結像誤差補正量をS、駆動量をDとすると、露光誤差補正量は統合感度行列と駆動量との積で表すことができ、結像誤差補正量をSは、
S=C×D・・・(5)
と表すことができる。上述のように、一般的に結像感度行列のCは正方行列でないので逆行列が存在せず、上式から駆動量Dを一意に求めることはできない。そこで、結像感度行列のCの疑似逆行列(または一般化逆行列)を用いて求める。結像感度行列Cの擬似逆行列をpinv(C)すると、駆動量Dは
D=pinv(C)×S・・・(6)
と表すことができる。なお、疑似逆行列による連立方程式の解き方は数学的には最小二乗法と等価である。
光学素子の位置姿勢を変えることで所望の結像性能、例えば歪曲収差を補正できるが、非点収差が発生する場合がある。この場合、副作用として発生する非点収差が許容値以下になる範囲内で光学素子の変形させる必要があり、これが制約条件となる。
また、光学素子301を構成する部材は一般的にはガラスであり、隣り合うアクチュエータとのZ方向の差分が大きいほど変形応力が大きくなり、規定値を超えると割れる可能性がある。そのため、隣り合うアクチュエータの指令位置の差分を制約条件としても良い。また、駆動速度が規定値以上の場合、モータ315が脱調し、指令位置まで駆動できない可能性があるため、駆動速度を制約条件としても良い。
光学ユニット300はマスクステージMST、基板ステージPSTのY軸方向の走査に合わせて、露光装置EXの走査露光中に、アクチュエータの各々を個別に制御することで結像誤差を補正する。図7のように、基板Pは複数の露光領域に(仮想的に)分割され、この領域を1回のY方向走査で露光する。図7の場合、露光領域A1~A4の4回のY方向走査で露光する。上記の露光領域をショット領域とも呼ぶ。
露光領域はさらにY方向に複数または1個の補正点があり、補正点の個数に応じたY方向の補正領域に分割される。各アクチュエータは各補正点における光学素子301の形状に駆動するため、指令位置まで補正点間を等速または加減速しながら駆動する。図8の場合、5つの補正点(補正点番号1から5)があり、4個の補正領域に(仮想的に)分割される。
以下では、説明を簡易にするため、光学素子301を把持し変形させるアクチュエータが2個と仮定し、それぞれアクチュエータACT1、ACT2とする。また、アクチュエータACT1、ACT2それぞれに入力される指令値を図9、図10に示す。図9は、アクチュエータACT1における指令値を示すグラフであり、図10は、アクチュエータACT2における指令値を示すグラフである。図9および図10のグラフにおいて、縦軸はストローク中心からの駆動位置であり、横軸は補正点番号である。
アクチュエータACT1は、ストローク中心位置から15~50μmの間において駆動が行われており、アクチュエータACT2はストローク中心位置から2~45μmの間において駆動が行われる。それぞれのアクチュエータは、露光領域A1~A4に対して同じ駆動を繰り返し行う。また、基板Pが交換される度に同様の方法でアクチュエータを駆動する。
しかしながら、上記のようにアクチュエータを駆動(例えば所定動作を繰り返し駆動)すると、アクチュエータの摺動部品の摩耗が局所的となる。摺動部品とは、例えば、図4におけるボールねじ308、Z直動ガイド316、Y直動ガイド317、くさび部直動ガイド318である。ボールねじ308において、ボールがねじの溝を転がることで回転するが、ボールと溝の接触面が摩耗する。また、ガイドがリニアガイドの場合、ボールがレール上を転がるため、ボールとレールの接触面が摩耗する。クロスローラーガイドの場合、ローラーがレール上を転がるため、ローラーとレールの接触面が摩耗する。上記では所定動作を繰り返し行うことについて説明したが、所定動作とは完全に同じ動作でなくとも良く、同様な範囲の駆動も含む。
本実施形態では、摺動部品の局所的な摩耗を低減するために、アクチュエータ302のストローク中心位置を定期的に、全軸で一律にオフセットさせる。一律とは、アクチュエータ全軸がほぼズレなく駆動することを意味し、アクチュエータの駆動量に対する隣り合うアクチュエータ同士のずれ量の割合が5%以内でありうる。すなわち、アクチュエータ302の初期位置(ホーム位置)を全軸で一律に変更させる。これにより、摩耗を分散させることができ、局所的な摩耗を低減することができる。また、一律オフセット後の駆動領域は一律オフセット前の駆動領域と重ならないことが好ましい。具体的には、アクチュエータ302の初期位置を変更した後にアクチュエータ302の少なくとも1つが駆動する範囲が、前記初期位置を変更する前にアクチュエータ302の少なくとも1つが駆動する範囲に重ならないようにすることが好ましい。より好ましくは、アクチュエータ302の初期位置を変更した後にアクチュエータ302の全てが駆動する範囲が、前記初期位置を変更する前にアクチュエータ302の全てが駆動する範囲に重ならないようにすることが好ましい。
