JP7843519B2 - 有機性廃棄物の処理装置および処理方法 - Google Patents
有機性廃棄物の処理装置および処理方法Info
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Description
そのため、一台の装置で、廃棄物を高温高圧の蒸気を用いて安全に処理できるとともに、この処理に連続して、処理された廃棄物と液体とを分離して回収できる処理装置が提案された(特許第4864884号公報参照)。しかしこの処理装置は、廃棄物を高温高圧の水蒸気中で処理するための密閉容器からなるリアクターと、分離した液体を回収するための、前記密閉容器からなるリアクターと連結された他の回収用密閉容器を必要とするので、設備費が高くなり、操作が複雑となるなどの問題があった。
一方、無機系廃棄物を石灰添加などの調質をして亜臨界水条件で処理することにより、重金属の固化による土壌浄化法が提案されている(非特許文献2参照)。
しかしながら、具体的な資源の再生を目的とし、安全に処理して、かつ前記重金属類を固定化して溶出を抑制し、処理装置の構造を簡素化して、操作が簡単で、低コストであるような資源化技術の導入には至っていなかった。
すなわち、特許第6872101号に係る重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置は、重金属類を含むスラリー状または固形の有機系廃棄物、および前記有機廃棄物の炭化処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO2成分原料を収容する閉鎖空間を有する密閉容器と、
前記有機系廃棄物中の固形物を粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO2成分原料と撹拌混合する撹拌手段と、
密閉容器内に収容され、前記撹拌手段により粉砕、混合されつつある前記有機系廃棄物およびCa成分原料およびSiO2成分原料に、高温高圧の水蒸気を噴射して処理し、前記重金属類が閉じ込められた5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造の層を前記有機系廃棄物の固形物上に形成するための高温高圧の水蒸気を噴出する蒸気噴出手段と、
処理後に密閉容器内の蒸気を冷却して液化するための冷却手段と、
密閉容器内の底側に設けられ開閉機構を有する排出口と、
排出口から処理された前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む廃棄物と液化した成分を含む液体との混合物を排出し、排出した前記混合物から前記廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段とを備えた重金属類を含む廃棄物の処理装置であって、
前記分離回収手段は、前記混合物を一旦回収容器に回収してから前記廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段および/または前記混合物をベルトコンベア装置に供給して移動中に前記廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段であることを特徴とする。
(1)
重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO2成分原料を収容する閉鎖空間を有する密閉容器と、
前記有機性廃棄物中の固形物を粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO2成分原料と撹拌混合する撹拌手段と、
前記密閉容器内に収容され、前記撹拌手段により粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO2成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO2成分をイオン化する蒸気噴出手段と、
処理後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成する密閉容器内温度調整手段と、
前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却手段と、
密閉容器内の底側に設けられ開閉機構を有する排出口と
を備えた重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置。
(2)
前記排出口から処理された前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む固形物と液化した成分を含む液体との混合物を排出し、排出した前記混合物から前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段を更に備えた前記(1)の有機性廃棄物の処理装置。
(3)
前記分離回収手段は、前記混合物を一旦回収容器に回収してから前記有機性廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段および/または前記混合物をベルトコンベア装置に供給して移動中に前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段である前記(2)の有機性廃棄物の処理装置。
