JP7843519B2 - 有機性廃棄物の処理装置および処理方法 - Google Patents

有機性廃棄物の処理装置および処理方法

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Description

本発明は、有機性廃棄物の処理装置および処理方法に関し、更に詳細には、重金属を含有する都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である有機性廃棄物の処理装置および処理方法に関するものである。
有機性廃棄物の処理方法として、例えば、密閉された容器内で廃棄物に高温高圧の水蒸気中で処理する方法が知られている(例えば、特開2000-33355号公報参照)。従来の廃棄物を蒸気で処理する方法では、焼却処理する場合のように有害な窒素酸化物、硫黄酸化物等の発生がほとんどないとされており、環境汚染の問題がなく、安全な廃棄物処理を期待できるものであった。
しかしながら、処理後は容器内に処理された固体物と液体とが混在する状態になっており、処理済みの廃棄物を取出した後の運搬や保管等が不便で扱いにくいという問題があり、かつ処理した後に、分離機を用いて処理された固体物と液体を分離すると、処理工程が煩雑となり多くの労力が必要がある、処理に長時間がかかる、反応容器と分離機とを別々に設置するための用地を広く確保する必要がある、などの問題が生じていた。
そのため、一台の装置で、廃棄物を高温高圧の蒸気を用いて安全に処理できるとともに、この処理に連続して、処理された廃棄物と液体とを分離して回収できる処理装置が提案された(特許第4864884号公報参照)。しかしこの処理装置は、廃棄物を高温高圧の水蒸気中で処理するための密閉容器からなるリアクターと、分離した液体を回収するための、前記密閉容器からなるリアクターと連結された他の回収用密閉容器を必要とするので、設備費が高くなり、操作が複雑となるなどの問題があった。
一方、例えば、下水処理施設から排出される下水汚泥は、病原微生物や重金属を含むため、それらによる環境リスクの回避のため、濃縮、消化、脱水、コンポスト、焼却、溶融など様々な方法で処理・処分が行われてきた。しかしながら、これらのいずれの処理方法も、減量・廃棄するものであり、電力や熱エネルギーを多量に投入する消費型技術であり、かつ温室効果ガスの排出源となるなど環境への影響が大きい方法であり、資源の再生原理に沿った処理ではなく、高い維持費が投入されているため、地域経済を圧迫する原因となっている。 現状では、下水汚泥に含まれる前記重金属による蓄積問題や有害化学物質、病原微生物やウィルスなど感染汚染の問題があり、下水汚泥の有効利用は進んでいない。このような背景から、近年「下水汚泥の資源化」の政策について方向付けがなされるようになっている(非特許文献1参照)。
一方、無機系廃棄物を石灰添加などの調質をして亜臨界水条件で処理することにより、重金属の固化による土壌浄化法が提案されている(非特許文献2参照)。
しかしながら、具体的な資源の再生を目的とし、安全に処理して、かつ前記重金属類を固定化して溶出を抑制し、処理装置の構造を簡素化して、操作が簡単で、低コストであるような資源化技術の導入には至っていなかった。
本出願の出願人は、先に、上記従来の課題に鑑みて、一台の装置だけで、重金属類を含む廃棄物で構成される有機性廃棄物を高温高圧の蒸気を用いて安全に処理して、前記重金属類を固定化して溶出を抑制し、処理後には、前記重金属類を固定化した廃棄物と液体とを含む混合物を排出して両者を簡単な操作で分離して回収できる、構造が簡単で、操作が簡単で、低コストである、重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置を提供するため、特願2014-508992号(特許第6872101号)にて下記の内容の重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置を提案した。
すなわち、特許第6872101号に係る重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置は、金属類を含むスラリー状または固形の有機系廃棄物、および前記有機廃棄物の炭化処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO成分原料を収容する閉鎖空間を有する密閉容器と、
記有機系廃棄物中の固形物を粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO成分原料と撹拌混合する撹拌手段と、
密閉容器内に収容され、前記撹拌手段により粉砕、混合されつつある前記有機系廃棄物およびCa成分原料およびSiO成分原料に、高温高圧の水蒸気を噴射して処理し、前記重金属類が閉じ込められた5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造の層を前記有機系廃棄物の固形物上に形成するための高温高圧の水蒸気を噴出する蒸気噴出手段と、
処理後に密閉容器内の蒸気を冷却して液化するための冷却手段と、
密閉容器内の底側に設けられ開閉機構を有する排出口と、
排出口から処理された前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む廃棄物と液化した成分を含む液体との混合物を排出し、排出した前記混合物から前記廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段とを備えた重金属類を含む廃棄物の処理装置であって、
前記分離回収手段は、前記混合物を一旦回収容器に回収してから前記廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段および/または前記混合物をベルトコンベア装置に供給して移動中に前記廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段であることを特徴とする。
特開2000-33355号公報 特許第4864884号公報 特許第6872101号