そこで、一律オフセット量はアクチュエータ全軸の指令位置の最大値と最小値の差分以上であることが好ましい。ただし、一律オフセット量が全軸の指令位置の最大値と最小値の差分以上であることは、本実施形態の必須の要件ではなく、最大値と最小値の差分以下であっても良い。
図9、図10に示すアクチュエータACT1、ACT2の駆動プロファイルから一律オフセットを加えると、図11、図12のような駆動プロファイルとなる。図11は、本実施形態におけるアクチュエータACT1の駆動プロファイルを示すグラフであり、図12は、本実施形態におけるアクチュエータACT2の駆動プロファイルを示すグラフである。
図9、図10より、全軸の指令位置の最大値は50μmであり、最小値は2μmである。よって、最大値と最小値の差分は50μm-2μm=48μmであり、48μm以上のオフセット量でありうる。この一律オフセット量を各アクチュエータの指令位置に加算する。制御部Cで一律オフセット量が計算され、一律オフセット量を加算した指令位置が各アクチュエータに送られる。本実施形態では、上記のようにアクチュエータのストローク中心位置を一律にオフセットし、駆動することで摩耗が分散され、耐久性が向上する。
本実施形態では、基板Pを露光していないタイミング(即ち、露光と露光の間のタイミング)で、アクチュエータ302の初期位置の変更が実行される。また、本実施形態において、一律オフセット量の加算は、走査露光が所定の回数が実行された場合に実施しても良いし、所定の期間が経過した場合に実施しても良い。所定の期間は、例えば、1か月、或いは1年でありうる。
また、一律オフセット量の加算は、ユーザの指示により実行されても良い。例えば、露光装置EXは、ユーザからの指示を受け付けるユーザインターフェース(コンソール、タッチパネル等)を更に有していても良い。ユーザがユーザインターフェース上の「一律オフセット変更」のボタンを押下することで、一律オフセット量の加算が実行されうる。
上記の方法によれば、アクチュエータが駆動可能なストロークが長いほど、また全軸の指令位置の最大値と最小値の差分が小さいほど寿命を延ばすことができる。例えば、アクチュエータが駆動可能なストロークが500μmとする。全軸の指令位置の最大値が50μm、最小値が2μmの場合、差分は48μmのため一律オフセット量は48μmである。ストローク内で500÷48≒10回の一律オフセットが可能なため、アクチュエータの寿命は約10倍に向上する。つまり、ストロークが長いほど、また全軸の指令位置の最大値と最小値の差分が小さいほど好ましい。制御部Cで結像誤差を補正する各アクチュエータの駆動量を演算するときに、全軸の指令位置の最大値と最小値の差分を制約条件とすることで、一律オフセット可能な回数が多くなるように駆動量を演算することが可能となる。
上記では、一律オフセット後の駆動領域が一律オフセット前の駆動領域と重ならない一律オフセット量の演算方法を示したが、この方法では、一度も駆動で使用しない領域が発生する。例えば、上記のように駆動ストロークが500μm、全軸の指令位置の最大値と最小値の差分が48μmとする。この場合、計10回、一律オフセットが可能なため、48×10=480μmを駆動に使用し、この範囲内で摩耗を分散させる。しかし、残りの500―480=20μmが一度も駆動に使用しない領域となる。この領域も駆動に使用し、より効果的に摩耗を分散させる方法を以下に示す。
一律オフセット量をより小さくすることに加え、一律オフセットする頻度を増やすことで、余剰となる領域を最小限にする。この方法では、一律オフセット後の駆動領域が一律オフセット前の駆動領域と重なってもよい。例えば、上記のようにストロークが500μm、全軸の指令位置の最大値と最小値の差分が48μmとする。一律オフセット量を2μmとすると、一律オフセット後は2μm分が新たな駆動領域となり、残りの46μmは一律オフセット前と重なっている。(500―48)÷2=226より、計226回の一律オフセットで500μmすべてのストロークを使用する。一律オフセット量はこれに限らず例えばより小さい1μmなどでもよい。その場合は一律オフセットする回数が増え、(500―48)÷1=502回の一律オフセットですべての駆動可能領域を使用する。駆動可能範囲とは、例えばフォトセンサを検知しない範囲のことである。より小さい一律オフセット量で、一律オフセットする頻度を増やすことで、使用しないストロークを最小限にし、ストローク全体に摩耗が分散するようにする。一律オフセットする頻度は、例えば1日毎や1週間毎でありうる。