(4)
前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである前記(1)~(3)のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
(5)
前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である前記(1)~(4)のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
(6)
開閉自在の排出口を有するとともに閉鎖空間を有する密閉容器の内部に、重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO2成分原料を投入する有機廃棄物およびトバモライト形成用原料成分投入工程と、
前記密閉容器内に収容された前記重金属類を含む有機性廃棄物中の固形物を、粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO2成分原料と撹拌混合し、この粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO2成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO2成分をイオン化するイオン化工程と、
このイオン化工程後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成するトバモライト形成工程と、
前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却工程と、
を備えていることを特徴とする重金属類を含む有機性廃棄物の処理方法。
(7)
前記冷却工程で得られた液体と前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む処理された有機性廃棄物中の固形物とを分離回収する工程を更に備えた前記(6)の有機性廃棄物の処理方法。
(8)
前記トバモライト形成用として密閉容器内に収容されるSiO2成分原料の少なくとも一部として、密閉容器にイネ科の植物の籾殻を投入し、該籾殻が含有するSiO2成分を用いる前記(6)または(7)の有機性廃棄物の処理方法。
(9)
前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである前記(6)~(8)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(10)
前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である前記(6)~(9)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(11)
重金属類を含む有機性廃棄物中に予め含まれるCa成分の含有量(A-1)およびSiO成分の含有量(A-2)を分析して求め、かつ処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分(B-1)およびSiO2成分の量(B-2)を算出し、下記の式(1)および式(2)により、重金属類を含む有機性廃棄物に添加するCa成分原料の添加量(C-1)およびSiO2成分原料の添加量(C-2)を求め、重金属類を含む有機性廃棄物にCa成分原料(C-1)およびSiO2成分原料(C-2)を添加して前記処理を行う前記(6)~(10)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
[(B-1)-(A-1)]=(C-1) ・・・式(1)
[(B-2)-(A-2)]=(C-2) ・・・式(2)
(12)
前記(C-2)の少なくとも一部として、イネ科の植物の籾殻のSiO成分を用いる請求項11の有機性廃棄物の処理方法。
(13)
前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つであり、前記重金属類が処理後の有機性廃棄物中の5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込められているので、処理後の有機性廃棄物は水環境基準、土壌環境基準、特殊肥料基準、食品安全基準から選択される少なくとも1つを満足させるものである前記(6)~(12)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(14)
前記有機性廃棄物がPCBを含んでいた場合、前記処理によりPCBを分解処理する前記(6)~(13)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(15)
前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物を、肥料の原料となる固形物にする前記(6)~(14)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(16)