「水熱処理による無機系廃棄物の資源化」平野高広、(http://www.pref.iwate.jp/~kiri/infor/theme/2004/pdf/H16-32water.pdf) 「資源のみちの実現に向けて」報告書(案)、2007年3月資源のみち委員会資料2(http://www.mlit.go.jp/crd/city/sewerage/gyosei/sigen7th/02.pdf)
上記特許第6872101号に係る重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置によれば、重金属を、各種基準に適合した値まで閉じ込めたものであるが、本発明は、更にトバモライトによる重金属の閉じ込め量を改善することのできる重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置および処理方法を提供する。
上記課題は、下記(1)~(18)の構成の有機性廃棄物の処理装置および処理方法によって解決される。
(1)
重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO成分原料を収容する閉鎖空間を有する密閉容器と、
前記有機性廃棄物中の固形物を粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO成分原料と撹拌混合する撹拌手段と、
前記密閉容器内に収容され、前記撹拌手段により粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO成分をイオン化する蒸気噴出手段と、
処理後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成する密閉容器内温度調整手段と、
前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却手段と、
密閉容器内の底側に設けられ開閉機構を有する排出口と
を備えた重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置。
(2)
前記排出口から処理された前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む固形物と液化した成分を含む液体との混合物を排出し、排出した前記混合物から前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段を更に備えた前記(1)の有機性廃棄物の処理装置。
(3)
前記分離回収手段は、前記混合物を一旦回収容器に回収してから前記有機性廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段および/または前記混合物をベルトコンベア装置に供給して移動中に前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段である前記(2)の有機性廃棄物の処理装置。
(4)
前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである前記(1)~(3)のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
(5)
前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である前記(1)~(4)のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
(6)
開閉自在の排出口を有するとともに閉鎖空間を有する密閉容器の内部に、重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO成分原料を投入する有機廃棄物およびトバモライト形成用原料成分投入工程と、
前記密閉容器内に収容された前記重金属類を含む有機性廃棄物中の固形物を、粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO成分原料と撹拌混合し、この粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO成分をイオン化するイオン化工程と、
このイオン化工程後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成するトバモライト形成工程と、
前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却工程と、
を備えていることを特徴とする重金属類を含む有機性廃棄物の処理方法。
(7)
前記冷却工程で得られた液体と前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む処理された有機性廃棄物中の固形物とを分離回収する工程を更に備えた前記(6)の有機性廃棄物の処理方法。
(8)
前記トバモライト形成用として密閉容器内に収容されるSiO成分原料の少なくとも一部として、密閉容器にイネ科の植物の籾殻を投入し、該籾殻が含有するSiO成分を用いる前記(6)または(7)の有機性廃棄物の処理方法。
(9)
前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである前記(6)~(8)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(10)
前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である前記(6)~(9)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(11)
重金属類を含む有機性廃棄物中に予め含まれるCa成分の含有量(A-1)およびSiO成分の含有量(A-2)を分析して求め、かつ処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分(B-1)およびSiO成分の量(B-2)を算出し、下記の式(1)および式(2)により、重金属類を含む有機性廃棄物に添加するCa成分原料の添加量(C-1)およびSiO成分原料の添加量(C-2)を求め、重金属類を含む有機性廃棄物にCa成分原料(C-1)およびSiO成分原料(C-2)を添加して前記処理を行う前記(6)~(10)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