光学素子301が平板ガラスの場合、高さ方向に一律オフセットしても結像感度行列は変化しないため、結像性能に影響しない。つまり、上記の方法でストローク中心位置を全軸一律にオフセットしても結像性能は変化させずに、摺動部品の耐久性を向上することができる。
摩耗によりアクチュエータの駆動精度や補正性能が変化したことをセンサで検知した後、ストローク中心位置を一律オフセットしてもよい。例えば、補正駆動時に指令位置とエンコーダで読み取った現在位置に規定値以上の乖離が生じたときにストローク中心位置を一律オフセットしてもよい。さらに、撮像装置ASで計測した結像性能が規定値以下になったときも同様にストローク中心位置を一律オフセットしてもよい。
アクチュエータ302には各構成部品の寸法の誤差や、組み立て時の取り付け誤差、予圧誤差などが乗り、駆動誤差が生じる可能性がある。そのため、ストローク中心位置を一律オフセットさせたときに、アクチュエータが所望の一律オフセット位置まで駆動しない可能性がある。エンコーダ314は一律オフセット後の現在位置を読み取り、一律オフセット位置と現在位置に規定値以上の乖離がある場合は乖離が小さくなる方向に追い込み駆動を行う。また、撮像装置ASで計測した結像性能の変化量が一律オフセット前後で規定値以上となった場合も変化量が小さくなる方向に追い込み駆動を行う。結像性能とは、例えば歪曲収差や非点収差等の光学的な収差である。一律オフセット位置まで駆動させるときに、モータ315が脱調する可能性がある。エンコーダ314で現在位置を読み取る、または撮像装置ASで結像性能を計測することでモータ315が脱調しているかどうかを確認する。脱調していた場合は脱調しない駆動速度まで落とし、一律オフセット位置に駆動する。
アクチュエータの摺動部品に局所的な摩耗が生じると、指令通りに駆動しない可能性がある。局所的な摩耗が生じた箇所は現在位置と指令位置の差が大きくなっている。そのため、その領域における駆動精度が悪く、結像性能が悪化する可能性がある。摩耗が生じても精度よく駆動するために、摩耗が生じた領域における指令値に定数を掛け算すればよい。定数は主制御装置Cからの指令値と駆動後のエンコーダ314の変位との関係から計算する。定数は、指令値÷実際の変位で計算でき、例えば指令値が10μmに対し実際の変位が5μmの場合、定数は2となり、この領域における指令値に2を掛け算することで摩耗が生じても駆動誤差を抑えながら駆動することができる。
また、アクチュエータ302の摺動部品には潤滑油が塗布されている。摺動部品は、図4のボールネジ308、Z直動ガイド316、Y直動ガイド317、くさび直動ガイド318であり、ボールまたはローラーとねじ溝またはレールの間に潤滑油が塗布されている。潤滑油を塗布することで部品の直接の接触を避けることができ、摩耗を抑制することができる。また、アクチュエータ302を繰り返し駆動させていると潤滑油は徐々に駆動領域外に移動する可能性がある。そのため、図13のようにストロークのプラス側リミット、マイナス側リミット間を往復する一律並行駆動を行うことで潤滑油が均等な状態にする。一律並行駆動の頻度は、例えば基板Pを1枚露光する毎に行われても良いし、1日毎に行われても良い。また、一律の駆動でなくとも良く、潤滑油が広がるように駆動されれば駆動方法は問わない。走査露光中にアクチュエータ302が駆動する範囲を越えて、アクチュエータ302を駆動するように制御されれば、潤滑油が広がるため、そのような駆動であれば良い。
次に、本実施形態における露光装置EXの制御方法について説明する。図14は、制御方法の各工程を示すフローチャートである。フローチャートの各工程は、制御部Cにより制御されうる。
ステップS1では、走査露光中に駆動させるアクチュエータ302の駆動量を算出する(算出工程)。具体的には、上記で説明した結像感度行列Cから駆動量Dを算出する。
ステップS2では、基板Pを走査露光する(露光工程)。このとき、上記で説明したように、アクチュエータ302で光学素子301を変形させながら露光を行うことで、収差を低減させることができる。