前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物から、加水分解によりアミノ酸、脂肪酸または各種有機酸を製造する前記(6)~(15)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(17)
前記イオン化工程における処理温度を200~250℃として、有機性廃棄物中の有機物を炭化して、炭化物と木酢酸とする前記(6)~(14)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
(18)
処理する有機性廃棄物が、生ゴミおよび/または下水汚泥と、イネ科の植物の籾殻の混合物であり、有機性廃棄物中のSiO2成分の量を、前記籾殻が含有するSiO2成分の量を勘案して算出する前記(6)~(18)のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
図1,図2には、本発明の重金属類を含む有機性廃棄物を亜臨界水により処理する処理装置(以下、単に「処理装置」あるいは「亜臨界水処理装置」ともいう)の実施の形態を示している。図1に示すように、本実施形態に係る処理装置10は、内部に重金属類を含む有機性廃棄物を収容する密閉容器12と、密閉容器12内に高温高圧の蒸気を噴出する蒸気噴出手段14と、密閉容器12の底側に設けられた排出口16と、処理された有機性廃棄物と液体とを分離回収する分離回収手段18と、を備えている。
排出口16には、下方に突設された排出筒36が接続されて処理された有機性廃棄物の排出経路R1を形成しているとともに、前記排出経路R1の途中に設けられて排出口16を開閉する開閉機構26が設けられている。
このイオン化を効率良く促進するためには、例えば、蒸気噴出管28から噴出される蒸気は、温度が120~250℃、圧力が1.1~2.1MPaが好ましい。そして、密閉容器12内を、温度120~250℃、圧力1.1~2MPa程度にするようになっている。
この温度測定手段88により密閉容器12内の温度を測定(あるいは推定)しつつ、作動制御手段86により密閉容器内温度調整手段80の作動を制御して、必要により冷媒あるいは熱媒を供給して、密閉容器12内の温度を所定温度範囲に調整する。
前記冷媒としては、必要に応じて温度調節された水や油や、空気や窒素などの気体などが用いられる。
分離回収手段18の1例は、前記のように、図1に示されている。
排出口16付近で処理された前記有機性廃棄物と前記液体の混合物は一旦回収容器50-1に回収する。回収容器50-1の底部を形成する前記有機性廃棄物は通過させないが前記液体を通過させるステンレス製メッシュ56により、前記液体が分離されて回収容器50-1の下部に配置された他の回収容器50-3内に回収される。
上で説明したような構造の処理装置10を準備する。
密閉容器12の内部に、重金属類を含む有機性廃棄物、およびこの有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO2成分原料を投入し、収容させる。
このとき、処理の効率性や後の目的のため、前記有機性廃棄物中にイネ科の植物の籾殻を混入することができる。なお、籾殻には、約20質量%のSiO2成分を含有する。
この計算の前に、処理する重金属類を含む有機性廃棄物中に予め含まれるCa成分の含有量(A-1)およびSiO成分の含有量(A-2)を分析して求めておく。このとき、有機性廃棄物が籾殻が混入された有機性廃棄物の場合には、籾殻由来のSiO成分の量を充分に考慮する。
そして、処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分(B-1)およびSiO2成分の量(B-2)を算出し、下記の式(1)および式(2)により、重金属類を含む有機性廃棄物に添加するトバモライト形成用原料成分であるCa成分原料の添加量(C-1)およびSiO2成分原料の添加量(C-2)を求める。
[(B-1)-(A-1)]=(C-1) ・・・式(1)
[(B-2)-(A-2)]=(C-2) ・・・式(2)
前記密閉容器12内に収容された前記重金属類を含む有機性廃棄物中の固形物を、粉砕しながら、前工程で計算された量のCa成分原料およびSiO2成分原料と撹拌混合し、この粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO2成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射する。
すると、噴出された蒸気により、密閉容器12内は例えば、120~250℃、1.1~2.1MPa程度の高温高圧状態となる。
密閉容器12内で高温高圧の条件下で、回転する撹拌羽根48により有機性廃棄物を撹拌、破砕させながら有機性廃棄物を15分~1時間処理する。
前記のようにして高温高圧の蒸気により処理(120~250℃、1.1~2.1MPaで15分~1時間)すると、重金属類はそれぞれ金属イオンとなり、有機性廃棄物に予め含まれていたCaOおよび新たに添加したCaOはカルシウムイオンとなり、そして有機性廃棄物に予め含まれていたSiO2成分および新たに添加したSiO2成分は酸化Siイオンとなる。