[(B-1)-(A-1)]=(C-1) ・・・式(1)
[(B-2)-(A-2)]=(C-2) ・・・式(2)
(12)
前記(C-2)の少なくとも一部として、イネ科の植物の籾殻のSiO成分を用いる請求項11の有機性廃棄物の処理方法。
(13)
前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つであり、前記重金属類が処理後の有機性廃棄物中の5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込められているので、処理後の有機性廃棄物は水環境基準、土壌環境基準、特殊肥料基準、食品安全基準から選択される少なくとも1つを満足させるものである前記(6)~(12)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(14)
前記有機性廃棄物がPCBを含んでいた場合、前記処理によりPCBを分解処理する前記(6)~(13)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(15)
前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物を、肥料の原料となる固形物にする前記(6)~(14)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(16)
前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物から、加水分解によりアミノ酸、脂肪酸または各種有機酸を製造する前記(6)~(15)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(17)
前記イオン化工程における処理温度を200~250℃として、有機性廃棄物中の有機物を炭化して、炭化物と木酢酸とする前記(6)~(14)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(18)
処理する有機性廃棄物が、生ゴミおよび/または下水汚泥と、イネ科の植物の籾殻の混合物であり、有機性廃棄物中のSiO成分の量を、前記籾殻が含有するSiO成分の量を勘案して算出する前記(6)~(18)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
本発明の有機性廃棄物の処理装置によれば、重金属およびCa成分およびSiO成分をイオン化する工程の後に、密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持する工程を設けることにより、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内により高い取り込み率で取り込んだトバモライトを形成することができるようになった。
図1は、本発明の実施形態に係る重金属類を含む有機性廃棄物を亜臨界水により処理する処理装置の一例の断面説明図である。 図2は、図1の重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置の排出口周辺の拡大一部断面説明図である。 図3、形成されたトバモライトの層状結晶構造を模式的に説明する説明図である。 図4は、クロム、鉛、砒素、水銀イオンがトバモライトの層状結晶構造中に取り込まれて封じ込められる状態を説明する説明図である。 図5は、亜臨界水反応を行なう際の反応領域を説明する説明図である。
以下、図面を用いて本発明の重金属類を含む有機性廃棄物を亜臨界水により処理する処理装置および重金属類を含む廃棄物の処理方法の例を説明する。
図1,図2には、本発明の重金属類を含む有機性廃棄物を亜臨界水により処理する処理装置(以下、単に「処理装置」あるいは「亜臨界水処理装置」ともいう)の実施の形態を示している。図1に示すように、本実施形態に係る処理装置10は、内部に重金属類を含む有機性廃棄物を収容する密閉容器12と、密閉容器12内に高温高圧の蒸気を噴出する蒸気噴出手段14と、密閉容器12の底側に設けられた排出口16と、処理された有機性廃棄物と液体とを分離回収する分離回収手段18と、を備えている。
図1に示すように、密閉容器12は、内部に処理する有機性廃棄物を収容する閉鎖空間S1を有する閉鎖容器であって、前記閉鎖空間S1内において高温高圧下で有機性廃棄物を処理する容器である。
前記密閉容器12は、支持脚13で地面から所定の高さに配置されるように支持されている。密閉容器12は、その径が左右方向中央部から左右両端側の端壁12a側に向けて次第に縮径された横倒し樽型形状に形成されている。密閉容器12は、例えば、耐熱耐圧性を有するように金属板を加工して形成され、有機性廃棄物を約2m収容できる程度の大きさで設けられている。密閉容器12には、中央部の上方に投入部20が、中央部の底側に排出部22がそれぞれ設けられており、それぞれ開閉機構24,26により開閉されるように設けられている。
前記密閉容器12の閉鎖空間S1内には、蒸気噴出手段14を構成している蒸気噴出管28と、有機性廃棄物を撹拌する撹拌手段30と、が配置されている。なお、密閉容器12には、内部圧力が設定値よりも高くなると内部蒸気を開放させる、例えば設定圧を調整可能な安全弁32が設けられている。また、安全弁32に接続された排気用管の途中には、消音・消臭・重金属類回収装置34が設けられており、安全弁32を介して排気される蒸気は消音消臭され、重金属類や重金属類化合物が回収されて、外気側に排出される。
本実施形態では、排出口16は、図1,図2に示すように、密閉容器12の左右中央部の底面側に開口されており、処理された有機性廃棄物の排出方向を下方にして設けられている。本実施形態では、排出口16の径は、例えば、300mm程度に設定されている。
排出口16には、下方に突設された排出筒36が接続されて処理された有機性廃棄物の排出経路R1を形成しているとともに、前記排出経路R1の途中に設けられて排出口16を開閉する開閉機構26が設けられている。