ステップS3では、一律オフセットの変更が必要かどうかについて判断する(判断工程)。必要である場合には、ステップS4へ進み、不要である場合には、フローチャートを終了させる。
ステップS4では、一律オフセットの加算、即ち、複数のアクチュエータ302の初期位置を一律に変更する(変更工程)。これにより変更工程の前後で駆動領域が変更され、局所的な摩耗を低減させることができる。
以上より、本実施形態では、一律オフセット量を加算することで、局所的な摩耗を抑制することができ、光学ユニットの耐久性を向上させることができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、図9、図10、図15、図16を参照して、アクチュエータ302の耐久性を向上させる駆動方法について説明する。本実施形態におけるアクチュエータ302の駆動方法は、走査露光中に基板Pを露光しながら全軸一律のオフセットを付加させながら駆動し、ストローク中の同じ箇所を通過する回数を最小限にすることで、摩耗を分散させる方法である。これは、各アクチュエータの駆動方向の変化回数を最小限にすることを意味する。尚、第1実施形態と同様の構成等については説明を省略する。
以下では、走査露光中に全軸一律のオフセットを付加させながらアクチュエータを駆動する方法について説明する。ここで、説明を簡易にするため、光学ユニット300のアクチュエータの個数を2個とし、それぞれアクチュエータACT1、ACT2として説明する。各軸の駆動プロファイルがそれぞれ図9、10であるとし、Y方向の走査露光時の補正点数は5点とする。アクチュエータACT1、2の一律オフセット付加後の駆動プロファイルを図15、図16に示す。例えば、補正点番号5の指令位置は、ACT1、2それぞれ15μm、30μmであり、差分は15μmである。一律オフセット後の補正点番号5における指令位置はそれぞれ75μm、90μmであり、差分は同様に15μmとなっている。各アクチュエータ間の位置の関係性は変えず、つまり光学素子301の形状は変えずに、走査露光中に一律オフセットすることで摩耗が分散される。例えばアクチュエータACT1において、一律オフセット前は、図9より補正点番号1から5までの補正駆動においてストローク内の同じ箇所を最大3回通過するが、一律オフセット後は図15より1回の通過回数(同じ箇所を2回以上通らない)となる。通過回数が3回から1回に減ることにより摩耗の箇所が分散され、耐久性が向上する。上記の場合には、通過回数が1/3になったため寿命が約3倍に伸びる。また、光学素子301が平板ガラスの場合、走査露光中に一律オフセットを加えても結像性能は変化しない。
アクチュエータのストローク内の同じ箇所を通過する回数が少ないほど耐久性が向上するため、駆動量を演算するときに通過回数を制約条件として付加しても良い。また、駆動方向が変化する回数が少ない場合も同様に耐久性が向上するため、制約条件として付加しても良い。
走査露光中の一律オフセット量は制御部Cで演算される。演算方法を以下に示す。まず、制御部Cで結像誤差を補正する各アクチュエータの駆動量を演算する。i番目のアクチュエータの補正点番号kにおける指令位置をVikとする。さらに、補正点番号kにおける一律オフセット量をUkとし、一律オフセット後のi番目のアクチュエータの補正点番号kにおける指令位置をWikとすると、
Wik=Vik+Uk・・・(7)
と表すことができる。
補正点番号1においては一律オフセットする必要がないため、U1=0であり、Vi1=Wi1となる。補正点番号2以降は、アクチュエータの個数をnとすると、一律オフセット量Ukは、
Uk=MAX((W1k―1)―V1k,(W2k―1)―V2k,・・・,(Wnk―1)―Vnk)・・・(8)
と表すことができる。ここで、MAX()関数は、括弧内の数値の最大値を返す関数である。
一律オフセット量は上記に限らず、例えば、補正点ごとに線形的に増加させてもよい。この場合、補正点番号kにおける一律オフセット量UkはUk=A×kとなる。ここで、Aは定数である。さらに、定数Aが、駆動量の最大値以上の場合、駆動方向が変化しない駆動プロファイルとなるため、より摩耗の分散の効果が期待できる。つまり、定数Aは、
A=MAX(V1k―(V1k―1),V2k―(V2k―1),・・・,Vnk―(Vnk―1))・・・(9)
と表すことができる。