温度と圧力が下限値未満であると、重金属類およびトバモライト結晶を形成するためのCa成分と酸化Si成分のイオン化が充分にされない恐れがあり、上限値を越えると、重金属類、トバモライト形成用添加物のイオン化については問題がないが、同時に行われる有機物の加水分解が進み炭化反応が開始しない。
処理時間が下限値未満であると、重金属類およびトバモライト結晶を形成するためのCa成分と酸化Si成分のイオン化が充分にされない恐れがあり、トバモライト生成が十分に行われない。上限値はないが処理時間があまり長いと不経済となる。
このとき、有機性廃棄物の種類によっては、その中の有機物から、加水分解によりアミノ酸、脂肪酸または各種有機酸を製造することができる。
一方、前記イオン化工程における処理温度を200~250℃とする場合は、有機性廃棄物中の有機物を炭化して、炭化物と木酢酸を得ることができる。この炭化物は、肥料や土壌改良材、並びに消臭材の原料となる。
前記イオン化工程後に、前記イオン化工程における高温高圧の水蒸気の供給を停止した後、前記密閉容器内温度調整手段80により、密閉容器12内の温度を120~140℃の範囲内に1時間以上保持して、下記式(3)により前記重金属由来の金属イオン、カルシウムイオン、シリカイオンを、比較的長時間充分に水熱反応させて、安定なケイ酸カルシウム(トバモライト:5CaO・6SiO2・5H2O)と称される鉱物の結晶を形成する。
このとき、密閉容器12内の圧力の調整は特に行わなくともよく、また、撹拌も特に必要とはしない。この工程における処理時間の上限に特に制限はないが、経済上の問題から2時間程度である。
この工程において、処理温度が上記範囲未満であると、重金属類およびトバモライト結晶を形成するためのCa成分およびSi成分の元素間結合が充分にされず、重金属類を充分に取り込んだトバモライトが形成されない恐れがあり、上記範囲を超えると、分子運動が活発で、トバモライト結晶化が開始されない。
トバモライトの結晶は図3に模式的に示すようにSi-O四面体層、Ca-O八面体層、Si-O四面体層が繰り返され、Si-O四面体層とSi-O四面体層の間にカルシウムイオンがインターカレートされた層状に成長する構造になっている。
しかし前記水熱反応を行うとSiO2成分の一部が水に溶解して珪酸イオンとなり、このSiO2成分がトバモライト層状結晶形成に寄与しない場合が発生する。そこで、前記式(3)を満足するSiO2成分に、その分だけ予め多く配合することが好ましい。
このようにして、5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)を効率良く生成させ、しかもその結晶構造中に前記重金属類を確りと封じ込めることができる。
この工程では、前記密閉容器12内の水蒸気を冷却して液化する。
上述したように、密閉容器12内で廃棄物を高温高圧の蒸気を噴出しながら処理すると、大部分の重金属類は前記のようにトバモライトの層状結晶構造中に取り込まれて封じ込められるが、例えば、前記廃棄物中に陰イオンとして塩素イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、燐酸イオン、硝酸イオンなどが存在している場合には、共存する重金属以外のカチオンと結合するものは粒子化し、残ってイオンバランスが崩れたアニオンはナトリウムやカリウムと結合した溶液として存在することがある。
そのために本発明では、前記トバモライト形成工程を行った後に、密閉容器12を冷媒により冷却して、閉鎖空間S1内の水蒸気を液化し、前記重金属類の水溶性化合物を含む処理された液体とする。
前記冷却工程で得られた液体と前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む処理された有機性廃棄物中の固形物とを分離回収する。この分離回収工程は、前記分離回収手段18によって実施される。
これにより、一台の装置だけで、有機性廃棄物の処理とともに、有機性廃棄物と液体とを分離して回収することができる。また、液体と混ざった状態の扱いにくい有機性廃棄物を外部に出す必要がなく、処理に引き続き連続して、密閉容器から直接に簡単な操作で分離回収できる。また、分離回収の構成も簡単であり、低コストで製造できる。なお、各開閉機構は、手動操作で開閉する構成でもよく、或いは電気等を用いた機械的な操作で開閉させる構成でもよい。
このとき回収される固形物としては、主に前記イオン化工程における処理温度によって、有機性を保ったままの肥料用原料、飼料、炭(活性炭)となる。
上記したように、有機性廃棄物として、あるいはSiC原料成分として、籾殻を用いた場合には、それ自体が、肥料や活性炭(くん炭)の一部となるので、リサイクル技術として有用である。
重金属類を含む下水脱水汚泥の上記処理装置10による亜臨界水処理による重金属固化特性について試験した。下記試験条件は、前記特許4864884号公報記載の実施例によるものとほぼ同じものとした。
(1)試験装置:図1に示した構造で、反応容積(閉鎖空間S1)2m3のバッチ処理タイプの亜臨界水処理装置を用いた。ボイラー能力は、500kg/hである。
(2)試験条件:
イオン化工程
閉鎖空間S1内設定温度:最高温度185°Cまでに上昇し一定維持
閉鎖空間S1内圧力 :1.6MPaまで上昇維持
処理時間 :1.5 時間
処理後の固形物を肥料や飼料として活用することを考えた場合、温度・圧力条件がこれより高いと過分解となり有機物の養分の損失が生じて行く傾向がある。