すなわち、排出部22は、排出口16と、排出筒36と、開閉機構26と、を含む構成となっている。開閉機構26は、例えば、中心に排出経路R1に連通する貫通孔37が設けられた球状の弁体38を排出経路に対して直交方向に設けられた回転軸40の回りに回転させることにより前記排出経路R1を開閉するボールバルブ等の開閉弁からなる。
密閉容器12が横倒し樽型形状に形成されているので、重力により内部の有機性廃棄物は排出口16が設けられている中央部に向けて集まりやすく、開閉機構26を開くだけで、処理された有機性廃棄物を排出口16から簡便に排出させることができる。
投入部20は、密閉容器12に上側に投入口42が開口されており、投入口42には上方へ突設された投入筒43が取り付けられ、投入筒43内を開閉するように例えばボールバルブ等の開閉機構24が設けられている。
開閉機構24を介して、投入口を開いて重金属を含む有機性廃棄物および前記Ca成分原料およびSiO成分原料を密閉容器12内に投入でき、処理時には閉鎖して密閉容器12内の閉鎖空間S1の閉鎖状態を維持する。
蒸気噴出手段14は、密閉容器12内に高温高圧の蒸気を噴出して、前記密閉容器12内を高温高圧状態とし、有機性廃棄物を蒸気を介して処理する。
図1に示すように、蒸気噴出手段14は、密閉容器12内に配置され周面側に多数の蒸気噴出孔44が形成された中空管からなる蒸気噴出管28と、ボイラー等の蒸気発生装置46と、蒸気発生装置46から蒸気噴出管28内に蒸気を供給する蒸気送管47と、を含む。蒸気噴出手段14から密閉容器12内に噴出される蒸気は、前記密閉容器12内での処理中に、前記重金属類およびトバモライト形成用のCa成分およびSiO成分をイオン化する。
このイオン化を効率良く促進するためには、例えば、蒸気噴出管28から噴出される蒸気は、温度が120~250℃、圧力が1.1~2.1MPaが好ましい。そして、密閉容器12内を、温度120~250℃、圧力1.1~2MPa程度にするようになっている。
前記密閉容器12の周囲を覆って、金属製チャンバーが設けられており、その内部は、熱媒/冷媒流通空間70とされている。そして、処理装置10は、前記密閉容器12内を120~140℃の温度に保持するため、密閉容器内温度調整手段80を備えている。この密閉容器内温度調整手段80は、熱媒/冷媒流通空間70に熱媒を供給するための熱媒供給源82、熱媒/冷媒流通空間70に冷媒を供給するための冷媒供給源84、これらの供給源82、84の作動を制御する作動制御手段86および密閉容器12内の温度を測定(あるいは推定)する温度測定手段88を備えている。
この温度測定手段88により密閉容器12内の温度を測定(あるいは推定)しつつ、作動制御手段86により密閉容器内温度調整手段80の作動を制御して、必要により冷媒あるいは熱媒を供給して、密閉容器12内の温度を所定温度範囲に調整する。
前記蒸気噴出管28は、密閉容器12の上下方向略中央位置で横方向に長く配置され、密閉容器12の両端壁12aに設けられた軸受45を介して回転自在に軸支されている。すなわち、蒸気噴出管28は、横軸周りに回転しながら放射状に蒸気を噴出しつつ蒸気を有機性廃棄物に直接に当てるようになっている。
なお、蒸気噴出管28は、モータ等の回転駆動装置51からチェーン等を介して回転駆動力を得て回転するようになっている。蒸気噴出管28には、さらに、撹拌羽根48が取り付けられており、蒸気噴出管28が撹拌手段の回転軸49を兼用している。すなわち、蒸気噴出手段14は、撹拌手段30の回転軸49を中空管とし、前記中空管の周面に複数個の蒸気噴出孔44を形成して構成された回転軸兼蒸気噴出管28を含む。
なお、蒸気噴出手段14は、本実施形態の構成に限らず、例えば、密閉容器12内に差し込んだ管の先端から蒸気を噴出する構成、複数の蒸気噴出管を配置させた構成等、その他任意の構成でもよい。
撹拌手段30は、密閉容器12内で処理される有機性廃棄物を撹拌する手段であり、有機性廃棄物をむらなく均一に、素早く処理できる。撹拌手段30は、上記の蒸気噴出管28からなる回転軸49と、前記回転軸49に取り付けられ同回転軸の周方向に広がる部位を有する撹拌羽根48と、を含む。本実施形態では、撹拌羽根48は、回転軸49の軸方向略中央位置で互いに逆巻きに設けられた、右巻き螺旋羽根48aと、左巻き螺旋羽根48bと、で形成されている。
撹拌羽根48は、回転軸49から羽根先端までの長さが左右中央部から両端側に向けて次第に縮径されるように設けられている。これにより密閉容器12の横倒し樽型形状に対応して有機性廃棄物を確実に撹拌できる。さらに、羽根先端と密閉容器12の内壁との間にある程度の隙間Hを形成するように設けられている。
螺旋羽根48a、48bは、有機性廃棄物を中央部から両端壁側に向けて搬送しつつ、固形状の有機性廃棄物を破砕しながら有機性廃棄物を撹拌する。なお、本実施形態では、撹拌手段30により、有機性廃棄物は最終的に、例えば、0.3~0.8mm程度に破砕されるように設けられている。
撹拌羽根48により両端壁12a側に搬送された有機性廃棄物は、前記端壁12a側で後から搬送されてくる有機性廃棄物によって押送され、密閉容器12の内壁に沿いつつ隙間Hを介してから中央に戻るように搬送されるようになっている。
なお、撹拌手段30は、本実施形態のものに限らず、例えば、回転軸49に取り付けられた複数の板状や翼状の撹拌羽根体やロッド体で撹拌する構成、蒸気等の圧力流体で撹拌する構成等その他任意の構成でもよい。また、破砕された有機性廃棄物の大きさは、任意に設定してもよい。
廃棄物を前記のようにして高温高圧の蒸気を噴出しながら処理すると、大部分の重金属類は前記のようにトバモライトの層状結晶構造中に取り込まれて封じ込められるが、例えば、前記廃棄物中に陰イオンとして塩素イオン、珪酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、燐酸イオンなどが存在している場合には、カチオンアニオン溶解度バランスに従って水蒸気熱水に溶解することがある。
そのために本発明は、密閉容器12内で廃棄物を高温高圧の蒸気を噴出しながらの処理、および温度保持による処理を行った後に、密閉容器12を冷媒により冷却して、閉鎖空間S1内の水蒸気を液化し、前記重金属類の水溶性化合物を含む処理された液体とし、この液体と前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む処理された廃棄物とを分離回収する構成としている。