上記の走査露光中の一律オフセットによる方法では、全体の駆動ストロークが長くなるため、耐久性は向上するが、補正に必要な駆動速度も大きくなる。駆動速度が大きいほど、モータ315は脱調しやすくなる。また、駆動速度が大きいほど、駆動誤差が大きくなるため、典型的には駆動量を演算するときの駆動速度の制約条件は、第1実施形態の方法に比べて厳しくなる。
また、走査露光中は、常時エンコーダ314で現在位置を読み取り、現在位置と指令位置に規定値以上の乖離があった場合には制御部Cに通知する。その場合には、制御部Cは、駆動速度の制約条件を変更し、再度、駆動量を演算する。駆動速度を変更した新たな駆動プロファイルで駆動し、エンコーダ314で走査露光中に常時現在位置を読み取る。現在位置と指令位置に規定値以上の乖離があれば、駆動速度の制約条件をさらに変更し、駆動量を演算する。以降、同様の演算を繰り返し、駆動量を決定する。
上記は走査露光中にエンコーダ314で現在位置を読み取り、指令位置との乖離を計測する方法について説明したが、撮像装置Cで走査露光中に結像性能を計測し、目標値と比較する方法でもよい。結像性能の目標値との乖離が規定値以上の場合、駆動速度の制約条件を変更し、再度、駆動量を演算する。
次に、本実施形態における露光装置EXの制御方法について説明する。図17は、制御方法の各工程を示すフローチャートである。フローチャートの各工程は、制御部Cにより制御されうる。
ステップS5では、走査露光中に駆動させるアクチュエータ302の駆動量を算出する(算出工程)。具体的には、上記で説明した結像感度行列Cから駆動量Dを算出する。
ステップS6では、基板Pを走査露光する(露光工程)。このとき、上記で説明したように、アクチュエータ302で光学素子301を変形させながら露光を行うことで、収差を低減させることができる。
ステップS7では、一律オフセットの変更が必要かどうかについて判断する(判断工程)。必要である場合には、ステップS8へ進み、不要である場合には、フローチャートを終了させる。
ステップS8では、一律オフセットの加算、即ち、複数のアクチュエータ302の初期位置を一律に変更する(変更工程)。これにより変更工程の前後で駆動領域が変更され、局所的な摩耗を低減させることができる。本実施形態では、ステップS6とステップS7及びS8とが並列に行われる、即ち、走査露光中に初期位置の変更が実行される点で第1実施形態とは異なる。また、ステップS7は、ステップS6とは並行ではなく、ステップS6が実行される前に行っても良い。
以上より、本実施形態では、走査露光中に一律オフセット量を加算することで、局所的な摩耗を抑制することができ、光学ユニットの耐久性を向上させることができる。
<第3実施形態>
本実施形態は、アクチュエータの駆動量を算出する工程で、走査露光中の駆動方向の制約条件を加えることで、ストローク中の同じ箇所を通過する回数を最小限にし、摩耗を分散させる方法である。駆動方向に制約条件を加える方法を以下に示す。
i番目のアクチュエータの補正点番号kにおける指令位置をWikとしたときに、Wik<Wi(k+1)を満たす。例えば補正点数が5点の場合、すべてのアクチュエータについて、Wi1<Wi2<・・・<Wi5が成り立つ。結像誤差を補正する駆動量を算出する工程にこの制約条件を追加することで、走査露光中にアクチュエータは駆動を切り返さず、一律に同じ方向に駆動する。例えば補正点数5点の露光領域において駆動方向の制約条件がない場合は最大で3回の駆動方向の切り返しが発生する。ストローク内の同じ箇所を通過する回数は4回である。一律に同じ方向に駆動する制約条件を加えた場合、駆動方向の切り返しは発生せず、同じ箇所は1回しか通過しない。このため、制約条件がない場合と比べて耐久性が4倍に向上する。Wi1<Wi2<・・・<Wi5の場合は一律に鉛直上向きに駆動するが、一律に下向きに駆動するように制約条件を加えてもよく、その場合はWi1>Wi2>・・・>Wi5となる。
すなわち、本実施形態では、制御部Cは、基板を露光する間に複数の駆動部の各々が駆動する方向が切り替わらないように、基板を露光しながら複数の駆動部を駆動させる。
また、必ずしも露光領域すべてにおいて一律に同じ方向に駆動する必要はなく、ある補正点の間のみ一律に同じ方向に駆動するようにしてもよい。例えばWi1<Wi2<Wi3>Wi4>Wi5のように補正点番号1から2までは一律に鉛直上方向に駆動するが、補正点番号3から5までは一律に鉛直下方向に駆動するようにしてもよい。同じ箇所を通過する回数は2回に増えてしまうが、全体のストロークが短くなり、リミットに接触するまでの余裕が増える。また、駆動方向の制約と、初期位置変更を組み合わせてもよい。