トバモライト形成工程
閉鎖空間S1内設定温度:120°C
閉鎖空間S1内圧力 :1.1 MPa
(3)試験操作:Ca成分およびSiO2成分が予め少ないことが判っている下水脱水汚泥(含水率約78質量%)(神奈川県A下水処理場で採取)を前記亜臨界水処理装置内での処理中に少なくとも下水脱水汚泥300Kgに含まれる重金属類をトバモライト結晶構造中に封じ込めるためのトバモライトが形成されるのに十分な量のCa成分原料[CaO)]10KgおよびSiO2成分原料[シリカ(SiO2)]13Kg(シリカとしては、この内、5Kgを稲の籾殻によるものとするため、籾殻を25Kg乾重量を用いた)を添加し、Ca成分原料およびSiO2成分原料を下水脱水汚泥とよく混和した。添加混合後の原料を密閉容器に投入後、前記イオン化工程における亜臨界水反応条件になるまで蒸気を圧入し、この所定条件を保ちつつ撹拌しながら必要時間の亜臨界水処理を行って、有機物を加水分解処理するとともに、前記重金属およびトバモライト形成用成分原料をイオン化した。この反応時間は30minから1時間の範囲である。
この後、前記密閉容器内温度調整手段80により、前記閉鎖空間内を前記トバモライト形成工程における所定温度および圧力として1.1MPa、時間処理して、トバモライトを形成した。
反応終了後は常温まで冷却し、脱気し常圧に戻したあと液化した成分を含む液体10Kgを分離し、次いで前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む汚泥約300Kg強(飽和蒸気の水和反応が起こり重量がやや増加)、を分離し取り出した。
前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む汚泥の分析結果の内の2つの例を実施例1および実施例2として表1に示す。また、同表には、前記特許4864884号公報記載の実施例によるものを比較例1および比較例2として掲載した。
また、本発明の処理によれば、重金属類の処理後の溶出量の低下および固定化率の増大が、前記比較例1および比較例2を大きく下回っていることが分かる。
さらにまた、特筆すべきは、例えば、Crの固定化率でいうと、比較例1では43%、比較例1では53%を10%の開きがあり、処理のバラツキが認められるが、実施例1では65%、実施例2では66%と、その差が僅か1%であり、安定したバラツキの無い処理が行われていることが分かる。この傾向は、他の重金属類についても同じある。
以上から、本発明の効果が明瞭である。
12 密閉容器
14 蒸気噴出手段
16 排出口
18 分離回収手段
30 撹拌手段
70 熱媒/冷媒流通空間
80 密閉容器内温度調整手段
82 熱媒供給源
84 冷媒供給源
S1 閉鎖空間
Claims (18)
- 重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO2成分原料を収容する閉鎖空間を有する密閉容器と、
前記有機性廃棄物中の固形物を粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO2成分原料と撹拌混合する撹拌手段と、
前記密閉容器内に収容され、前記撹拌手段により粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO2成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO2成分をイオン化する蒸気噴出手段と、
前記蒸気噴出手段によるイオン化処理終了後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成する密閉容器内温度調整手段と、
前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却手段と、
密閉容器内の底側に設けられ開閉機構を有する排出口と
を備えた重金属類を含む有機性廃棄物の処理装置。 - 前記排出口から処理された前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む固形物と液化した成分を含む液体との混合物を排出し、排出した前記混合物から前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段を更に備えた請求項1の有機性廃棄物の処理装置。
- 前記分離回収手段は、前記混合物を一旦回収容器に回収してから前記有機性廃棄物と前記液体を分離する分離回収手段および/または前記混合物をベルトコンベア装置に供給して移動中に前記固形物と前記液体を分離する分離回収手段である請求項2の有機性廃棄物の処理装置。
- 前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである請求項1~3のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
- 前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である請求項1~4のいずれかの有機性廃棄物の処理装置。