密閉容器12を冷却するための冷却手段は、前記密閉容器内温度調整手段80が兼ねても良い。すなわち、密閉容器内温度調整手段80により冷媒(冷却水)を前記熱媒/冷媒流通空間70に流し、これにより閉鎖空間S1内を冷却する。
前記冷媒としては、必要に応じて温度調節された水や油や、空気や窒素などの気体などが用いられる。
前記熱媒/冷媒流通空間70を形成する手段として、密閉容器12を一体的に覆う金属製チャンバーの例を示したが、この例に限定されることはなく、密閉容器12の外部表面の大部分を複数の金属製チャンバーで覆う構造や、密閉容器12の外周を這わせた金属製パイプの形態であってもよい。これらは2つ以上組み合わせて使用することもできる。
次に、分離回収手段18について説明する。
分離回収手段18の1例は、前記のように、図1に示されている。
排出口16付近で処理された前記有機性廃棄物と前記液体の混合物は一旦回収容器50-1に回収する。回収容器50-1の底部を形成する前記有機性廃棄物は通過させないが前記液体を通過させるステンレス製メッシュ56により、前記液体が分離されて回収容器50-1の下部に配置された他の回収容器50-3内に回収される。
前記有機性廃棄物は回収容器50-1のステンレス製メッシュ56上に前記液体が分離されて残留するので、取り出す際には回転軸を中心として図示しない制御された駆動装置により駆動してステンレス製メッシュ56の一辺を下方に回転させて開き、重力により下方に落下させ、図示しない回収容器に前記有機性廃棄物を回収する。シンプルな構成であるとともに、簡単操作、低コスト構造で、処理された有機性廃棄物と液体とを良好に分離回収できる。
本発明の重金属類を含む廃棄物の処理装置は、例えば、合成樹脂製の注射器、血液の付着したガーゼ、紙おむつ、手術した内臓等の医療関係機関等から廃棄された医療系廃棄物、生ごみ、プラスチック等の合成樹脂製容器等の一般家庭から廃棄された家庭系廃棄物、食品加工廃棄物、農水産廃棄物、各種工業製品廃棄物、下水汚泥等の産業廃棄物、およびこれらを埋め立てることによって構成された土壌等を高温高圧の蒸気を介して処理する装置である。さらに、処理して得られた重金属類が封じ込められたトバモライトを含む土壌と前記のようにして液化した液体とを簡単な操作で有効に分離して、前記廃棄物と液体とを別々に回収できる装置である。
次に、以上説明した重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置を用いた処理方法について説明する。なお、以下の説明においては、重金属類を含む有機性廃棄物として、下水汚泥を例にとって説明する。
処理装置の準備工程
上で説明したような構造の処理装置10を準備する。
重金属類を含む有機性廃棄物およびトバモライト形成用原料成分投入工程
密閉容器12の内部に、重金属類を含む有機性廃棄物、およびこの有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO成分原料を投入し、収容させる。
このとき、処理の効率性や後の目的のため、前記有機性廃棄物中にイネ科の植物の籾殻を混入することができる。なお、籾殻には、約20質量%のSiO成分を含有する。
前記Ca成分原料およびSiO成分原料の前記十分な量は次のように計算して求められる。
この計算の前に、処理する重金属類を含む有機性廃棄物中に予め含まれるCa成分の含有量(A-1)およびSiO成分の含有量(A-2)を分析して求めておく。このとき、有機性廃棄物が籾殻が混入された有機性廃棄物の場合には、籾殻由来のSiO成分の量を充分に考慮する。
そして、処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分(B-1)およびSiO成分の量(B-2)を算出し、下記の式(1)および式(2)により、重金属類を含む有機性廃棄物に添加するトバモライト形成用原料成分であるCa成分原料の添加量(C-1)およびSiO成分原料の添加量(C-2)を求める。
[(B-1)-(A-1)]=(C-1) ・・・式(1)
[(B-2)-(A-2)]=(C-2) ・・・式(2)
上では、有機性廃棄物の一部としての籾殻について説明したが、前記(C-2)の少なくとも一部として、すなわちトバモライト形成用原料成分の供給源として、イネ科の植物の籾殻を投入して、そのSiO成分を用いてもよい。
イオン化工程(亜臨界水処理工程)
前記密閉容器12内に収容された前記重金属類を含む有機性廃棄物中の固形物を、粉砕しながら、前工程で計算された量のCa成分原料およびSiO成分原料と撹拌混合し、この粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射する。
すると、噴出された蒸気により、密閉容器12内は例えば、120~250℃、1.1~2.1MPa程度の高温高圧状態となる。
密閉容器12内で高温高圧の条件下で、回転する撹拌羽根48により有機性廃棄物を撹拌、破砕させながら有機性廃棄物を15分~1時間処理する。
前記のようにして高温高圧の蒸気により処理(120~250℃、1.1~2.1MPaで15分~1時間)すると、重金属類はそれぞれ金属イオンとなり、有機性廃棄物に予め含まれていたCaOおよび新たに添加したCaOはカルシウムイオンとなり、そして有機性廃棄物に予め含まれていたSiO成分および新たに添加したSiO成分は酸化Siイオンとなる。
温度と圧力が下限値未満であると、重金属類およびトバモライト結晶を形成するためのCa成分と酸化Si成分のイオン化が充分にされない恐れがあり、上限値を越えると、重金属類、トバモライト形成用添加物のイオン化については問題がないが、同時に行われる有機物の加水分解が進み炭化反応が開始しない。
処理時間が下限値未満であると、重金属類およびトバモライト結晶を形成するためのCa成分と酸化Si成分のイオン化が充分にされない恐れがあり、トバモライト生成が十分に行われない。上限値はないが処理時間があまり長いと不経済となる。
前記イオン化工程における処理温度を120~200℃とすると、有機性廃棄物中の有機物を、有機性を保ったまま肥料、飼料の原料となる固形物にすることができる。
このとき、有機性廃棄物の種類によっては、その中の有機物から、加水分解によりアミノ酸、脂肪酸または各種有機酸を製造することができる。