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)、半導体デバイス、センサや光学素子などの物品を製造するのに好適である。図18は、本実施形態の物品の製造方法のフローチャートである。本実施形態の物品の製造方法は、基板上に塗布された感光材に上記の露光装置EXによる露光で潜像パターンを形成し、露光基板を得る工程(露光工程、ステップS11)を含む。また、かかる工程で露光された基板を現像し、現像基板を得る工程(現像工程、ステップS12)を含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む(加工工程、ステップS13)。本実施形態における物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
本明細書の開示は、少なくとも以下の露光装置、露光方法、及び物品の製造方法を含む。
(項目1)
原版のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、
光源からの光が通過する光路に配置される光学素子と、
前記光学素子の複数の箇所に配置され、前記光学素子を変形させる複数の駆動部と、
前記複数の駆動部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記複数の駆動部の初期位置を一律に変更することを特徴とする露光装置。
(項目2)
前記制御部は、前記初期位置を変更した後に前記複数の駆動部の少なくとも1つが駆動する範囲が、前記初期位置を変更する前に前記複数の駆動部の少なくとも1つが駆動する範囲に重ならないように、前記初期位置を変更することを特徴とする項目1に記載の露光装置。
(項目3)
前記制御部は、前記初期位置を変更した後に前記複数の駆動部の全てが駆動する範囲が、前記初期位置を変更する前に前記複数の駆動部の全てが駆動する範囲に重ならないように、前記初期位置を変更することを特徴とする項目2に記載の露光装置。
(項目4)
前記制御部は、前記基板を露光していないタイミングで、前記初期位置を変更することを特徴とする項目1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
(項目5)
ユーザからの指示を受け付けるユーザインターフェースを更に有し、
前記制御部は、前記指示に基づいて前記初期位置を変更することを特徴とする項目1乃至4のいずれか1項に記載の露光装置。
(項目6)
前記複数の駆動部の位置を計測するエンコーダを更に有し、
前記制御部は、前記エンコーダで計測される前記複数の駆動部の位置が基準位置となるように、前記複数の駆動部を制御することを特徴とする項目1乃至5のいずれか1項に記載の露光装置。
(項目7)
前記制御部は、前記基板を露光しながら前記複数の駆動部の各々を個別に制御することを特徴とする項目1乃至6のいずれか1項に記載の露光装置。
(項目8)
前記光学素子は、平板ガラスを含むことを特徴とする項目1乃至7のいずれか1項に記載の露光装置。
(項目9)
前記光学素子は、反射鏡を含むことを特徴とする項目1乃至7のいずれか1項に記載の露光装置。
(項目10)
原版のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、
光源からの光が通過する光路に配置される光学素子と、
前記光学素子の複数の箇所に配置され、前記光学素子を変形させる複数の駆動部と、
前記複数の駆動部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記基板を露光しながら、前記複数の駆動部の初期位置を一律に変更することを特徴とする露光装置。
(項目11)
前記光学素子は、平板ガラスを含むことを特徴とする項目10に記載の露光装置。
(項目12)
前記光学素子は、反射鏡を含むことを特徴とする項目10に記載の露光装置。
(項目13)
原版のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、
光源からの光が通過する光路に配置される光学素子と、
前記光学素子の複数の箇所に配置され、前記光学素子を変形させる複数の駆動部と、