- 開閉自在の排出口を有するとともに閉鎖空間を有する密閉容器の内部に、重金属類を含む有機性廃棄物、および前記有機性廃棄物の処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分原料およびSiO2成分原料を投入する有機廃棄物およびトバモライト形成用原料成分投入工程と、
前記密閉容器内に収容された前記重金属類を含む有機性廃棄物中の固形物を、粉砕しながら、前記Ca成分原料およびSiO2成分原料と撹拌混合し、この粉砕、混合されつつある前記重金属類を含む有機性廃棄物およびCa成分原料およびSiO2成分原料に、温度が120~250℃で、圧力が1.1~2.1MPaの高温高圧の水蒸気を噴射して、反応処理することにより、前記重金属およびCa成分およびSiO2成分をイオン化するイオン化工程と、
前記イオン化工程終了後に前記密閉容器内を120~140℃の温度に1時間以上保持して、水熱反応により、前記重金属を結晶構造内に取り込んだトバモライトを形成するトバモライト形成工程と、
前記密閉容器内の水蒸気を冷却して液化するための冷却工程と、
を備えていることを特徴とする重金属類を含む有機性廃棄物の処理方法。 - 前記冷却工程で得られた液体と前記重金属類が封じ込められたトバモライトを含む処理された有機性廃棄物中の固形物とを分離回収する工程を更に備えた請求項6の有機性廃棄物の処理方法。
- 前記トバモライト形成用として密閉容器内に収容されるSiO2成分原料の少なくとも一部として、密閉容器にイネ科の植物の籾殻を投入し、該籾殻が含有するSiO2成分を用いる請求項6または7の有機性廃棄物の処理方法。
- 前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つである請求項6~8のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
- 前記有機性廃棄物が、都市生ゴミ、下水汚泥、食品加工排水汚泥または皮なめし排水処理汚泥である請求項6~9のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
- 重金属類を含む有機性廃棄物中に予め含まれるCa成分の含有量(A-1)およびSiO成分の含有量(A-2)を分析して求め、かつ処理中に少なくとも前記重金属類を5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込めるための5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)が形成されるのに十分な量のCa成分(B-1)およびSiO2成分の量(B-2)を算出し、下記の式(1)および式(2)により、重金属類を含む有機性廃棄物に添加するCa成分原料の添加量(C-1)およびSiO2成分原料の添加量(C-2)を求め、重金属類を含む有機性廃棄物にCa成分原料(C-1)およびSiO2成分原料(C-2)を添加して前記処理を行う請求項6~10のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
[(B-1)-(A-1)]=(C-1) ・・・式(1)
[(B-2)-(A-2)]=(C-2) ・・・式(2) - 前記(C-2)の少なくとも一部として、イネ科の植物の籾殻のSiO成分を用いる請求項11の有機性廃棄物の処理方法。
- 前記重金属類が、クロム、鉛、カドミウム、砒素、水銀、亜鉛、銅、ニッケルから選択される少なくとも1つであり、前記重金属類が処理後の有機性廃棄物中の5CaO・6SiO2・5H2O結晶(トバモライト)構造中に封じ込められているので、処理後の有機性廃棄物は水環境基準、土壌環境基準、特殊肥料基準、食品安全基準から選択される少なくとも1つを満足させるものである請求項6~12のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
- 前記有機性廃棄物がPCBを含んでいた場合、前記処理によりPCBを分解処理する請求項6~13のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
- 前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物を、肥料の原料となる固形物にする請求項6~14のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
- 前記イオン化工程における処理温度を120~200℃として、有機性廃棄物中の有機物から、加水分解によりアミノ酸、脂肪酸または各種有機酸を製造する請求項6~15のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
- 前記イオン化工程における処理温度を200~250℃として、有機性廃棄物中の有機物を炭化して、炭化物と木酢酸とする請求項6~14のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
- 処理する有機性廃棄物が、生ゴミおよび/または下水汚泥と、イネ科の植物の籾殻の混合物であり、有機性廃棄物中のSiO2成分の量を、前記籾殻が含有するSiO2成分の量を勘案して算出する請求項6~16のいずれかの有機性廃棄物の処理方法。
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