一方、前記イオン化工程における処理温度を200~250℃とする場合は、有機性廃棄物中の有機物を炭化して、炭化物と木酢酸を得ることができる。この炭化物は、肥料や土壌改良材、並びに消臭材の原料となる。
トバモライト形成工程
前記イオン化工程後に、前記イオン化工程における高温高圧の水蒸気の供給を停止した後、前記密閉容器内温度調整手段80により、密閉容器12内の温度を120~140℃の範囲内に1時間以上保持して、下記式(3)により前記重金属由来の金属イオン、カルシウムイオン、シリカイオンを、比較的長時間充分に水熱反応させて、安定なケイ酸カルシウム(トバモライト:5CaO・6SiO・5H2O)と称される鉱物の結晶を形成する。
このとき、密閉容器12内の圧力の調整は特に行わなくともよく、また、撹拌も特に必要とはしない。この工程における処理時間の上限に特に制限はないが、経済上の問題から2時間程度である。
この工程において、処理温度が上記範囲未満であると、重金属類およびトバモライト結晶を形成するためのCa成分およびSi成分の元素間結合が充分にされず、重金属類を充分に取り込んだトバモライトが形成されない恐れがあり、上記範囲を超えると、分子運動が活発で、トバモライト結晶化が開始されない。
すなわち、 前記イオン化工程において、高温高圧の蒸気により処理(120~250℃、1.1~2.1MPaで15分~1時間)すると、図4に示したように重金属類は金属イオン(図4では、有機性廃棄物中に重金属類であるクロム、鉛、砒素、水銀が含まれ、これらがクロムイオン、鉛イオン、砒素イオン、水銀イオンとなった場合について示した。)となって、また、有機性廃棄物に予め含まれていたCa成分、新たに添加したCaOはカルシウムイオンとなって、そして有機性廃棄物に予め含まれていたSiO成分および新たに添加したSiO成分はシリカイオンとなり、そして、続くトバモライト形成工程において、これらのイオンは土粒子80の表面反応層81に移行して水熱反応が行われ、土粒子80の表面にトバモライト層状結晶層82が形成される。この層状結晶構造形成過程で重金属由来の金属イオン(クロムイオン、鉛イオン、砒素イオン、水銀イオン)はカルシウムイオンとイオン交換反応によりカルシウムイオンを置換してトバモライトの層状結晶構造中に取り込まれて封じ込められる。
6SO+5CaO+5H2O→5CaO・6SiO・5H2O ・・・式(3)
トバモライトの結晶は図3に模式的に示すようにSi-O四面体層、Ca-O八面体層、Si-O四面体層が繰り返され、Si-O四面体層とSi-O四面体層の間にカルシウムイオンがインターカレートされた層状に成長する構造になっている。
そしてこの層状結晶構造形成過程で、重金属類は前記カルシウムイオンとイオン交換反応によりカルシウムイオンを置換して層状結晶構造中に取り込まれて封じ込められる(図4参照)。重金属類はトバモライトの層状結晶構造中に取り込まれて封じ込められ、そのために溶出が抑制される。
前記式(3)に従えば、Ca/Siのモル比(理論値)は約0.8である。
しかし前記水熱反応を行うとSiO成分の一部が水に溶解して珪酸イオンとなり、このSiO成分がトバモライト層状結晶形成に寄与しない場合が発生する。そこで、前記式(3)を満足するSiO成分に、その分だけ予め多く配合することが好ましい。
しかしあまり多量に配合すると、珪酸イオン濃度が高くなって後述するように重金属類がトバモライト層状結晶中に閉じ込められなくなる。
なお、Ca/Siのモル比が0.6~0.8の範囲となるように、SiO成分を多くして、SiO成分およびCa成分を配合すると、トバモライト層状結晶中への重金属類の閉じ込め率を高く維持することができる。
このように、強固なトバモライト結晶に重金属類を閉じ込めることができるため、従来は処理困難であったクロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルなどの重金属類の溶出抑制が可能となる。
このようにして、5CaO・6SiO・5H2O結晶(トバモライト)を効率良く生成させ、しかもその結晶構造中に前記重金属類を確りと封じ込めることができる。
冷却工程
この工程では、前記密閉容器12内の水蒸気を冷却して液化する。
上述したように、密閉容器12内で廃棄物を高温高圧の蒸気を噴出しながら処理すると、大部分の重金属類は前記のようにトバモライトの層状結晶構造中に取り込まれて封じ込められるが、例えば、前記廃棄物中に陰イオンとして塩素イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、燐酸イオン、硝酸イオンなどが存在している場合には、共存する重金属以外のカチオンと結合するものは粒子化し、残ってイオンバランスが崩れたアニオンはナトリウムやカリウムと結合した溶液として存在することがある。
そのために本発明では、前記トバモライト形成工程を行った後に、密閉容器12を冷媒により冷却して、閉鎖空間S1内の水蒸気を液化し、前記重金属類の水溶性化合物を含む処理された液体とする。
分離回収工程
前記冷却工程で得られた液体と前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む処理された有機性廃棄物中の固形物とを分離回収する。この分離回収工程は、前記分離回収手段18によって実施される。
これにより、一台の装置だけで、有機性廃棄物の処理とともに、有機性廃棄物と液体とを分離して回収することができる。また、液体と混ざった状態の扱いにくい有機性廃棄物を外部に出す必要がなく、処理に引き続き連続して、密閉容器から直接に簡単な操作で分離回収できる。また、分離回収の構成も簡単であり、低コストで製造できる。なお、各開閉機構は、手動操作で開閉する構成でもよく、或いは電気等を用いた機械的な操作で開閉させる構成でもよい。
このとき回収される固形物としては、主に前記イオン化工程における処理温度によって、有機性を保ったままの肥料用原料、飼料、炭(活性炭)となる。
上記したように、有機性廃棄物として、あるいはSiC原料成分として、籾殻を用いた場合には、それ自体が、肥料や活性炭(くん炭)の一部となるので、リサイクル技術として有用である。
[実施例]