前記複数の駆動部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記基板を露光する間に前記複数の駆動部の各々が駆動する方向が切り替わらないように、前記基板を露光しながら、前記複数の駆動部を駆動させることを特徴とする露光装置。
(項目14)
前記光学素子は、平板ガラスを含むことを特徴とする項目13に記載の露光装置。
(項目15)
前記光学素子は、反射鏡を含むことを特徴とする項目13に記載の露光装置。
(項目16)
原版のパターンの像を基板に露光する露光装置を制御する制御方法であって、
光源からの光が通過する光路に配置される光学素子の複数の箇所に配置され、前記光学素子を変形させる複数の駆動部の駆動を制御しながら、前記基板を露光する露光工程と、
前記複数の駆動部の初期位置を一律に変更する変更工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
(項目17)
前記変更工程は、前記変更工程を行った後に前記複数の駆動部の少なくとも1つが駆動する範囲が、前記変更工程を行う前に前記複数の駆動部の少なくとも1つが駆動する範囲に重ならないように、前記初期位置を変更することを特徴とする項目16に記載の制御方法。
(項目18)
前記変更工程は、前記基板を露光していないタイミングで実行されることを特徴とする項目16又は17に記載の制御方法。
(項目19)
原版のパターンの像を基板に露光する露光装置を制御する制御方法であって、
光源からの光が通過する光路に配置される光学素子の複数の箇所に配置され、前記光学素子を変形させる複数の駆動部の駆動を制御しながら、前記基板を露光する露光工程と、
前記露光工程を実行しながら、前記複数の駆動部の初期位置を一律に変更する変更工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
(項目20)
項目1乃至15のいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光し、露光基板を得る露光工程と、
前記露光基板を現像し、現像基板を得る現像工程と、を含み、
前記現像基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
101 マスク(原版)
301 光学素子
302 アクチュエータ(駆動部)
C 制御部
EX 露光装置
P 基板

Claims (20)

  1. 原版のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、
    光源からの光が通過する光路に配置される光学素子と、
    摺動部品を備え、前記光学素子の複数の箇所各々変形させる複数のアクチュエータと、
    前記複数のアクチュエータの駆動を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記複数のアクチュエータの初期位置を一律に変更することを特徴とする露光装置。
  2. 前記制御部は、前記初期位置を変更した後に前記複数のアクチュエータの少なくとも1つが駆動する範囲が、前記初期位置を変更する前に前記複数のアクチュエータの少なくとも1つが駆動する範囲に重ならないように、前記初期位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記制御部は、前記初期位置を変更した後に前記複数のアクチュエータの全てが駆動する範囲が、前記初期位置を変更する前に前記複数のアクチュエータの全てが駆動する範囲に重ならないように、前記初期位置を変更することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記制御部は、前記基板を露光していないタイミングで、前記初期位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  5. ユーザからの指示を受け付けるユーザインターフェースを更に有し、
    前記制御部は、前記指示に基づいて前記初期位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  6. 前記複数のアクチュエータの位置を計測するエンコーダを更に有し、