重金属類を含む下水脱水汚泥の上記処理装置10による亜臨界水処理による重金属固化特性について試験した。下記試験条件は、前記特許4864884号公報記載の実施例によるものとほぼ同じものとした。
(1)試験装置:図1に示した構造で、反応容積(閉鎖空間S1)2mのバッチ処理タイプの亜臨界水処理装置を用いた。ボイラー能力は、500kg/hである。
(2)試験条件:
イオン化工程
閉鎖空間S1内設定温度:最高温度185°Cまでに上昇し一定維持
閉鎖空間S1内圧力 :1.6MPaまで上昇維持
処理時間 :1.5 時間
処理後の固形物を肥料や飼料として活用することを考えた場合、温度・圧力条件がこれより高いと過分解となり有機物の養分の損失が生じて行く傾向がある。
トバモライト形成工程
閉鎖空間S1内設定温度:120°C
閉鎖空間S1内圧力 :1.1 MPa
(3)試験操作:Ca成分およびSiO成分が予め少ないことが判っている下水脱水汚泥(含水率約78質量%)(神奈川県A下水処理場で採取)を前記亜臨界水処理装置内での処理中に少なくとも下水脱水汚泥300Kgに含まれる重金属類をトバモライト結晶構造中に封じ込めるためのトバモライトが形成されるのに十分な量のCa成分原料[CaO)]10KgおよびSiO成分原料[シリカ(SiO)]13Kg(シリカとしては、この内、5Kgを稲の籾殻によるものとするため、籾殻を25Kg乾重量を用いた)を添加し、Ca成分原料およびSiO成分原料を下水脱水汚泥とよく混和した。添加混合後の原料を密閉容器に投入後、前記イオン化工程における亜臨界水反応条件になるまで蒸気を圧入し、この所定条件を保ちつつ撹拌しながら必要時間の亜臨界水処理を行って、有機物を加水分解処理するとともに、前記重金属およびトバモライト形成用成分原料をイオン化した。この反応時間は30minから1時間の範囲である。
この後、前記密閉容器内温度調整手段80により、前記閉鎖空間内を前記トバモライト形成工程における所定温度および圧力として1.1MPa、時間処理して、トバモライトを形成した。
反応終了後は常温まで冷却し、脱気し常圧に戻したあと液化した成分を含む液体10Kgを分離し、次いで前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む汚泥約300Kg強(飽和蒸気の水和反応が起こり重量がやや増加)、を分離し取り出した。
計30検体についての原料下水脱水汚泥および液化した成分を含む液体および前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む汚泥について、下記の分析方法で、肥料成分を含む一般有機成分と重金属類および微量化学物質の理化学分析を行った。この理化学分析等は、農林水産省が平成27年3月に発表した「汚泥肥料中の重金属管理手引書(改訂第1版)によった。また、汚泥肥料中の重金属類の許容値もこの手引書に掲載されているものを用いた。
処理汚泥について、その結果を、まとめて、亜臨界水処理による固化率(原料下水脱水汚泥中の重金属濃度に対する処理汚泥の濃度減少分の比率)を算出した。
前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む汚泥の分析結果の内の2つの例を実施例1および実施例2として表1に示す。また、同表には、前記特許4864884号公報記載の実施例によるものを比較例1および比較例2として掲載した。
表1から、本処理によって、重金属類の溶出量が、上記手引書掲載の汚泥肥料中の重金属類の許容値を充分に満足する値まで処理されていることが分かる。
また、本発明の処理によれば、重金属類の処理後の溶出量の低下および固定化率の増大が、前記比較例1および比較例2を大きく下回っていることが分かる。
さらにまた、特筆すべきは、例えば、Crの固定化率でいうと、比較例1では43%、比較例1では53%を10%の開きがあり、処理のバラツキが認められるが、実施例1では65%、実施例2では66%と、その差が僅か1%であり、安定したバラツキの無い処理が行われていることが分かる。この傾向は、他の重金属類についても同じある。
以上から、本発明の効果が明瞭である。
10 重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置
12 密閉容器
14 蒸気噴出手段
16 排出口
18 分離回収手段
30 撹拌手段
70 熱媒/冷媒流通空間
80 密閉容器内温度調整手段
82 熱媒供給源
84 冷媒供給源
S1 閉鎖空間

Claims (18)

  1. 重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO成分原料を収容する閉鎖空間を有する密閉容器と、
    前記有機性廃棄物中の固形物を粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO成分原料と撹拌混合する撹拌手段と、
    前記密閉容器内に収容され、前記撹拌手段により粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO成分をイオン化する蒸気噴出手段と、
    前記蒸気噴出手段によるイオン化処理終了後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成する密閉容器内温度調整手段と、
    前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却手段と、
    密閉容器内の底側に設けられ開閉機構を有する排出口と
    を備えた重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置。
  2. 前記排出口から処理された前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む固形物と液化した成分を含む液体との混合物を排出し、排出した前記混合物から前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段を更に備えた請求項1の有機性廃棄物の処理装置。
  3. 前記分離回収手段は、前記混合物を一旦回収容器に回収してから前記有機性廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段および/または前記混合物をベルトコンベア装置に供給して移動中に前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段である請求項2の有機性廃棄物の処理装置。
  4. 前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである請求項1~3のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
  5. 前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である請求項1~4のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
  6. 開閉自在の排出口を有するとともに閉鎖空間を有する密閉容器の内部に、重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO成分原料を投入する有機廃棄物およびトバモライト形成用原料成分投入工程と、
    前記密閉容器内に収容された前記重金属類を含む有機性廃棄物中の固形物を、粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO成分原料と撹拌混合し、この粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO成分をイオン化するイオン化工程と、
    前記イオン化工程終了後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成するトバモライト形成工程と、
    前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却工程と、
    を備えていることを特徴とする重金属類を含む有機性廃棄物の処理方法。
  7. 前記冷却工程で得られた液体と前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む処理された有機性廃棄物中の固形物とを分離回収する工程を更に備えた請求項6の有機性廃棄物の処理方法。
  8. 前記トバモライト形成用として密閉容器内に収容されるSiO成分原料の少なくとも一部として、密閉容器にイネ科の植物の籾殻を投入し、該籾殻が含有するSiO成分を用いる請求項6または7の有機性廃棄物の処理方法。
  9. 前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである請求項6~8のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
  10. 前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である請求項6~9のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
  11. 重金属類を含む有機性廃棄物中に予め含まれるCa成分の含有量(A-1)およびSiO成分の含有量(A-2)を分析して求め、かつ処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分(B-1)およびSiO成分の量(B-2)を算出し、下記の式(1)および式(2)により、重金属類を含む有機性廃棄物に添加するCa成分原料の添加量(C-1)およびSiO成分原料の添加量(C-2)を求め、重金属類を含む有機性廃棄物にCa成分原料(C-1)およびSiO成分原料(C-2)を添加して前記処理を行う請求項6~10のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
    [(B-1)-(A-1)]=(C-1) ・・・式(1)
    [(B-2)-(A-2)]=(C-2) ・・・式(2)
  12. 前記(C-2)の少なくとも一部として、イネ科の植物の籾殻のSiO成分を用いる請求項11の有機性廃棄物の処理方法。
  13. 前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つであり、前記重金属類が処理後の有機性廃棄物中の5CaO・6SiO・5HO結晶(トバモライト)構造中に封じ込められているので、処理後の有機性廃棄物は水環境基準、土壌環境基準、特殊肥料基準、食品安全基準から選択される少なくとも1つを満足させるものである請求項6~12のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
  14. 前記有機性廃棄物がPCBを含んでいた場合、前記処理によりPCBを分解処理する請求項6~13のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
  15. 前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物を、肥料の原料となる固形物にする請求項6~14のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
  16. 前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物から、加水分解によりアミノ酸、脂肪酸または各種有機酸を製造する請求項6~15のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
  17. 前記イオン化工程における処理温度を200~250℃として、有機性廃棄物中の有機物を炭化して、炭化物と木酢酸とする請求項6~14のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
  18. 処理する有機性廃棄物が、生ゴミおよび/または下水汚泥と、イネ科の植物の籾殻の混合物であり、有機性廃棄物中のSiO成分の量を、前記籾殻が含有するSiO成分の量を勘案して算出する請求項6~16のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
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