    前記制御部は、前記エンコーダで計測される前記複数のアクチュエータの位置が基準位置となるように、前記複数のアクチュエータの各々を制御することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  7. 前記制御部は、前記基板を露光しながら前記複数のアクチュエータの各々を個別に制御することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  8. 前記光学素子は、平板ガラスを含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  9. 前記光学素子は、反射鏡を含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  10. 原版のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、
    光源からの光が通過する光路に配置される光学素子と、
    摺動部品を備え、前記光学素子の複数の箇所各々変形させる複数のアクチュエータと、
    前記複数のアクチュエータの駆動を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記基板を露光しながら、前記複数のアクチュエータの初期位置を一律に変更することを特徴とする露光装置。
  11. 前記光学素子は、平板ガラスを含むことを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
  12. 前記光学素子は、反射鏡を含むことを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
  13. 原版のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、
    光源からの光が通過する光路に配置される光学素子と、
    摺動部品を備え、前記光学素子の複数の箇所各々変形させる複数のアクチュエータと、
    前記複数のアクチュエータの駆動を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記基板を露光する間に前記複数のアクチュエータの各々が駆動する方向が切り替わらないように、前記基板を露光しながら、前記複数のアクチュエータを駆動させることを特徴とする露光装置。
  14. 前記光学素子は、平板ガラスを含むことを特徴とする請求項13に記載の露光装置。
  15. 前記光学素子は、反射鏡を含むことを特徴とする請求項13に記載の露光装置。
  16. 原版のパターンの像を基板に露光する露光装置を制御する制御方法であって、
    摺動部品を備え、光源からの光が通過する光路に配置される光学素子の複数の箇所各々変形させる複数のアクチュエータの駆動を制御しながら、前記基板を露光する露光工程と、
    前記複数のアクチュエータの初期位置を一律に変更する変更工程と、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  17. 前記変更工程は、前記変更工程を行った後に前記複数のアクチュエータの少なくとも1つが駆動する範囲が、前記変更工程を行う前に前記複数のアクチュエータの少なくとも1つが駆動する範囲に重ならないように、前記初期位置を変更することを特徴とする請求項16に記載の制御方法。
  18. 前記変更工程は、前記基板を露光していないタイミングで実行されることを特徴とする請求項16に記載の制御方法。
  19. 原版のパターンの像を基板に露光する露光装置を制御する制御方法であって、
    摺動部品を備え、光源からの光が通過する光路に配置される光学素子の複数の箇所各々変形させる複数のアクチュエータの駆動を制御しながら、前記基板を露光する露光工程と、
    前記露光工程を実行しながら、前記複数のアクチュエータの初期位置を一律に変更する変更工程と、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  20. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光し、露光基板を得る露光工程と、
    前記露光基板を現像し、現像基板を得る現像工程と、を含み、
    前記現像基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
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